温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

オーストリア バート・イシュル ユーロ・テルメ・リゾート(旧カイザーテルメ)

2009年10月31日 | オーストリア


オーストリア・ザルツブルクの東に位置するバート・イシュル(Bad Ischl)は、アルプスに連なる山懐に抱かれた小さな町で、古くから岩塩と温泉で知られています。まず16世紀に岩塩鉱、そして塩田が開かれて、19世紀になって湧出する食塩泉が療養目的に利用されるようになると、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世がこの町に避暑の別荘を建て、それ以来当地は温泉保養地として名を馳せ現在に至っています。今回目指すはその食塩泉の温泉です。

ザルツブルク中央駅から14:15発・150番のポストバスに乗車。観光地を走る幹線路線だけあって、日本のバスの1.5倍はありそうな長尺車体、その甲斐あってか車内には余裕がありました。バスが走るザルツブルクの南東に広がる標高500~800mの高地、かつてハプスブルクが管轄する塩の御料地だったことからザルツカンマーグートと呼ばれており、この車窓が実に素晴らしく、まるで絵画の世界を走っているかのようで、バート・イシュルまでの約1時間半は全く退屈しません。高地には大小様々な湖が点在し、それを包み込むかのように2000m級の峰々が連なり、湖水と山塊が織り成す風光明媚な景色の中を、150番バスが東西に貫いて走るのです。途中、フシェル湖やザンクト・ギルゲン、ヴォルフガング湖などザルツカンマーグートの代表的景勝地を経由するので、時間がある方はそれらで下車して散策するのもよいかと思います。

 
ザルツカンマーグートの美しい車窓。この景色の中をバスが走ります

 
左:ザルツブルク中央駅前を出る150番のポストバス
右:バート・イシュル駅


さてバスはバート・イシュル駅の脇にあるターミナルへ定刻(15:50)ぴったりに到着。食塩泉に入れるユーロ・テルメ・リゾート(旧カイザーテルメ)は駅の真正面に建っています。事前に調べておいた情報によれば、正面入口は湯治療養目的の人のためのもので、日帰り入浴客は裏手へ廻って専用カウンターで受付を済ますと書かれていましたが、それは旧カイザーテルメ時代の話のようで、改装されてシステムも変更になった現在は日帰り客も堂々と正面入口から入場できます。
窓口で料金を支払うと引き換えに腕時計型のリストバンドが手渡され、これで入退場とロッカーを管理します。入口ゲートからまっすぐ歩くと、すぐにロッカーがズラっと並ぶ更衣室につながっており、ここはドイツ文化圏なので男女共用。ロッカーは空いているところを使えます。

内部は温泉というより完全にプールですが、リゾートを名乗る施設だけあり、ガラスを多用したデザインはお洒落で開放的。とても綺麗で、手入れが行き届いており、優雅な気分に満たされること間違いありません。プールに満たされている無色透明の温泉水は、湯温がちょっとぬるめの32℃、さすが岩塩の街に湧く湯だけあって、とても塩辛く、表示によれば3%の高度があるそうです。ということは標準的な海水の塩分濃度とほぼ同じであり、お湯の中で体が容易に浮くことからもその濃さを実感できるはずです。
温泉プールにはジャグジー等がある方形の屋内プールと円形の屋外プール(露天風呂、34℃)があり、訪問日は天気がよかったからか、露天風呂に人気が集まっているようでした。ヨーロッパ人にとって温泉は療養のためのものというイメージが強いためか温泉槽に浸かる人はみな老人ばかりですが、ここには温泉のみならず普通の水のプールもあって、特に流れるプールは若者の歓声が飛び交っていました。

 
左:主槽となる屋内温泉プール
右:円形の屋外温泉プール。皆さんプールの縁にしがみついてプカプカ浮かんでいます


子供や若者に人気の流れるプール


ここユーロ・テルメ・リゾートにはドイツ文化圏の他の温泉施設同様、サウナも設けられています。そして、やはりドイツ文化圏の他のサウナ同様、全裸かつ男女混浴で利用します(とはいえ、ここはバスローブの着用が原則のようです)。プールとサウナは別料金で、両ゾーンの境にはゲートが設けられており、ゲートの向こう側のサウナゾーンは、サウナは勿論のこと、休憩室やお風呂、プール、多種のシャワーなど、多くの設備が設けられていて、とても広い空間が確保されています。
サウナには何種類かの部屋がありましたが、当日は暑い陽気で、わざわざ汗をかこうとする人が少ないのか、それとも単にメンテナンス中なのか、半分近くの部屋はドアが開けっ放しにされて室内に熱気が篭っておらず、全く機能していませんでした。それどころか、ちゃんと熱くなっているサウナにも、そして全裸で泳いだり浸かったりするプールやお風呂にも人影は見当たらず、ほとんどのお客さんは外部からの視界が遮断された屋外の庭で、すっぽんぽんの状態で芝生の上やデッキチェアーに寝そべって日光浴をしており、さながらヌーディストビーチのようでした。


 
サウナゾーンに設けられたお風呂とプール


ザルツブルクからバス150番で約1時間半、終点バート・イシュル駅前下車すぐ
(バス片道8.80ユーロ)
所在地:Voglhuberstraße 10, A-4820 Bad Ischl 地図
電話:6132-204-0
ホームページ

9:00~24:00 原則無休
13.50ユーロ(4時間以内・プール(温泉)のみ)
20.50ユーロ(全日・プール&サウナ)

私の好み:★★
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オーストリア バーデン・バイ・ウィーン レーマーテルメ

2009年10月30日 | オーストリア


オーストリアの首都ウィーンから南へ約26km、電車に乗れば1時間弱で行くことのできるバーデン(・バイ・ウィーン)は、古くから温泉保養地として名を馳せてきました。19世紀前半にはハプスブルク家の夏の離宮が置かれ、これに伴い貴族や芸術家が訪れるようになり、作曲家ベートーヴェンもこの地をこよなく愛したそうです。彼が「歓喜の歌」で有名な交響曲第9番を書き上げるために滞在した家(ベートーヴェンハウス)もこの街に残っています。

街の名称は一般的にはバーデン(Baden)ですが、単にバーデンだけですとドイツ語圏で似たような地名(バーデン・バーデンやヴィースバーデンなど)があって混同しやすいために、ウィーンの近くにあるバーデンという意味で、後ろに(バイ・ウィーン)と付して称することも多いようです。

バーデンへ行く電車は、ウィーンの国立オペラ座の交差点を挟んだ斜め前にあるOper電停から乗車します。市内では路面電車網の一角を成しているため、途中までチンタラ走ってイライラしますが、乗車してから30分を過ぎる頃になるとようやく力強く走ってくれ、車窓には美しい畑も広がり、このまま快走してくれと思うまもなく、終点のBaden Josefsplatz電停に到着。

郊外の保養地らしく、色とりどりの建物が街並みを彩り、かといってリゾート地にありがちな騒々しさは皆無であり、静かで落ち着いた心地よい雰囲気が街を包んでいます。街の中心広場を抜けて生鮮野菜を扱う市場を通り過ぎ、下車してから5分ほどで正面広場の花壇とお濠のように周囲を取り囲む人工池が目に鮮やかなレーマーテルメ(Römertherme)に辿りつきます。古い建築物が建ち並ぶバーデンにあって、このレーマーテルメはいかにも現代建築らしく、方形で壁一面ガラスばりの特徴的な建物です。

 
左:ウィーン中心部のOper電停から発車するバーデン線の電車
右:終点Baden Josefsplatz電停

 
バーデンの街並み


窓口で入場料を支払うと、腕時計のような形状のリストバンドが手渡され、これによって入退場は勿論のこと、場内での買い物や飲食なども現金を用いることなく利用することができます(事後清算)。更衣室は男女共用で、これはドイツ文化圏にある温浴施設共通のスタイルです。私は以前ドイツのヴィースバーデンで温泉に入ったことがあったのですが、温泉入浴は全裸で混浴、更衣室も男女共用で、老若男女が同じところで何の躊躇いも恥じらいもなく堂々とすっぽんぽんになって着替えているところに遭遇して目を丸くした記憶がありますが、更衣室に関してはここも同様でした。でも他人の目が気になる人には、ちゃんと試着室のような更衣スペースが設けられていますのでご安心を。ロッカーは空いているところが自由に使えますが、鍵に関してはリストバンドを用いず、2ユーロのコインを投入して施錠します(鍵を開けるとコインはリターンします)。


男女共用のロッカールーム。とても綺麗に整備されています


更衣室からシャワールームを経て屋内プールへ。天井が全面ガラス張りで非常に採光のよいこのプールは、中央を横切る通路により前後に二分されていて、手前側は小さな子供でも遊べる浅いソーンと、自由に泳いだり浮いたりできるゾーンがあり、奥側はコースロープが張られて真剣に泳ぐ人ためのゾーンが設けられています。またプールの各所にはジャグジーや滝のように水が出てくるところなど、水の流動性を生かして楽しめる設備があって、予め決められたタイムスケジュールに従ってそれぞれが作動するようになっています。

 
左:ガラス張りの天井からたっぷりの陽光が降り注いで明るい屋内プール
右:ジャグジー等の作動時間を表示したタイムスケジュール。5分作動して5分休むパターンを繰り返します


この屋内プールは普通の水。お目当ての温泉は屋外にありました。屋内から屋外へ出るところには"Schwefel-becken"、つまり硫黄槽と書かれた看板が立っていました。またこの看板には「入浴は20分まで」「34~36℃」とも書かれています。温泉入浴に時間制限を設けるのはヨーロッパ共通ですが、34~36℃とはちょっとぬるい。無色透明のお湯からは弱い硫黄の匂いが、そして石膏泉のような味が感じられました。恐らく源泉そのままではなく、加水やら加温やら循環やら、相当手が加えられていそうです。
というのも、この浴槽の目の前には男の口から32℃ぐらいのお湯がチョロチョロ出ている泉があって、このお湯からは強い硫黄臭とたまご味が感じられたのです。本当ならばこのお湯に浸かりたいのですが、お湯溜まりは非常に浅くて入れるようなものではなく、あくまでオブジェであり、実に悔しい思いがしました。温泉槽は先に述べた"Schwefel-becken"のひとつのみで、屋外にはもうひとつ浴槽"Kleeblatt-becken"があるのですが、そちらは普通のお湯(30~32℃)でした。

 
左:屋外にある硫黄泉浴槽
右:硫黄泉浴槽の前には、源泉そのままと思われるお湯がチョロチョロ出ている泉がありますが、これはあくまでオブジェであり、入浴できません


もうひとつの屋外浴槽は普通のお湯。たくさん打たせ湯があって、マッサージ効果バツグン


訪問したのは7月上旬の平日だったのですが、お客さんはリタイヤした老人が多く、あたかも介護施設の様相。プールサイドでは皆さんデッキチェアーに寝そべって、日光浴を楽しんでいらっしゃいました。またバスローブを羽織っている方が多いのも特徴的で、けだし施設内のサウナに入るためと思われます(ドイツ文化圏のサウナではバスローブの着用を求められることが多いようです。なお私は今回サウナには入りませんでした)。

ちゃんとした温泉を思い描いて訪れると期待はずれに終わるかと思いますが、ウィーンから近い距離にあるので、時間のあるときに足を伸ばしてプールに入り、リフレッシュしてみるのもいいかもしれません。



ウィーン中心部のOper電停からバーデン線で約45分、終点Baden Josefsplatz電停下車、徒歩約5分
所在地:Brusattiplatz 4, 2500 Baden 地図
電話:02252-45030
ホームページ

10:00~22:00
€9.50(2時間)、1時間超過毎に€1.70 

水着着用
ドライヤーあり

私の好み:★
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ハンガリー ハルカーニ温泉公園

2009年10月29日 | ハンガリー
ハンガリー第4の都市ペーチから南へ約25km、クロアチアとの国境近くに位置する小さな村ハルカーニ(Harkány)は、硫黄のお湯が湧き出でる温泉リゾート地です。スパリゾートとして観光客が訪れるのは勿論のこと、湯治療養を目的とした長期滞在者が多いのがこのハルカーニの特徴です。

ペーチから国道58号線を南下、道路の両側はひたすら麦とひまわりの畑が広がります。20km程走ると丘を越えて平地へ下る坂に差し掛かり、目の前に展開するだだっ広い畑の真ん中に森と赤い屋根の集落が見えてきたら、そこがハルカーニです。メインストリートはリゾート地らしく街路樹の木立が美しく道幅も広く取られ、ロードサイドには宿泊施設やレストランが並んでいます。目指すは温泉公園。ペーチからの国道は公園の西縁を通っているので、一旦南縁の通りに出てバスターミナルの方へ入り、ターミナル前の通り沿いにあるパーキングに駐車。付近から入口ゲートまではプール用具や軽食などを売る店がズラっと並んでいて、いかにもリゾート地らしい光景です。

 
左:温泉公園の正面入口。多くのお客さんで賑わっています
右:正面入口付近には水着などプール用具を売る店が並んでいます


料金表です(クリックで画像拡大)
一番上の Napi belépők が1日入場料金で、Felnőttが大人、Diákが学生です。
赤十字のマークが描かれたGyógyfürdő が温泉(屋内プール)料金、Strandfürdő が屋外プール料金です。
1週間料金(Bérlet 7 belépésre)が設定されていることから、長期療養による湯治客が多いことがわかります


公園内部はとても広く、単に温泉プールがあるのみでなく、芝生の広場があったり、レストランがあったりと、ノビノビとできる環境が整っています。地方の小規模遊園地のような入口ゲートで料金を支払うのですが、料金には大まかに言うと、屋内プール料金とその約半額の屋外プール料金に分かれ、屋内プール料金を支払えば屋外プールも利用できます。窓口で料金に応じて色分けされたテープが渡され、そこに印刷されたバーコードで入退場が管理され、屋内料金を払っていれば後述する屋内プール(浴槽)のゲートを通過できる仕組みになっています。ここへ来たなら是非屋内プールをおすすめします。濃い白濁した温泉は屋内プールでしか入浴できないからです。

正面入口から真っ直ぐ進むと、各種窓口がある建物に突き当たり、この中にロッカーの鍵を借りる受付や屋内プール入場口があります。ロッカー(キャビン)については他のハンガリーの温泉プール同様、所定の料金とデポジットを支払ってその引き換えに鍵が渡されます。キャビン代をケチって公園の植え込みの陰で着替えているファミリーを散見しましたが、大した金額ではないのでキャビンを借りてしまったほうが何かと便利です。

 
左:公園内部の様子。この道をまっすぐ進みます
右:屋内プールやロッカー・キャビンなどがある建物

 
左:キャビン(更衣個室)が並ぶ一室。綺麗で使いやすい個室でした
右:キャビン室の一角には、マッサージルームが。足を揉むサインが表示されているので、カーテンの向こうでは足裏マッサージが施術されるのでしょう。


建物内にある屋内プール用ゲートに入場テープのバーコードを読み取らせて内部へ。中はちょっと薄暗くてどこをどう行ったらよいか判りにくいのですが、図示された案内表示に従ってどんどん進んでいくと、お目当ての屋内温泉プールにたどり着きました。角の取れた大きな長方形のプールには、療養目的の温泉であるために老人ばかりが沢山入浴中。30歳代前半の東洋人である私は極めて浮いた存在でした。この温泉の用途が療養である証として、浴槽の案内表示には赤十字のマークが描かれています。逆に言えば、赤十字のマークがあるプールは温泉水であるとわかるわけです。

お湯はきれいに白濁しており、硫黄というか油のような匂いがします。栃木県の喜連川温泉に近い匂いです。また、たまご味にほろ苦味と甘みが混じった味が感じられ、硫黄分とカルシウム分の含有がはっきりと知覚できます。ぬるめのお湯なのでのぼせることなく、じっくり長湯ができ、入浴中のご老人もみなさん長湯しています。お湯に浸かっていると、全身にたくさんの気泡が付着するので、きっとこのお湯は新鮮なのでしょう。

屋内プール(内湯)に隣接して屋外プールがあり、ちょっとした階段を介して両方を行き来できるようになっています。屋外は屋内よりも若干ぬるめ、屋内と違って無色澄明なお湯ですが、匂い・味覚ともに屋内浴槽と同じ硫黄らしさが感じられ、気泡もちゃんと付着するので、屋外のお湯は屋内と同じ源泉を用いていながら使用に当たって濾過しているのかもしれません。ずっと浸かっていても体に負担にならない湯温なので、プールではハンガリー名物の温泉チェスを楽しむお客さんもいらっしゃいました。

 
左:屋内温泉プール(1番プール)。白濁した硫黄のお湯です
右:このプールの案内板。この温泉(プール)が療養目的のものであること、深さ、入浴時間、湯温、年齢制限などが図案化されています。

 
左:2番プールの屋外プール。そしてその奥が同じく2番の屋内プール。屋内プールは水深が153cmとかなり深くなっています。
右:1番プールの屋内と屋外のお湯の違い。屋内ははっきり白濁していますが、屋外はきれいに澄んでいます。それでも両者とも硫黄感は感じられました

 
左:1番プールの屋外側で温泉チェスに興じるおじさん達
右:2番プールの案内板(クリックで拡大)。温泉分析表が表示されています


いくつもある園内のプールには1番から7番まで番号が振られており、1番と2番が上述の温泉で、それ以外は普通の水のプールです。3番から7番は、水温や深さがそれぞれ異なり、しっかり泳ぎたい人、ウォーキングしたい人、子供連れなど、目的に合わせて利用できるようになっていました。各プールには案内板が設置され、水温・深さ・年齢制限・諸注意などがわかりやすく図案化されて表示されています(1・2番の温泉については14歳以下は入浴不可のようです)。

 
左:3番プール。普通の水のプールです。水温33~35℃で、深さは112~155cm
右:6番プール。同じく普通の水が張られており、水温28~32℃


湯治客に混じりながらノンビリ湯浴み。白濁した硫黄のお湯を堪能できる、ハンガリー屈指の名湯だと思います。日本の温泉ファンもきっとお湯の良さを納得していただけるものと思います。おすすめです。


所在地:7815 Harkány, Kossuth L. u.7 地図
電話:(72)480-251
ホームページ(英語ページあり)

9:00~18:00(夏季は屋外プールの営業時間が延長されるようです。詳しくはホームページをご覧下さい)
無休
入場料:2250フォリント、
キャビン:800フォリント(+デポジット1000フォリント)
また駐車時に駐車料金も数百フォリント(金額失念)徴収されます(徴収員のお兄さんが自転車で駐車場を巡回しています)。

園内は広いので、ビーチサンダルを持参することをおすすめします。
ドライヤーあり

私の好み:★★★
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ハンガリー ヘーヴィーズ温泉湖

2009年10月28日 | ハンガリー


中央ヨーロッパ最大の湖域面積約600平方キロメートルを誇るバラトン湖は、湖岸に立つとまるで海のように遠くの景色が霞んで見えるほどで、海のない内陸国ハンガリーにとってはまさに海同然であって、夏になると国内は勿論欧州各地から湖水浴をたのしむべく多くの観光客が押し寄せます。このバラトン湖の南岸には観光拠点となっているケストヘイという街があり、そこから北西へ約5キロ行くと、世にも珍しい温泉湖ヘーヴィーズ(Hévíz)にたどり着きます。

湖がまるごと温泉というのは極めて特異なのではないでしょうか。少なくとも日本国内にはそのような存在を聞いたことがなく、視野を世界に広げてみてもニュージーランドに世界最大の温泉湖があるはずで、ヘーヴィーズはそれに次ぐ世界第2位の大きさの温泉湖ということになります。湖の面積は約47500平方メートル、最も深いところでは36m、一日に8600万リットルもの湧出があって1日と数時間で湖のお湯が全て入れ替わるんだそうです。

ブダペストでレンタカーを借り、高速を走って約2時間半でヘーヴィーズに到着。バスターミナル近くの駐車場に車をとめ、そこから歩いて入場ゲートへ。入口までの道には、浮き輪・水着・サンダル・土産物などを売る店や飲食店が犇めき合い、いかにも観光地らしい景色です。バスターミナルのすぐ目の前に入口が。場内は公園のようになっており、木立の間を抜けると、目の前には湖面から湯気が立ち上る不思議な光景が広がります。


動物園か小規模テーマパークを思わせる入口ゲート


入口から森を抜けて温泉湖へと向かいます


更衣用のキャビンやロッカーは何棟かあるようですが、私は入口に近く真っ先に目に入った、湖面に向かって左側の棟を選びました。ハンガリーの他の温泉と同様、ロッカーの受付で料金を支払って鍵をもらい、それぞれの更衣スペースへと向かいます。この湖では単に水着に着替えるだけでなく、浮き輪も用意しましょう。なにしろ深くて足がつくところはないので、皆さん浮き輪でプカプカ浮かんでいます。ロッカーの受付近くで借りられます。私が借りたのは浮き輪というより、タイヤのチューブそのものでした。

ロッカー受付近くには、外気温と湖水温度が表示されていました。私の訪問時は生憎の雨で、夏だというのに気温は17℃とかなり肌寒く、また湖水温度も32℃とかなりぬるめで、いくら温泉とはいえ湖水浴には不向きな天気。このためお客さんも少なめです。それでも恐る恐る足を湖水に入れてみたら、震え上がるような冷たさは無く、湯気が立っているだけあって意外とぬくぬくしています。浮き輪につかまって湖の真ん中へ泳ぎ、そこで浮き輪に体をすっぽり嵌めてのんびり浮かびました。いやはや、気持ち良い。これは温泉ファンなら一度来るべきところです。
湖面には睡蓮の花が咲いており、睡蓮の花と浮き輪の入浴客が混在するという、とても面白い光景が見られます。睡蓮を目の前にして温泉に入るというのも、滅多にできない体験。自然と一体になったかのようで、心身ともに癒されます。湖水は青緑色に濁り、微かに硫黄のような匂いが漂ってきます。何もせずただ浮かんでいると、少しずつですが一定の方向へ流されます。湖にはゆるやかな流れがあるようです。自然って本当に面白いもんですね。


外気温と湖水温度が表示されています。夏だというのに20℃を下回る肌寒さ


湯気が立ち上る湖面には睡蓮の花が咲き、その間にプカプカ浮かぶ入浴客が。
なんとも不思議な光景


湖の中央には赤い尖塔屋根の建物があり、岸から桟橋のような通路によってつながっています。外気温が低いためか、建物内部ではデッキチェアーに身を横たえている方が多く見られました。この建物は高床式で浮島のような感じで建てられていて、ちょうど内湯のような形で建物内部でも湖水浴が楽しめ、またこの建物の中央に温泉の源泉があるために内湯の水温が高く、魚の養殖場の生簀みたいに四角く囲まれたこの内湯では、温かさを求めるお年寄りがこぞってプカプカ浮いていました。
この「生簀」での会話に耳を傾けていると、客層はハンガリー人の他、ドイツ語圏の老人が多いようです。確かに、ロッカーや浮き輪を借りたときには英語がまったく通じず、かたことのドイツ語とジェスチャーでコミュニケーションをとりました。

森に囲まれた静かな温泉湖で、ぬるめのお湯に浮かびながら自然と一体化して癒しを得るという、日本では決して味わえない大陸ならでは楽しみ。ブダペストから距離が離れているのでおいそれと行くことはできないかと思いますが、近くを観光する際には是非寄っていただきたいところです。これで天気がよければ猶よかったのですが…。それでも私は2時間は浮いていたはずです。それほど気持ちよいところです。


湖の中央に浮島のように立つ建物。内部には生簀のような「内湯」があります


湖畔にも温水プールがあります


ブダペストから高速道路M7号線・国道76号及び71号経由で約2時間半。
鉄道利用の場合、ケストヘイ駅からバスで約15分
(※ハンガリーに限らず欧州の自動車は9割方がマニュアル車ですので、レンタカーを借りるときは要注意です。ヨーロッパカーなどレンタカー会社によっては通常の倍近い料金を払えばオートマ車を用意してくれる場合もありますので、レンタカー会社にお問い合わせください)

所在地:H-8380 Hévíz, Dr. Schulhof Vilmos sétány 1 地図
電話:(83)501-708
ホームページ

入場料2100フォリント(3時間以内)
キャビン使用料1200フォリント(更にデポジット1000フォリント)
浮き輪レンタル料500フォリント(更にデポジット1000フォリント)
(いずれも2009年7月現在)
ドライヤーあり

私の好み:★★★
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ハンガリー エゲル エゲル温泉 (そして、美女の谷)

2009年10月27日 | ハンガリー

①エゲル温泉

前回のエゲルサロークからエゲルの街に戻ります。バスターミナルから東の方角へ歩き出し、セーチェニ・イシュトヴァーン通りを横切り、街の中心部であるドボー・イシュトヴァーン広場に出ると、目の前の丘には13世紀に建てられたエゲル城が聳え、また広場に面して18世紀中頃に建立されたバロック様式の聖フランシスコ派修道院がたっています。広場の東端にはエゲル川が流れていますので、この流れに沿って南下してゆくと、やがて緑豊かな広い公園へと導かれます。


美しいエゲルの街並み。右画像の丘の上がエゲル城


エゲル市民憩いの場であるこの公園の北端には、こんこんと鉱泉が湧き出る泉があって、おいしい水を求める市民が列を成して汲みに来ています。そして公園の中央に、これまた市民に大人気のエゲル温泉があります。温泉とはいえ、ハンガリーの他の温泉のようにプールが併設されており、いや寧ろプールが主で温泉が副であるような位置づけで、構内からは大勢の人の歓声が聞こえてきます。

 
鉱泉が湧き出る泉。ひっきりなしに人々が汲みにやってきます


温泉の入口


入口は何箇所か設けられており、上述の鉱泉の湧出所付近にもあるのですが、私は公園内部にある川に面した入口を選びました。窓口で料金を支払うとバーコードが印刷されたテープが手渡され、これを腕に巻きバーコードをゲートの読取機にかざすことによって入退場を管理しています。ゲートを通過するとロッカーの受付があり、ここでデポジットの支払いと引き換えにロッカーの鍵が渡されます。ロッカーは東京のカプセルホテルにあるような小さく狭いもので、あまり使い勝手は良くありません。

ロッカールームから外へ出ると、天気が良く暑い日だっただけあり、小さな子供たちがあちらこちらで大はしゃぎ、また老若男女を問わず皆さん寝転んで日光浴の真っ最中、平日なのにものすごい混雑です。ロッカールームを出て右手が普通のプール、左手が温泉プール群となっており、この他に別料金制のプールもありました(この別料金制については仕組みがよくわからなかったのでパスしました)。普通のプールは若年層が多いのに対し、温泉槽は比較的お年を召した方が多かったような気がします。

無色透明のお湯は、エゲルサロークのお湯に似た硫黄の香りがします。お風呂の近くには外気温と温泉槽の湯温を示すマグサイン型の温度計が立てられており、訪問時の外気温は23℃、湯温は37℃でした。表示よりもちょっとぬるいかなと感じた私は湯口付近へ行こうとしましたが、温度の高い湯口付近は常連と思しきお年寄りががっちり陣取っていてなかなか入り込む余地がありません。それでも粘ってなんとかスペースを確保、真っ青な空の下で硫黄のお湯を楽しむことができました。なおシャワーのお湯も温泉水で、しっかり硫黄の香りが漂ってきました。
本当はゆっくりしたかったのですが、温泉にあまり面白みを感じることができず、なにしろ混雑している上に子供がうるさくて、のんびり湯浴みできるような状況ではなかったので、不本意ながら早々にこの温泉から退却。温泉の他にエゲルで行きたかったところへ向かうことにしました。

 
左:日本の事務所の更衣室のような、小さめのロッカー
右:プール

 
左:温泉槽
右:湯口


トルコ式温泉のようですが、週末のみの営業のようです。それどころか内部は工事中でした。

 
左:時計を兼ねた温度計(外気温・温泉温度)
右:硫黄の温泉が出るシャワー

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②美女の谷

街の南西にはワイン畑の丘に囲まれた小さな谷があります。人呼んで「美女の谷(Szépasszony-völgy)」。エゲルはハンガリー有数のワインの産地であり、谷の崖や傾斜に掘られた穴蔵のようなワイン蔵で、上質なワインを安い金額で試飲ができるのです。

温泉のある公園から西へ30分弱、辻々に立つ道標に従いトコトコと歩くと、やがて防空壕のように谷(というか緩やかな窪地)の斜面に穴蔵が穿たれた場所にたどり着きます。穴蔵といっても、ただ洞穴があるのではなく、蔵ひとつひとつが店として表を構え、それぞれ趣向を凝らして穴の前に屋根を設けたり装飾を施したりしており、それを眺めるだけでも各ワインセラーの個性が楽しめて面白く、またそれゆえにどこに入ろうか迷ってしまいます。

蔵は全部で70近くあるそうで、さすがに全部を巡るのは無理。谷の入口に近いほうの穴蔵は廃業したものが多いようで、どこも暗く扉を閉ざしていますが、奥に進んで自動車用ゲートのある辺りやその奥の道路がロータリー状になっているところはどこも扉を開けており、集客目的の看板を立てたり試飲用のテーブルを出したり入口に花を飾ったりと、とてもウェルカムな雰囲気。店先のテーブルではファミリーがワイングラス片手に歓談しています。

数ある蔵のうち、私はロータリーの入口に近い店に入りました。中はまさに穴倉といった感じで、奥行き10メートルほどの内部にテーブルと椅子が置かれ、その奥にカウンターが設けられていました。大きなグラスで甘めのものを注文。香りがよくフルーティーでとても美味しく、下戸な私もあっというまに飲み干してしまいました。リットル単位で量り売りもしているので、お土産にしてもいいかもしれません。
 

街の中心部から美女の谷へは、このように随所に道標が立っています

 
美女の谷へ近づくにつれ、このような景色が視界に入ってきます。丘の向こうにはブドウ畑が。

 
穴蔵ワインセラー群。看板を出して集客する店もあれば、おばちゃんが店先に出て刺繍をしている店もあり、なんだかとっても長閑です。

 
左:街と美女の谷を連絡するSL型の観光トロッコ自動車
右:なみなみと注がれたワイン。おいしかった!

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・エゲル温泉
エゲル駅から徒歩15分程
所在地:3300 Eger, 2 Petőfi Square 地図
電話:(36)314-142
ホームページ(英語表示)

私の好み:★

・美女の谷
エゲル駅から徒歩20分、街の中心部から徒歩30~40分
地図

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