温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塔ノ沢温泉 環翠楼別館

2022年08月27日 | 神奈川県

(2021年11月訪問)
日頃の仕事に追われ、週末もろくに休息時間が確保できない日々が続いているのですが、日帰りならば何とか時間がとれそうなタイミングを見つけたので、11月の土曜日、小田急ロマンスカーに乗って箱根へ向かい、箱根湯本からてくてく散歩しながら塔ノ沢温泉「環翠楼別館」を訪ねました。今回は事前に公式サイトで日帰りランチプランを予約した上での訪問です。
見るからに立派なこの建物は大正時代に建てられた木造3階建の鉄板葺で、登録有形文化財に指定されています。文化財の指定を受けるような立派な造りの建物にお邪魔するときには気分が高揚しますね。


入浴の前にランチをいただきます。案内された席は1階ラウンジの窓側。この窓ガラスは建築当時のままなんだとか。100年近く使われ続けたガラスの窓から外を眺めると、何度も通っているはずの国道1号線の往来ですら、風情ある絵葉書のように見えてくるのが実に不思議です。


ラウンジの一角には自由に利用できるドリンクコーナーが設けられています。この「環翠楼別館」は歴史ある建物の風格を大切に残しつつ、随所を綺麗にリニューアルしており、居住性や利便性に関しては古さを感じさせないどころか、寧ろ新しさを覚えるほどです。


まずはワインで乾杯。


歴史の風格漂うこの建物でいただくお食事は、意外にもイタリアンです。
目の前に提供された前菜3種は、海鮮サラダ、パンチェッタとほうれん草のキッシュ、そして野菜とコンソメゼリーのテリーヌ。


お食事のコースは、パスタセット、魚料理セット、肉料理セットから選択でき、今回は予約時に肉料理セットを申し込みました。前菜を食した後に出されたメインの肉料理はアンガス牛ステーキ。実に美味。美味しさのあまり、あっという間に平らげてしまいました。もう少し落ち着いて食べればよいものを、ついつい焦って頬張ってしまい、あまりに品が無くて情けないのですが、出自は誤魔化せないので仕方ありません。

さてお腹を満たした後は、塔ノ沢の温泉に入りましょう。
受付でレンタルのタオルを受け取り、屋外にあるお風呂へと向かいます。


お風呂へ出る勝手口のようなところには、かわいらしいウサギが飼われていました。


屋外履きに履き替え、一旦屋外に出てお風呂へ。
おそらく日帰り入浴のみは受け付けていないかと思いますが、ランチプランを利用することにより、お風呂の利用が可能になるようです。この別館のお風呂は男女別に分かれており、男女の浴場は固定されています。男湯は国道側の「藤の湯」、女湯は南側の山斜面に面した「楡の湯」です。ここからは「藤の湯」についてご紹介します。


別館のお風呂は「藤の湯」「楡の湯」ともに露天風呂で、更衣ゾーンから既に露天状態です。
別館で宿泊する場合は本館のお風呂で体を洗い、内湯でしっかり温まり、そうした上で別館のこれらの露天風呂へ入ることになるのでしょう。そのようなコンセプトのためか、この別館の露天風呂には洗い場がありません。桶でお湯を汲んで掛け湯するなど、工夫して体を綺麗にしてから湯船へと向かうことになります。なお今回我々は別館のお風呂のみの利用ですので、本館のお風呂については利用しておりません。


長方形の露天風呂は、周囲を塀で囲まれているため、景色を眺めることはできませんが、何しろ目と鼻の先は往来が激しい国道1号線ですから、下手に視界を開かせるわけにはいきません。秋に訪ねたので推測するほかないのですが、浴槽手前の頭上にかかっているパーゴラが藤棚のようなイメージなのでしょうか。なお訪問時は特に藤らしき植物は見られませんでした。とはいえ、立派な木立に囲まれ、山の風も入り込み、設えのセンスの良さも相俟って、意外にも静かで落ち着いた雰囲気です。


最も奥にあるこの石塔のようなものは、てっきり湯口かと思いきや、実際にはただの飾りのようで・・・


湯船のお湯は、浴槽内にある複数の吐出孔から供給されていました。お湯は無色透明無味無臭で、癖のないあっさりとした優しいお湯です。この浴舎を含め別館には温泉分析表や湯使いに関する掲示が無かったので、スタッフの方に伺ったところ、湯使いはかけ流しとのことです。分析表に関しては公式サイトに掲載されていたので、スマホでそちらを確認することにしました。
この時は他にお客さんがいらっしゃらなかったので、思いっきり手足を伸ばし、思う存分ゆったりと湯あみさせていただきました。


同行してくれたパートナーに声を掛け、他に誰もいないことを確認した上で、もう一つの露天風呂「楡の湯」をちょっと拝見させてもらいました。「藤の湯」とは趣きや設えが全く異なる開放的な岩風呂で、箱根の山の緑に抱かれつつ、正面に落ちる滝を眺めらながら湯あみすることができ、「藤の湯」も大変居心地よいお風呂なのですが、正直なところ個人的にこちらの方がはるかに環境が優れているのではないかと思った次第です。こんな素敵なお風呂に入れる女性が羨ましいなぁ。

何はともあれ、歴史ある建物で美味しいお食事に舌鼓を打ち、落ち着いた露天風呂で心身を癒して、日帰りながらすっかり寛ぐことができました。


帰路は箱根湯本からロマンスカーGSEで新宿へ。


塔之沢温泉(湯本第37・50・110号混合)
アルカリ性単純温泉 48.2℃ pH8.9 蒸発残留物0.505g/kg 成分総計0.527g/kg
Na+:144mg, Ca++:22.8mg,
Cl-:126mg, SO4--:131mg, OH-:0.14ng, HCO3-:30.5mg, CO3--:1.85mg,
H2SiO3:51.5mg,
(平成16年12月13日)

神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤88 
0460-85-5677
ホームページ

私の好み:★★★
コメント (2)
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坂井温泉 湯本館

2022年08月21日 | 愛知県

(2021年11月訪問)
窯業の街、常滑市へとやってまいりました。南北に長い常滑市の海岸沿いを南に向かって進んでゆくと、長閑な海水浴場である坂井海岸に行き着きますが、この坂井の砂浜に面して建っているのが今回訪ねる坂井温泉「湯本館」です。


目の前には伊勢湾の砂浜が広がっており、実に気持ちが良いロケーションです。以前この砂浜では潮干狩りができたそうですが、資源激減のため近年は禁止されているんだとか。私が訪ねた11月下旬は、砂浜でハンググライダーや波乗りなど潮風を受けて楽しむ方がいらっしゃいました。また沖にはセントレアが浮かび、飛行機が頻りに離発着していました。


辺りは静かで鄙びきっており、あたかも世間から忘れられたような寂しい海岸の観光地。「湯本館」はどうやら一軒宿のようなのですが、当地には他に宿があるのでしょうか。なお現在の建物は鉄筋コンクリの5階建てなのですが、その右隣には老朽化が進んで使われなくなった旧館が残っています。


さて今回は日帰り入浴で訪問しました。フロントで声を掛けますと、奥から杖をついたお爺様が現れて少々不安を覚えたのですが、すぐに若い男性が出てきて、明るく親切に対応してくださいました。なおフロントがある1階のロビーはかなり家庭的な雰囲気なので、正直なところ好き嫌いが分かれるかもしれません。浴場は最上階の5階にありますので、エレベータで上がります。


エレベーターを降り、廊下を歩いてステップを数段上がると浴場です。中央の休憩スペースを挟んで手前が男湯、奥が女湯というような配置になっており、休憩スペースにはロッカーが用意されています。この休憩スペースには漫画本のほか昭和の家庭的な布の被せられたソファーが置かれていて、その独特な雰囲気や昭和的な感覚に少々戸惑ってしまいましたが、好きな方にはたまらない環境なのでしょうね。
なお脱衣室はそこそこ広く、棚にはロッカーらしきものが付いているのですが、どうやら鍵が使えないようで、それゆえ上述の休憩スペースに置かれているロッカーを使うことになるのでしょう。


タイルを多用した浴場は明るくて広く、非日常を期待する旅館のお風呂に相応しい造りです。非日常といえば、上画像の手前側に移っている主浴槽で、信楽焼のタヌキがお風呂に入っていますね。これだけでも十分非日常なのかもしれません。なおお風呂は内湯のみで露天はありません。


さすがに海浜沿いの5階という位置だけあって、お風呂からの眺めは素晴らしく、湯あみしながら真っ碧な伊勢湾を眺めていると飽きることなく、時間を忘れてしまいそうになります。


洗い場は左右に分かれており、それぞれシャワー付き混合水栓が3つずつ。
吐出圧力は良好なのですが、前回記事で取り上げた半田市「ごんぎつねの湯」と同じく、水道水から泥臭さが感じられるのです。やはり知多半島エリアにおける上水道の水源が長良川河口堰になったことによるものなのでしょう。嗅覚は慣れてしまうと気づかなくなるため、ご当地で生活なさっている方は当たり前になってしまっているのかもしれませんが、私のような他所者には気になって仕方がなく、ご当地の方に何かしらの意健康被害は及んでいないのだろうか、なんて余計な心配を抱いてしまいました。


閑話休題、信楽焼のタヌキが入浴している主浴槽は非鉱泉の白湯(真湯)。5~6人は入れそうな大きさを擁していますが、私の目的である鉱泉ではないため、当記事での説明は省きます。


浴場内には小さな部屋みたいにパーテーションで区切られている一角があり、そこに冷鉱泉を沸かした浴槽が設けられています。3人サイズほどの湯船ですが、ここに入ることが今回の目的です。


大きく口を開けた古代ローマ調の不思議な石像からお湯が吐出されていますが、湯使いは完全循環仕様でオーバーフローは一切見られません。真っ赤なお湯はビジュアル的にインパクトが強く、信州の浅間温泉天狗山荘を髣髴とさせますが、その印象的な見た目とは裏腹に、味・匂い・浴感ともにこれといった特徴が感じられず拍子抜けしてしまいました。鉄分と食塩を多く含み、しかも溶存物質が8317.4mgもありますので、源泉では相当濃くてインパクトのある味や匂いがあるはずなのですが、入浴へ供する段階で相当薄められているのではないかと思われます。赤錆のような味や塩辛さはほとんど感じられませんでした。
冷鉱泉にはよくあることですが、湧出量が少ないと、限られた資源を有効活用するために薄めた上で循環させるので、結果的に源泉湧出時の特徴が霧消してしまうのでしょうね。致し方ないことかと思います。
とはいえ、温泉とは縁が無さそうな場所でこのようなビジュアル的に特徴のある鉱泉に入浴できること自体が貴重ですし、また日帰り入浴の門戸を開けてくださっていることも有難いので、一浴の価値はあるかと思います。


坂井温泉2号泉
含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物冷鉱泉 18.9℃ 溶存物質8317.4mg/kg 成分総計8618.1mg/kg
Na+:1766mg(52.35mval%), NH4+:9.2mg, Mg++:325.2mg(18.23mval%), Ca++:718.4mg(24.43mval%), Fe++:165.9mg(4.05mval%),
Cl-:4839mg(93.85mval%), Br-:17.0mg, SO4--:373.0mg, HCO3-:59.0mg,
H2SiO3:11.9mg, CO2:300.7mg,
(平成28年12月1日)
加水消毒なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環濾過あり(温泉資源の保護のため)

愛知県常滑市坂井西側1
0569-37-0006
ホームページ

日帰り入浴 平日16:00~20:00、土日祝11:00~20:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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半田市 ごんぎつねの湯

2022年08月13日 | 愛知県

(2021年10月訪問)
今回と次回は愛知県知多半島の温泉を取り上げます。醸造業と新美南吉の街である愛知県半田市には、アツアツの温泉がかけ流されている温泉施設があるので、2021年秋の某日に行ってみることにしました。半田中央インターの目の前という好立地にあり、駐車場も広く収容台数も多いので、車社会のご当地では至極便利な施設と言えるでしょう。とはいえ付近に鉄道の駅は無く、バス停からもやや離れているので、公共交通機関で旅をしている方にはちょっとアクセスにしくいかもしれません。


名古屋界隈の温泉施設といえば大規模なスーパー銭湯を連想しますが、こちらの施設は入浴に特化しており(※)、それゆえ建物はさほど大きいわけではなく、全体的に日本旅館のようなの雰囲気を大切にしているようで、上画像の玄関廻りもこぢんまりした旅館にお邪魔しているかのような感じでした。
この玄関を入るといきなり右側が下足場で左側が受付というレイアウト。靴を下足箱に預けて鍵を掛け(100円リターン式)、上り框を上がったところに設置されており券売機で料金を支払って、券と鍵の両方を受付へ差し出すと、引き換えに脱衣室のロッカーキーを手渡してくださいます。受付から右へ進むと女湯、左へ向かうと男湯です。
(※)入浴に特化していたのは私の訪問時の話で、今年4月には食堂が開業したそうですから、入浴のほか食事も楽しめるようになりました。

なお受付があるスペースの奥には飲料自販機とマッサージチェア、そして細かな段を流れ落ちる滝を眺める休憩スペースがありますが、いずれも狭いので、大人数で集うことはできません。私は利用していませんが、左側の渡り廊下を進んだ先に休憩室があるようですから、お風呂上がりのひと休みはそちらを利用した方が良いでしょう。

脱衣室はそれほど広くないものの、ロッカーの数はそこそこ多く、また室内にある階段を上がった2階にも更衣室があるらしいので、混雑時にもあまり窮屈な思いをしないで済みそうです。明るくきれいで、エアコンも設置されていて、使い勝手はまずまずです。


入浴ゾーンに足を踏み入れると、これまた和の雰囲気たっぷりで、上屋は木造、床は石材という落ち着いた造りです。
入ってすぐ右側に小さなかけ湯があり、その並びに立って使うシャワーが2つ、それぞれ独立したブースになって設けられています。また反対側(左側)にはサウナと水風呂が並んでいるのですが、水風呂は1人か2人しか入れない小さなものなので、夏には後述する内湯浴槽がまるごと水風呂に変身することもあるようです。
上述の立って使うシャワーの裏手へぐるっと回ると洗い場があり、シャワー付き混合水栓が10基設置されています。シャワーの水圧が強めで気持ち良いのですが、水道の水がなんとなく泥臭い感じがしたのは気のせいでしょうか。あるいはこのエリアの水道水源が明治用水から長良川河口堰に切り替わった影響なのでしょうか。後者が原因だとしたらご当地の皆さんが気の毒でなりません。私が暮らす東京の水道水だって褒められたもんじゃありませんが、東京よりはるかに宜しくない知覚的違和感を感じたのでした。

建物の窓際にある内湯は石板張りの長方形で、10人以上入れそうな大きさを有していますが、温泉ではなく普通の白湯です。どうやらこの施設の内湯に温泉は無いんですね。

内湯に温泉がない代わり、露天ゾーンには複数の温泉浴槽が用意されています。まず左手に温泉の歩行湯があり、底には足裏を刺激する石が埋め込まれていて、実際にその足湯へ入って歩いてみたところ、歩みを進める度に足裏のいろんなツボが刺激され、その痛気持ち良さにはまってしまい、思わず出かかってしまう唸り声を懸命に押し殺しつつ、3周ほどグルグル足湯を歩き回ってしまいました。

内湯の建物のまわりに沿ってぐるっと右手奥に進むと、温泉のお湯が落とされている2本の打たせ湯(温泉)が設けられ、露天ゾーンの中央には主浴槽がお湯を湛えています。この大きな主浴槽はごく普通に全身浴するところが大部分ですが、一角には打たせ湯へ向かう橋(通路)がかかっていて、その通路の内湯側主浴槽は寝湯になっています。また主浴槽の右奥は洞窟湯になっていて、この洞窟湯の山側の石積みの壁から新鮮源泉の熱い温泉が注がれています。なお主浴槽の湯口からはふんだんにお湯が出ているのですが、これは循環のお湯でしょう。


主浴槽とは区切られたちょっと小高くなっているところへ、上の方から50℃以上の源泉が滝のように落とされています。この直下の滝つぼは2~3人入れる大きさがあり、完全かけ流しのお湯を堪能することができるのです。
温泉の滝は焼けただれたような色をしており、うろこ状の析出も表れています。私が滝つぼで入浴している時にちょうど見回りのスタッフの方が滝つぼの湯温を計測しに来たので、何度だったか聞いてみますと、曰く46℃とのこと。道理で熱いはずだわ。とにかくこの滝つぼのお湯は熱いので、熱湯に耐性があるお客さんしか入れませんが、でも私が出るのを見計らって入りに行くお客さんもいらっしゃいましたから、意外と熱いお湯を好む方が一定数いるようです。なお滝つぼのお湯は全て主浴槽へオーバーフローしています。先ほど主浴槽の湯口は循環のお湯だと申し上げましたが、洞窟部分から新鮮源泉が注がれているほか、この滝からの全量オーバーフローも受けているため、主浴槽のお湯は循環メインながらも意外と新鮮源泉投入率が高いのかもしれません。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明ながら僅かに潮汁のような濁りを呈しており、浮遊物もちらほら見受けられます。非常にしょっぱく出汁味もあり、まるで濃縮液体白だしの原液を口にしているかのようです。湯の滝やその周辺が赤い割に金気味はそれほど感じられず、その一方でカーボン的な匂いというかアブラ臭のような匂いが感じられました。湯中ではツルスベの滑らかな浴感がしっかりしていて、とっても気持ち良いのですが、塩分が濃いために、さかむけや傷口などがかなり沁みます。
塩辛いお湯なので力強く温まりすぐ逆上せてしまいます。つまり湯あたりしやすいお湯です。私も温泉の滝つぼに入っているとすぐに全身が真っ赤になり、辛抱して入り続けていたら、軽くフラフラしてしまいました。でもこの熱い滝つぼに入りたいオジさんたちが、近くのべンチに座りながらじっと様子を伺い、滝つぼが空くのを今か今か待っているのです。熱いので回転は早く、おじさんたちの順番はすぐに回ってくるのですが、世の中には熱いお風呂が好きなマゾヒスティックな同士が多いことに驚かされました。「ごんぎつね」ゆかりの地ですから、湯の滝の左側には石のきつねが飾られているのですが、そのキツネがいささか軽蔑の眼を我々に向けていたように見えたのは、単なる被害妄想でしょうか。
それはともかく、火山に縁もゆかりもない知多半島の中央部で、非加温なのに50℃以上の温泉が湧くとは実に意外ですね。わざわざ訪問する甲斐がある温泉でした。


ナトリウム-塩化物強塩温泉 59.2℃ 溶存物質26.33g/kg 成分総計26.39g/kg
Na+:9530mg(98.26mval%), NH4+:16.0mg, Mg++:46.6mg,
Cl-:13800mg(91.20mval%), Br-:28.2mg, I-:1.5mg, HCO3-:2230mg(8.57mval%), CO3--:5.5mg,
H2SiO3:45.9mg, HBO2:517.0mg, CO2:56.2mg,
(平成28年3月8日)
循環あり(掛け流し浴槽を除く)
加温する場合あり(入浴に適した温度にするため加温することがある)
循環あり(気温の高い期間のみ入浴に適した温度にするため循環)
消毒あり
加水なし

愛知県半田市平和町5-73-2
0569-27-8878
ホームページ

10:00~22:00(受付21:00まで) 月曜定休(祝日の場合は火曜休業)
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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磐梯山中腹 中の湯跡

2022年08月08日 | 福島県

(2021年10月訪問)
2022年夏の猛暑もなかなか手強いですね。暑さに負けて体力も気力もそろそろ限界を迎えそうなので、昨年晩秋の旅の記録を見ながら、視覚だけでも一服の涼を得てみようかと思います。昨年(2021年)の晩秋に私は会津の名峰磐梯山を登山しました。
磐梯山の山頂へ向かうコースは複数のありますが、今回選択したのは最もメジャーな八方台往復コースです。まずは車で八方台へ向かい、駐車場に車をとめて、登山口へと向かいます。早朝から多くの登山者が集まっており、人気の程が窺えます。


10月下旬といえば既に紅葉は終盤を迎えており、中腹ではそこそこ楽しめたものの、頂上へ近づくにつれて足元に白い雪がみられるようになり、やがてすっかり雪山になってしまいました。とはいえ、凍っているわけではないので、しっかり歩みを進めれば滑ることもなく、問題なく登れました。


雪山を順調に登って、磐梯山の頂上へ到達しました。


磐梯山の頂上といえば、360度全視界を楽しめる大パノラマが有名ですが、この時はあいにくの曇り空で、なかなか眺望がきかず、風がひたすら冷たいばかりで、頂上まで登り詰めたご褒美が得にくかったのですが、雲の流れが早かったため、一時的に開けた視界から、猪苗代湖や那須方面の山々を一望することができました。


頂上にて福島県民のソウルドリンク「酪王カフェオレ」を一気飲み。美味い!


下山時、途中の弘法清水茶屋に立ち寄り・・・


暖を取るべくコーヒーを注文しました。素晴らしいことに豆を選べ、しかもその場でドリップしてくれるのです。なんて贅沢なんでしょう。山の上とは思えません。


裏磐梯方面を眺めながら、おいしいコーヒーでほっと一息。


上述のように既に紅葉のシーズンは過ぎていましたが、山腹にはナナカマドの群生が広がり・・・


小さな赤い実が無数に実ってあたりを赤く染めていました。これは圧巻です。


さて、今回の記事の本題です。
下山時に立ち寄りたかったのが、上画像の場所です。温泉マニアの方なら言わずもがなですが・・・


かつてここには中の湯という温泉があり、90年代まで旅館も営業していましたが、既に廃業しており、いまでも旅館の廃墟が残っています。


硫黄を含む鉱泉はいまでも湧出しつづけており、あたりには青白く濁った小さな池が点在しています。また小さな噴気孔からはシューシューと音を立てて火山性ガスが噴き出ています。


硫化して黒く変色した祠の下では・・・


硫黄泉が泡を立てながらボコボコと湧出しています。
湧出孔で湧いたばかりのお湯はしっかり熱いのですが、量が少なく、また外気温が非常に低いので、青白い池の水はごくごく普通の池の同じように冷たく、とてもじゃありませんが野湯できるような状況ではありませんでした。硫黄泉は冷たいし、最もメジャーな登山道の路傍にあって公衆の視線も気になるので、私はここでの入浴を諦め、手だけ湯に浸してこの場から去ったのでした。

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