温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ワタシ的2017年の温泉十傑

2017年12月31日 | その他
拙ブログにおける毎年最後の恒例行事。私が今年巡った温泉ベスト10を選定し、以て一年を締め括らさせていただきます。例年通り、ベスト10とはいえランキングではなく、順不同で思い付くままに列挙させていただきます。


●ウォームスプリングス温泉(来年掲載予定)

アメリカ・ネバダ州。温泉施設の廃墟に未だに残る温泉プール。ワイルドな環境やお湯の良さもさることながら、ご覧のように真っ青なお湯が幻想的でした。こんな真っ青なお湯は、温泉天国の日本でもなかなかお目にかかれません。


●スミスクリークバレー温泉(12月17日掲載。記事はこちら

アメリカ・ネバダ州。現地へたどり着くまで少々手こずりましたが、苦労して云った甲斐がありました。息をのむほど開放感で美しくワイルドな環境の中、ポツンと置かれたバスタブにかけ流しの温泉が注がれていました。言葉を失うほど素晴らしい野趣あふれる野天風呂でした。


●リースリバーバレー温泉(12月15日掲載。記事はこちら

アメリカ・ネバダ州。放棄された放牧地の真ん中に突如として出現するトラバーチンの丘から熱い温泉が自噴しており、そこから家畜用の大きなバケツにお湯を注いで簡易的な野天風呂にしています。果てしなく広がる大地を眺めながらの湯あみは最高でした。


●ベントン温泉(11月15日および17日掲載。記事は前編後編

カリフォルニア州東部の歴史ある町ベントン。非常に小さな田舎町ですが、ここには温泉が湧いており、B&Bのお宿に泊まると一晩中入ることができます。整備された露天風呂は綺麗で入りやすいばかりか、夜に湯あみすると、頭上には満点の星空が広がり、その壮大な美しさに感動すること間違いありません。お宿の方も優しい方ばかり。ぜひともおすすめしたい宿でした。


●クラブクッカー温泉(11月5日掲載。記事はこちら

カリフォルニア州東部のマンモスレイク付近にはロングバレーというカルデラがあり、その内部ではあちこちで温泉が湧いています。私も複数の温泉に入りましたが、その中でもクラブクッカー温泉は、温度、大きさ、そして景色の三拍子が揃う非常に印象的な野天風呂でした。


●台東紅葉温泉の野湯(7月22日および24日掲載)

(松楓橋付近の野湯。記事はこちら


(紅葉橋付近の野湯。記事はこちら
台湾・台東の紅葉地区には、かつて温泉施設があったのですが、数年前に水害に遭って崩壊してしまいました。しかし温泉自体は生き残っており、川原で温泉が自噴しています。源泉は大きく分けて「松楓橋」付近と「紅葉橋」付近の2箇所。前者では人工的に掘り下げたと思しき大きな窪みに白濁した温泉がたまっています。後者は川原の礫の下から自噴する温泉が小さな湯たまりを作っており、こちらは透明ながら金気を含むお湯が湧いています。それぞれ気軽に野湯を楽しめる素晴らしいスポットでした。


●馬陵温泉(4月8日および9日掲載。記事は前編後編

台湾・台中の谷関温泉から川原をひたすら徒歩で遡るとたどり着くことができる野湯。川の水位が高くなる夏には川水に呑まれて消えちゃうため、渇水期のみ楽しむことができます。ここは苦労して歩いていった甲斐がありました。極上の野湯でした。


●富戸温泉(12月7日掲載。記事はこちら

東伊豆の温泉の奥深さを実感させられた一湯でした。こちらの温泉は露天風呂が注目されがちですが、私としてはお湯の良さがはっきり伝わってくる内湯をおすすめしたい。一見すると伊豆らしい無色透明の硫酸塩泉と思いきや、ほんのりと硫黄感が伝わってくるという、実に興味深い面白いお湯でした。


●玉梨温泉 せせらぎ荘(7月11日掲載。記事はこちら

リニューアルオープン後に設けられた大黒湯源泉の小さな浴槽は白眉。奥会津らしい天然の炭酸泉をかなり濃い状態で楽しめ、全身があっという間に泡だらけになります。ここはリピート必至!


●湯岐温泉 和泉屋旅館(来年掲載予定)


こちらは宿泊で利用しました。湯岐のぬる湯は最高!!

昨年の年末に予想していたように、今年は湯めぐりのペースが落ち、特に下半期はガクンと激減してしまいました。そんな中でもアメリカや台湾で印象深い温泉に巡りあえたことはラッキーでした。諸般の事情により新年(2018年)は、温泉はおろか旅に出ることすら難しくなりそうですが、時間を見つけて少しでも湯めぐりができたら良いなと思っています。またこれに伴い、ブログをアップするペースも現在よりますます間隔が空いてしまいますが、できる範囲内で更新してゆく所存です。

本年も拙ブログにお付き合いくださり誠にありがとうございました。こうしてブログを長く続けていられるのも、平素よりお付き合いくださっている皆様のおかげです。
皆様、よいお年をお迎えください。
来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
コメント (4)
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アルカライ温泉 Alkali Hot Springs

2017年12月29日 | アメリカ
早いもので本年もあと2日。大晦日にアップする予定の今年最後の記事では、一年を振り返るつもりですので、通常の記事は今回が年内ラストとなります。今回も前回以前から続いているアメリカ・ネバダ州の温泉を取り上げ、今年通常記事の締めくくりとさせていただきます。


 
ナイ郡の郡庁所在地であり、かつて鉱山で栄えた哀愁の街トノパーを抜け、US95号線をラスベガス方面に向かって南下します。


 
トノパーから21マイル南下したところで、"Alkali 7"と記されている標識の角を右折し、西へ走ります。


 
US95号線から7マイルほど行くと、やがて道左側の丘の上に、変電設備の廃墟が見えてきます。これが今回目指す温泉の目印です。


 
電柱や碍子が放置されている丘に登って、西側に広がる平原を見下ろすと、目下に大小複数の池が見えます、


 
丘から道に戻ると、大きな木の下にコンクリでできた池が水を張っていました。池の中では魚が泳いでおり、近所のロバが水を飲んでいました。


そして、その池の傍に、2つの露天バスタブが設けられていました。ここが今回の目的である「アルカライ温泉」(Alkali Hot Springs)です。



二つのバスタブを逆方向から見てみましょう。2つはおおまかな大きさこそ似ていますが、構造や形状は異なっていますね。


 
ひとつは地べたを掘り下げて作られたもので、アメーバ型と称すべき形状をしており、浴槽内はモルタルで固められています。でも入浴するには少々浅く、しかもお湯の投入量が少なくぬるかったため、こちらは見学するだけにとどめました。


  
もうひとつは煉瓦を直径2メートルほど円筒状に積み上げて作られたもの。廻りに柱が立ち、紐が張られているので、日差しがまぶしい時などはこの紐を使って日除けを垂らすことができるかと思います。バスタブの内部はやや深いのですが、ステップが設けられているので、それを足掛かりにすると、安全に入れそうです。いずれのバスタブにも少々緑掛かった黄土色に弱く濁るお湯が張られています。


 
源泉は変電所廃墟の崖下にあり、そこから黒いホースでお湯を引いています。湯口からは48.8℃というちょっぴり熱めの温泉が絶え間なく注がれています。浴槽では少々濁っていましたが、湯口では無色透明であり、弱炭酸味と弱い金気、そして土類感が得られます。泉質は重炭酸土類泉か塩化土類泉のいずれかだと思われます。なお地名かつ温泉名はアルカライ、つまりアルカリですが、この温泉はアルカリ性ではないでしょう。


 

実際に入浴しました。上段右側もしくは2枚目の画像は、私がお湯に浸かっている状態での目線から周囲の景色を撮影したものです。どうですか、雄大な景色を独り占めできちゃうんですよ。湯口では48℃以上あったお湯も、湯船では43.5℃という入浴可能な温度にまで落ち着いているのがありがたいところ。しかも加水なしでこの湯加減ですから、お湯の濃さはそのまんまです。だからとっても気持ち良い! 上述のように重炭酸土類泉か塩化土類泉に属するタイプのお湯ですから、湯中では肌がキシキシと引っかかり、風呂上りには全身に砥の粉を塗ったような粉っぽさが残ります。とても良く温まるお湯であり、湯浴み中も体がかなり火照りました。その一方、この手の泉質のお湯が野湯となっている田代元湯や然別峡野湯群を思い浮かべればわかるように、浴槽内にはどうしても藻や苔が発生しやすく、私が入浴しようと思った時にも湯面にはそうした浮遊物が見られましたので、潔癖症の人にはちょっと受け入れがたいところがあるかもしれません。でも軽く浮遊物を除去だけでもかなり満足いく湯あみが楽しめましたので、ワイルドかつプリミティヴな温泉が好きな方でしたら、間違いなく気に入っていただける一湯だと思います。

雄大な景色の中で入る超開放的な露天風呂。しかも車があれば容易にアクセス可能です。
いつまでも入っていたくなるほど素晴らしい名湯でした。



GPS:37.824693, -117.337665,

野天風呂につきいつでも入浴可能。
無料
備品類なし

私の好み:★★★

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ダイアナズ・パンチボール  Diana's Punch Bowl

2017年12月26日 | アメリカ

まずは、アメリカ・ネバダ州の中央部を捉えたGoogleマップの衛星写真をご覧ください。
おおまかに言えば、左側の青い一帯は太平洋。海沿いにサンフランシスコの街が位置し、そこからシエラネバダ山脈を越えた東側の茶色い陸地がネバダ州です。ネバダ州の中央部では南北方向に山脈がいくつも並んでおり、その山脈に挟まれる形で谷も同じ方向に行く筋も並んでいます。この衛星写真の中央部を拡大してみると・・・



南北に伸びる谷のひとつであるモニターバレーの地面に、巨大な穴がポッカリあいているのです。実に不思議な地形なのですが、この大地にあいた大きな穴の正体は、なんと天然温泉の源泉だというのです。そこで、どんな場所なのか実際に行ってみることにしました。


 
人工物が全くない荒野のモニターバレーを南北に貫く広い未舗装路、ネバダ州道82号線。前回記事で取り上げたモニターバレー温泉(Pott)からこの州道へ戻り、砂埃を上げながら南下してゆきます。


 
左手(州道の東側)の車窓には緑の放牧地が広がるのですが、そんな緑の大地の中に突如としてオフホワイトの小高い丘が現れます。モニターバレー温泉への分岐点から4.8マイル南下すると、周囲の景色の中で明らかに浮いているこの白い丘へ向かう路地が分岐しますので、路地に入って東進します。


 
小高い丘の目の前までやってきました。上述のように周囲は放牧地であるため、牛が丘へ侵入しないよう有刺鉄線のフェンスが張られていますが、一部はゲートになっており、容易に取り外せますので、車をフェンスの前に止め、一旦ゲートの鉄線を外してそこから中へ入り、入ったら再びゲートを閉めておきます。そして歩いて丘を登っていきます。


 
斜面に転がっている石ころなどから推測するに、この白い丘は全体がどうやらトラバーチン、つまり石灰岩の一種で成り立っているようです。なだらかな斜面にはところどころに花が咲き、荒涼とした丘の表面に彩りを添えていました。麓から丘の頂上までの高度は大したことがないのですが、登る途中で辺りの景色を眺めてみますと、放牧地の牛が点に見えるほど高度感があることに気付かされます。


 
丘を登りきると、そのてっぺんには衛星写真で見た巨大な穴が口を開けていました!! そして穴の底には青々としたお湯が溜まっていました。穴を覗きこんで内部をよく見ますと、水面からは白い湯気が上がっているので、かなり熱いお湯であることが窺えます。画像ではその穴の大きさがわかりにくいかと思うので・・・



三脚を立ててカメラに12秒のタイマーを設定し、ダッシュで穴の反対側に回り込んで、自分撮りしてみました。どうですか、大きさをわかっていただけましたか? 12秒でギリギリ反対側へ廻れるほど、かなり大きな穴なのです。
この穴は「ダイアナズ・パンチボール」(Diana's Punch Bowl)と称されています。"punch bowl"を辞書で調べると次の2項目が出てきます。
 1:パンチボウル。半球形の大きなガラス製ボウル
 2:山間のくぼ地
この場合は後者ですね。長年にわたって自噴する温泉により、まるで成層火山のように石灰質が積み重なって大きな丘となり、お湯が湧出し続けるところだけ穴ぼこになって残ってしまったのでしょう。もし日本に同じようなものがあれば間違いなく観光名所になっているはずですが、ここアメリカでは見向きもされないらしく、丘の周りには牛のフンが転がるばかりでした。とはいえものすごい迫力ですよね。


 
改めて穴の中を覗いてみましょう。底深いところに溜まっているお湯は極めて透明度が高いのですが、湯面の縁と岸が接するところは赤茶色く染まっているところから推測すると、おそらく塩化土類泉かそれに類する泉質の温泉ではないかと思われます。また他からお湯が流入できるような環境ではないため、この穴の底から自噴しているのでしょう。できれば穴の下まで行ってみたかったのですが、どこの崖も垂直に落ちているため、素人が下りられるような状況ではなく、仕方なく上から覗き込むだけにとどめました。


 
丘の外側、特に車を止めた場所とは反対側の麓には小川が流れています。これは衛星写真でも確認できます。私はこの小川にちょっとした予感を覚えたので、丘を下って小川へ向かってみました。


 
丘の外側の東麓を流れる小川は、透明度が極めて高いのですが、両岸が淡い橙色に染まっており、巨大な穴の内部の縁と似たような状況になっています。私が覚えた予感とは、この小川を流れる水の温度。温度計で測ってみますと41.1℃という入浴に適した温度でした。予感的中! 両岸にこびりついている淡いオレンジ色の正体は、温泉成分の付着というより温泉藻の繁殖によるものでしょう。小川が深くなっているところを探し当てれば、ここで野湯を楽しめるかもしれない。ということで・・・



入れそうな場所を見つけ・・・


 
入っちゃいました。
ここの温度は44℃ですから、先ほどの場所より3℃も高いのですが、それもそのはず・・・


 
川底からも砂を吹き上げながらお湯が湧いており、それによって温度が上がっているのでした。お湯の供給源は2つ考えられ、一つは丘の底の穴で湧いたものが、地下水のような形で一旦地中に潜った後、改めてこの場所で地表に現れているというケース。もう一つは、この場所で直接湧いているというケース。おそらくこのいずれかでしょう。
湯加減としては良いのですが、川底に沈む大量の湯泥が一気に上がって、たちまちお湯が泥で濁り、しかもズブっとかなりの深さまで体が泥の中に潜ってしまうため、湯中に浸かる私の体もたちまち泥まみれ。あまり気持ち良い湯浴みとはなりませんでした。
とはいえ、大きなトラバーチン丘の真ん中にできた巨大な穴の迫力には圧倒されます。しかも観光地化が全くされていないので、温泉がつくりあげたこの自然の造形美を、ありのままの姿で見学することができるのです。日本語メディアではあまり紹介されていないようですが、もしネバダを旅するときには、訪問地の候補としてご検討なさってはいかがでしょうか。



GPS:39.030227, -116.666527,

野湯につきいつでも入浴可能。穴の内部は危険。
※周囲にはお店が全くありません。ガソリンスタンドは皆無です。携帯の電波も飛んでいません。
食料や水分、そしてガソリンを十分に確保しておくことをおすすめします。

私の好み:★+0.5(穴の迫力と景観は★★★)

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モニターバレー温泉 Monitor Valley Hot Springs (Potts)

2017年12月23日 | アメリカ
前回記事で取り上げたスペンサー温泉から車を南東へ進めます。

ネバダ州の中央部では山脈が南北方向へ複数並んでおり、山脈に挟まれる形でいくつかの谷も南北に細長く伸びています。そんな谷のひとつであるモニターバレーでは、一部エリアで温泉が湧出しているらしいので、どんな温泉に出会えるのか、行ってみることにしました。

 
まずは、スペンサー温泉付近を北西から南東へ貫く道(NF001号)に入り、南東へ向かいます。はじめのうちは乾燥した荒野が果てしなく続くように思われえるのですが、やがて前方になだらかな山が左右に広がり、道はその山へ向かって突入してゆきます。


 
この山はモニターレンジという細長い山地であり、最も高いところでは標高3000メートル以上もあるのですが、この辺りは低いため、車でも容易に越えられます。あたりの針葉樹林はトイヤベ国有林(Toiyabe National Forest)。道が峠にさしかかるところにはキャンプ場が設けられていました。でも私の目的は温泉なので、キャンプ場は通過します。


 
この国有林を貫くNF001号という道はひたすらダートが続き、舗装区間は皆無なのですが、幅が広くて凸凹も少ないので、未舗装路に慣れない方でも比較的運転しやすいかと思います。峠を越え、山の反対側(東側)へ下ってゆくと、道は再び真っ平らになり、見渡す限り荒野が広がる何もない世界の中を真っ直ぐ進むことになります。この何もない世界こそ、モニターバレーなのです。人家はおろか、人工物そのものがほとんどありません。携帯電話も完全に圏外。スマホのGPSが使えず、予め調べておいたGoogle Mapも正確さに欠けている中で、曲がり角に立つ道路標識だけが唯一の頼りです。


 
NF001号はネバダ州道82号にぶつかり、その丁字路で終点となります。丁字路を左折すると北上してUS50号方面へ、右折するとモニターバレーの深部へ向かいますが、ここは右折します。


 
モニターバレーの真ん中を南北に貫く州道82号線は、州道といってもひたすら未舗装路。道の左右には谷を挟む山脈が連なっていますが、谷は何もない荒野であり、おそらく有史以前の光景と変わっていないのではないかと思われます。未舗装とはいえ、道幅は広く凸凹も少ないので、結構なスピードを出すことができました。


 
砂埃を上げながら82号線を南下してゆくと、約4マイル弱で上画像のような標識が立つ分岐点が目の前に現れました。ここを右へ行けばそのまま82号を南下でき、左折すると谷の東側へ抜けて山の方へと入ってゆくようです。標識には特に温泉の位置など記されていないのですが、事前の調査によれば、目指す温泉は州道の東側にあるはずなので、私はここを左折してみることにしました。



分岐点から2マイルほどで廃屋を通過・・・


 
廃屋の先のカーブを曲がったあたりで、特に目印の無い分岐点が出現します。ここで私は勘を働かせ、分岐を右に逸れて小道へと入ってゆきました。すると路傍に"CLOSED TO THE PUBLIC"と書かれた看板が立てられていました。まさか・・・。ちょっと嫌な予感がしますね。



やがて小道は行き止まりとなったので、そこで車をとめて先へ歩いてゆくと、灌木の向こうに青い物体を発見しました。



小高い丘の端に設置された直径2メートル程のこの樹脂製たらいは、まさに温泉を張って入浴するための露天バスタブであります。今回の目的地であるモニターバレー温泉(Monitor Valley Hot Springs 別称Potts)に到着しました。簡易的なバスタブの周りにはベンチが置かれ、ウッドデッキも取り付けられ、お誂え向きはいい感じです。でも・・・



バスタブには引湯用の湯樋が掛けられているものの、中は完全に空っぽであり、肝心のお湯は一滴も注がれていませんでした。残念・・・。先ほどの"CLOSED TO THE PUBLIC"という看板は、このことを指していたのでしょう。


 
バスタブの脇には黒いホースが伸びており、その中を41.5℃の温泉が流れていました。このホースをバスタブへ持っていけば、今すぐにでもお湯が張れます。しかも絶妙な湯加減! モニターバレーや両側の山稜を一望できる小高い丘の上であるため、眺めも良好。ここにお湯を張れたら、さぞ気持ち良い開放的な湯浴みが楽しめたことでしょう。でもあのような看板が立っているということは、下手にお湯を張っちゃうと関係者の怒りを買って面倒な事態を招く可能性がありますから、ここはグッと我慢して見学だけにとどめました。


 
地中から自噴した温泉は、バスタブに張られることなく、人間様に触れることもなく、地表で小川となり、荒野の中を流れていました。あぁ、もったいない。

なお、たまたま途中でピックアップトラックとすれ違ったので、この車に乗っていたお兄ちゃんに訊いたら、モニターバレー温泉は一年ほど前からパブリックへの開放をやめてしまったそうです。理由はわかりませんが、ちょっと残念です。でもこの先には別の温泉があるはずですので、気持ちを入れ替えてここを去り、次を目指すことにしました(次回記事へ続く)。



GPS:39.079858, -116.64004,

現在入浴不可
※周囲にはお店が全くありません。ガソリンスタンドは皆無です。携帯の電波も飛んでいません。
食料や水分、そしてガソリンを十分に確保しておくことをおすすめします。

私の好み:評価不可(入浴できなかったため)

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スペンサー温泉  Spencer Hot Springs

2017年12月20日 | アメリカ
引き続き、アメリカ・ネバダ州中部のワイルドな温泉を巡ります。
今回訪ねるのは、アメリカのアウトドア愛好家には有名な野湯である「スペンサー温泉」(Spencer Hot Springs)です。



まずは、田舎町オースティンから国道50号「リンカーン・ハイウェイ」を東へ12マイルほど走ると、トノパー方面へ伸びる州道376号線が分岐していますので、まずは丁字路を右折してその州道に入ります(上画像の地点)。


 
そして400ヤードほど南下しますと、まもなく上画像に写っているような標識が立つ交差点に行き着きますので、今度はその角を左折します。そして荒野に伸びるまっすぐな未舗装路をひたすら前進します。


 
未舗装ながら広くて走りやすい道を5.5マイルほど走ると、やがて"HOT SPRINGS"という何の捻りも無いストレートな名前の道が現れますので、この道に入ると・・・


 
道は緩やかな丘を登りはじめます。今回目指すスペンサー温泉はこの丘に露天風呂が点在しています。広くて平らなところに車をとめて、丘を散策しているうちに・・・



丘の上の露天風呂を発見しました。出入り自由で且つ無料で利用できる場所なのに、こんな立派で広いウッドデッキが設置されているところを見ると、有志をはじめとする多くの人から愛されているに違いありません。


 
ウッドデッキにはベンチが置かれ、その上で立つ柱には水牛か何かの頭骸骨が飾られていました。荒野のワイルドな露天風呂に相応しいアクセントですね。


 
バスタブは手掘りかあるいは重機で掘ったような、底の土が露出している造りであり、大きさも相まって、お風呂というより池に近い感じがします。露天風呂のすぐ脇に設置されている黒い金網は、源泉を上から覆うカバー。源泉を護ること、そして訪問者が熱々の源泉に触れて火傷することを防ぐ目的があるのかと思われます。


 
黒い金網の下では湯気を上げながら熱い温泉が自噴しており、そこからパイプで露天風呂までお湯を引いています。パイプにはバルブが付いているので、投入量の調整が可能です。湯口における温度は60.9℃という高温ですが、ここには加水できる設備も真水もないため、温度調整はバルブによる湯量調整に頼らざるを得ないわけです。


 
バルブ付き配管の他にも源泉からの流れ込みがあり、いずれにもバルブは付いていないのですが、流量自体が少ないため、湯加減にはあまり影響しないのでしょう。私が訪れた時の湯加減は43.6℃でしたから、日本人でも熱いお風呂が苦手な方にはちょっと刺激が強いかもしれません。



でも実際に私が入ってみますと、熱さでピリピリするのははじめのうちだけであり、山から吹く風がいい感じでクールダウンしてくれるので、むしろちょうど良い塩梅で湯浴みすることができました。超開放的なロケーションに広がる青空のもと彼方の山々を眺めながらワイルドな露天風呂に浸かれる幸せを、存分に楽しませていただきました。

この池のような露天風呂から斜面を下ると・・・



今度は直径2m弱の大きな金だらいにお湯が張られた露天風呂を発見しました。ネバダ州はこの手の家畜用バケツにお湯を張る露天風呂が多いような気がします。


 

金だらいのお風呂は、上述の池の露天風呂と別の源泉からお湯を引いており、こちらの源泉にも保護用の黒い金網が設置されていました。


 
湯口の温度は55.3℃でした。こちらも結構な高温ですね。池の露天風呂は表面積が広いので、自然冷却されやすいのですが、こちらは直径2m弱ですから、自然冷却は期待できません。しかも加水できる環境も無し。おそらく先人の配慮かと推測されるのですが、湯口のパイプをエッジに載せて、お湯が半分捨てられるようになっていたのですが、それでもかなり熱く・・・


 
私の訪問時、湯船の温度は48℃でした。これでは入浴できませんね。



そこで、一旦湯口を完全に湯船から離し、近くにあった木の棒でしっかり湯もみをしたところ、何とか入浴できる温度にまで落ち着いたので・・・



その場で着替えて入浴しちゃいました。
ちょっと熱いけど・・・うん、気持ちよいぞ! 
池の露天は泥がちょっと混じってモスグリーンに濁っていましたが、金だらいはそのような不純物が少ないため、お湯がクリアに済んでおり、お湯そのものが気持ちよいのです。そんな透明なお湯をテイスティングしてみますと、弱金気と弱石膏感が感じられ、キシキシと引っかかる浴感が伝わり、お湯の排水流路は成分付着によって赤茶色に染まっていました。おそらく塩化土類泉なのではないかと思われます。

広い敷地に複数の温泉があるため、キャンピングカーで訪れる人が多くみられました。アメリカ人もワイルドな温泉が好きなんだということがよくわかる、とっても開放的で爽快な露天風呂でした。



GPS:32.326864, -116.859789,

随時利用可
無料
野天風呂につき備品類なし

私の好み:★★★
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