温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

延徳温泉

2018年08月29日 | 長野県

前回記事に引き続き信州を巡りますが、今回は高山村の山中ではなく、千曲川の善光寺平の北西部へと下りてまいりました。真っ平らな畑の中に民家が点在する、現代信州の典型的な農村風景です。



そんな田園風景が広がる某所の農産品加工工場裏手には・・・



温泉の源泉と大きなタンクが設置されており、絶え間なく温泉が汲み上げられているのです。この温泉は当地で入浴などに供されるのではなく、わざわざ斑尾の某リゾートホテルまで運搬され、そこのお風呂で使われているんだそうです。そして運搬される時以外のお湯はいつもタンクに溜められ、オーバーフロー管から大量の温泉が捨てられているのです。とはいえ、こんなもったいぶった表現をしなくても、温泉マニアにとっては超有名な野良湯ですから、このブログで取り上げるまでもないでしょう。最近はテレビでも紹介されたらしいので、温泉マニアのみならず、珍風景が好きな方には既に名の知れた温泉なのかもしれません。


 
タンクのお湯を捨てるオーバーフロー管の下にはポリバスが据えられ、さらにその下に小さい桶があり、2段構えでお湯を受けています。ポリバスの周りにはデッキブラシなどが置かれていたので、おそらく洗車や何かを洗うときにこの捨て湯が使われているのかもしれません。槽の中へ注がれているお湯の温度は40℃弱のぬる湯。長湯したら気持ちよさそうな温度です。
さて、そのポリバスは人間が入れるだけの容量があります。人が入れるバスタブに入りやすい温度のお湯が注がれているのならば、そこに入りたくなるのが自然な心情というもの。、実際にこの浴槽で湯あみをしているマニアさんも多くいらっしゃいます。でも本来は湯浴みするための設備ではないため、着替えの場も無ければ目隠しも何もありません。野ざらしのまま清掃されるわけでもありませんから、浴槽の中のお湯には藻が大量発生しており、衛生面も気になります。目の前には工場の寮のような建物が建ち、また西側に広がる畑の向こうには民家が立ち並んでいます。さらに、源泉が面している路地は車(農家の軽トラなど)がたまに通ります。つまりここで入浴しようとすると、湯中で体中が藻だらけになるのみならず、寮や畑の向こうの民家などから入浴姿を見られてしまう可能性があるのです。
入るべきか入らざるべきか。To be or not to be. まるでハムレットのような懊悩にその場で苦しみ、煩悶した挙句・・・



ハムレットならぬハムスター程度の知能レベルである私は、「あ、そうだ、俺は頭のネジが何本か外れている馬鹿野郎だった」と気づき、どうせバカなら常識人を気取る必要はないと気持ちが吹っ切れ、気づけば服を脱いで入浴していました。お湯からはチオ硫酸イオンを含むお湯で多くみられるような茹でタマゴの卵黄みたいな匂いや味が感じられたほか、ほろ苦みやちょっとした甘みが感じられました。また味やフィーリングから察するに、硫酸塩的な要素も含まれているのではないかと思われます。実に面白いお湯です。予想通り、湯船の中の私は全身が藻まみれになってしまいましたが、お湯自体は面白いので、すっかり気に入ってしまいました。決しておすすめするような温泉ではありませんが、もしよろしければどうぞ。


温泉分析表の掲出なし

所在地など各種情報の掲載は控えさせていただきます。

私の好み:★★+0.5

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蕨温泉 ふれあいの湯

2018年08月25日 | 長野県
 
前回記事で取り上げた山田温泉「大湯」を出た私は、調子に乗って近所の温泉浴場をもう1軒ハシゴすることにしました。向かったのは山田温泉と同じ高山村にある蕨温泉の露天風呂付き日帰り入浴施設「ふれあいの湯」です。こちらも私にとっては約10年ぶりの再訪問。あまりに久しぶりなので、建物やお湯についての記憶が曖昧になってしまっていたのです。そこで記憶を掘り起こして確認すべく、再訪問したわけです。敷地内には宿泊施設を併設しており、また農産物直売所も営業していました。

料金は館内にある券売機で支払い、発行された券を受付(番台)へ差し出します。受付の左側には無料のお座敷があり、風呂上がりに休憩することができます。この休憩室には小布施牛乳(ビン)のベンダーあり、私も他のお客さんと同じように、その休憩室で休みながら美味しいビン牛乳をグビグビ飲んで水分補給させていただきました。


 
「ふれあいの湯」という名称が示すように、私の訪問時は地元の方を中心として子供からお年寄りまで幅広い年齢層のお客さんで賑わっており、洗い場が全て埋まるほどの盛況ぶりでした。人々がふれあえる施設としてしっかり機能しているようです。
とはいえ、人気があることとお湯の良さは必ずしも連関するわけではないのが難しいところ。浴室に入った瞬間、脳天を突くようなカルキ臭に包まれてしまい、早々から眉間にしわを寄せざるを得ませんでした。館内表示には塩素剤を使用している旨が明記されているのですが、なるほど、多くの人が利用する人気の施設ゆえに衛生管理には神経を尖らせなければならないのでしょう。

男湯の場合、浴室入って右側に浴槽が据えられ、左側に洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー付きカランが8基一列に並んでいます。私の訪問日にはシャワーの吐出圧力が弱かったのですが、脱衣室には工事手配中であることが張り紙で案内されていましたので、現在は快適に使える圧力が蘇っているものと思われます。
一方、その反対側にある浴槽は(目測で)2.5m×5mサイズ。浴槽内は石板敷きで縁には木材が用いられています。お湯は焼き物の鬼の口から吐出されており、浴槽内で循環しているものの(浴槽内で吸込口か吐出口と思しき口を2つ確認)、浴槽の縁からの溢れ出しもみられるので、循環と放流式を併用しているのかもしれません。


 
「ふれあいの湯」の売りは「展望風呂」と称する露天風呂からの眺望です。見晴らしの良い屋根つきテラスに浴槽が据えられており、晴れている日には彼方の山稜を一望できるほか、周囲にも信州の麗しく長閑な農村風景が広がっているので、四季を通じ、露天風呂に浸かることが身も心も温かくなること間違いなし。特に私が利用した日は桜が咲いていたので、この露天に入りながらしばらくボーっと景色を眺め、夢のような心地にすっかり我を忘れてしまいました。


 
展望風呂も内湯同様におおよそ2.5m×5m。湯口からは適温のお湯が吐出されるほか、浴槽底の目皿からは熱めのお湯が出ていました。こちらのお湯も循環されています。

内湯・露天ともに、お湯は無色透明で湯の花などは見られません。本来ならばどんな味や匂いが感じられるのか、湯口のお湯をテイスティングしたかったのですが、お湯からは塩素剤(錠剤)の臭いがしっかりと放たれていたので、口に含むような行為は避けました。ですのでお湯に関する特徴を詳しく述べることができません。ごめんなさい。なお、館内に掲示されている分析表には、泉質名の中に硫黄の文字が含まれていたのですが、実際にお風呂に入ってみても硫黄らしさは全く感じられませんでした。硫黄の要素はどこへ消えてしまったのでしょう・・・。
お湯のクオリティにこだわる方には不向きかもしれませんが、地元の方々とのふれあいを求めたい方や、展望風呂からの長閑な景色や雰囲気を楽しみたい方にはもってこい。手軽に利用できるのんびりとしたお風呂でした。


含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 45.6℃ pH7.84 溶存物質2357mg/kg 成分総計2368mg/kg
Na+:323.7mg, Ca++:287.2mg,
Cl-:752.5mg, br-:3.7mg, HS-:2.1mg, SO4--:825.2mg, HCO3-:36.6mg, CO3--:6.8mg,
H2SiO3:49.5mg, HBO2:38.8mg, H2S:0.3mg,
(平成27年6月25日)
加水なし
加温あり(温度調整のため)
循環あり(温度調整のため)
消毒あり(衛生管理のため、固形塩素剤使用)

長野県上高井郡高山村蕨平1321-1
026-242-2313

6:30~21:00 第2火曜定休
300円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤーあり

私の好み:★★

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山田温泉 大湯 2018年春 再訪

2018年08月21日 | 長野県

前回に引き続き、2018年の春に巡った信州・高山村の温泉を取り上げます。
七味温泉の後は、山を若干下って、高山村の代表的な温泉地である山田温泉を訪ねることにしました。当初の予定では当地の有名な旅館で日帰り入浴をさせていただくつもりでしたが、運悪くこの日は早めに日帰り入浴の受付を終了していたため、第二候補として考えていた共同浴場「大湯」を訪ねることにしました。拙ブログでは2009年に取り上げておりますので、約9年ぶりの再登場です(2009年の記事はこちら)。


 
山田温泉のシンボルでもある大湯の前にはちょっとした広場があり、そこに設けられている足湯では観光客が手軽ならぬ足軽に温泉を楽しんでいらっしゃいました。



番台脇の券売機で支払い、券を窓口に出します。番台の左右にお風呂の入り口が分かれており、女湯は右側で男湯は左側。脱衣室は奥に細長い造りで、その最奥には洗面台と無料のドライヤーが用意されていました。
総木造の浴室は荘厳且つ重厚な、趣きある湯屋建築です。湯気抜きが高く、そして柱や梁も大変立派です。この室内の手前側には2~3人サイズのぬる湯浴槽が据えられており(上画像)、その湯加減は40℃に設定されていました。湯口で既にぬるいので、加水されているのでしょう。


 
中央に堂々と据えられている浴槽はメインのあつ湯。44℃設定です。真ん中に湯口があり、そこからお湯が供給されています。浴槽の大きさは(目測で)1.8×5.4mくらいでしょうか。浴槽の縁よりしっかりオーバーフローしていました。純然たる掛け流しの湯使いです。



このお風呂は洗い場が特徴的。一般的なカランは設置されていないかわりに、4本の木樋が伸びており・・・


 
各樋には木板の弁がついていて、その板の弁を斜めにすると(手前に倒すと)樋からお湯(加水済みのぬるいお湯)が出てくる仕組みになっています。この木の弁は手を離すと上手い具合に止水する状態になるので、湯量も豊富なので使い勝手はなかなか良好。なんて合理的なのでしょう。なお、洗い場用のお湯の余りはあつ湯浴槽へと注がれています。

湯舟のお湯は無色透明ですが、白い湯の花がたくさん沈殿しており、湯舟に入るとその沈殿が一気に舞い上がります。お湯を口に含むと、かつお節のような出汁味と淡い塩味、石膏味が感じられ、遅れて甘みも舌に伝わってきます。そして消しゴムのようなゴム的な硫黄臭も優しく香ってきます。分析書によれば総硫黄は1.9mgなので、ギリギリのところで硫黄泉を名乗れないのfですが(硫黄泉は総硫黄2.0mg以上)、前回記事によれば「含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉」と書かれているので、コンディションによって硫黄泉を名乗れるボーダーラインを行ったり来たりしているのでしょうね。ま、そんな屁理屈はどうでも良いのです。湯量豊富な湯船に浸かると新鮮且つ熱めのお湯がピリッと体を引き締め、それでいて優しく全身を包み込んでくれます。キシキシ引っかかる浴感が肌にしっとりとした潤いを与えてくれ、湯上がりには全身がしっかり温まります。久しぶりに入りましたが、とても心地よいお湯に改めて感動しました。おすすめです。


山田温泉混合泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 67.1℃ pH7.4 湧出量記載なし(掘削による動力揚湯) 溶存物質4.490g/kg 成分総計4.538g/kg
Na+:1024.0mg(65.17mval%), Ca++:345.2mg(25.21mval%),
Cl-:1854.1mg(80.35mval%), Br-:10.8mg, I-:2.5mg, HS-:1.3mg, SO4--:460.5mg(14.73mval%), HCO3-:177.0mg,
H2SiO3:159.8mg, HBO2:222.9mg, CO2:44.0mg, H2S:0.6mg,
(平成28年9月9日)

長野電鉄・須坂駅より山田温泉行バスで30~40分 終点下車すぐ
長電バスホームページ

長野県上高井郡高山村奥山田3580
026-242-2314 
紹介ページ(高山村公式サイト内)

6:00~21:00 第3水曜定休
300円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤーあり、シャンプー類なし

私の好み:★★★
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七味温泉 紅葉館

2018年08月17日 | 長野県
 
前回記事に続いて信州・高山村の温泉を巡ります。
高山村には多くの魅力的な温泉が集まっていますが、中でも秘湯の雰囲気が強い温泉といえば七味温泉が挙げられるでしょう。拙ブログでも既にこの温泉地を紹介していますが、まだ取り上げていない施設がありますので、今回はその中でも私が未訪だった「紅葉館」を日帰り入浴で訪ねることにしました。川を渡ってすぐ右側に宿の建物があり、宿泊客はその近くの駐車場を利用できますが、私のような日帰り入浴客は、そこからちょっと離れた専用の駐車場に車をとめることになります。


 
駐車場の近くに設けられた生簀と思しき小さなコンクリ枡には、イワナが数匹泳いでいました。お宿のお食事に提供されるのでしょうか。


 
お宿の建物は最近建て替えられたのか綺麗です。宿泊はもちろん、日帰り利用の人気も高いようで、玄関には日帰り入浴の案内がしっかり掲出されていました。また玄関のドアには、タヌキが入るので閉めてほしい、という旨の注意書き掲示されていました。動物たちも温泉に入りたくなるのでしょうか。長閑な雰囲気に頬を緩ませつつ、タヌキに化かされないよう気を付けながら中へお邪魔します。


 
館内はモダン和風で民芸調。女性受けしそうな内装です。明るい人柄が伝わってくる女将さんに湯銭を支払い、奥へと進みます。



廊下の奥の突き当たりがお風呂です。突き当たりの左右に浴室があり、私が訪れた時間帯には右側の浴室に紺の暖簾がさがっていましたが、夜8時頃に男女の暖簾を入れ替えるらしいので、宿泊すれば両方に入ることができますね。

こぢんまりとした脱衣室に備え付けられている洗面台やドライヤーは、それぞれ2台ずつ。ロッカーは浴室の入口手前に設置されています。室内の洗面台の水栓は硫化して黒く変色していました。硫黄の濃さが良くわかります。
ちなみに、脱衣室と浴室とを行き来するドアはなぜか二つ設けられていました。狭隘な室内から浴室へストレスなく行き来するための配慮なのか、あるいは、元々何かしらの理由で2つのドアが必要な事情でもあったのか、そのあたりはよくわかりません。


 
浴室内には主浴槽が一つ、そして右側にシャワー付き混合栓が3つ設けられています。室内には鼻孔をツンと刺激する硫黄の湯の香で満たされていました。この匂いだけでもワクワクしてしまいます。


 
浴槽は4人サイズ。窓に面しており、窓から差し込む陽光を受けて綺麗なエメラルドグリーンを呈していました。窓下の浴槽付近には通気口(ルーバー)が取り付けられていますが、これは言わずも名が硫化水素対策ですね。目立ちにくいのですが、湯口は壁側の真ん中ほどにあり、チョロチョロとお湯を浴槽へ注いでいました。供給量はあまり多くないのですが、湯量を絞ることによって湯加減を調整しているのでしょう。


 
露天には2つの浴槽があるのですが、まずは手前側の「炭色の湯」から見ていきましょう。一人サイズの木の浴槽には、その名の通りに薄墨色のグレーを帯びたお湯が張られています。70℃の源泉と30℃の源泉を混ぜているんだそうです(それぞれ別のパイプから供給されています)。お湯はほろ苦く、お湯自体は透明なのですが、浴槽内には白と黒の湯の花が大量沈殿しており、私が湯舟に入るとそれが一気に舞い上がって、体中が湯の花まみれになってしまいました。


 
特に黒の湯の花が多く、湯船から上がると私の鼠径部には湯の花がこびりつき、また皮膚も一部黒くなったようでした(気のせいかも)。なお、この2つの源泉については分析書が見当たりませんでした。熱い方の源泉は内湯などでも用いられているエメラルドグリーンのお湯と同じでしょうか?



もう一つの露天は主浴槽。渓流を見下ろす高台の開放的なロケーションに、10人以上入れそうな広い岩風呂が設けられており、渓流や周囲の山々の景色を眺望しながら湯浴みを楽しむことができます。私が利用した日も多くのお客さんが、川の方を向きながら湯船に浸かり、硫黄のお湯と素晴らしい景色を満喫なさっていました。
この湯船の真ん中ほどに塩ビのパイプを組みこんでいる木箱の湯口があり、そこからお湯が注がれていました。おそらく内湯と同じ源泉かと思われますが、こちらの方が明るい環境であるため、エメラルドグリーンと乳白色を足して2で割ったような明るい色を呈し、且つはっきりと濁っていました。ツンとくる刺激臭とホロ苦みやイオウ味もしっかりと感じられました。なお、この露天を含め、各浴槽とも全量かけながしです。

美しい硫黄の濁り湯、そして開放的な展望を一度に楽しめ、更には湯の花まみれになれちゃう面白いお湯まで体験できる、七味温泉らしい素敵なお風呂でした。次回訪問時には宿泊してみたいものです。


新七味温泉(新七味温泉組合所有)
含硫黄-カルシウム-硫酸塩温泉(硫化水素型) 65.4℃ pH6.6 湧出量記載なし(自然湧出) 溶存物質1.472g/kg 成分総計1.617g/kg
Na+:87.8mg(19.31mval%), Mg++:16.7mg, Ca++:281.1mg(70.93mval%), Mn++:1.6mg,
Cl-:83.4mg(11.98mval%), HS-:17.1mg, SO4--:656.4mg(69.67mval%), HCO3-:186.1mg(15.55mval%),
H2SiO3:71.6mg, HBO2:49.9mg,CO2:91.7mg, H2S:52.3mg,
(平成29年8月8日)

長野県上高井郡高山村大字牧2974-45
026-242-2710
ホームページ

日帰り入浴10:00~16:00退館(繁忙期は15時退館)
500円
ロッカー・ドライヤー・シャンプー類あり

私の好み:★★+0.5
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奥山田温泉 レッドウッドイン

2018年08月12日 | 長野県
 
長野県高山村の山田牧場は、笠岳の山麓に広がる標高約1500mの大変爽やかな高原であり、明治時代から続く牧場として有名であるのみならず、夏は避暑地、冬はウインタースポーツというように、レジャーの場としても名が知られています。しかもこの地には温泉も引かれており、奥山田温泉という温泉地名を名乗っていることは、温泉が大好きな皆さまにとっては既にご案内の通りです。中でも「満山荘」という旅館は大変な評判で、温泉ファンの間でも有名でした(惜しいことに2016年閉館しましたが、現在は「伊奈里館」として生まれ変わっています)。



さて私は日帰り入浴を楽しむべくこの地を訪れたのですが、今回訪ねたのは「レッドウッドイン」というロッジです。山小屋のような温もりある外観が周囲の環境とよく馴染んでいます。お宿の名前の由来は後ほどご紹介します。
こちらではランチの時間帯にはお食事を摂ることができ、またほぼ同じ時間帯には温泉入浴のみの利用も可能です。私が訪れた時も食堂には多くのお客さんがいらっしゃいました。食事中のお客さんの中を通りながら、店の奥にあるカウンターまで入り、そこでスタッフの方に入浴したい旨を申し出ますと、快く受け入れてくださいました。


 
食堂奥にある下足場から階段を上がり、プレートに従って更に上へと進んでいきます。



登り勾配の廊下を進んでいった突き当たりに暖簾が下がっていました。男女別の更衣室は必要最小限の設備に抑えたコンパクトな造りです。なおドライヤーは2階にあるんだとか。


 
まずは内湯からお邪魔しましょう。更衣室のコンパクト感に対応するかのような可愛らしい造りの内湯は、汗と垢を流して体を温めるという実用的な機能に目的を絞って作られた感があります。浴槽は2~3人サイズ。洗い場に設けられたシャワー付き混合水栓3つだけで、カランから出てくるお湯は沸かし湯です。
しかしドアを開けたとき視界に飛び込んでくる湯舟の微白濁と、プンと鼻をつく硫黄の香りは、紛うことなき山の温泉そのもの。温泉好きなら誰しもが喜ぶに違いありません。


 
白濁する硫黄のお湯は、その時々のコンディションによって、見せる姿が変わるのが一般的。こちらのお湯も同様らしく、日によっては強く白濁するのでしょうけど、私が訪れた時には薄くぼんやりと白く霞みがかっている程度でした。でも湯の香はしっかり漂っていましたよ。


 
内湯のドアを開けてスリッパに履き替えて露天風呂へ。巨木をくり抜いて作った湯船は3〜4サイズなのですが、幹のあまりの大きさにビックリしちゃいました。館内の説明によれば、先代のオーナーが樹齢1650年の樹木を海外から運んで、このような湯船に作り上げたんだそうです。あまりの大きさに、本物の木の幹なのか疑いたくなるほどですが、この木こそ宿の名前になってるレッドウッドなんだそうです。

こちらの露天風呂で感動するのはそれだけじゃない。この露天風呂は眺望が素晴らしいんです。右(下)画像は、湯船に浸かった状態での視界なのですが、設置位置がちょっと高くなっているため、スキー場のゲレンデとなる山田牧場全体を眺めることができるわけです。とても清々しく開放的です。ネット上で見られる評価が高いのも納得しました。私が訪れたのは2018年春の某日。里では桜が見頃を迎えていましたが、山の上にはまだたくさんの雪が残っており、ゲレンデのみならず露天風呂のまわりにも雪がまだ残っていました。この場所に花の季節が到来するのはまだもう少し先のようでした。


 
塩ビの湯口から熱々のお湯が供給されていました。奥山田温泉のお湯はいわゆる蒸気造成泉です。五色温泉付近に源泉あり、蒸気泉と表流水を混合させています。少々酸っぱく、消しゴムのような硫黄感(特に匂い)がします。典型的な蒸気造成泉です。湯加減は適温。贅沢な掛け流しとまではいきませんが、れっきとした放流式の湯使いです。露天のお湯は外気によって冷却されるためか、白濁の程度は内湯よりも強かったのですが、かといってイオウ感はさほど強くはないように思われました。
いずれにせよ、このような開放的かつ爽快なロケーションのもとで入る温泉の露天風呂は最高です。


奥山田温泉五色上(蒸気泉と表流水の混合泉)
単純硫黄温泉 72.9℃ pH6.8 湧出量記載なし(掘削による自噴を水に溶解) 溶存物質747.8mg/kg 成分総計795.7mg/kg
Na+:107.8mg(62.87mval%), Ca++:38.9mg(26.01mval%), 
Cl-:133.4mg(51.37mval%), HS-:13.1mg, SO4--:104.3mg(29.64mval%), HCO3-:58.0mg,
H2SiO3:161.2mg, HBO2:109.1mg, H2S:23.5mg,
(平成17年6月18日)
加水加温循環消毒なし

長野県上高井郡高山村山田牧場3681-347
026-242-2418
ホームページ

日帰り入浴10:00〜13:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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