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温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

北広島市 竹山高原温泉

2016年05月06日 | 北海道
 
札幌の街へ向かう前、ちょっと温泉に入りたくなって、千歳線に乗り換えて北広島駅で下車しました。


 
駅前ロータリーから、福住駅行き路線バスに乗車します。


 
バスは近郊の住宅街を抜け、真っ暗な森の中に入って行きます。北広島駅から15分弱ほど乗った「竹山」バス停で下車。周囲に民家は見当たらず、街灯も少なく、下車した瞬間はとっても心細かったのですが、辺りを見回しますと、目的地の看板が目の前に立っていましたので、この看板に従ってバスの通りから路地を下って行くと・・・


 
バス停から2~3分で目的地である「竹山高原温泉ホテル」に到着しました。その名の通り宿泊施設なのですが、日帰り入浴も積極的に受け入れています。玄関の内側にある券売機で料金を支払い、笑顔で出迎えてくれるフロントのスタッフさんに券を差し出して、館内の奥へと進みました。


 
フローリングの広い休憩ホールで寛ぐ湯上がり客を横目にしながら、ステップをちょっと下って浴室へと向かいます。


 
男女別のお風呂にはそれぞれ内湯と露天風呂が設けられています。まずは内湯から。
浴室は天井が高く、主浴槽の上には大きな窓もあり、冬季にもかかわらず湯気篭りが少なく快適な入浴環境が保たれていました。室内にはP字形の大きな温泉主浴槽の他、1~2人サイズの小さな薬湯槽、そして後から増設したと思しきスペースにサウナと水風呂が設置されていました。また浴室出入口の近くには掛け湯の小さな槽も据え付けられています。
洗い場は室内の左右に分かれおり、計13基のカランが取り付けられています。スパウト・シャワーともにオートストップ式の単水栓で、お湯だけが吐出されます。

P字形の温泉主浴槽は、左右の幅が5~6m。浴槽の丸い部分ではジェットバスが稼働していました。北広島から千歳にかけての一帯はモール泉の温泉が点在していますが、この温泉もその典型例。湯船にはコーヒー色のお湯が張られており、底面が見えないほど濃い色を呈しています。角っこにある赤御影石でできた扇型の湯口からは、非加温の生源泉と思しき鉱泉が出ており、その直下の槽内からは加温されたお湯が吐出されていました。非加温の生源泉は(私の体感で)25℃前後、微かに鉱物油っぽい風味が得られたものの、ほぼ無味無臭に近いように感じられました。色が濃いのでてっきり味や匂いも主張が強いのかと思いきや、意外な肩透かしを食らった感じです。なお館内表示によれば加温・循環ろ過・消毒が実施されているそうですが、消毒に関して特にカルキ臭さは気になりませんでした。



浴槽のお湯を桶に汲んでみました。色だけは一丁前のモール泉なのですが、それらしき味や匂いが弱いのが惜しいところです。また浴感に関しても、モール泉でしたらツルツルスベスベの滑らかな肌触りが楽しめるはずですが、こちらのお湯は、たしかにスベスベしているものの、さほど強くはなく、ちょっと力を入れて肌を摩ったら滑らかさが止まってしまうほど頼りないものでした。分析書のデータを見る限りでは、美人湯のような実力を持っていても不思議ではない鉱泉ですから、なんらかの外的影響によってパワーダウンしているのかもしれません。


 
 
この浴場で感心したのは露天風呂です。道内で採掘された600トンの石材を使った岩風呂は、小高い丘の上に位置しているため、北西方向の市街地、おそらく輪厚や清田区方面で煌めく夜景を(木々の間から)一望することができます。日中には樽前山や恵庭岳を眺めることができるんだとか。
なお露天風呂も加温・循環ろ過・消毒の湯使いですが、内湯同様に源泉の投入も並行して行われているんだとか(暗かったため投入場所は確認できませんでした)。私の訪問時は加温が程々に抑えられていたため、夜景を眺めながらのんびりゆっくりと長湯することができました。露天の浴槽には特に屋根のようなものはありませんが、その片隅には東屋が建てられているため、そこで雨を凌いでひと休みすることもできます。とても都市近郊とは思えない自然豊かな場所ですから、息抜きするにはもってこいの環境かと思います。


アルカリ性単純温泉 26.1℃ pH8.9 236L/min(動力揚湯) 溶存物質0.356g/kg 成分総計0.363g/kg
Na+:74.0mg(93.06mval%),
Cl-:6.9mg, OH-:0.1mg, HS-:0.6mg, HCO3-:129.5mg(62.54mval%), CO3--:24.6mg(24.19mval%),
H2SiO3:101.4mg, 腐植質7.2mg,
(平成22年12月17日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環ろ過あり(温泉資源の保護と衛生管理のため)
消毒あり(衛生管理のため。塩素系薬剤とオゾンを使用)
源泉を主浴と露天風呂に加泉。

北海道中央バスの北広島駅~福住駅(輪厚ゴルフ場経由)で「竹山」下車
北海道北広島市富ヶ岡896番地  地図
011-373-2827

日帰り入浴10:00~22:00(最終受付21:00) 第2・4月曜定休
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★+0.5
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妹背牛温泉 ペペル

2016年05月04日 | 北海道
 
前回記事まで連続して取り上げた豊富温泉を出発した朝、豊富駅から札幌行の特急「スーパー宗谷」に乗車し、深川駅で下車しました。


 
深川駅から200mほど歩いて「深川十字街」のバス停へ向かい、次の目的地へ向かうべく、雨竜経由の滝川ターミナル行路線バスに乗車します。


 
深川から15分ほど乗車し、妹背牛町の市街中心部に位置する「妹背牛」バス停で下車しました。ここから標識に従って役場へ向かって歩いてゆくこと7~8分で…


 
目的地である「妹背牛温泉ペペル」にたどり着きました。この温泉施設は妹背牛駅の徒歩圏内でもあるのですが、妹背牛駅は普通列車しか停車せず、列車の接続がうまくいかなかったため、今回は敢えて深川から路線バスでアクセスしたのでした。



なお「ペペル」は妹背牛町の公共機関が集まるエリアの一角に建てられており、右側には町役場など各庁舎が並んでいました。


 
いわゆるセンター系に分類される公営の温泉施設であり、館内はとても広々しています。靴を下足箱(100円リターン式ロッカー)に預け、フロント前に設置されている券売機で料金を支払い、券をフロントに差し出します。利用客は地元の常連さんが多いらしく、スタッフの方とお客さんはツーカーの間柄で会話を弾ませていました。長閑でほのぼのとした光景に、思わずこちらもニンマリと頬が下がっちゃいます。
フロントで券を差し出した後は、明るく広いロビーを横目に浴室へ。浴室入口前には食堂が営業していますので、湯上がり後にそこでランチをいただくことにしましょう。まずは入浴を楽しもうっと♪


 
脱衣室も広々としており、手入れも行き届いていて、綺麗で使い勝手良好です。また奥の方には小さな石庭も設えられており、和の風情を醸し出していました。


 
脱衣室から浴室へ入る前のバッファーゾーンには冷水のサービスが用意されていました。入浴に水分補給は欠かせませんから、こうしたサービスはありがたいですね。
脱衣室内には「ペペル」という不思議な施設名の由来が説明されていました。これによれば、ペペルとはアイヌ語で水を意味する“PE”(ぺ)と、泉を意味する“PERU”(ペル)をくっつけた言葉らしく、その可愛らしいネーミングにはこの温泉を永く愛していただきたいという願いも込められているんだとか。


 
大きなガラス窓で囲まれた浴室は、天井が高くて明るく開放的。冬場なのに湯気の篭りも少なく、快適な湯浴みが楽しめました。広い室内には様々な浴槽が設けられており、お客さんのいろんなニーズに応えられるようになっています。


 
上画像は打たせ湯やサウナ、そして真湯のジェットバスです。打たせ湯には温泉のお湯が使われています。この他、水風呂なども設けられていました。


 
小文字のqのような形状をした温泉主浴槽は、多人数で同時に入っても混雑が気にならないほどとても大きなものですが、岩の湯口から投入されるお湯の量が多いため、大きな湯船にもかかわらずお湯の鮮度が良く、湯船のお湯はガラス窓の下にある溝へ惜しげもなく溢れ出ていました。なお湯使いは完全掛け流しです。


 
お湯の見た目は薄い山吹色を帯びていますが透明度は高く、浴槽底面がクリアに目視できます。でも薄い色付きながら、長時間お湯に触れている部分はしっかりとその色に染まっており、特に湯口や排水口の周りは黄土色に着色されていました。
湯口の裏には飲泉場が設けられていたので、実際にそのお湯を飲んでみますと、甘塩味と薄い出汁味、そして土類系の味やほろ苦みが感じられたとともに、塩化土類泉によくある土類系の匂いの他、鉱物油(というかガス)っぽい風味が喉から鼻へと抜けていきました。湯船に浸かりますと、食塩泉や重曹泉らしいツルスベ浴感が肌を滑らかにしてくれると同時に、土類泉らしい引っかかりも拮抗して肌に伝わりました。分析書の上では含重曹・食塩泉という泉質になりますが、炭酸水素イオンが温泉中に少々含まれるカルシウムなどと反応してしまうため、単なる重曹ではなく、塩化土類泉のような性格も持ち合わせているように思われました。


 
内湯から屋外へ出ると、屋根に覆われた露天風呂となります。この日は冬なのに穏やかな天候でしたから、ゆったりのんびりと雪見風呂を楽しむことができました。露天は岩風呂で大体5~6人サイズといったところでしょうか。


 
湯口からはドバドバとお湯が大量投入されており、湯船を満たしたお湯は湯尻の排水口からどんどん捨てられていました。内湯同様に完全掛け流しであり、お湯のコンディションは良好です。


 
露天からの景色はこんな感じ。周囲は塀で囲まれていますが、塀までスペースが確保されているため圧迫感はなく、塀越しに周囲の丘陵が見渡せ、なかなかの開放感が得られました。



湯上がり後は、館内の味処「米里」にてランチをいただきました。注文したのはその週のランチメニューであった「豚カルビ丼」。コーヒー付きで750円。うまかったですよ。

私が利用したのは平日の昼間でしたが、浴室には常時10人以上のお客さんがいらっしゃり、人気の高さが窺えました。広くて使い勝手が良く、しかもお湯も良いため、地元の方々にとっては欠かせない憩いの場として機能しているようです。また、北空知エリアには掛け流しの温泉施設が少ないので、温泉巡りを趣味にする私のような者にとっても貴重な存在です。


 
往路は路線バスを利用しましたが、帰り道は歩いて妹背牛駅へ向かうことにしました。「ペペル」から妹背牛駅まで、私の足で13分。ほぼ一本道ですから、迷うことなくたどり着けました。駅は無人ですが、待合室の脇には昨年流行ったディズニーアニメの某キャラが立って、乗降客を見守っていました。


 
 
なんと妹背牛駅のホームは未舗装。砂利敷きなんですね。この駅から普通列車で岩見沢方面へと向かいました。


妹背牛1号井と2号井の混合井
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 44.2℃ pH7.3 湧出量未記載(動力揚湯) 溶存物質2.152g/kg 成分総計2.218g/kg
Na+:597.0mg(88.11mval%), Mg++:12.4mg, Ca++:24.2mg, Fe++:0.4mg,
Cl-:786.0mg(73.74mval%), HCO3-:479.6mg(26.14mval%),
H2SiO3:185.4mg, HBO2:22.0mg, CO2:66.0mg,
(平成20年10月10日)
加水・加温・循環・消毒なし

JR函館本線・妹背牛駅より徒歩15分(約1.3km)、もしくは空知中央バスの深滝線(雨竜経由)等で「妹背牛」バス停下車徒歩7~8分
北海道雨竜郡妹背牛町字妹背牛5208-1  地図
TEL 0164-32-4141
施設紹介ページ(妹背牛町公式サイト内)

10:00~22:00 無休
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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豊富温泉 ふれあいセンター 後編(湯治用浴室)

2016年05月02日 | 北海道
前回記事「豊富温泉 ふれあいセンター 前編(一般浴場)」の続編です


「一般浴場」の温泉で油まみれになった私は、続いて「湯治用」のお風呂も利用させていただくことに。
この「湯治用」のお風呂は文字通り、豊富温泉で長期滞在している湯治客のためのお風呂です。油を多く含む豊富温泉のお湯は、皮膚疾患、特にアトピーや乾癬に効能があると言われており、わざわざ遠方からこのお湯を求めてやってくる方もいらっしゃるほどです。従いまして、基本的に観光客や一般の入浴利用客向けのお風呂ではないことを、あらかじめご承知おきください。


 
湯治用のお風呂は、豊富温泉の各施設にあるお風呂の中でも、最も濃い状態のお湯が張られています。そのため脱衣室の暖簾をくぐった瞬間に、強い石油臭が鼻を突いてきました。脱衣室は「一般浴場」と比べて実用的ですが、まずまずの広さと明るさが確保されており、たくさんのカゴが用意され、ロッカーやドライヤーなども備え付けられています。また湯上がりに休めるようにベンチなども設置されていました。湯治という言葉を聞くと、地味で質素で鄙びた施設を想像してしまいますが、ここは備品類が充実しており、昔からの湯治という言葉が有する固定概念を見事に覆してくれます。


 
室内には油についての説明が掲示されていました。温泉の石油は古くから火傷や皮膚疾患に効能があると言われているんだそうです。後述しますが、浴室内にはお風呂から抽出した石油がボトルに詰められており、任意で肌に塗ることができます。


 
浴室は天井が高くて広々としており、昔ながらの湯治のお風呂にありがちな陰気な印象はなく、明るく開放的です。壁には山を描いたタイル絵が施されているのですが、場所柄、おそらく利尻富士をイメージしているのだろうと思われます。室内には計7基のシャワー付きカランが左右に分かれて設置されており、ボディーソープなども備え付けられています。
また、窓側には2つの浴槽が設けられており、向かって右側の小さな槽はぬるいお湯、左側の大きな槽は10人弱同時に入れそうなキャパを有する温泉槽です。


 
上画像で写っているポンプ式ボトルに詰められているのが、脱衣室で掲示されていた「温泉石油」です。温泉とともに湧いてくる石油を掬って集めたものです。ポンプを押して手に油を取り、皮膚疾患の患部へ塗るわけですね。ただ、濃厚な石油であり、油に対し肌がどのような反応を示すか個人の体質によって様々です。「ふれあいセンター」の2階には湯治の相談に乗ってくれるコンシェルジュがいらっしゃいますから、油を塗る前にはコンシェルジュの方に確認してみると宜しいかと思います。


 
さて、温泉槽へと入ってみましょう。「一般浴場」のお湯と同じく、源泉温度が低いために加温されているのですが、じっくり長湯してもらうため加温は抑えられており、(私の体感で)湯口では42℃前後でしたが、湯船では38℃程の湯加減になっていました。湯口のまわりに置かれている鎖状の黒いソーセージみたいなものはオイルフェンス。湯口から出てくる石油が多い時は、オイルフェンスで湯口周りの湯面を囲うんだそうですが、この日はそこまで多くなかったため、湯口の奥へ片付けられていました。

湯船のお湯はラクダ色に強く濁り、湯面では油がギトギトと浮かんでいます。また湯中では同色の湯の華も浮遊しています。お湯から強い石油臭のほか、アンモニア臭やヨード臭などの刺激臭が放たれ、浴室内に充満しているのは「一般浴場」と同様ですが、やはりこちらはその匂いの程度が強く、入室直後で匂いに慣れないうちは、頭がクラクラしそうになります。苦味を伴う塩辛味もやはり「一般浴場」と同様ですが、こちらのお湯の場合は、口に含むだけで口腔内がギトギトします。また湯船に入ると、槽内に触れた肌が油でベタツキ、この油のため、入浴中の肌はお湯を思いっきり弾いていました。浴感としては、ヌルツルスベなんてものではなく、ヌトヌト・ベタベタ・ギトギトといった擬態語がぴったり。湯上がり後もしばらくは全身から石油臭が漂い続けました。またぬるめの湯加減ですが、濃厚な食塩泉ゆえパワフルに温まり、風呂上がりはダウンコートを着るのが躊躇われたほど、力強い温浴効果が続きました。


●温泉街と源泉設備

この記事の最後に、豊富温泉の温泉街について簡単に触れておきましょう。今回私が訪れたのは2015年12月。圧雪路面の一本道の両側に数軒の宿や民間などが並び、上画像の手前側には「ふれあいセンター」があります。画像の左手奥にそびえるマンションらしき建物は、近年新規移転された「湯快宿」という町営の自炊型湯治宿です。乾癬やアトピーなど皮膚疾患の湯治目的で2泊以上宿泊する方が利用でき、長期滞在するためのひと通りの設備も用意されています。もちろん宿泊料金は安価設定。館内にバストイレはあるものの、温泉は引かれていないため、ここに滞在している湯治客は、「ふれあいセンター」の湯治用浴室へ通うことになります。詳しくは豊富温泉公式サイトをご覧ください。


 
私が訪れた時、「川島旅館」はまだ建設途中でしたが、でも、もうすぐ(2016年7月)オープンの予定です。詳しくは公式サイトでご確認を。公式サイト内の画像を見る限り、かなりオシャレなお宿に生まれ変わるようですね。


 
「ふれあいセンター」に隣接している豊富鉱山は天然ガス採掘施設。町の資料によれば、メタン含有率 92%の良質な天然ガスが1日あたり約7,000立米(灯油換算で7000リットル相当)も産出されているんだそうです。そんなガス田の構内に温泉の源泉もあります。というか温泉と一緒に天然ガスが産出されているんですよね。


 
そもそも豊富温泉は大正時代に油田を試掘していた際、天然ガスと一緒に湧出した温泉であり、それゆえ、温泉に石油が含まれるのはもちろんのこと、いまだに天然ガスも採掘しているわけです。かつて、産出された天然ガスは温泉旅館などで使われていましたが、温泉利用客の減少などにより天然ガス利用量も減り、未利用のガスが年々増えて問題となっていました。そこで町では2010年頃にコージェネレーションシステムを導入し、余剰天然ガスの有効活用を図ることになりました。具体的には、余剰天然ガスでガスエンジンを回し、その熱で温泉を温めて入浴施設へお湯を供給するとともに、エンジンで発電を行い、その電力によって源泉のポンプを運転させています。豊富の地だからこそ可能なエネルギーの地産地消です。


 
敷地内にはこんな感じでいくつもの鉱井が地面から突き出ています。右(下)の鉱井は「R1A号井」。この源泉からポンプアップされた温泉は、他源泉のお湯とブレンドされた上で「ふれあいセンター」のお風呂で使われています。


 
敷地内には緑色に塗られたタンク類が林立しており、その奥には「R-1号井」と書かれた鉱井も見えました。


R-1A号井・R-4号井・R-10号井・R-11号井混合
含よう素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 18.0℃ pH8.0 溶存物質12.29g/kg 成分総計12.37g/kg
Na+:4116mg(98.13mval%), NH4+:16.0mg, Ca++:19.8mg,
Cl-:4536mg(71.02mval%), Br-:11.9mg, I-:11.4mg, HS-:0.3mg, HCO3-:3121mg(28.40mval%), CO3--:23.6mg,
H2SiO3:43.9mg, HBO2:354.0mg, CO2:78.7mg,
(平成27年11月18日)
加温あり(入浴に適した温度にするため)

JR宗谷本線・豊富駅もしくは幌延駅から沿岸バスの豊富留萌線で「ふれあいセンター」バス停下車すぐ
北海道天塩郡豊富町字温泉  地図
0162-82-1777

8:30~21:00(受付20:30まで) 元日および整備日(毎年4月10日前後の4日間)休業、年末年始は短縮営業
510円(毎月26日は250円)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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豊富温泉 ふれあいセンター 前編(一般浴場)

2016年05月01日 | 北海道
 
豊富温泉の公営日帰り入浴専門施設「ふれあいセンター」は、当温泉を代表する施設。まっすぐ伸びる温泉街の突き当たりに位置しており、左手には天然ガス田や温泉の源泉施設が武骨な姿を見せています。私は閉館の1時間前に入館しました。個人的には約10年ぶりの再訪なのですが、前回訪問時は同行者がおり、マニア的な湯浴みができなかったので、この度の再訪ではたっぷりマニア視線で利用させていただくことにしました。
なお館内には食堂があり、ランチや夕食を摂ることも可能です。


 
食堂を右手に見ながら廊下を奥へ進んで浴室へと向かいます。館内には「一般浴場」と「湯治用」という2種類の浴室があり、それぞれ男女別の内湯となっています。入浴目的の一般客・観光客は「一般浴場」を、皮膚疾患等を治したいために長期滞在している湯治客は「湯治用」を利用することになります。


 
まずは一般浴場から利用することに。


 
広々とした脱衣室には、棚や籠がたくさん用意されており、それらとは別にロッカーも設置されています。棚が置かれているパーテーションの裏側には、洗面台が並んでおり、ドライヤーも備え付けられていました。室内の造りは古いものの、手入れが行き届いており、気持ちよく使うことができました。


 
浴室へ入った途端、ものすごい石油臭に見舞われ、臭いの刺激があまりに強いため、目はショボショボ、頭はクラクラ。石油臭の攻撃に私の体は早くもノックアウト寸前です。男湯の場合、浴室へ入って右手の窓側に大きな浴槽が据えられており、日中は明るい環境で湯浴みすることができるかと思います。浴槽は長さ9mの長方形なのですが、隣の女湯に接している部分だけ浴場棟は曲線を描いているため、その建物の形状に合わせて浴槽もちょっと屈折しています。


 
浴槽とは反対側(つまり左側)に洗い場ゾーンが配置されており、計14基のシャワー付きカランが洗い場ゾーンを囲むように取り付けられています。各カランにはボディーソープやシャンプーが備え付けられていますが、一度湯船に入った後にこうした石鹸類を使おうとすると、温泉に含まれる石油が肌に付着してしまうため、石鹸が油分に反応しちゃって泡立ちがめちゃくちゃ悪くなっちゃいます。従いまして、このお風呂では、湯船へ入る前に、ボディーソープやシャンプーなどを済ませておきましょう。とはいえ、湯上がりに肌に着いた油のギトギトを洗い流したければ、泡立ちにくいボディーソープで根気よく油を落とすことになりますけどね…。



湯口から注がれるお湯はちょっと熱めに加温された上で供給されています。湯口に鼻を近づけようとすると、案の定、強烈な油臭の返り討ちに遭って、思いっきり咽せ返してしまいました。単なる石油臭だけではなく、アンモニア、そしてヨウ素や臭素などのハロゲン系の刺激臭も混在しているように思われます。このお湯を口に含んでみますと、強烈な塩辛さと苦味が口腔の粘膜を思いっきり刺激しました。


 
お湯の投入量は決して多くないものの、循環なしの放流式の湯使いとなっており、浴槽縁からしっかりとお湯が溢れ出ていました。そのオーバーフローは室内の床を温泉成分の析出で覆い尽くし、床に敷かれているタイルは元の色がわからないほどベージュ色に染まっています。そして成分付着が幾重にも層を成すことによって、床の表面は凸凹になっていました。


 
浴槽のお湯もベージュ色(というかラクダ色)に濁っており、透明度は15~20cmで、底面は全く見えません。湯面には油膜がキラキラと輝きながら浮かんでいます。湯船に浸かって腰を下ろすと、槽内に触れたお尻や大腿など肌の一部が、沈殿に含まれる油によってギトギトします。とにかく油がすごいのです。
お湯の濁りの原因は、湯の中を浮遊する無数の微細な湯の花。この湯の花は滓となって浴槽縁に沈殿しており、指でなぞってみたら、温泉マークが描けちゃいました。

「一般浴場」ですら豊富温泉の石油的特徴は強烈に感じられるのですが、この浴場は「湯治用」のお風呂の方がもっとすごいので、続いて「湯治用」のお風呂も利用してみることにしました。

次回(後編)に続く。
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