温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

水安堡温泉への道

2020年01月31日 | 韓国
前回に引き続き韓国の温泉を取り上げます。
私が次に目指したのは、韓国中部の水安堡温泉(スアンボオンチョン)です。


前回記事まで取り上げた釜山からKTX(韓国高速鉄道)で北上し、大田駅で下車します。



次に乗る列車まで時間があるので、一旦駅から出て、駅前に立っているゆるキャラにご挨拶してから街を歩き・・・



食堂でランチを摂って・・・



駅に戻って立派なコンコースで列車の時間までしばらく待機。そして・・・





忠北線の「ムグンファ号」堤川行に乗車します。





長閑な車窓を眺めながら汽車に揺られること1時間40分ほどで忠州駅に到着です。
どうやら駅前から水安堡温泉へ行く路線バスに乗り換えられるらしいですが、バス停を見てもハングルだらけでわかりません。


そこで駅からちょっと離れたショッピングセンター内にある忠州のバスターミナルまで移動し・・・



窓口で人差し指1本(つまり一人)を差し出しながら「スアンボ」と告げたところ、上に写っているバスチケットを購入することができました。
ちなみに、ソウルから水安堡へは直通のバスが運行されているらしく、釜山からのバスもあるらしいのですが、旅行していた時の私はそんな情報も知らず、やみくもに列車とバスを乗り継いでしまったのでした。


忠州バスターミナル発各方面行の英語版時刻表がありましたので、参考までに掲載いたします(2019年8月現在)


水安堡方面へ行くバスは長距離路線仕様でした。ゆったり座れて快適。


30分ほどで水安堡に到着しました。


温泉街と言うより、ひなびた田舎町といった感じの街並み。


バス通りには温度計を模した外観のビルが建っていました。ここには温泉の公衆浴場があるんですね(後日紹介いたします)。外壁(ガラス窓)の温度計には53度と書かれていますが、これは当地の温泉の湧出温度のようです。火山の無い韓国で50℃以上の温泉が湧くことは大変珍しいのでしょう。


街中にはこのようなモニュメントや・・・


温泉を記念する石碑が閉てられていました。よくわかりませんが、とにかく歴史がある温泉地のようです。


こちらはおそらく貯湯タンクでしょう。このタンクにも53℃の文字が記されています。街中に貯湯タンクがあるということは、当地では温泉のお湯を一括管理して各施設へ配湯しているのかもしれません。


街を流れる川沿いには・・・


足湯を備えた綺麗な公園が整備されていましたが、訪問時、足湯のお湯は抜かれていました。


当地はキジ料理が名物なんだとか。温泉街で営業している食堂の多くでは、店頭にキジの写真やイラストを大きく描いていました。



日が沈むと、温泉街の街路にはこんなイルミネーションが灯されました。でもこの光が温泉街の寂しさをより一層際立たせてしまうのですが・・・

さて、次回記事からは水安堡温泉のお風呂を取り上げてまいります。
コメント (4)
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東莱温泉 マンス湯

2020年01月25日 | 韓国

今回も韓国・釜山近郊の東莱温泉を取り上げます。前回記事で取り上げたのは当地のランドマークである巨大温浴施設「虚心庁」でしたが、それとは対照的に路地に沿ってひっそりと佇む地元民向けの小さな温泉公衆浴場「マンス湯(만수탕)」が今回の主役です。



路地に面して番台があり、その番台を挟んで男女の入り口が左右に分かれています。ハングルだらけなので韓国であると判断できますが、この正面の佇まいだけを見たら、日本の地方にある温泉銭湯と見紛っても不自然ではありません。土地の香りを強く漂わせる地元密着型の銭湯なのでしょう。



こちらは番台に掲示された料金表です。これによれば7000ウォンで、営業時間は5:00~20:00とのこと。小さいながら日本語や英語・中国語の表記もあります。



浴舎の外壁には、天然温泉であることを示すプレートが掲示されていました。スマホの翻訳機能によれば、「温泉」と書かれているんだそうです。かつて日本の統治を受けていた影響か、韓国では日本と同じく温泉マークが使われていますが、このマークが使われているからと言って必ずしも温泉を意味しているとは限らず、温泉ではない温浴施設や宿泊施設、そして俗語としての所謂「逆さクラゲ」(つまり連れ込み旅館)を指すこともあったため、温泉関係機関が温泉だけにつかえるサインとして新しく制定したのが、上画像に写っている青くて丸い意匠のサインなんだそうです。温泉マークが「逆さクラゲ」という隠語として用いられるなど、温泉以外を意味してしまうのは、昭和の日本でも同じでしたね。



さて湯銭を払って脱衣室へ。6畳ほどの室内は、コンパクトながらも必要な物がギュッと詰め込まれている感じ。ロッカーは数こそ少ないものの、ちゃんと施錠できますし、扇風機やドライヤーなども備え付けられています。



洗面台まわりにはアメニティと称すべき物が所狭しと並べられています。洗面台の中に詰め込まれているのは、おそらくお客さん用の垢擦りタオルなのでしょう。おそらくこれらは客が使って良いものなのでしょうけど、個人所有物のような感が強くて私は手が出せませんでした。



外観から容易に想像できるように浴室はコンパクトな造りで、鹿児島辺りの小さな温泉共同浴場を思い起こさせるような渋い
すが、それでも浴槽や洗い場のほか、後述するような設備が一式揃っており、小さいながらも充実しています。



洗い場にはシャワー付き水栓の他、カランの代わりにお湯が汲める小さくて細長い槽も設けられています。断定はできませんが、おそらくシャワーから出てくるお湯は温泉ではないかと推測されます。



洗い場の後ろには垢すり台のほか、黄色い円盤が側面に取り付けられた摩訶不思議な青い箱形の装置が置かれていました。黄色い円盤には垢すりで使うような目の粗い布が巻かれていましたので、けだし自動垢すり機ではないかと思われます。小さなお風呂なのに垢すり設備が用意されているところに、韓国らしさを強く感じます。なお垢すり台の左側にある出入口はサウナなのですが使用停止中でした。



浴槽は2つあり、ちょっと大きい右側がメインの浴槽です。メインと言ってもそのキャパは3~4人ほど。一方、左側は水風呂で1~2人サイズ。小さい浴場ながら、サウナ(休止中)と水風呂を備え持っているのですね。これぞ韓国の銭湯スタイルと言うべきなのでしょう。



右側のメイン槽には温泉が張られています。溜め湯式と称すべき湯使いで、私が入室した時にはお湯が止まっていたのですが・・・



コックを開けると熱い温泉が勢いよく吐出され、浴槽の縁からしっかりとオーバーフローしていきました。浴槽内で循環装置などは見当たらなかったため、お湯を出すことにより掛け流し状態となるわけです。しかしながらコックから出てくるお湯はかなり熱く、開けっ放しだと湯船に入れなくなってしまうので、基本的には常時お湯を溜めてコックを締めておき、必要に応じて適宜開けるスタイルをとっているのでしょう。とはいえ加水も可能ですから、もしお湯を入れ過ぎて湯船が熱くなっちゃったら、加水すれば問題ありません。

お湯は無色透明無味無臭の癖が無いアッサリしたお湯ですが、何となく重曹泉のような感触を得られたように記憶しています。なにしろ鮮度の良いお湯が注がれる為、同じ東莱温泉でも前回記事の「虚心庁」や前々回記事の「大盛館ホテル」などのお風呂よりもはるかに浴感がよく、個性が掴みにくいタイプのお湯でありながら、お湯の良さや特徴が優しく心身に伝わってきました。



館内には東莱温泉の特徴が掲示されていました。これによれば源泉温度は55~68℃で、泉質は弱アルカリ性の食塩泉とのこと。食塩泉といっても、含まれる食塩の量はかなり少ないのではないでしょうか。それはともかく、当地でこんな鄙びて味わい深く、しかもお湯が良い銭湯に出逢えるとは想像だにしていませんでした。

私がお風呂から上がると、外で何やら仕事をしていた番台のおばちゃんが声をかけてくれました。曰く、こちらは1966年創業で、おばちゃんのお母さんか親族の方が日本に住んでいたそうです。写真撮影大歓迎とのことで、外観から内部までしっかり撮らせていただき、その上、お土産までくださいました。おばちゃん、ありがとう!



釜山広域市東莱区

5:00~20:00
7000ウォン
ロッカー・石鹸・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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東莱温泉 虚心庁

2020年01月22日 | 韓国
前回に引き続き、韓国・釜山の歴史ある奥座敷、東莱温泉を巡ります。


今回訪れたのは、東莱温泉のランドマークと言うべき巨大温浴施設である「虚心庁(허심청)」です。観光ガイドブックやパンフレットで紹介されているのはもちろんのこと、多くの日本人客がここを訪れているため、ネット上でたくさんの訪問記を見ることができます。東莱温泉を訪れて「虚心庁」を訪ねないのは、草津温泉へ行って湯畑を見ないのと同意義であるような気がしたので、大きな施設があまり好きでない私も今回ばかりは訪ねてみることにしたのです。



「虚心庁」は、これまたご当地の巨大ホテルである「農心ホテル」の付帯施設であり、両者は連絡通路でつながっています。農心といえば日本でもインスタント麺の「辛ラーメン」でおなじみの企業ですね。



こちらが「虚心庁」の入口。まるでシティーホテルや大規模結婚式会場のような佇まいです。



温浴施設と思えないほど立派な吹抜けの1階ホールに圧倒されてしまいました。



その1階ではパン屋さんの他、上画像の日本料理店が営業していました。この日本料理店のみならず、館内には日本を思わせるようなものが散見されるのですが、農心の創業者(辛春浩氏)の実兄は先日亡くなったロッテ創業者の重光武雄(辛格浩)氏ですから、日本とは浅からぬ縁があり、それゆえ韓国文化の中に日本の色も加えたハイブリッドな雰囲気づくりを目指していたのかもしれません・・・



そんなことを勝手に想像しながら、吹抜けのホールからエスカレーターで2階へ上がってゆくと・・・



「最高の温泉 虚心庁へようこそ」という大きな文字がお出迎え。



大きな文字の先には綺麗な飲食コーナーが広がっていました。さすが食料品メーカーが経営母体だけあり、飲食に関してはしっかりしているようです。ここから更に上がって受付へ。
こちらでは利用料金を退館時に一括で支払う方式を採用しています。まず受付で番号付きのロッカーキー(電子錠)を受け取ります。このロッカーキーは下足箱の鍵も兼ねていますから、指定された下足箱に靴を収め中へと入ります。

横に長い脱衣室には非常にたくさんのロッカーがズラリと並んでおり、その数にも圧倒されました。「虚心庁」は男女合わせて3000人を収容できるんだそうですが、なるほど十分賄え余りあるほどの数が揃っているのではいないかと思われます。なお更衣室内の専用カウンターにて追加料金を支払えばチムジルバンの利用も可能であり(専用の館内着が渡されます)、こちらを訪れるお客さんの多くはチムジルバンも一緒に利用しているようでしたが、私は今回チムジルバンを利用せず温泉入浴のみでしたので、更衣室で全てを脱ぎ、すっぽんぽんで浴場へと向かいました。

以下、浴場内の画像は公式サイトから拝借しました。


総面積約1300坪にも及ぶという超巨大浴場に、三たび圧倒される私。普段は日本の小さなお風呂でせせこましく湯浴みしているので、こちらのような巨大すぎるお風呂に直面するとどうしてよいかわからず、しばらくその場で呆然と立ちつくしてしまいました。でかい。でかすぎる!
大きなドームが印象的な巨大浴場内には趣向を凝らした40種類近い浴槽があるんだとか。どこから入るべきか迷ってしまいますね。当然ながら洗い場もあり、多くのシャワー付きカランが設けられています。



このような洞窟風呂があったり、露天風呂があったり、薬湯があったり、あかすりやサウナがあったり、ドリンクなどが注文できる売店があったり・・・



そして日本の温泉を彷彿とされるような檜風呂があったりと、実に多種多用。ちなみにこの檜風呂は数多ある浴槽の中で(おそらく)最も熱い湯加減に設定されており、私の訪問時には体感で44~45℃はあったかと思われました。

なおドーム真下にある最も大きな中央の主浴槽には温泉に関する説明が記されており、これによれば46~60℃の自家源泉を5本所有しており、そこから汲み上げられる温泉は日量1000トン。地下の貯蔵タンクで一旦冷ましてから各浴槽へ供給しているんだそうです。さてその温泉のお湯に関してですが、無味無臭で無味無臭。さらっとしているものの、特段これといった個性的浴感があるわけでもなく、掴みどころに欠けるお湯でした。湯使いもよくわからないので、お湯に対して評価しにくいのですが、でも巨大ゆえにゆとりがあり、いろんなニーズに応えられる浴槽が用意されているため、時間を忘れてゆったりのんびりと過ごし、心身を日々の喧騒から解放して、まさに虚心の状態になれることは間違いありません。かく言う私も場内で垢すりの施術を受け、サウナにも入り、そして多様な浴槽につかって、気づけば全身すっきりシャッキリして、より一層男に磨きがかかったような気がしました(あくまで自己認識に基づく比較)。ま、そんな戯言はともかく、釜山へ出かけたならば一度は訪れる価値がある面白い施設でした。


●東莱温泉の街並み
「虚心庁」について充実した記事が書けなかったので、内容を補うため、温泉街の様子を簡単にご紹介します。


東莱温泉の温泉街。
温泉ホテルが立ち並んでいるほか、飲食店なども多く集まり、いわゆる歓楽街らしい街並みが形成されています。



温泉街の中心部には温泉の公衆浴場も多く、誰でも気軽に入浴できます。温泉マニアでしたら、ついついハシゴ入浴したくなるような環境です。



色鮮やかなネオンきらめく夜の温泉街。みんなでワイワイ飲む店もあれば、おじさんが鼻の下を伸ばす店もあり、小洒落たカフェがあれば、庶民的な露店もあったりと、いろんな側面を持つ面白い街でした。



お風呂上がりにグビグビ喉を鳴らしたかった私は、宿泊先の近くで見つけた小さなビアバーに入り、クラフトビールをいただきました。おいしかったですよ!




翌朝、温泉街を散歩していると「温泉理想郷」という名称の足湯を発見。見つけた時は残念ながら営業時間外でしたが、空いていれば無料で利用できるようです。営業時間は10:00~17:00(11月~2月は16:00まで)で毎週火曜が定休。なお入口付近には、ちゃんと日本語表記の案内も掲示されていました。




温泉街中心部にも足湯がありました。その名も「東莱温泉露天足浴湯」。ありがたいことに漢字表記です。営業時間は上の「温泉理想郷」と同じですが定休日が異なり、こちらは毎週水曜と金曜がお休みなんだとか。

さて次回記事は東莱温泉で私が最も心を掴まれた温泉公衆浴場を取り上げます。


(以下、「虚心庁」のデータ)


釜山広域市東莱区金剛公園路20番路23
051-550-2100
ホームページ(日本語)

温泉5:30~24:00 (受付23:30終了)  年中無休
平日10000ウォン・休日12000ウォン(チムジルバン使用時は2000ウォン追加)

私の好み:★★
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東莱温泉 大盛館温泉ホテル

2020年01月17日 | 韓国

前回記事に引き続き韓国・釜山近郊の温泉を巡ります。前回記事で取り上げた海雲台温泉の最寄である海雲台駅から地下鉄に乗り、途中で1号線に乗り換えて釜山屈指の有名温泉地である東莱温泉(トンネオンチョン。동래온천)へとやってまいりました。都心部では地下を走行する1号線も、郊外では地上を走るんですね。




温泉最寄りの地下鉄駅はその名も「温泉場駅」。なんてわかりやすいストレートな名称なんでしょう。釜山の地下鉄に限らず韓国の鉄道は駅名標に漢字表記があるので、私のようにハングルが読めない日本人でも心配なく利用できます。



東莱温泉は朝鮮半島屈指の歴史を有する温泉地。どうやら新羅の時代まで遡れるらしいのですが、温泉地として発展しはじめたのは李氏朝鮮末期から日本統治時代にかけての頃らしく、温泉場駅構内には古い写真や資料によって東莱温泉の歴史が説明されていました。



当地には「農心ホテル」という非常に大規模なホテルをはじめ、大小様々な宿泊施設が営業しているのですが、今回一泊お世話になったのは中規模の「大盛館温泉ホテル(대성관 온천호텔)」です。公式サイトで記されている紹介文のハングル表記をGoogle翻訳で日本語にしたところ、「大盛ホテルは最初に温泉水を使用した(旧)一番湯の新築です」というあやふやな文章が表示されたのですが、どうやらかつてここには「一番湯(제일탕)」という公衆浴場があったんだそうです。この「一番湯」は当地ではじめて温泉のお湯をつかった公衆浴場として1923年に創業したらしく、その跡地で数年前に新規開業したのが「大盛館温泉ホテル」。ホテルの外壁に書かれた"SINCE 1923"とは「一番湯」のことなのでしょう。公衆浴場跡地に建てられたこの新しいホテルではどんなお湯に出会えるのでしょうか。



外壁に大きく宿の名前が書かれている二つの通りの角には飲食店があるのですが、お宿の入口が見当たりません。どこから中に入れば良いのかしら、と辺りをウロウロしながら裏側に回ると、ようやく入口を見つけました。でも入口は左右にひとつずつあり、どれが正解なのか・・・。一か八かで右側に入ってみたら、正解でした。ハングルが読めたらこんな苦労はしなかったんでしょうけど・・・。なお(画像には写っていませんが)左側の入口は公衆浴場用の入口です。



フロントの方は物腰柔らかく、丁寧に対応してくださいました。エレベーターで今回お世話になる部屋がある階層へ上がると、明るいながらも落ち着いた廊下からは、アジアらしい雰囲気を醸し出す竹の中庭が見下ろせ、ちょっとした高級ホテルのような雰囲気が感じられました。



さすがに新しいホテルだけあり、お部屋は綺麗で快適。いろんな備品も揃っています。



大きいベッドはいくらでも寝返りし放題。



水回りのお部屋も綺麗で広く使い勝手良好です。しかも大きなバスタブが用意されているので、日本のビジネスホテルみたいに窮屈な思いをせずに利用することができました。なお公式サイトによれば「全客室温泉水100%使用」とのこと。ということは、客室から出なくても温泉を享受できちゃうわけですが、せっかくですから大浴場でのびのびと温泉入浴したいものですね。そこで早速お風呂へいくことにしました。

大浴場へ行くには、一旦フロントまで下り、そこで宿泊客用の入浴チケットをもらいます。そしてドアを隔てた隣の部屋にある入浴専用受付でチケットを渡すと、引き換えにロッカーキー(下足箱の鍵と兼用)と入浴券が手渡されます。女湯は2階、男湯は3階。それぞれエレベーターであがります。
ここで注意を要するのが利用時間。こちらに限らず、一般的に韓国の温泉ホテルでは大浴場の利用終了時間が早く、20:00や21:00前後で閉まってしまうことが多いようです。ちなみにこちらの施設は20:30でした。韓国で夜に温泉大浴場を利用する際には、予め時間を確認しておかないと、お風呂に入りそびれてしまうかもしれません。


以下の画像は、一部を除き公式サイトから拝借しました。


エレベーターで3階にあがり脱衣室に入って、専用の箱に入浴券を入れます。ウッディな脱衣室は広くて快適。
なお脱衣室の浴場出入口付近にはタオルがたくさん積んでありますから、そこから自由に取って使って構いません。もちろん客室からタオルを持っていったり持参する必要もありません。



脱衣室の腰掛けでは、上画像のように茹で卵が売られていました。不勉強にも私はいままで知らなかったのですが、韓国の温浴施設やチムジルバンでは、このように茹で卵や燻製卵が当たり前のように売られているんですね。ご当地ならではの入浴文化のひとつと言えるでしょう。



床に石板タイル、天井に木材が用いられ、落ち着きと和らぎをもたらしてくれる浴場内はとても広くて開放的。ストレスなく伸び伸び利用できます。男湯の場合は、入って左側に洗い場が配置されており、シャワー付きカランがたくさん設けられています。しかも各ブースが仕切られている上、一つ一つが広いので使いやすいのも嬉しい点。なお画像には写っていませんが、浴室の右側にはトイレ、垢擦り場、水風呂、そしてサウナなどが配置されています。



浴場の中央には、約5メートル四方の正方形をやや歪ませたような形状の主浴槽がひとつと、その3分の1にサイズダウンした浴槽ひとつが隣り合っています。両者の違いはサイズだけでなく湯加減も異なり、前者は42℃という入りやすい温度である一方、後者はちょっと熱めの45℃でした。浴槽に張られている温泉は無色透明無味無臭という癖のないアッサリとしたタイプのお湯です。日本で例えるならば四国の道後温泉に似たタイプと表現できるかもしれません。前者の浴槽からはお湯がオーバーフローしていましたが、おそらく相当加水しており、それに伴う溢れ出しなのではないかと推測されます。湯使いについては説明が無かったので不明です。

なお日本語版Wikipediaによる「東莱温泉」の説明によれば「日本の有馬温泉と共通点がある」とのことですが、たしかに都市の近郊に歴史ある大きな温泉街が存在している点こそ共通しているものの、お湯の質に関しては真逆の性質であり、有馬は非常に高温で塩気や金気が強い濁り湯である一方、こちらの東莱温泉は無色透明無味無臭で、今までいろんな温泉に入っている経験豊かな私ですら真湯との区別がつくにくいほど個性の掴みどころに困るお湯でした。かといって、浴槽に張られているお湯が偽物だと申し上げているわけではございません。次回もしくは次々回で取り上げる私好みの浴場で出会った素晴らしいお湯もこちらと同様の知覚的特徴を有していましたので、東莱温泉のお湯は元々そのような主張の少ないタイプなのでしょう。あくまで私見ですが、長い歴史を有し且つ都市の奥座敷である、そして無色透明ほぼ無味無臭の温泉という共通点を持つ日韓の温泉地を挙げるならば、東莱温泉と日本の道後温泉(松山市)が相応しいのではないかと思います。



ちなみに浴室の奥には半露天風呂があり、浴槽は4~5人サイズで、視界が開ける側に竹の柵を立てて目隠ししていました。こちらにも温泉が張られています。全裸入浴できる外国のお風呂で、外気を感じながら入浴できる施設は少ないですから、この半露天風呂はかなり貴重な存在と言えましょう。

新しいお宿だけあって客室からパブリックスペースまでどこも綺麗且つスタイリッシュですし、使い勝手もよく、それでいてリーズナブル。しかも客室に温泉が引かれている上、泊まれば温泉大浴場に無料で利用できるのですから、利用価値が高い温泉ホテルと評価できるのではないでしょうか。おそらく素泊まりしかできないかと思いますが、周囲には飲食店が多く、朝から営業しているカフェもありますので、食事に困ることもありませんでした。

次回記事からは東莱温泉の他のお風呂にも入ってみます。



釜山広域市東莱区金剛路124番ギル19
(부산광역시 동래구 금강로124번길 19 대성빌딩 )
051-555-3343

入浴利用5:00~20:30(宿泊客も同じ時間帯)
7000ウォン
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★
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海雲台温泉 海雲台温泉センター

2020年01月13日 | 韓国
前回に引き続き、韓国・釜山の海雲台温泉を巡ります。
今回訪ねるのは、当地で最も有名な温泉入浴施設である「海雲台温泉(ヘウンデオンチョン)センター(해운대온천센터)」です。この施設名で検索すると、ネット上にはたくさんの情報や訪問記が表示されますので、いかに多くの日本人がここを利用しているかがわかります。今回はそんな日本人観光客たちの尻馬に乗っかろうという魂胆です。先達の轍がはっきりしていると不慣れな者でも後を追いかけやすいので、不安感に苛まれず気楽に楽しめますもんね。



海雲台の市街中心部には区役所がありますが、その前に聳える立派なビルディングが今回の目的地です。一見しただけでは温泉入浴施設であるとはわかりませんね。



スマホの翻訳機能に依ると、1階入口にはハングルで「海雲台温泉センター」と書かれているようです。大きな建物だけあって、内部には温浴施設の他にもいろんなテナントが入っており、例えばエントランスホールにはカフェが営業していて、どこにも温泉の受付らしいものが見当たりません。それもそのはず、お風呂の入りたければエレベータで4階へ上がらなくてはならないんですね。でも今回の私は大丈夫。事前に日本人旅行者の記事を調べておいたので、迷うことなくスマートにエレベータの「4」のボタンを押すことができました。先達の皆さん、ありがとう!



4階でエレベーターを降りると、目の前に大きな受付カウンターがあり、そこでまず料金を支払います。利用する設備により料金が異なり、入浴のみは8000ウォン、チムジルバンを付けると日中は10000ウォン、午後5時以降は13000ウォンとなります。今回私は入浴のみの利用とさせていただきました。8000ウォンを支払うとレシートが手渡されるので、男性の場合はこれを持ってさらにエレベーターか階段で1フロア上がります(女性は受付と同じ4階に浴場があります)。



5階の男湯入口です。ここを入ってすぐのところで待機しているおじさんに、先ほど手にしたレシートを手渡し、奥へと進みます。脱衣室内は大変広く、ロッカーもたくさん用意されていますので、任意のロッカーを使って着替えましょう。チムジルバンを利用する方もここでチムジル服に着替えます。



脱衣室内には温泉の掘削や源泉揚湯の位置を示す図が掲示されていました。私はハングルが全く読めないので何を解説しているのかチンプンカンプンなのですが、どうやら300m地下から温泉を汲み上げていると書かれているようです(もし間違っていたらご指摘ください)。



場内は多くのお客さんで賑わっていましたので、公式サイトから画像を拝借致しました。釜山のみなさんはお風呂が大好きなんですね。浴場内は大変広く、まずその広さにびっくり。入って右側に垢すり場が配置され、その奥右側にはたくさんのシャワー付きカランが設置された洗い場があります。また浴場左側にも立って使うシャワーがズラリと並んでいます。シャワーから出てくるお湯からは薄い塩味が感じられましたから、おそらく温泉のお湯が使われているのでしょう。



なにしろ場内は広いので、複数の浴槽が堂々たる構えで設けられています。洗い場近くの場内中央には、正方形の温泉浴槽が3つ隣り合っており、それぞれ温度別に40、42、45℃といったように分かれています。いずれの浴槽にも温泉が張られており、40℃と42℃の槽ではボコボコと泡風呂装置が稼働していました。一方、45℃の浴槽は熱すぎて誰も入っておらず、ちょっと勿体ない感じ。
これらの浴槽に張られているお湯は無色透明無臭で甘塩味が感じられ、湯中ではツルスベの滑らかな浴感の中に引っ掛かる感触が混在していました。前回記事の「海雲温泉」と同様に典型的な食塩泉であり、海に近いからと言って海水の影響をダイレクトに受けているわけではなく、地下深くでいろんな要因が混じりあうことで生まれている温泉水であると思われます。なお湯使いについては不明ですが、おそらく循環装置や加温加水など、入浴に適した条件にするため諸々の措置が行われているものと推測されます。

浴槽はこの他、窓側に大きなものが設置されているのですが(上画像)、その大きな浴槽は水風呂であり、仕切りを境に左側が冷たい真水で、右側は誰でも抵抗感無く入れる30℃程度の快適な水風呂です。私が訪れたのは2019年夏の暑い日でしたから、食塩泉のお風呂に入ると温浴効果が強いために発汗が止まらず疲労感を覚えてしまうのですが、この水風呂へ入ることで快適にクールダウンができたため、温泉浴槽と水風呂を何度も往復してしまいました。

水風呂の奥にはサウナがあり、更にその奥からテラス(屋外)に出ることもできますが、目隠しで囲まれているため、残念ながら景色を臨むことはできません。そのかわりチムジルバンがある階層にはウッドデッキの屋上テラスがあるようですから、開放的な空間を求めるならばチムジルバンの利用もおすすめします。いや、それだけでなく、この施設の良さを実感するなら、私のように入浴のみではなく、チムジルバンを利用してゆっくり数時間滞在するのが良いようです。



温浴と水風呂を繰り返し往復して心身爽快になった私は、足取り軽く地下鉄の駅へ歩いて向かいました。往路はバスでしたが、同じルートで帰ってもつまらないので、復路は地下鉄を利用することにしたのです。上画像は駅前の大通り。通りの両サイドには飲食店などたくさんの店が軒を連ね、若者を中心に多くの人で賑わっていました。



温泉センターから徒歩10分強で海雲台の地下鉄駅に到着しました。
さてここから地下鉄を乗り継いで、釜山屈指の有名温泉地である東莱温泉へと向かいます。



釜山広域市海雲台区中洞1378-18
081-740-7000
ホームページ

午前4:00~翌1:00
入浴のみ8000ウォン(その他は本文参照)

私の好み:★★
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