温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塩原・塩の湯温泉 明賀屋本館 その2(内湯)

2022年10月31日 | 栃木県
前回記事の続編です。

さて続いては拙ブログのメインコンテンツであるお風呂について取り上げます。
内湯と露天風呂がありますが、まずは内湯から利用することにします。


傾斜地に沿って建てられているこちらのお宿は、館内設備の利用に際して上下方向の移動が多くなります。内湯は地下1階にありますので、客室があるフロアからエレベータで移動します。なお手前が男湯で奥が女湯。宿泊中に男女の暖簾替えはありませんでした。
脱衣所は飾り気が少なく、一部の照明カバーや壁紙に損傷が見られるものの、まずまずの広さがあって清掃も行き届いており、ロッカーやドライヤーの備え付けもあるので問題なく使用できます。


真冬の寒い日に利用しましたので、浴場内には湯気が立ち込めており、しかも昼間でも薄暗くて独特な雰囲気でした。浴室の右側に浴槽が2つ並び、左側には洗い場が配置され、シャワー付きカランが7つ並んでいます。


2つある浴槽のうち、手前側の小さな方にはご当地の塩の湯源泉が注がれています。いかにも塩原温泉らしい塩化土類泉の濁り湯ですが、塩原の他の温泉より濁り方が濃く、また塩味もはっきり表れているように感じられました。「うん、俺、いま塩原で湯あみしてるぞ」と当地を実感できるお湯です。


奥の大きな浴槽には単純泉の明賀屋源泉で満たされています。異なる2種類の温泉に入れるのは嬉しいですね。塩の湯源泉のような赤っぽい濁りは無く、無色透明のお湯でありながら、浴槽内はマンガンの影響で黒く染まっており、浴槽のお湯も幾分薄墨色を帯びているように見えます。またオーバーフローが流れる洗い場の床は温泉成分の付着により凸凹しています。この明賀屋源泉はその名の通り自家源泉であり、毎分135リットルが自然湧出しているんだそうです。湯口のお湯からは薄いアブラ臭が嗅ぎ取れるほか、口に含むとほろ苦みがあり、また炭酸味もはっきりしていて(遊離CO2が比較的多い)、単純泉という泉質名でありながら重曹泉的な性質を有しています。単純泉という名称に異議を唱えたくなるほど個性的なお湯です。

さて、次回記事ではお宿ご自慢の露天風呂へと参りましょう。

次回記事につづく。
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塩原・塩の湯温泉 明賀屋本館 その1(客室・食事)

2022年10月28日 | 栃木県

(2022年1月訪問)
2022年の冬、露天に入りながら雪を見たくなった私は、東京から比較的容易にアクセス出来て且つ雪見風呂も楽しめる塩原温泉で一泊することにしました。今回訪ねるのは塩の湯温泉「明賀屋本館」です。
まずは西那須野駅でJR宇都宮線の電車を降り、路線バスに乗り換えて、塩原塩釜バス停で下車します。


塩原温泉郷を東西に貫く箒川を渡って・・・


圧雪状態の一本道を歩いてゆくと・・・


左手に工事中の新しい施設を発見しました。ここにはかつて「玉屋」という旅館があったかと思いますが、現在はすっかり別の施設へと姿を変えています。訪問時はまだ開業していなかったのですが、この3か月後に共立リゾートの「塩の湯温泉 蓮月」としてオープンし、既に人気の温泉宿として高い評価を得ているようです。
更にここから奥へ歩いて・・・


バス停から約15分で「明賀屋本館」に到着しました。
なお事前にお宿へ連絡すればバス停まで送迎してくださいますが、今回は自分で雪道を歩きたかったので、敢えて送迎をお願いせず自分で歩いて現地まで向かったのでした。いかにも昭和の温泉ホテルと言わんばかりの外観ですね。


入館する前、建物の向かい側に目をやると、法面下の水栓からお湯が垂れ流されていることに気づきました。てっきり屋外の水道代わりにお湯が出ているのかと思いきや、よく見ると水栓の傍には飲泉許可証が掲示されており、コップも用意されていましたので、れっきとした飲泉所なのでしょう。水栓にはびっしりと析出がこびりついています。まずは入館前にこの温泉を飲んでみました。塩の湯と称するだけあって、塩味がはっきりと感じられます。


玄関では下足番のお爺ちゃんが出迎えてくださり、フロントでは別のお爺ちゃんスタッフが案内してくださいました。外観のみならずスタッフの方も昭和な感じがたっぷりです。

さて、この旅館の建物は鹿股川の谷の傾斜地に建てられており、道路に面したフロントは2階半の位置にあるのですが、今回私が通された客室は、そのフロントから半フロア下った2階の和室でした。8畳の室内は多少の古さは否めないもののしっかり清掃されており、寧ろきれいで草臥れている感じはしません。テレビやエアコン(三菱電機製の集中管理型)のほか、トイレや洗面台といった水回りも室内に設けられています。一方、Wifiは使えないので、常時ネット接続されていないと困る方には不便かもしれません。


2階と言っても建物の位置自体が谷の上の方にあるため、窓からの見晴らしは良く、鹿股川の渓谷や周囲の山々を一望できます。


夕飯は別の部屋に移っていただきます。客ごとに食事の部屋が異なり、別のお客さんと同室になることは無いので、気兼ねなくいただけるのが嬉しいところ。手酌で瓶ビールを飲み、テレビを点けて胡坐をかきながらお行儀悪くモタモタ食べたって、誰からも白眼視されることがありません。あぁ気が楽だわ。


こちらは鮭と茸を朴葉で包んだ陶板焼きですね。


ご飯が進む美味しいカモ鍋。


言わずもがな鮎の塩焼き。
一品一品がとても美味しく、気づけばペロッと平らげてしまいました。


一方、こちらは朝食。同じく別室にていただきます。
湯豆腐、温泉卵、鮭の塩焼き、とろろ芋など、胃に優しく且つ栄養がある内容で、一日のエネルギーをしっかり蓄えることができました。

さて、次回以降の記事では温泉について取り上げます。

次回に続く。

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鶴岡北京田温泉 SUIDEN TERRASSE その3(お風呂など)

2022年10月24日 | 山形県
前回記事の続編です。


さて拙ブログの主題である温泉浴場について紹介してまいります。館内表示(デザイン性を優先しているため少々見難い感あり)に従って通路や階段を歩いてゆき、浴場棟へと向かいましょう。
敷地の隅の方にある浴場棟はドーム状の建物で、宿泊棟とは連絡通路でつながっているのですが、この通路は暖房されているとはいえ厳寒期は寒く、とくに「月白の湯」へ向かう際には一旦屋外へ出るため、その出入口から雪が吹き込んできます。冬にお風呂を利用する際には、上から羽織るものを着た方がよいでしょう。


お風呂は「天色の湯」「朱鷺色の湯」「月白の湯」の3つがあり、時間によって男女の暖簾を入れ替えています。
「天色の湯」は内湯・露天・サウナの3種を全て擁している一方、「朱鷺色の湯」は内湯のみ、「月白の湯」は内湯が無いかわり露天とサウナを有する構成となっているため、たとえば上画像のように「天色の湯」が女湯の時間帯は、「朱鷺色の湯」と「月白の湯」の両方を男湯にすることで、設備面の公平性を確保しているようです。

浴場内は撮影禁止なので、以下の画像は全て公式サイトの画像をお借りしております。

●「天色の湯」

ドーム状の建物の半分を占める「天色の湯」。更衣室・内湯・露天ともに他2つの浴場より大きく、その全てが全体的に円弧状です。内湯の壁側に洗い場が配置されており、そのうちのいくつかは立って使うシャワーとなっています。内湯の浴槽も大きなものですから、多少の混雑はものともせず、余裕をもって湯あみできます。


こちらは露天風呂。内湯とほぼ同じ大きさの湯船で、露天とはいえ建物の屋根の下に湯船が設けられていますから、多少の雨や雪ならば凌ぐことができます。周囲には水田の溜め池が広がり、遠方には山々が聳え、遠近の景色を楽しみながらのんびりと湯あみを堪能できる造りです。私の利用時には雪が降り続いていましたが、外気の寒さとお風呂の温かさという温度差が気持ちよく、池に浮かぶカモたちを見下ろしながら、爽快なバスタイムを堪能させていただきました。


なお露天風呂の奥にはサウナと水風呂もありますので、サウナ愛好家の方にも楽しんでいただけるかと思います。


●「朱鷺色の湯」

「天色の湯」の逆サイドに位置する「朱鷺色の湯」は、サブ的な位置づけのお風呂で、占有床面積としてはドーム状の建物の約3分の1ほど。更衣室は「天色の湯」より明らかに狭く、多客時には窮屈さが否めません。一方、ドーム状建物の中央部分が浴室スペースになっていてまずまずの広さがあり、ドーム屋根を支える六角形の木製梁と、浴室名の由来にもなった朱鷺色のタイルが印象的です。


総タイル張りで全体的に優しい曲線を描く浴槽は、実際に入ってみますと体の曲線に上手い具合にフィットし、体への負担が少ない状態で湯あみすることができました。


●「月白の湯」
内湯のみの「朱鷺色の湯」とセットで男女いずれかの暖簾が掛かることになる「月白の湯」も、お風呂自体はドーム状の建物に含まれているのですが、脱衣室までのアプローチが他2室と異なっています。「天色の湯」と「朱鷺色の湯」は建物に入ってから左右に分かれるのですが、「月白の湯」だけはその手前の連絡通路右手に出入口があり、アプローチ用のサンダルに履き替えて一旦屋外へ出るのです。屋外と言ってもきちんと通路が設けられて塀も立っているのですが、ほぼ吹きさらしのような状態なので、私の訪問時のように外が吹雪いていると、その風雪がモロに通路を吹き抜けてゆくのです。それゆえ、内湯の「朱鷺色の湯」は利用しても「月白の湯」は出入口の段階で諦めてしまうお客さんが散見されました。冬以外はそんな問題など無用でしょうけど、厳冬期に利用される方はちょっとご注意を。


アプローチには難癖をつけてしまいましたが、中へ入ってみるととても快適。脱衣室はまずまずのスペースが確保され、その奥にある洗い場も十分な数が設けられています。内湯こそありませんが、露天風呂がありますから、個人的には使い勝手に問題はないかと思います。
上画像の左端に写っているドアは洗い場から露天へ出るためのもので、2つ写っている浴槽のうち、奥の真ん丸くて青いものは水風呂、手前側の長い浴槽は温泉槽です。水風呂があるということはサウナもあるわけで、私がこのお風呂に入っていると、外気温は0℃近いにもかかわらず、サウナーの方々は水風呂へドボンと入ってみたり、あるいは吹雪の冷たい風で体を冷やしたりして、熱いサウナと寒い屋外とを行き来していらっしゃいました。


「天色の湯」の露天風呂は建物に庇護されている感が強かったのですが、こちらの露天風呂は屋根が半分ほどしかかかっておらず、塀などに囲まれるような構造でもないため、「ザ・露天」と言うべき開放的な環境で湯あみを楽しめます。
湯船の湯面とコンクリの壁ひとつ隔てた向こう側は真水のため池。「天色の湯」の露天風呂は高い位置にありましたが、こちらは湯船と溜め池がほぼ同じ高さであり、隔てるものは壁一枚しかないため、あたかも池に入っているかのような感覚です。目の前のため池ではカモたちがグワッグワッと啼きながら餌を啄んでいました。
同じような感じのお風呂をどこかで入ったことあるぞ、と記憶をたどっていったら、北海道の「ヒルトンニセコビレッジ」
の露天風呂に似ていることに気づいたのでした。ニセコヒルトンのお風呂が気に入った私はその数年後に宿泊して存分に堪能したのですが、その時の楽しい想い出がよみがえるばかりか、また新たな想い出を増やすこともできました。しかもこの「月白の湯」の利用当日は吹雪いていたため寒さを敬遠するお客さんが多く、あまり混むことが無かったので、静かにのんびりと寛ぐことができました。個人的にはこの「月白の湯」が最も気に入りました。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で、湯口ではアブラ臭がほんのりと香り、お湯を口に含んでみますと芒硝味と淡い塩味が感じられます。館内表示によれば塩素消毒をしているとのことで、たしかにカルキ臭を確認しましたが、でも然程気になるような強さではないかと思います。各浴槽ともかけ流しの湯使いである点は嬉しいですね。硫酸塩泉らしくトロミがあり、そしてお風呂上りもしばらく全身のホコホコが続くほどに力強く温まります。なかなか良い湯です。

鶴岡にこのようなハイセンスな宿泊施設ができ、そして人気が持続することは大変喜ばしいですね。
館内スタッフも若い方が多く活気があります。単なる町おこしではなく、いろんな方面へプラスの方向へ波及するこうした動きは、他の地域にとって大いに参考となるのではないでしょうか。
今回の宿泊では大変満足できましたので、また季節を変えて再訪してみたいと思っています。


鶴岡北京田温泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 62.0℃ pH8.1 溶存物質3520mg/kg
Na+:777.6mg, Ca++:397.7mg,
Cl-:871.2mg, Br-:3.2mg, I-:0.4mg, HS-:1.4mg, SO4--:1362mg,
H2SiO3:48.1mg,
(平成28年10月6日)
加温循環ろ過なし
一時的に加水することあり(温度調節のため)
塩素系薬剤使用(衛生管理のため)

山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣23-1
0235-25-7424
ホームページ

日帰り入浴不可

私の好み:★★★

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鶴岡北京田温泉 SUIDEN TERRASSE その2(食事など)

2022年10月22日 | 山形県
前回記事の続編です。


話の順番は前後しますが、まずは朝食からご紹介しましょう。
フロントがある共用棟の2階にレストランもあり、朝食付きプランの場合はこちらで景色を眺めながらいただきます。ガラスを多用し、天井も高く、明るくて開放的な空間です。なお座席は2階のみならず1階にもあり、スタッフの方が適宜空いている席へと案内してくださいます。なおテラス席もあるようですから、冬以外はテラスで田んぼを吹き抜けるそよ風を感じながら食事することもできるのでしょう。


前回記事で客室のベッドなどに紙管が使われていることをご紹介しましたが、このレストランのイスにも紙管が使われています。上画像をご覧になるとお分かりいただけますが、背もたれから座面にかけてたくさんの紙管が用いられていますよね。座っているだけではその材質に全く気付かず、周囲を見回して「あれ?」とようやく気付くのです。このホテルを設計なさった建築家の方の哲学がこうしたところからも伝わってきます。


庄内平野の田んぼ、そして庄内の風土を大切にしているこちらのお宿は、食材も庄内産を積極的に取り入れており、ご当地ならではの食材や料理を楽しめるのもうれしいところ。


朝ごはんの内容は決まっており、各自でキッチンカウンターへ受け取りにいきます。我々は2泊しましたが、ちゃんと違った内容の料理が提供されました。器に盛られているベビーリーフは自家菜園で採れたものなんだとか。なおご飯やお味噌汁はセルフでよそいます。個人的には酒田市でよく食べられている塩納豆(上画像のトレイ下部に写っている透明容器に入れられた納豆)がとてもおいしく、ふっくら炊かれたつや姫の白いご飯がとてもよく進みました。

さて、私たちは夕食も館内のレストランでいただくつもりでいました。真冬の夜にわざわざ外出したくないですし、徒歩圏内にレストランはおそらく無いかと思われ、お酒を飲みたければタクシーを利用して市街地へ繰り出す必要があったからです。しかし詰めが甘い私は、何の根拠もなく楽観的な発想を抱いてしまい、チェックイン当日に現地で予約すれば良いだろうと甘い見通しを立てていたのですが、繁忙期は早めに(宿泊日より前に)予約しておく必要があるらしく、チェックインした時点で既に当日も翌日も予約が埋まっていたのです。

実は列車で鶴岡駅へ到着した際、念のために食事処を調べておこうと考えて、観光案内所でおすすめのお店を聞いておいたので、館内の夕食が不可と分かって部屋に入った後、まずは教えてもらったお店に片っ端から電話したのですが、ちょうど忘年会シーズンと重なっているため、どのお店も満席で断られ続けてしまい、「已んぬる哉」と天を仰いで困り果ててしまいました。
そこで改めて館内のレストランに確認したところ、席は無いが、お弁当なら用意できるとのこと。このお弁当はディナーコースと同じような金額なので、数字を目にしたときは一瞬躊躇してしまいましたが、食い逸れることは避けたいですし、注文可能な数にも制限がありそうだったので、宿泊初日の夕食分を注文することにしました。


レストランに席は無いわけですから、客室でいただくことになります。お弁当はスタッフの方が指定の時間に持ってきてくださいます。上画像はお品書き。山形県産食材、特に庄内地方の食材をリコメンドした献立であることがお分かりいただけるかと思います。


紙製の白いお重に前菜・サラダ・メイン・デザートが盛られており、重ねられたお重を一段一段開けてゆくごとに「おぉ」なんて声を上げて喜んでしまいましたが、味もなかなか美味しく、お部屋でしたら他の人に気兼ねすることなくいただけますので、結果的にこうしたお弁当も良かったかな、と思っています。


なお館内には物販コーナーもあり、お土産物の他、飲み物やおつまみ類、アイスクリームなどのデザート類を売っているので、自分で好きな飲み物(私はホテルオリジナルのビール)を買ってきて夕食のお供にしました。瓶ビールに関しては、物販コーナーで栓抜きを借りることもできますよ。


2日目の夜はタクシーで鶴岡市街に出て、観光案内所のおじさんに薦めていただいたお店「和定食 滝太郎」で夕食をいただきました。なお前夜と同じ轍を踏まないために、前の日に席を予約しております。


海鮮のお料理がメインのようですが、魚介以外にもお肉系やお鍋など選択肢が広く、いずれもリーズナブルで美味しいのです。我々は庄内の味覚に舌鼓を打って大満足。山形県って本当に食材に恵まれた素晴らしい土地ですね。

ということで、繁忙期にこちらのホテルを利用する場合、館内レストランでの夕食をご希望でしたら早めに予約しておきましょう。特に年末は忘年会で市街のお店も予約しにくいため、事前の準備が肝要です。

ついでに、館内の他の場所についても簡単に触れておきましょう。


客室棟の廊下はこんな感じ。ホワイトと木目を基調にした明るいデザインは、館内の多くの場所で共通しています。


温泉浴場へ向かう途中に「SAKE LOUNGE」と称するラウンジがあり、こちらではご当地庄内地方の地酒や山形県産のワインをセルフでいただけるサーバーが設けられているんだそうです。酒豪の方には天国のような場所かと思われますが、私は残念ながら下戸なうえ、日本酒が苦手なので、こちらのラウンジは利用しておりません。


お酒のラウンジ近くにはもう一つの宿泊客専用ライブラリがあり、2~3つほどのお部屋に分かれて約1000冊の蔵書を擁しているんだとか。


共用棟とは若干異なる7つのテーマに沿った本が並べられており、全て開架式ですから自由に手に取って読むことができます。私がぱっと見たところ、芸術、文芸、美術、観光などといったジャンルが多かったようです。


温泉に関する書籍もありましたよ。

さて次回記事では、お待ちかねのお風呂について紹介します。

次回記事に続く。
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鶴岡北京田温泉 SUIDEN TERRASSE その1(客室等)

2022年10月19日 | 山形県

(2021年12月訪問)
相変わらず1年前の訪問記をブログの記事にするタイムリー性の無さに、我ながら呆れかえっておりますが、もしよろしければ引き続きお付き合いください。
2021年の年末に、山形県庄内地方で最近人気を集める「SUIDEN TERRASSE」で2泊利用してまいりました。


東京から庄内地方へ向かう場合は、飛行機のほか、山形新幹線で新庄へ出てそこから陸羽西線に乗り換えるルートか、あるいは上越新幹線で新潟へ出てそこから羽越本線で北上するといったルートが考えられますが、今回は後者のルートを選択し、新潟から鶴岡まで「特急いなほ」に乗車しました。かつて常磐線を疾走していたE653系は、いまや羽越本線へ活躍の場を移して日々日本海の潮風を受けているわけですね。

なおホテルは鶴岡駅から北西へ約2kmほどの場所にあるのですが、公共交通機関での移動は難しく、またホテルの送迎車も無いため、駅からはタクシーを利用するのが一般的のようです。私たちは旅程の関係で、鶴岡駅前でレンタカーを借りてから現地へ向かいました。


ホテル名からも推測できるように、事前に得た情報では水田に浮かぶような姿が印象的なんだそうですが、当然ながらそれは夏の話であり、冬は銀世界に覆われるばかりです。でも全体的なデザイン性が高いためにモノトーンな景色の中でも存在感が強く、アプローチからしてスタイリッシュ。それでいて周囲の景色に違和感なく溶け込む感じが素晴らしいところです。


1階エントランスからエスカレーターで2階ロビーへとあがります。年末に利用したため、エスカレーターの両脇には松飾が施されていました。画像の右上には行列が見切れていますが、これはフロントの前でチェックインを待つ人の列です。年末の繁忙期に利用したので、多くのお客さんが利用していたようです。


木材や暖色系の間接照明を多用した、いかにも現代的なデザインの館内からは、優しさとぬくもりが伝わってきます。このホテルは著名な建築家の方が設計したんだそうですが、私は建築方面に疎いので、知ったかぶりを避けるためにも余計な情報は掲載せず、今回の記事では見たまま感じたままを書いてまいります。


受付棟の2階奥にはレストランがあり、夕食や朝食の他、日中はカフェとしても利用可能。
ということは館内で夜と朝の食事が完結できてしまうわけだ…。私たちはそう考えていたのですが、繁忙期のレストラン利用はそんなに甘くなかったのです。詳しくは次回記事にて。


晴耕雨読というコンセプトなのか、館内にはライブラリが2箇所あり、うち1箇所はフロントの奥に設けられています。こちらの本棚には自然、山形、食、暮らし、子供などといった10のテーマに沿った約1000冊が並んでおり、蔵書は自由に閲覧できます。もう1箇所のライブラリについては次回記事にて。


建物は複数の棟から成り立っており、それぞれが連絡通路で結ばれています。
こちらが我々の客室です。木材のぬくもりと柔らかい照明が心地よく、シンプルながらも広くて快適です。テレビ・エアコン・空気清浄機・Wifiを完備。またお部屋にはタブレットが1台用意されており、館内説明の他、周辺の観光案内やフロントとの連絡に用います。


「スイデンテラス」という名前の通り、窓からは庄内平野の水田を一望。真っ白な田んぼの上を白鳥が飛翔する光景も目にできました。


もちろん室内にはバストイレ(お風呂は非温泉)がついていますよ。


私がこのホテルでユニークだと思ったのが、館内で採用されている素材です。上述のように随所で木材を多用することにより周辺環境との調和を図っているのですが、ベッドやイスなどの一部には紙管が使われているのです。紙管の採用は、このホテルを設計した建築家坂茂さんが手がけた作品の特徴なんだそうで、なぜ紙管を用いるのかについての説明は氏のwikipediaなどでご確認いただきたいのですが、このホテルで私が接した感想としては、決して簡素なわけではなく、寧ろきちっと役割を果たし、かつ見た目にも優しく、おそらく廃棄後の環境問題にも配慮しているかと思われます。安藤忠雄氏といえばコンクリ打ちっぱなしであるならば、坂茂さんは紙管なのかもしれませんが、今後は氏が関係する建築物のみならず、いろんなシーンで紙管が多用されたら、それこそ持続可能性という現代の課題に対する光明の一筋が見いだせるのかもしれません。

さて、次回記事では館内の食事などを取り上げます。

次回に続く。
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