温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

熱海温泉 玉の湯ホテル

2024年03月22日 | 静岡県

(2023年1月訪問)
国道135号線は熱海の海岸沿いで小田原方面と伊東方面の車線が分かれてそれぞれ一方通行になりますが、伊東方面行の車線が熱海親水公園の南端でクランク状に曲がって上り車線と合流しようとする角に、今回取り上げる「玉の湯ホテル」が位置しています。
本来こちらのお宿では予約無しの日帰り入浴を受け入れていないようですが、昨年実施された某イベントの参加者は事前予約を条件に日帰り利用が可能となっていましたので、その機会に入浴利用させていただくことにしました。


入館しようと玄関まで進んだら、玄関前に興味深い設備を発見。赤い御影石には「源泉」と刻まれており、側面に水栓が取り付けられています。そして説明プレートには、地下436メートルから源泉が汲み上げられており玉のような温泉が出たことから玉の湯ホテルと名付けられた、と記されています。温泉マニアにとって、これから入るお風呂のお湯がどの源泉からお湯を引いているのかという点は非常に気になるところですが、このように施設内で湧出しているなど出自が明らかですと、とても安心します。


さてフロントで某イベントに参加しており予約も済ませている旨を伝え、所定の料金を支払うと、引き換えにフェイスタオルを手渡してくださいました。温泉浴場は階段で地下へ下ります。なお屋上には展望風呂が設けられていますが、こちらのお湯は温泉ではありませんので、今回は利用しておりません。
昭和の温泉宿をイメージするようなゲームコーナーの前を通り過ぎ・・・


暖簾を潜りましょう。古い建物だけあって天井の高さは低いのですが、最近内装工事を実施したのか、室内は綺麗に維持されており、またエアコンも完備されているため、快適に利用できるかと思います。着替えている時にお風呂からボコッボコッという音が響いてくるのですが、これについては後ほど。


地下に設けられている割には天井が高くて広い浴室。薄暗いのは地下ゆえでしょうか。おそらく古さを隠すため黒く塗ったり天井に幕を張ったりといろいろ工夫なさっているようですが、却って薄暗さに拍車をかけているような気もします。とはいえ明るさを抑えた方が精神的に落ち着きやすいかと思いますので、瞑目して湯に浸かると憂き世の疲れをしっかり癒せる環境だとも言えそうです。


室内の壁に沿ってL字型に洗い場が配置され、計14基のシャワー付きカランが並んでいます。


皆さん大好きなサウナと水風呂も完備。


こちらの大浴場で特徴的なのが、奥に設けられた大きな水槽。水槽の中では色鮮やかな熱帯魚たちが泳いでおり、その姿を眺めていると時間を忘れてしまいます。


温泉の浴槽は大きなものがひとつ設けられ、そのサイズは目測で幅8.5m×奥行7mといったところ。とはいえ普通の四角ではなく右奥が手前に出っ張っており、また中央に丸い浅瀬があったり、左側には寝湯×二人用があったりと、大きなひとつの浴槽の中にいろいろな仕掛けが組み込まれています。全体的にやや浅めの造りなので、縁に頭を乗せて寝そべるような感じで湯浴みすると良さそうな感じです。

様々な仕掛けが設けられているこの浴場での中でも特に印象的なのが、浴槽の中ほどでボコボコと豪快に音を上げながら噴き出て迸る「源泉噴出しかけ流し」です。先程玄関前で源泉に関する説明を目にしましたが、地下436メートルから汲み上げているその源泉のお湯が、ここで勢いよく噴き上げているわけですね。これはマニアが興奮すること必至ですね。もちろん私は大興奮で、この噴き上げる温泉に負けないほどアドレナリンがビュービューと分泌しっぱなしでした。

この噴き上げ口へお湯をもってゆく配管には、上画像で写っているようにサンゴのような析出がビッシリとこびりついており、温泉成分の濃さがビジュアル的に伝わってきます。浴槽のお湯はほぼ無色透明無臭で、微塩味と微苦汁味、そしてしっかりとした石膏味が感じられます。海岸沿いなのに塩味はかなり薄く、むしろ石膏や芒硝感の方がはっきりと表れているのが興味深いところです。館内表示によれば加温加水循環消毒いずれも「有り」とのことですから、噴き上げている温泉の他に循環なども並行して行われているのでしょう。湯船に肩まで浸かると、キシキシと引っかかりながら肌を包んでくれるような浴感を楽しめ、湯上り後は体の芯までよく温まりました。


熱海295号泉
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 49.0℃ pH7.4 14.1L/min(動力揚湯) 溶存物質2.049g/kg 成分総計2.049g/kg
Na+:190.8mg(32.64mval%), Ca++:340.7mg(66.85mval%),
Cl-:450.5mg(37.63mval%), SO4--:996.3mg(61.40mval%),
H2SiO3:43.8mg,
(平成25年9月3日)
加水・加温あり(温度調整のため)
循環・ろ過あり(浴槽を衛生的に維持し温度を一定に保つため)
消毒あり(県条例等の条件を満たすため塩素系薬剤を使用)

静岡県熱海市渚町26-11
0557-81-3561
ホームページ

日帰り入浴の可否については施設へ直接お問い合わせください。

私の好み:★★
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熱海駅前温泉(田原浴場) 濃い濁り湯だった某日

2024年01月14日 | 静岡県

(2023年1月訪問)
近年は観光客が戻りつつある熱海。需要が高ければ相場も上がるため、最近熱海で温泉に入ろうとすると料金が比較的高めに設定されており、その金額を目にしてたじろぐこともしばしばです。また慎重に施設を選ばないと高いばかりか、お湯もいまいちだったりしますから、熱海での入浴は施設数の割りに意外と難しかったりします。そんな中で、昔から鉄道利用者にとっての有難い見方が「熱海駅前温泉(田原浴場)」です。
拙ブログでは今まで「既に取り上げているはず」と私が勘違いして紹介から漏れてしまっている施設がいくつもありますが、この「熱海駅前温泉」もそんな紹介漏れ施設のひとつ。とっくにブログでご紹介していたかと思っていましたが、調べてみたら今まで一度も触れたことが無かったため、ようやく今回取り上げさせていただきます。私は今までこちらのお風呂に何度かお世話になっていますは、今回ご紹介するのは2023年1月に利用した際の記録です。この時は湯船のお湯の色がいつもと変わっていたため、そのことも含めてご紹介させていただきます。

上画像は熱海駅の外観です。この新しい駅ビルがオープンしたのは2016年の秋ですから、早いものでもう7年以上も経っているのですね。


駅から歩いて2分もしないうちに「熱海駅前温泉」へ到着です。熱海駅前振興会館の1階。本当に駅前なんですよね。学生時代など青春18きっぷで貧乏旅をしていた頃には、ここで何度もお世話になり、その都度旅の垢を落としました。外観は昔から変わっていません。玄関入ってすぐのところにある番台で湯銭を支払い、領収証をもらって・・・


貴重品をロッカーに収めつつ、左側の通路を進みます。この通路の奥にはいわゆるパウダールームと称したら良さそうなスペースがありますので、お風呂上がりに身支度を整えたい方は活用すると良いでしょう。


脱衣室へ向かいます。脱衣室にはいかにも昭和の銭湯という風情を強く漂わせる手書きの広告が掲出されており、また、荷物を納めるロッカーはアルミ板の松竹錠で施錠します。昭和を舞台にしたドラマや映画の撮影にもってこいかもしれませんね。なお室内には扇風機の他にエアコンも設置されていますので、四季を通じて快適に利用できます。ドライヤーが無料で使えるのはありがたいところです。


2023年1月に利用した際には、脱衣室へ入るドアに「温泉に濁りがありますが成分には問題ありません」と書かれた紙が貼り付けられていました。温泉は生き物ゆえ、その時々によって温度のみならず色合いや匂いなどが常に変化するものですから、多少の変化は当然のことと捉えたいものです。


こちらが浴室。昭和の面影を強く残すタイル張りの渋い温泉銭湯です。
右の壁に沿ってL字型にシャワー計7基設置されています。シャワーから出るお湯はボイラーの沸かし湯で、吐出圧力は良好です。なお石鹸類の備え付けはありませんので、事前に用意するかあるいは番台で購入することになります。


浴槽はごくごく普通の四角形。右手前の柱がちょっと邪魔ですが、でも柱の右奥からも入れますので、3~4人でしたら問題なく浸かれるでしょう。湯船の湯加減はちょっと熱め。この熱さにおののくお客さんを私はここで何度か目撃しています。今回の利用時も、後から来た若いお客さんが湯船に入ろうとしたら、彼にとってこの湯船はかなり熱かったらしく、つま先だけお湯に入れただけで湯船に入ることができずに出ていってしまいました。


温泉が出るの蛇口の先には火傷防止のためなのかパイプが被せられています。源泉温度が高めなので加水されていますが、循環消毒は行われていない無いかけ流しの湯づかいです。

さてこちらのお湯は、いつもでしたらほぼ透明ながら僅かに茶色を呈して薄い茶色の浮遊物が舞う貝汁濁りのお湯なのですが 、この日は源泉の事情によるのか赤く濁っていました。しかも底が全く見えないほどの濃い濁りです。たしかに脱衣室入口ドアには「温泉に濁りがあります」と案内されていましたが、ここまで濁っているとは予想だにせず、こんな現象が起きるとは知りませんでした。

お客さんによっては施設の古さや湯船の熱さに腰を抜かして出て行ってしまうこともありますが、私にとってはこの熱さがとても気持ちよく、肩までしっかりと、そしてじっくりと湯あみさせていただきした。いかにも熱海のお湯らしく、温泉を口に含むとしょっぱく且つ苦汁味を含み、ほのかな磯の香りが感じられます。また湯中では引っかかる感触とトロミが同時に感じられ、特に入りしなはお湯が肌に染み込んでくるような感覚を得られます。硫酸塩泉と塩化土類泉の両方の特色を兼ね備えたような泉質と表現したらよいのでしょうか。なお赤い濁りですが金気はあまり感じられませんでした。

濃い食塩泉なので非常に火照るのですが、お湯の良さゆえに後を引き、ついつい湯船に長く浸かってしまいました。お蔭様で心身がよく温まり、厳冬期なのにしばらくは外套要らずで外を歩けたほど。
駅前のという便利な立地でワンコインでかけ流しの温泉に入ることができる、熱海の良心と言うべき公衆浴場です。


熱海389号
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 74.3℃ pH7.09 成分総計6.227g/kg
Na+:1244mg, Ca++:781.6mg, Fe++:2.2mg,
Cl-:2917mg, SO4--:1016mg, Br-:5.9mg, HCO3-:46.2mg,
H2SiO3:84.9mg, HBO2:12.0mg, CO2:10.1mg,
(平成20年3月24日)
加水あり(源泉の温度が高いため)
加温・循環・消毒なし

静岡県熱海市田原本町8-16
0557-81-3417

14:00~21:00 水曜定休
500円
ロッカー・ドライヤーあり。石鹸類の備え付けはなし(番台にて販売)

私の好み:★★★

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網代温泉 竹林庵みずの(日帰り入浴)

2024年01月08日 | 静岡県
(2023年1月訪問)
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。新年1回目の記事は伊豆の網代温泉「竹林庵みずの」で日帰り入浴した際の記録を書き綴ってまいります。


車で熱海方面から伊東方面へ海沿いを南下して、網代の市街地をちょっと過ぎた先を丁字路を山側へ右折し、道なりに進んで急な坂を上がっていきます。その坂の途中には「竹林庵みずの」で使われている温泉の源泉井があり、今からここで湧いたお湯に浸かるんだ、という意識を持ちながら更に急坂を上がってゆくと、やがて道はどん詰まりになり、その先が今回の目的地です。


お宿はいかにも伊豆らしい急傾斜地の上に立地しており、下から見上げた感じでは敷地が狭そうに思えるのですが、実際には奥に広く、駐車場もまずまずの市ペースが確保されています。


なんと駐車場の向こう側には厩舎や乗馬場があり、その近くには足湯も設けられていました。
山の斜面に広大な敷地が広がっているのですね。


さてお風呂に入らせていただきましょう。こちらのお宿では日帰り入浴も受け入れているのですが、基本的に予約をしてからの利用となりますので、私も事前に電話で予約し、利用時間を決めてから訪問しました。
玄関の引き戸は古民家風の設えで重々しい感じがしますが、実は自動ドアですので、近づくだけで勝手にすっと開いてくれます。
フロントで事前に日帰り入浴で予約してある旨を伝えて料金を支払いますと、スタッフの方がお風呂へ向かうための専用の外履きを履く勝手口のようなところまで案内してくださいました。そして、その場でお風呂の鍵を渡されました。なぜ鍵が必要かといえば、いわゆる大浴場ではなく、貸切風呂だからです。それゆえ事前予約制を採用しているのでしょう。


外履きで屋外の通路を歩き、宿泊棟の前を通過します。なお、この宿の客室は多くが温泉浴室を備えており、人気が高いため週末はかなり先まで予約で埋まっています。私も本当は宿泊で利用したかったのですが、なかなか自分のスケジュールと空き室状況がマッチしなかったため、日帰り入浴で訪問することにしたのでした。


宿泊棟を過ぎた先にある白い壁の建物が貸切風呂の個室群です。記憶が定かではないのですが、この棟にはおそらく4室はあったかと思います。こちらのお宿には貸切風呂が3種類、計6室あり、そのうち4室が今回取り上げる「眺め湯」、そして大きな浴槽と2面の眺望が特徴的な「竹林」と、屋根が無い露天の「天空」です。


今回私があてがわれた浴室は「眺め湯」のひとつである「三日月」です。鍵を開けて中に入ると・・・


明るくて広く綺麗な部屋であることにびっくり。しかも窓の向こうには相模灘が広がっているではありませんか。実に素晴らしい!


室内はエアコン完備です。入って左側には流し台などが身支度を整える設備が配置されており・・・


右側には衣類や荷物を収める棚と籠が設けられています。なお更衣ゾーンとお風呂の間には仕切りが無いので、余計に広々と感じられます。


窓はシャッターになっています。私が訪ねたのは1月でしたから入室時は防寒のために閉められていましたが、セルフで開閉することも可能ですので、私は開けたまま湯浴みさせていただきました。


総檜造りの浴槽は3人ほど入れそうな大きさを有し、2人でしたら余裕をもってゆったり入れます。貸切風呂でこのゆとりがあるサイズ感はありがたいですね。海を臨む展望テラスには2人用の籐の椅子があり、初島が浮かぶ相模灘を眺めながらのんびり過ごせます。もちろん湯船からの眺望も佳。高い位置にあるため見晴らしが素晴らしく、絶景を独り占めしながら湯浴みできるのです。


貸切風呂ですが予め湯船にはお湯が張られており、丁度良い塩梅に熱い源泉コックを開けてくれているので、自分で湯温調整することなく入浴できました。自分で調整することも可能ですが、下手にいじらない方が良いかもしれません。なお「冷泉」と書かれたコックから出るのは、単なる冷水ではなく、冷ました温泉のようであり、コックを開けると見るからに濃そうな色合いの冷泉が水栓から出てきました。


湯船のお湯はオリーブグリーンを薄くして且つ灰色みを帯びたような緑色、そして黄褐色をミックスさせたような複雑な色合いに弱く濁り、同色や褐色の微細な湯の花が湯中で無数に浮遊しています。無色透明なお湯が多い伊豆では珍しい濁り湯です。お湯を口に含んでみますと非常に塩辛く苦汁の味もあり、湯口でタイヤを思わせる黒ゴム的な匂いが漂ってくる一方、見た目に反して金気の味や臭いは少なく、他の匂いもあまり嗅ぎ取れません。味は濃いのに対して匂いは比較的弱いようです。むしろ湯船では檜の香りがしっかり感じられます。湯船に浸かると引っかかる浴感とトロミが共存しているように肌へ伝わります。
湯使いに関して、室内に掲示されている分析表では加温加水循環消毒ありと書かれているのですが、館内の別の案内では加水加温無しと書かれ、また浴槽の様子を見ても循環しているような構造ではないので、完全かけ流しと捉えて差し支えないかと思います(間違っていたらごめんなさい)。成分総計18.23gという非常に濃い食塩泉ですので入浴後はパワフルに火照りますが、浴感が素晴らしいため、火照るにもかかわらずなぜか後ろ髪を引かれて湯船から出たくなくなってしまいました。

景色も良いし風呂も最高。次回こそはタイミングを合わせて宿泊し、宿の魅力を存分に楽しんでみたいものです。


網代13号泉
カルシウム・ナトリウム-塩化物温泉 66.4℃ pH7.8 成分総計18.23g/kg
Na+:3244.0mg, Ca++:3358.0mg, Fe++:3.0mg,
Cl-:10850.0mg, Br-:10.2mg, I-:0.4mg, SO4--:274.8mg,
H2SiO3:164.9mg, HBO2:23.8mg, CO2:37.4mg,
(平成29年1月13日)

静岡県熱海市網代627-363
0557-67-2643
ホームページ

日帰り入浴は要予約(電話受付は9:00~18:00)
入浴開始時刻は13:00もしくは18:00のいずれか。1回60分。
3000円(ハンドタオル付)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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松崎温泉 炉ばた館

2023年11月22日 | 静岡県

(2022年10月訪問)
前回記事に引き続き西伊豆の松崎を巡ります。今回訪ねるのは松崎市街の南部、道部交差点(丁字路)の角に位置する「旅宿炉ばた館」です。一見すると何の変哲もないごく普通の民家のようであり・・・


玄関もやはり民家と勘違いしてしまいそうな佇まい。でもれっきとした温泉宿なのです。しかも訪問した時期には立ち寄り入浴ができるという情報を得ていたので、余計に驚きます。私も実際に訪ねるまでは「本当に立ち寄り入浴できるのかしら」と不安でいっぱいだったのですが、引き戸を開けて中に入り、奥にある帳場で声を掛けたところ、快く受け入れてくださいました(現在の立ち寄り入浴営業実施状況については直接施設へお問い合わせください)。


お風呂は帳場の目の前にあります。ドアを開け、細長くて質素な脱衣室を抜けて浴室へ。
建物の外観から想像できるように、お風呂は民宿のようなこぢんまりとした作りで、露天が無い内湯のみの質実剛健タイプ。床はタイル張り。洗い場にはシャワーが4つ設けられています。


浴槽は台形のような形で2〜3サイズ。岩が積まれた湯口から温泉がチョロチョロと投入されています。おそらく供給されてくるお湯が熱いので、投入量を絞ることによって湯加減を調整しているのでしょう。加水加温循環消毒なしの完全掛け流しです。前回記事で取り上げた国民宿舎「伊豆まつざき荘」と同じ町有源泉を引いていますが、こちらのお風呂ではトロトロとしたお湯はお湯の特徴がよく実感でき、浴感は頗る良好です。


湯口周りのみならず浴槽の縁にまで白い析出が付着していますね。
お湯からは石膏味と芒硝風味がしっかりと感じられ、松崎混合泉の特徴や持ち味がはっきりと実感できます。
しかも余計な設備がないためお湯の良さとじっくり対峙できます。
松崎のお湯の良さを再認識できますので、温泉ファンにはおすすめです。


混合泉(町営6号泉(松崎6号)、町営9号泉(松崎13号)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 52.8℃ pH8.6 成分総計2.077g/kg
Na+:310.9mg, Ca++:308.9mg,
Cl-:80.6mg, SO4--:1288mg,
H2SiO3:57.1mg,
(令和4年6月29日)

静岡県賀茂郡松崎町道部58-2
0558-42-3070
ホームページ

日帰り入浴15:00以降(時間は施設へお問い合わせください)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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松崎温泉 伊豆まつざき荘

2023年11月17日 | 静岡県

(2022年10月訪問)
風光明媚な西伊豆にはたくさんの温泉が湧いており、なかでも松崎エリアはなまこ壁の街並みと美しい自然が相まって観光地として人気がありますが、今回はそんな松崎市街の入り江に面して建つ国民宿舎「伊豆まつざき荘」で日帰り入浴した際のことをレポート致します。

港町である松崎の市街地は駿河湾に面して入り江のような地形を有しており、「伊豆まつざき荘」はその入り江の北側に立地しています。6階建のホテルで、日帰り入浴の利用も可能。1階の立派なフロントで入浴したい旨を申し出ると「町内の方ではないですよね」と聞かれたのですが、後で調べたところによると、松崎町民の入浴料金はなんと半額。ご当地にお住まいの方がちょっぴり羨ましくなりました。私は町外ですので通常料金を支払いますと、引き換えに小さなタオルを下さいました。それを手にしてエレベーターに乗り、最上階へと向かいます。


国民宿舎「伊豆まつざき荘」の開業は東京オリンピックと同じ1964年。その前年には町営の温泉源泉掘削に成功しておおり、開業当初から大浴場へ温泉を引いていたそうです。2006年に現在の建物へ全面リニューアルされ、現在でも館内は大変綺麗に維持管理されています。
上述の通り温泉浴場は最上階(6階)にあり、通路を進んだ突き当たりの左右に男女の暖簾が掛けられていました。なお貸切風呂も用意されていますが、これはおそらく宿泊者向けの設備かと思われます( 45分間1100円。現地予約制16:00~22:00)。
脱衣室も綺麗で広く、天井も高いので明るく開放的です。ロッカーのほか冷水機など各種設備が用意され、使い勝手は良好です。


お風呂は松崎の入江を展望する気持ちの良いロケーション。さすがに6階の高さですので見晴らし良好です。足元には伊豆青石が敷き詰められているので、室内を歩いた際に足裏から伝わってくる感触も快適。
男湯の場合、浴室へ入って右手に洗い場が配置され、シャワーが計12ヶ所設置されています。またシャワーの手前には掛け湯の枡も設けられています。なおシャワー・掛け湯ともにお湯は水道の沸かし湯です。


海に面した窓の下に同じサイズの浴槽が2つシンメトリに配置されています。それぞれの大きさは目測で4.5m✕2mの6~7人サイズといったところでしょうか。海に向かって左はぬる湯、そして・・・


右があつ湯という設定になっているのですが、でも私の利用時には双方であまり温度差が見られなかったような気がします(湯口はたしかにあつ湯のほうが熱かったのですが)。なお両方の浴槽とも、湯口は焼け爛れたような赤茶色に染まっており、温泉成分の存在をビジュアル的に入浴客へ訴求しているかのようでした。


内湯の奥にあるドアを開けると、そこには露天風呂がお湯を湛えていました。
露天の浴槽は5〜6人サイズでしょうか。伊豆青石張りだった内湯とは異なり、こちらは石材を多用した設えです。


静かな入り江越しに駿河湾が遠くまで眺望でき、大変気持ちの良い入浴環境です。また松崎の景勝地である弁天島(陸繋島)が目の前にあり、露天からは遊歩道を歩く人の姿も見えました。正直なところ柱や梁がちょっと鬱陶しく感じることもありますが、こればかりは構造上仕方ないところでしょう。


赤茶色に染まった内湯の湯口とは対照的に、露天の湯口には白い析出が付着していました。同じ源泉なのに現れ方が異なる点は興味深いですね。なお湯加減維持のため、この湯口のほか、浴槽内からもお湯が投入されています。
このお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で湯の花などは無く、湯口のお湯を口に含んでみますと石膏の味と匂いが淡く感じられました。循環ろ過消毒が行われていない放流式の湯使いですが、加水加温されており(おそらく加温された水道水が投入されているものと思われます)、それが原因なのか成分表示よりも知覚的特徴が薄く感じられました。あくまで個人的な感想ですが、同じ松崎の混合泉でも、以前このブログで紹介した「豊崎ホテル」の方がお湯の感覚は濃く現れているように思う一方、施設の開放感や明るさ、新しさ、眺望などは「伊豆まつざき荘」に軍配が上がるため、なんだかんだでどちらも甲乙つけがたいな、などと無責任な意見を述べて今回の記事をおしまいに致します。


混合泉(町営6号泉(松崎6号)、町営9号泉(松崎13号)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 52.8℃ pH8.6 成分総計2.077g/kg
Na+:310.9mg, Ca++:308.9mg,
Cl-:80.6mg, SO4--:1288mg,
H2SiO3:57.1mg,
(令和4年6月29日)
加水あり(適温を保つため)
加温あり(冬期のみ適温を保つため)
循環ろ過消毒なし

静岡県賀茂郡松崎町江奈210-1
0558-42-0450
ホームページ

日帰り入浴14:00~20:00
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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