温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯川温泉 ゆりの山温泉

2011年03月31日 | 和歌山県

南紀エリアでは非常に高い人気を誇る「ゆりの山温泉」に行ってきました。ゆかし潟の畔に建つ湯川温泉郷の日帰り入浴施設のひとつです。日曜の朝10時頃に訪問したのですが、駐車場は既に車でいっぱい。それだけでも人気の高さが窺えます。

 
玄関近くには温泉スタンドが。市販の電装用プラボックスの中にコインタイマーが入っていました。手作り感があふれていますね。100円で1分30秒、約22~25ℓの源泉が出てくるんだそうです。


また屋外にはこの温泉の縁起が書かれた看板も立っていました。曰く、この温泉が発見されたのは古く(いつ頃かは書かれていません)、熊野詣の天皇や上皇・宮人や武人たちがこの温泉で湯垢離をしたんだそうです。


建物は休憩室こそあるものの、かなりこじんまりとした造り。脱衣所に入ると浴室からザバザバとお湯が注がれるお湯が聞こえてくるではありませんか。ついつい興奮しちゃいます。ワクワクしながら浴室に入ると、忽ち鼻にお湯由来のほんのりとしたたまご臭が香ってきます。思わずクンクンと鼻を鳴らしちゃいました。
浴槽は5~6人サイズの内湯がひとつあるのみ。でも湯口からはふんだんに源泉が投入され、浴槽の縁から惜しげもなくオーバーフローしていきます。カランから出てくるお湯も源泉使用です。


お湯は無色透明で、上述の通り優しいたまご臭が漂い、口に含むと弱いたまご味も感じられます。湯口には「温泉はすべて飲めます」と書かれた札が下がっていたので遠慮なく飲ませていただくと、これが実に飲みやすい。高アルカリ性且つ溶存物質が0.173g/kgというとっても薄い温泉水であるためか、喉越しがこの上なく滑らかで、まるで自分の体がスポンジになったかのように温泉水をスゥーッっと吸収していきます。上述のように溶存成分は薄いのですが、メタケイ酸が効いているのか、お湯に入っているときの肌触りがとっても滑らかでツルツルスベスベ。若干加温されているものの、40℃程度に設定されているため、じっくり長湯することができ、ぬるくても長い間浸かっていることによって体の芯までポカポカです。なお、近くの四季の郷温泉に似た泉質ですが、こちらでは湯中の泡付きは確認できませんでした。

肌に優しい名湯を贅沢に源泉掛け流しで利用でき、しかも料金が300円なんですから、そりゃ混んで当然です。温泉ファンではなく一般の方にもきっと納得していただける素晴らしいお湯だと思います。温泉は豪華でなくちゃいけないだとかアメニティが充実してなきゃイヤだとか、そんなこと言っている野暮な御仁は是非ここを訪れ、源泉がゴボゴボと音を立てて浴槽へ注がれる以外に何も聞こえない静寂な環境の中、ぬるいお湯にじっくり浸かっていただきたい。必ずや固定観念が覆るはずです。


ゆりの山1号
アルカリ性単純温泉 37.6℃ pH9.6 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.173g/kg 成分総計0.173g/kg

JR紀勢本線・湯川駅より徒歩10分(約900m)
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町二河8  地図
0735-52-5106

9:00~22:00
300円
ロッカーあり、ドライヤー30円、石鹸などは販売

私の好み:★★★
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湯川温泉 四季の郷温泉

2011年03月31日 | 和歌山県

和歌山県・那智勝浦町には有名な勝浦温泉がありますが、その隣駅である湯川駅や小さな湖であるゆかし潟付近にもいくつかの温泉が湧いており、今回取り上げる四季の郷温泉もそのひとつです。この一帯の温泉は勝浦温泉のような歓楽要素が一切無いため、田園風景の中で静かに湯浴みするにはもってこいです。

国道42号からゆかし潟の方へ入り、この界隈では有名な「ゆりの山温泉」を越えて数百メートルほど進んだ突き当りにあります。周囲はのどかな田圃で、湯屋はその田圃からちょっとだけ高い谷頭に建てられています。


お風呂や休憩所以外には余計なものが無い小さな建物ですが、手入れは行き届いており、脱衣所もこじんまりしていながら綺麗です。

 
室内にはアクリル板に「かけ流しです」「この温泉水は飲めます」と書かれており、いかにここの温泉の質が良いかがアピールされていました。これを見たら否が応にも期待に胸が膨らんじゃいます。

 
お風呂は内湯が一つのみで6~7人サイズ。露天なんてありません。でも注がれているお湯が良質。無色透明で綺麗に澄み切ったお湯からは微かにたまご臭とたまご味が感じられます。熱交換により加温されていますが、湯使いは掛け流し。しっかりオーバーフローしています。お湯に体を沈めると、細かな気泡が全身に付着。加温されているとはいえ、ぬるめの設定なのでじっくり長湯ができ、高アルカリ性のためかツルツルスベスベ感がとっても強く、肌触りの良い心地よい浴感です。
脱衣所には「飲めます」と書かれていたので、実際に湯口からお湯を掬って飲んでみると、軟水なのか実に飲みやすく、体にすぅーっと吸収されていくのが実感できました。
なお、カラン&シャワーの水栓は温度調節ができない構造ですが、出てくるお湯も源泉そのままで非加熱。源泉好きにはたまらない湯使いなのです。

シンプルでこじんまりとしたお風呂ですが、お湯の良さは素晴らしく、また近所の「ゆりの山温泉」と比べると若干料金が高いのですが、それゆえに混雑が避けられ、ゆったりお湯を堪能することが出来ました。


アルカリ性単純温泉 pH9.8 (詳細な分析表の掲示が無いため、これ以外の数値不明)
(加温あり、加水・循環・消毒なし)

JR紀勢本線湯川駅より徒歩15分(約1.3km)
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町湯川橋ノ川287  地図
0735-52-2515

10:00~21:00 火曜・水曜定休
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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長島温泉 クアハウス長島

2011年03月30日 | 三重県

私事ですが、長島温泉の遊園地「長島スパーランド」は今から20年ほど前に関東圏でもテレビCMが放映されていたので、名前だけは以前から知っていましたが、学生時代に現地へ訪れて客の多さ・混雑にたまげたことを今でも覚えています。そのスパーランドから川をちょっと遡った名四国道沿いに位置しているのが名鉄グループの「長島スポーツランド」でして、その敷地内にはガーデンゴルフコースや乗馬クラブ・テニスコートなどが設けられ、そうした施設のひとつである温泉入浴施設が「クアハウス長島」です。

ちょっと古めな建物ですが、広い敷地面積を存分に活かして、建物は平面にやたらと広く、館内の表示を見ないとちょっと迷っちゃうかも。受付でレンタルのバスタオルとフェイスタオルを受け取って脱衣所へ(タオル類は料金に含まれています)。ロッカーは無料で使えます。



露天風呂は無く、お風呂は全て屋内なのですが、浴槽の種類がとにかく多い。全身浴、泡沫浴、部分浴、打たせ湯、圧注浴、渦流浴、壺湯、歩行浴、そしてサウナやスチームバス・水風呂などがあり、どれに入ろうか迷っちゃいます。

 
毎分1200Lというとっても豊かな湧出量を贅沢に活かして、各浴槽ともふんだんな掛け流しを実現。主浴槽は滝のように源泉が大量に落とされ、まるで川の流れのようにオーバーフローが惜しげもなく排湯されていきます。この主浴槽は40℃設定なので、じっくり長湯ができました。なお洗い場のカランから出るお湯も源泉使用。素晴らしいです。


浴室内には飲泉所もあります。信楽焼のたぬきが抱える徳利からお湯が落とされているので、それをコップで受けて飲みましょう。匂い・味ともにあまり特徴はないのですが、微かな重曹味とモール泉のような風味が感じられました。なお、お湯の見た目は薄いウーロン茶色の透明、アルカリ性単純泉ですが、炭酸水素イオン309.4mg/kg(60.14mval%)という数値が示す通りに重曹型ですので(陽イオンはナトリウムが圧倒的)、重曹ならではのツルツルスベスベ感がはっきりと得られ、とっても気持ち良い浴感です。
(2011年3月現在、飲泉はできないようです)

典型的な昭和のスーパー銭湯のようなちょっと古風な風情の施設で、うっすらと暗い感じがそこはかとなく漂っているのですが、お湯の質は素晴らしく、レンタルタオルが付いて1000円でお釣りが返ってくるのですから、かなり立派だと思います。


長島R-8号泉
アルカリ性単純温泉 51.7℃ pH8.5 1200L/min(動力揚湯) 溶存物質0.67g/kg 成分総計0.67g/kg

JRおよび近鉄桑名駅東口より三重交通バス長島温泉行で「長島スポーツランド」下車(約15分乗車)、徒歩5分
三重県桑名市長島町福吉879-5  地図
0594-45-1122
ホームページ

10:30~22:00 第3火曜定休(祝日の場合は営業)
900円(レンタルタオル付)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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富吉温泉 テルマ55

2011年03月29日 | 愛知県
※2012年12月31日に閉館しました。
※2015年1月に「富吉天然温泉いづみの湯」として営業が再開されました。料金などは当記事と異なっているようですので、詳しくは施設へ直接お問い合わせ下さい。
※いづみの湯として復活した後、2016年に再び閉館し、建物は解体されました


 
木曽・揖斐・長良の3河川が伊勢湾に注ぐ濃尾平野の海抜ゼロメートル地帯には尾張温泉や長島温泉などいくつかの温泉が点在していますが、この富吉温泉もそのひとつ。国道1号沿いの分かりやすい場所に立地しており、富吉駅からも至近なので交通の便は文句なし。

玄関前では狸の置物がお出迎え。名称の55という数値は、開業当時の源泉温度を示しているそうです(ちなみに現在は50.5℃)。
下駄箱は昔ながら木札の鍵。券売機で料金を支払い、番台のおばちゃんに券を渡して中へ。脱衣所のロッカーは10円有料。ドライヤーも有料で、なんと100円も取られちゃうのです…。


内湯は円形の浴槽が段々に配されており、上段は泡風呂、中段はジェットバス、下段が普通の浴槽となっています。洗い場のカランの数は失念してしまいましたが、古典的な押しバネ式&固定式シャワーです。

薄い黄緑色透明、油臭と焦げたような匂いが微かに漂い、微塩味と微ゴム風味、そしてほろ苦さが舌に残ります。塩素消毒されているそうですが殆ど気になりませんでした。ここのお風呂はとにかく熱い。入れないほど熱いというわけじゃないのですが、ゆっくり浸かってはいられないでしょう。気温の高い時期は加水するようですが、そうじゃなければ源泉に塩素消毒した上で加水せずに投入しているんだそうです。源泉温度は50.5℃ですから、そりゃ熱いわな。熱いお湯のためか、浴槽まわりにはトドになるオッサンが多いのなんの…。気持ちはわかるけど邪魔なんだよねぇ…。

 
一応露天風呂も用意されていますが、子供のプールのような小さいもので、実用本位のタイル貼りの浴槽はなんだか素っ気ありません。ライオンの口から熱いお湯が投入されていますが、全くオーバーフローしておらず、お湯はどこに消えているのかよくわかりません。周囲は塀に囲まれているため眺望も楽しめず、このためか露天を利用するお客さんは殆どいませんでした。

ちょっと古めの健康ランドそのものといった感じで、お客さんの年齢層も高く、正直なところあんまり雰囲気は良くありませんが、中京圏でこれだけ熱い源泉を堪能できるところは他にあまりないでしょうから、新鮮な熱い温泉を手頃に楽しむには良い施設かと思います。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 50.5℃ pH7.6 760L/min 溶存物質1.427g/kg 成分総計1.450g/kg
気温の高い時期のみ加水、加温なし、循環濾過なし(小浴槽のみ循環濾過)、消毒あり

近鉄名古屋線・富吉駅より徒歩3分(260m)
愛知県海部郡蟹江町蟹江新田与太郎175  地図
0567-95-5161

※2012年12月31日に閉館しました。
※2015年1月に「富吉天然温泉いづみの湯」として営業が再開されました。料金などは下記内容と異なっているようですので、詳しくは施設へ直接お問い合わせ下さい。


10:00~23:00 無休
500円
ロッカー有料(10円)、シャンプー類あり、ドライヤー有料(100円)

私の好み:★★
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波木温泉 天然温泉ジャブ

2011年03月29日 | 三重県

四日市郊外の住宅地に立地する日帰り入浴専門施設です。外見といい名前といい、センター系のつまらない銭湯なんだろうと半ば期待せずに入ったら、これが良い意味で予想を覆すお湯に出会えてビックリしました。


道路沿いに大きな看板が立っているので、近くに来たらわかりやすい目印になりますね。駐車場も広めです。また最寄のバス停からすぐ目の前なので、公共交通によるアクセスも意外と良好です。温泉施設と言うよりは地域のスポーツ施設や体育館を思わせるような外観です。「天然温泉ジャブ」という名称の後ろに「53」という数字が付されていますが、これは開業当時の源泉温度を示しているのでしょうね。いまでは52.1℃なので1℃ほど下がったようです。

休日に訪問したため館内がとても混雑しており、撮影すると他のお客さんに迷惑が掛かるため、内部の画像はあまりありませんのであしからず。

脱衣所は広々としたつくりですが、ロッカーが縦長で細いため、大きな荷物は収めることが出来ず、使い勝手はあまり良くありません。室内のテレビではプロ野球中継(デーゲーム)の真っ最中、地元のお客さんは中日ドラゴンズの試合の行方に一喜一憂していました。

浴室の奥方壁際に設けられた洗い場にはシャワー付き混合栓がズラリと並んでいます。シャワーの水流が強くてびっくり。備え付けのボディーソープやシャンプーがセットで置かれているのですが、カラン2~3ヶ所につき1組しか用意されていないため、休日などの混雑時にはどうしても不足気味になってしまい、譲り合って使うことになります。


内湯の中央にある浴槽。二つに仕切られ、脱衣所側はあつ湯で他方がぬる湯。ぬる湯槽の方があつ湯槽の倍近い大きさがあり、ジェットバスも設けられています。この画像に写っているのはあつ湯です。あつ湯・ぬる湯とも湯口からふんだんに源泉が注がれ、画像手前に見える切り欠けからザコザコ排湯されています。源泉温度が熱いために消毒された加水されているそうですが、それにしても投入量が豊富なので、その様子を見ているだけでも嬉しくなっちゃいます。あつ湯は実感としては44℃近くはあったかと思います。結構熱いため人気薄。一方ぬる湯は40℃前後の長湯仕様で、どうしてもこちらにお客さんが集中してしまいます。
屋内にはこの他サウナや水風呂・電気風呂などがありました。


こちらは露天。半分近くは屋根に覆われています。郊外丘陵の住宅地似る設けられた露天風呂ですから景色は期待できません。外の風で涼むためにあるようなものです。内湯はふんだんにお湯が注がれていましたが、露天はそれほどの勢いはないようで、浴槽の底から加水と共に投入されているようです。でもちゃんと切り欠けからオーバーフローしていましたよ。


露天は主浴槽よりこちらの子供向け温泉プール(滑り台付き)の方が大きく、どうやら屋外は子供が主役のようです。プールの隣は打たせ湯です。


さてお湯ですが、薄い緑色透明でほぼ無味(若干重曹味)、モールに似た油のような匂いやアンモニア的な匂いが感じられます。東京稲城市の「季乃彩」や町田市多摩境の「いこいの湯」と同系の匂いと表現すると、関東地方の方にはわかっていただけるかも。
湯中には黄色と灰色をミックスしたような色の湯の華がたくさん浮遊しており、お湯に浸かってじっとしていると、体に気泡がビッシリ付着します。アルカリ性単純泉ですが、ナトリウムイオン182mg/kg(95.08mval%)、炭酸水素イオン411.3mg/kg(83.42mval%)、という数値からも分かる通り重曹泉型なので、遊離した炭酸ガスが付着しているのでしょう。また重曹型でアルカリ性でもあるため、ツルスベ感もはっきり得られ、肌触りがとっても気持ちよく、湯上りのスベスベ感やサッパリ感が実に嬉しいところです。

いわゆる大型の温浴施設なので温泉風情は期待できませんが、良質な温泉になかなか出会えない中京圏では珍しく新鮮なお湯を存分に掛け流しているので、温泉ファンならば立ち寄ってみる価値は十分にあるかと思います。


アルカリ性単純温泉 52.1℃ pH8.5 750L/min(動力揚湯) 溶存物質0.69g/kg 成分総計0.69g/kg

近鉄名古屋線・近鉄四日市駅の西乗り場1番より三重交通バスの笹川ジャブ行で終点下車すぐ(駅から終点まで約30分、420円)
三重県四日市市波木町1077-73  地図
0593-22-5111
ホームページ

9:30~23:00(土曜は~23:30、各日とも受付は22:30まで) 無休
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★


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