温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

朝倉 卑弥呼ロマンの湯

2024年07月24日 | 福岡県

(2023年3月訪問)
JRから第三セクターの甘木鉄道に乗り継いで、終点の甘木で下車。


駅前ロータリーからまっすぐ伸びるその名も「駅前通り」を800メートルほどてくてく歩くと、やがて市民センター(文化会館)や図書館、警察署など公的機関が集まるエリアにたどり着きます。今回の目的地である「卑弥呼ロマンの湯」は市民センター(文化会館)に隣接しており、初見でもわかりやすい立地です。この画像の近くに入口があるのかと思いきや・・・


敷地内を歩いた奥に位置するこちらが玄関です。
靴を脱いで下足箱へ収め・・・


下足箱のカギと券売機で発行された券を一緒に受付へ差し出すと、引き換えに更衣室のロッカーキーが手渡されます。


受付から通路を進み、食事ができる座敷の前を通り過ぎます。
こちらの施設はスタッフの皆さんがとても明るく接客してくださいますので、利用する側としても気持ち良く過ごせます。


暖簾を潜って浴場へ。更衣室のロッカーにはスチール製(100円リターン式)と木製に分かれており、私は木のロッカーが宛がわれたのですが、スチールと木製でどのように区分しているのかは不明です。


(浴場内の画像は公式サイトより借用しております)
どうやらご当地福岡県朝倉市は邪馬台国の有力な候補地の一つらしく、この施設名もその説に則って名付けられたと思われるのですが、もしかしたらこの施設の全体的にウッディーな造りは弥生時代の遺跡を意識しているのかしら。特に天井が高くて梁が剥き出しになっている浴場内は、いわゆる湯屋建築風であると同時に、弥生遺跡をイメージしたと言われたら「あぁそうかもしれない」と頷いてしまいそうになる雰囲気を醸し出しています。
そんなことを考えながら着替えて浴場へ入った瞬間、温泉由来のほのかなタマゴ臭がプンと香ってきました。その芳香にお湯への期待が高まる一方で、遺跡云々についての意識は瞬時に消えてしまったのですが、でも消えてしまうことが致し方ないと弁解したくなるほど、このタマゴ臭が香るお湯は素晴らしいのです。

入口から見て左に洗い場が設けられ、正面にはぬる湯の浴槽、右手にあつ湯の浴槽と打たせ湯が配置されています。また中央にはベンチが設置されており、ゆっくり腰を掛けてクールダウンできるのが嬉しいところです。なおぬる湯浴槽とあつ湯浴槽はL字型に並んでおり、それぞれ12~15人、15〜20人サイズでしょうか。いずれもかけ流しの湯使いながら、おそらくぬる湯は加水して湯温調整しており、あつ湯は源泉そのままのお湯が投入されているものと思われます。そうした事情によるものか、両浴槽とも良いお湯なのですが、特にあつ湯が素晴らしく、湯船のお湯は無色透明ですが湯口付近のお湯は軽く白濁するほど気泡が多く、湯船へ入った時の肌への泡付きもしっかり。

特筆すべきはウナギ湯と称したくなるほどの滑らかさで、湯船に入るとローションを塗ったかのような極上のニュルニュル且つツルツルスベスベ感に包まれます。分析表によればpH9.44のアルカリ性であることのほか、炭酸イオンが51mgも含まれているので、こうした要因が極上のなめらかさをもたらしているものと考えられます。また、上述したように室内にはタマゴ臭が漂っているわけですが、湯口のお湯からも、ほろ苦みや甘みを伴いながら、茹で卵の卵黄のような香りと味がしっかり感じられます。総イオウが1.9mgなのでギリギリのところで硫黄泉を名乗れないのですが、でも実質的にアルカリ性単純硫黄泉と表現しても過言ではないかと思います。筑後川流域の原鶴温泉に近い泉質であり、あまりの浴感のすばらしさに感動しました。


素晴らしいお湯に感動しながらお風呂から上がり、帰りは歩いて西鉄の甘木駅へ。


西鉄電車を乗り継いで天神方面へと向かったのでした。

今回記事で連続してきた九州編は終了です。
次回から別の地方を取り上げます。


アルカリ性単純温泉 47.6℃ pH9.44 460L/min(動力揚湯) 溶存物質0.35g/kg 成分総計0.35g/kg
Na+:106.1mg(98.10mval%),
Cl-:77.3mg(41.76mval%), OH-:0.5mg, HS-:1.9mg, CO3--:51.0mg,
H2SiO3:58.7mg,
(2022年11月29日)
加水して湯温を調整することがある

福岡県朝倉市甘木198-1
0946-21-8800
ホームページ

9:00~22:00 月曜と年末年始定休(月曜が祝日の場合は営業)
530円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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久留米市 あおき温泉

2024年05月17日 | 福岡県

(2023年3月訪問)
前回記事の福岡県大川市「大川温泉」から車で数分の至近距離にある久留米市「あおき温泉」。
久留米市の南端、国道385号線沿いに立地しています。私が訪問した時には第一駐車場が全て埋まっており、その奥にある第二駐車場も半分近くが埋まっていました。人気の施設なんですね。


プレハブ構造をちょっと立派にしたような、比較的シンプルな造りの建物。
下足箱や後述するロッカーでは10円玉を使いますので、事前に用意しておきましょう。なお下駄箱の鍵は10円リターン式です。券売機で料金を支払い、券を番台へ渡します。


やはり館内は多くの人がいらっしゃり、皆さんお風呂上がりで火照った体を休めていました。館内ではお食事もいただけるので、ご飯を含めるとゆっくり滞在できますね。
番台から奥に進んで男湯は手前側、女湯は奥です。

この先の浴場に関する画像はございません。お風呂の画像をご覧になりたい方は、お手数ですがネット検索をお願いします。
更衣室はそこそこ広く、ロッカーの数も多いので、多少混雑しても荷物の収納に困ることは無さそうです。なお施錠には10円玉1枚を要します(有料です)。また室内奥にある横に長い化粧台にはドライヤーがたくさん用意されているので、こちらも他生の混雑なら先客を待たずに髪を乾かせそうです。なお冷房はないのですが扇風機がたくさん設けられており、訪問日もあちこちでグルグル回っていました。

男湯の場合、内湯浴室に入って左側に洗い場があり、シャワー付き混合水栓が11ヶ所設置されています。自信は無いのですが、水栓から出てくるお湯はおそらく普通の真湯ではないかと思われます(温泉だったらごめんなさい)。一方、入って右側にはタイル張りの浴槽が並んでおり、4人サイズの水風呂、源泉そのままの熱い湯が注がれている浴槽、そしてそれより若干ぬるい浴槽の3つです。
熱い浴槽は6人ちょっと入れそうな容量はあり、湯加減は43℃程でしょうか。ちょっと熱い程度ですから入れないことはないのですが、しばらく浸かっていると全身がジンジンとしてきますので、あまり長湯はできないでしょう。熱いお湯でシャキッとしたい方におすすめ。一方、ちょっとぬるめのお湯は熱い浴槽の下流に当たり、浴槽自体はその1.5倍ほどの大きさがあって、一般的な41~42℃の適温となっていました。

洗い場の奥には露天風呂。こちらの浴槽も内湯同様に四角いタイル張りで、おおよそ8人サイズ(詰めれば10人入れそうなサイズ)といったところ。周囲を塀に囲まれているため景色は眺められず、また頭上には屋根もかかっていますが、風はちゃんと入ってきますし、お庭のような設えになっていますので、狭苦しい感じはせず、快適に湯あみできました。浴槽のまわりにはデッキチェアーが3つほど用意されていますので、お湯に火照った場合はここで横になってクールダウンするのも良いでしょう。

全ての浴槽で完全かけ流し(加温加水消毒循環なし)を実現しているのが大変素晴らしい点です。お湯はちょっと黄色掛かっているように見えますが、はっきり透明で、お湯に浸かるとツルツルスベスベとした滑らかな浴感を楽しめます。ただ、分析表によれば炭酸イオンが20mgも含まれているのに、その数値から期待できるような強いツルスベ感ではなく、一般的な重曹泉と同程度のツルスベだったところが意外でした。お湯からは薄い塩味とミシン油(潤滑油)のような風味が感じられる他、清涼感を伴うほろ苦みも得られました。なおフッ素イオンが一般的な温泉より多く含まれているため、念のためにあまり飲泉しない方が良いかもしれません。

とにかく湯量豊富で惜しげもなくかけ流していますから、どの浴槽もお湯が良く、多くのお客さんで賑わうのも当然だと納得して、私はお風呂から上がったのでした。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 66.3℃ 溶存物質1.59g/kg 
Na+:480mg,
F-:25mg, Cl-:520mg, HS-:0.9mg, S2O3--:1.2mg, HCO3-:360mg, CO3-:20mg,
H2SiO3:64mg, HBO2:100mg,
(平成24年12月4日)
加温加水循環消毒なし

福岡県久留米市城島町上青木366-1
0942-62-1426

10:00~22:00 水曜定休
600円
ロッカー(10円有料)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5


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福岡県 大川温泉 家族風呂

2024年05月11日 | 福岡県

(2023年3月訪問)
今回記事から九州の温泉を連続して取り上げます。まずは箪笥の街として有名な福岡県大川市にある「大川温泉」です。ひたすら真っ平らで水路が縦横無尽に張り巡らされている筑後平野に位置しています。


木造倉庫みたいな外観の建物が幾棟か並んでおり、その前にある駐車場に車を停めます。南国ムードを演出したいのか、敷地内にはヤシの木がたくさん植えられています。


建物の内部は手作り感があふれており、ややB級感が強いように思われます。


店員さんはみなアロハシャツを着ていらっしゃいます。やはりこの施設では南国ムードがテーマになっているのでしょうね。
受付に設置されている券売機で料金を支払うのですが・・・


受付のスタッフさんに家族風呂の空き状況を伺ったところ、6室ある家族風呂のうち半分が空いていたので、ひと部屋を私一人で使わせてもらいました。入浴券(700円)と家族風呂利用券(1000円)を買ってスタッフさんに差し出すと、お部屋の木の札と利用に関する注意書き、そしてエアコンのリモコンが入っている籠が引き換えに手渡されました。


今回私が利用するお部屋の番号は4番「屋久杉風呂」。


鍵を開けて中に入ってみますと、更衣スペースにはエアコン、トイレ、ドライヤーが用意されており、お部屋自体もそこそこ広いので、2~3人程度なら快適に利用できるでしょう。


風呂の戸を開けると、室内に充満する温泉の芳しい匂いがプンと香ってきました。施設側ではこちらの温泉をモール泉と称しているようですが、私個人の感覚ですと、少なくとも嗅覚面ではモール臭というよりどちらかと言えばアブラ臭に近いように思われます。


浴室内にはシャワーがひとつあり、水栓を開けると源泉のお湯が出てきました。


浴槽は1人で入るとゆったり、2人でちょっときついか、といった程度の大きさ。麦茶色とは異なる淡い茶色を帯びた、薄いコーヒーのような色をした透明のお湯が張られています。


投入口のお湯を口に含んでみますと、アブラ臭を伴う重曹泉にありがちな風味や清涼感を伴うほろ苦さが感じられ、湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が得られました。たしかにモール泉と言われればモール泉なのでしょうけど、同じく九州のモール泉で有名な人吉盆地や加久藤盆地のお湯とはちょっと異なります。


興味深いのは加水するための冷泉です。お湯が熱い場合はこれで加水するのですが、水道水ではなく冷鉱泉を加えるのが良いところ。この冷鉱泉、水栓を開けて間もなくは金気が強くて驚きました。しばらく出しているうちにその金気は徐々に減っていったので、もしかしたら配管の錆かもしれませんが、それでも金気は少し残っていましたので、鉱泉にも金気が含まれているのかもしれません。またこの冷鉱泉は、とても泡立っている上に、淡いタマゴ風味を有する点も面白く、近いエリアの他の温泉で例えるならば、筑後川温泉のお湯に金気を混ぜたような不思議な感じがしました。
冷たいといっても25℃くらいですから、夏に水風呂にしたら最高に気持ち良さそうです。

今回は大浴場を利用していませんので、内湯や露天風呂の様子はお伝えできませんが、良いお湯であることに違いはありません。家族風呂を利用した今回は完全かけ流し状態の芳しい温泉を独り占めできましたが、次回利用する機会があれば、大きなお風呂に入って、改めてこの個性的な温泉を堪能してみたいと思います。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 45.8℃ pH7.7 374L/min(動力揚湯) 溶存物質1.47g/kg 成分総計1.51g/kg
Na+:350mg(88.59mval%),
Cl-:150mg(24.72mval%), HCO3-:780mg(74.69mval%),
H2SiO3:120mg, CO2:32mg,

福岡県大川市中八院241-1
0944-88-0026
ホームページ

10:00~22:00(受付終了21:30(家族風呂は21:00)) 
第2・第4火曜定休(ただし祝日及び26日は営業)
700円(家族風呂は別途1000円)

私の好み:★★★
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久留米市 湯の坂 久留米温泉(家族風呂)

2020年12月30日 | 福岡県

今年最後の記事は、多くのタレントを輩出している九州久留米で締めくくります。久留米の街中でこんな素晴らしいお湯に出会えるとは思わず、心の底から感動したので、一年の最後にこの温泉「湯の坂 久留米温泉」を取り上げることにしました。


西鉄久留米駅から約1km、徒歩で12~15分という市街地の中にある温泉施設。
日帰り入浴のみならず食事や宿泊なども可能な、比較的大きい施設です。


玄関を入って左手の奥にある下足箱に靴を預け、料金と一緒にそのカギをフロントに差し出します。今回私は日帰り入浴での利用で伺ったのですが、一般的な大浴場ではなく、他人を気にせず一人でのんびりできる家族風呂を利用することにしました。家族風呂は8室あり、料金も2200円や2400円など部屋によって異なっています。今回は小さい3番「百合」を使うことにしました。使いたい個室は受付カウンターで指定することができます。部屋を指定してその料金を支払うと、引き換えに鍵付きの札を渡されます。なお、大浴場利用の場合は靴のカギと引き換えにロッカーの鍵(リストバンド)をもらうようです。


フロントから大浴場へ向かう場合は、受付左手の階段を下ってゆくのですが、家族風呂はその階段を下らず、階段の脇を回り込んで右に曲がります。そしてまっすぐ進んでゆくと上画像の自動ドアがあって・・・


受付でもらった鍵を差し込むことでドアが開きます。なお受付でもらった鍵はここ以外では使いません。自動ドアから中に入って階段を下り個室風呂ゾーンへ。


階段を下った左右の廊下に個室風呂が分かれて配置されています。各個室とも空いている場合は鍵がかかっておらず、使用時に中から施錠します。話は前後しますが、私が入室中、スピーカーから音程の狂った「ピーンポーン」音が何度か鳴りました。どうやら誰かが自動ドアから家族風呂ゾーンへ入った際に、鳴る仕組みになっているようです。


私が指定した3番「百合」は、階段を下ってすぐ右側にある個室です。


ドアノブに入浴中の札をぶら下げ、中から施錠します。
脱衣室は広く、ドライヤー・扇風機・洗面台といったベーシックな備品はおろか、エアコンやテレビ、そしてトイレまで用意されており、万が一の場合に用いるインターホンまで取り付けられています。宿泊できちゃう充実ぶりにびっくり。
なお部屋に入ってすぐのところに「温泉ボタン」があるのですが、これについては後程触れます。


「百合」のお風呂は直径2.5~3mぐらいの丸くて青いタイル貼り。湯口から滔々とお湯が注がれており、縁からしっかりオーバーフローしています。源泉のお湯をそのまま供給しているためか、やや熱めの湯加減でしたが、私にとってはむしろ気持ち良くシャキッとするような熱さだったので、私は一切加水することなく入浴しました。


シャワーから出てくるお湯は温泉なので、お湯を頭から浴びるとお湯の個性を全身で感じ取ることができますよ。どんな個性なのかは後述します。


家族風呂は一見すると半露天のような造りで、浴槽の先は庭のようになっているのですが、実は露天に見せかけて露天でなく、頭上にはアクリル波板の屋根が被せてありました。でも半透明アクリル板を採用しているため屋外のような明るさが確保されています。


先ほど、部屋に入ってすぐのところに「温泉ボタン」があるということを述べました。説明によれば、これを押すと5分間48℃の熱いお湯が出てくるとのこと。湯口から新鮮なお湯が大量にドバドバ出てくるのかしら・・・。そんな光景を想像してワクワクしながら、実際にそのボタンを押してみたのですが・・・


湯口から出てくるお湯の温度は、押す前と後とほとんど変わらず(常時投入しているお湯が既に45℃以上の熱さ)、量もそんなに変わっていないような気がしました。入室前から湯口からお湯が注がれていたため、もしかしたらスイッチが押されっぱなしの状態(バルブが常時開の状態)になっていたのかもしれません。

さて、このお風呂で入れるお湯のクオリティが非常に素晴らしい! とても西鉄久留米の駅から徒歩圏の街中とは思えない程、硫黄感がしっかり表れているのです。溶存物質量は大して多くないのですが、その割には硫化水素イオンが多く含まれており、平野部しかも都市の温泉であることが信じられないほど、火山の噴気帯的なイオウの香りと味がしっかりと感じられるのです。シャワーを浴びると全身がその匂いに包まれますので、硫黄の香りが好きな方には堪らないでしょう。家族風呂は私以外に誰も入っておらず、しかも常時供給およびオーバーフローしているので、新鮮で綺麗なお湯を楽しめます。もちろん湯使いは完全かけ流し。なお湯船のお湯は若干黄色を呈しているように見えましたが、これはタイルの色の影響で、実際には無色透明だと思われます。硫黄感がしっかりしている上、ツルツルスベスベの滑らかな浴感も極上。重曹の影響なのか、熱いお湯ですが湯上がりはさっぱりします。

九州の温泉といえば、大分や熊本、鹿児島の有名な温泉地を思い浮かべますが、福岡県第三の都市の街中にも名泉がちゃんと存在するところに、温泉天国九州の底力を実感します。あまりの良さに感動してしまった極上のお湯でした。


アルカリ性単純硫黄温泉 49.4℃ pH不明 溶存物質294.1mg/kg 成分総計294.1mg/kg
Na+:76.9mg,
F-:7.4mg, HS-:3.2mg, HCO3-:134.2mg,
(平成16年6月17日)

福岡県久留米市野中町湯の坂1235
0942-33-4126
ホームページ

日帰り入浴10:00~翌朝9:00
1日入館:平日1500円 ・土日祝1700円(深夜1時以降は1100円加算)
3時間以内:平日750円 ・土日祝800円

家族風呂6:00~深夜1:00
平日2000円から・土日祝2200円から

私の好み:★★★

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さて、2020年の拙ブログは当記事でおしまいです。
週1度というのんびりとした更新にもかかわらず、多くの方にご覧いただきました。誠にありがとうございました。
今年の春以降は遠出が難しい状況となり、旅を生き甲斐とする私には拷問のような一年でしたが、それでも時宜を見計らいながら近場を中心に出かけて温泉を楽しみ、なんだかんだで新規開拓もできました。残念ながら今年訪ねた温泉の多くは、まだブログの記事にできておりません。大晦日までに、今年訪ねた温泉のごく一部を、instagramでご紹介するつもりです。ただし画像のみで説明は省きますからご承知おきを。
https://www.instagram.com/onsen_shouyou/?hl=ja
そうそう、このブログではお伝えしていませんでしたが、外出が憚られていた今年の初夏に、ハードディスクで眠っている過去の画像を振り返りながら外出欲求を満たそうと考え、SNSが苦手な私も、今更ながらインスタグラムに手を出してみました。とはいえ、所詮は苦手なSNSですので、こちらも投稿が滞っており、2週間に一度という酷いペースです。友人には「あんたにSNSは向いていない」と言われてしまいましたが、果たしていつまで続けられることやら・・・。

COVID-19に関しては新年もしばらくは事態に変化が無さそうですが、一日も早く再び自由に旅や湯めぐりができますよう願っております。
皆様もよいお年をお迎えください。

K-I
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原鶴温泉 やぐるま荘

2020年12月27日 | 福岡県

私が大好きな福岡県原鶴温泉へとやってまいりました。今回お邪魔するのは温泉街の中心部からちょっと離れた「やぐるま荘」です。建物自体はかなり年季が入ったコンクリ造ですが、敷地が大きく駐車場も広いので、車でアクセスするならとても便利です。お宿の公式サイトを拝見しますと、車はもちろん、自転車でツーリングするサイクリストを歓迎しているらしく、施設内に屋内駐輪場・自転車洗浄・各種工具等々の用意があるんだそうですよ。


私が訪ねたときには、車でも自転車でもなく、駐車場の隅には白ヤギさんが一頭ウロウロしていました。当然お客さんの移動手段ではなく、お宿で飼われているんですね。


真っ白でかわいらしいヤギさんの目の前には、手水のようなモニュメントがあり、熱い温泉が湯気を濛々と上げながら垂れ流されていました。白ヤギさんはお手紙なんて食べることなく、きっと常に温泉の香りを嗅いでリラックスしているもかもしれませんね。はぁ、うらやましいわ。

さて私は日帰り入浴で利用させていただきます。フロントを訪ねてその旨を伝えると、いかにも人のよさそうなご主人がお風呂までの経路やお風呂に関することなどを丁寧に説明してくださいました。人間もお宿も第一印象が大切。たまに「日帰り・・・」と口にするや否やぞんざいに対応する施設もありますが、こちらのように丁寧に接してくださいますと、次回は宿泊を検討したいな、お風呂がよければ尚更だ、といった感じで確実に再訪候補の対象となり、また自分のブログでも極力良い方向で書かなくては、という気持ちになるものです。


湯銭を支払い、ご主人が案内してくださった通りにフロントの先を右折し、更に左折するという感じでひたすら奥へ進んでゆくと、その先に浴場の入口がありました。


入口の前には「アンチエイジングの湯」と書かれた板を発見。入浴することでアンチエイジング効果が得られるのか、はたまた湧出したてで老化していない新鮮な温泉という意味か、正直なところ判然としませんが、ま、ここでは両方の意味として捉えておきましょう。同じ板には加水も加温もしていないという嬉しい文言もありますので、おそらく後者の意味で捉えるのが正解なのかも。

外観から想像できるように館内も少々お疲れ気味なのですが、それでもしっかりお手入れされており、脱衣室も老朽化に抗うべくしっかり整えられています。ジャズが流れる室内には、エアコンや扇風機などが設けられているほか、ロッカーや洗面台、ドライヤーなどのベーシックなグッズも完備。使い勝手は良好です。


浴室の大きさにはたまげました! H鋼を組んで建てられており、まるで熱帯植物園の温室のような造りなのです。そういえば、表の玄関の看板に「ジャングル風呂」と書かれてたのですが、なるほどジャングルをイメージしているのですね。温室のような造りでありながら決して暖かい訳ではないのですが、アーチ状の天井はとても高くポリカの波板で囲われているため、日中の浴室内はとても明るくのびのび入浴できます。


大きな内風呂に据えられているお風呂は巨大な岩風呂。立派な岩が屹立していますが、室内が大きいため決して窮屈な感じがしません。浴槽は温度別に2分されていて、湯口側はおおよそ3メートル四方で若干熱め。一方、湯尻側は3メートル×6メートルほどで、若干ぬるめの湯加減です。ちなみに浴室の壁には「日本百名湯に選ばれた」と書かれているが、いつどなたが選定したのか、不勉強の私は存じ上げません。


岩の間から出てくる温泉。当然ながら内湯におけるお湯の鮮度は湯口側浴槽がはるかに良好でした。


男湯の場合、脱衣室側から見て左側にシャワーが5個ほど並んでいます。シャワーから出るお湯は温泉であり、しかも飲めるんだとか。理性のリミッターが壊れている私は適量という言葉を知らないため、シャワーの口を自分の顔に向け、出てくるお湯を直接口で受けながら、グビグビと大量に飲んでしまいました。はぁ、おいしかった。


露天風呂は河原のようなロケーション。それもそのはず、目の前は筑後川分水路の原っぱが広がっているのです。この露天風呂には使われていない浴槽跡が一つあるほか、左奥に縦長の台形の浴槽もあり、後者にお湯が張られています。その浴槽の大きさは目測で底辺3m×上底1.8×奥行4.5mほど。なお浴槽の奥には電気風呂が設けられているのですが、私は電気風呂が苦手なので奥の方は入っていません。


奥の湯口から滔々と注がれるお湯は無色透明で、茹で卵の卵黄のような風味がはっきりと感じられます。九州でなく申し訳ないのですが、例えば台湾のアルカリ性硫黄泉にありそうな濃いめの味と匂い、あるいは秩父のタマゴ水にも近い匂いと味と表現したくなるような比較的強いタマゴ感が得られ、この手の風味が大好きな私はついつい感動してしまいました。またそれに加えてアルカリ性泉にありがちな微収斂も感じ取れました。
立派なのは香りや味だけではありません。大してアルカリ性に傾いているわけでもないのに、完全にアルカリ性泉らしいはっきりとしたツルツルスベスベの滑らかな浴感が肌に伝わるほか、若干ヌルヌル感も伴っていました。成分表を見ても特に何かが突出して含まれているわけではないのに、何がこの浴感をもたらしているのでしょうか。重曹が少々多いからか、あるいはフッ素イオンが比較的多いからなのか、とにかく不思議なお湯です。内湯・露天ともに湯使いは完全掛け流し。大変フレッシュですばらしいお湯です。しかも上述のようにお湯が飲めるのですから言うことなし。なお今回は利用していませんが館内には貸切風呂もあるんだそうです。お湯にこだわる方へおすすめしたい、素晴らしい温泉でした。


八車荘2号
単純温泉 46.6℃ pH7.9 200L/min(動力揚湯) 溶存物質0.713g/kg 成分総計0.713g/kg
Na+:185.5mg(90.57mval%),
F-:14.6mg, Cl-:131.4mg(41.09mval%), HS-:1.1mg, HCO3-:274.8mg(49.83mval%),
H2SiO3:69.2mg, HBO2:18.0mg, H2S:0.2mg,
(令和元年12月9日)

福岡県朝倉市杷木久喜宮1890-1
0946-62-0700
ホームページ

日帰り入浴10:00~20:00
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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