温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

松倉温泉 民宿梅沢温泉

2010年04月14日 | 青森県


青森県・鶴田町にひっそり佇むほぼ地元民向けの温泉です。ネットでの情報によると訪問したことのある方はみなさん迷っているようですが、Googleマップで事前に位置を確認しておいたからか、私は迷うことなくそんなりとたどり着けました。確かに県道から路地をちょっと入ったところにあるので判りにくいのですが、目星をつけたところには他に集落がなかったこと(集落のまわりはリンゴ畑です)、その集落に入ったらいかにも湯屋らしい屋根が目に入ったこと、こうした手がかりが容易に発見できた要因です。長い間浴場を巡っていると、自然と勘がついてくるものです。

 

左:路地には看板が出ていますが、これが無ければただの民家
右:営業時間案内の札には「9時になれば消灯します。悪く思わないで下さい」と書かれている。ちょっと面白い表現。


敷地入って左手がオーナーの自宅、中央が民宿棟、右手が湯屋となっています。民宿棟の前には2~3台の車が停められる駐車スペースあり。民宿と書かれていますが閑散としており、果たして本当に民宿業をやっているのかわかりません。宿棟玄関の手前右手に分岐があって、そちらが湯屋の入り口。雪国らしく二重の玄関になっていて、外観は完全に民家で外側には何の表示もないため、ぱっと見は民宿の勝手口のようですが、よくみると中玄関には「梅沢温泉」と書かれた木の表札が下がっているので、こちらへ入ってもよいことがわかるかと思います。

 

左:浴場の入り口
右:中玄関の様子。表札が提げられている


中は一応無人で、料金は名前を書いたメモ(用紙が現地にあり)と一緒に、脱衣室内にあるお盆の上に置いておきます。訪問時は先客のお爺さんのほか、オーナーの奥さんが脱衣室内を清掃しており、明らかによそ者と分かる私を見つけると、笑顔ながら私の素性の詮索を開始。なるほど、ここは基本的に地元民専用なんですね。中玄関には常連さん用の入浴用具棚があって、桶やシャンプー類がずらっと置かれていることからもそれがわかります。



脱衣室内にあるおぼんの上に、名前を書いたメモとともに料金を置いておく


木造でこじんまりとしていながら天井が高く、床とそこから立ち上がり50センチ程はタイル敷きで結構清潔感があります。お風呂は内湯がひとつのみ。味わい深い木製で方形の浴槽は2~3人も入ればいっぱいになるような小さなもの。お湯が静かにかけながされています。牛の置物が据えられた湯口からは間断なくお湯が注がれおり、この牛の置物の下にコックがあるので、それで湯量や湯加減を調節することができます。湯口のお湯はちょっと熱めなので、湯船が熱かったら湯量を絞ればいいわけです(とはいえ基本的には地元の方のお湯なので、郷に入れば郷に従え、地元の方が好む湯加減に従いましょう)。
お湯は薄いウーロン茶色の透明、マイルドな塩味にダシの味と渋みのような味が混ざり合い、芳しい臭素臭が漂います。肌によくなじむつるつるすべすべとした浴感で、お湯の中では綿埃のような湯華が浮遊しています。塩化物泉だけあって湯上りはとてもぽかぽかし、おそらく重曹成分も相当含まれているのでしょう、肌もすべすべです。加温・循環・消毒・加水など一切なし。

 

左:浴槽の様子
右:このお風呂についての能書。大衆浴場ではなく体を養生するための温泉である、と書かれている。ということは民宿というより湯治宿なのかもしれない


先ほどは私をいろいろと詮索してきた奥さんですが、私が怪しくない人物だと判明すると歓迎の気持ちを伝えてくれ、お湯に入る前は「このお湯は湯当たりするから、あんまり長湯しないで早めに出てきたほうがいいよ」などと心配してくださいました。そして停めてあった私の車が「川崎」ナンバーであることに気付いたオーナーご夫妻は「よくここまで来ましたね」と驚かれ、帰るときにはお二人揃って見送ってくださいました。体も心もあったまる、実にのどかな温泉でした。


ナトリウム-塩化物泉
49.8℃
(詳細な分析表の掲示なし)

青森県北津軽郡鶴田町横萢字松倉51 地図

6:00~21:00
200円

私の好み:★★★
コメント (2)
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奴留湯温泉 共同浴場

2010年04月10日 | 熊本県


火の国熊本の小国郷は数多の温泉に恵まれた温泉ファン垂涎の地。犬も歩けば…状態であちらこちらに温泉浴場が存在しています。阿蘇から国道387号線を北上し、北里柴三郎記念館付近を過ぎてから在地に入ったところにあるのが今回紹介する奴留湯温泉で、温泉地といっ
ても宿はなく共同浴場が1箇所ポツンとあるだけです。

瓦屋根ながらコンクリ打ちっぱなしのこじんまりとした建物で、いかにも公共の施設らしく、あまり味気のない外観だったので、正直入る前は期待していませんでした。無人なので料金入れに100円玉2枚を投入して中へ。脱衣所もいかにも共同浴場といった印象の、棚しかないシンプルな造り。訪問時はお昼をちょっとまわった頃で、先客ゼロ。引き戸を開けて浴室に入ると、硫黄の芳しい香りが鼻をついてくるではありませんか。そして目を奪われたのが音を立てて溢れるオーバーフロー。二つ設けられた湯口からふんだんにお湯が注がれ、浴槽から洗い場に向かって、まるで川のような状態になっています。これはすごい。
「ぬるゆ」という名称の通りお湯はぬるく、源泉は38℃のようですが、浴槽では確実にそれ以下。このため10月から5月の午後3時半から夜9時半までは加温されるそうです。でも加温されていない源泉そのままのお湯ならば、いつまでもじっと長湯していられるので、お湯の良さを堪能したければ非加熱の時間・時期に訪問することをおすすめします。

浴槽は入浴用と上がり湯用の二つに分かれています。手前側の槽の底にはゴロゴロした石が敷かれており、石は硫黄の析出でうっすら白くなっていました。一方上がり湯槽はすのこ敷きです。湯口から出るお湯は無色透明、匂いは先日の通り温泉ファンの心を満足させる硫黄の香り、口に含むとはじめほんのり甘く、その後たまご味、おくれてほろ苦さが来ます。お湯の中では白い繊維状の湯の花がちらほら。お湯の中でじっとしているとやがて全身に気泡がびっしり付着。お湯が新鮮である証拠ですね。硫黄感+ぬるめ+気泡+大量かけ流しという、実にすばらしい組み合わせです。

ちなみに奴留湯という名前については、むかしお殿様が当地(北里)を訪れた際、付き添った下級武士(いわゆる奴)がここに入って疲れを癒した、でもぬるいので長湯してしまいなかなか上がることができなかったので、奴を留めるお湯ということでこの名前と表記になったんだそうです。まぁこのお話は後付けなんでしょうけど、奴さんでなくとも、温泉ファンなら誰しもが留まっていたいと思うであろうおすすめの浴場です。




硫黄泉 38℃

熊本県阿蘇郡小国町北里2284 地図
(0967-46-2111小国町地域振興課)

備品類なし
200円
湯屋裏手左側に駐車場あり

私の好み:★★★
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湯川温泉 某所 共同浴場(地元民専用)

2010年04月07日 | 岩手県


岩手県西和賀町の旧湯田町域には点在するいくつかの温泉地によって形成されている湯田温泉郷があります。JR北上線に「ほっとゆだ」という変わった名前の駅があり、駅舎には温泉浴場が併設されているので、その異色な駅によってある程度は知名度があるのかもしれませんが、いずれも地味でひっそりとしたところです。

ほっとゆだ駅から県道215号線を南下し、廃山になった土畑鉱山を左に見ながら進んでゆくと、やがてたどり着くのがに湯川温泉です。湯田温泉郷の中では最も歴史があるとされており、それゆえか、湯川温泉は湯田温泉郷の中で最も多く旅館を擁しているのですが、ならば外湯はないものかとウロウロしていたら、温泉街の手前の集落に架かる橋の下にそれらしき小屋を発見。一見すると農機具小屋のようですが、ホースが導かれているので湯小屋であると想像がつきます(温泉巡りを繰り返してきた私の勘です)。

 

左:30年ほど前に廃山となった土畑鉱山
右:橋の下の川端に建っている湯小屋


扉を開けようとすると鍵がかかっていたので、一か八か、その小屋に隣接する民家に伺ってみることにしました。声をかけると中から初老の奥さんが出てきてくださり、曰くあの小屋は地元民専用の浴場であるとの返答。やはりそうでしたか。入れていただけないかと切り出してみると、快く承諾してくださいました。100円と引き換えに鍵を受け取り、改めて川端の小屋へ。鍵を開けて中に入ると、コンクリ製方形の浴槽だけという極めてシンプルな浴室がそこにありました。渋い共同浴場が好きな温泉マニアの方にはたまらない雰囲気です。

お湯は無色澄明無臭で薄らと硫酸塩的な味が感じられ、お湯の中では茶色い小さな粒状のちらほら湯華が浮遊しています。地元民専用の共同浴場にしては大きめな湯船で、5~6人は入れそう。肌に優しく癖のないお湯で、いつまでも長湯していたくなる絶妙な湯加減。余計なものは何一つなく、すぐそこを流れる川面すら眺めることはできません。薄暗い小屋の中に据えられた浴槽へ、絶え間なくお湯が注がれ、その音が響くだけの静かな空間。お湯を堪能するためだけにある質素な小屋です。


塩ビのパイプから注がれるお湯。「許可なく勝手に排湯栓及び給湯パイプ等を抜き取らないで下さい」と書かれた札が立てかけられている。


お湯からあがり、鍵を返しに先ほどのおばさんを訪ねると「(お湯は)どうでしたか。また来てください」と仰ってくださいました。どこの馬の骨だかわからないような者にもかかわらず、快く入湯を許して下さり、その上再訪ウェルカムな言葉まで頂戴できるとは、まさに予想外で、非常に感激し、心の底から感謝しました。この集落の浴場がいつまでも地元の方に愛され続けることを願ってやみません。


温泉分析表の掲示なし

岩手県和賀郡西和賀町湯川
地元の方専用の浴場なので、詳細な場所は記しません。ヒントとして以下のキーワードを紹介しておきます
・旅館「四季彩の宿」先にある集落
・橋の下、小さな神社の近く
・出戸の湯バス停そば



100円 入浴可能時間は昼間だそうです(昼以外は地元専用)
必ず湯小屋隣の民家を訪ねて許可を得てください。

私の好み:★★★
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復活のご挨拶

2010年04月04日 | その他
昨年末以来、モチベーションが上がらずにブログを更新してきませんでした。
でもその間にも、お気に入りの温泉を再訪したり、新たなところを開拓したりと、温泉巡りは止むことなく続けてきました。
ネタも十分溜まったどころか、溜まりすぎて腐敗しそうなので、そろそろ新規記事を書き始めようかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

2010.4.4 K-I
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