青森県・鶴田町にひっそり佇むほぼ地元民向けの温泉です。ネットでの情報によると訪問したことのある方はみなさん迷っているようですが、Googleマップで事前に位置を確認しておいたからか、私は迷うことなくそんなりとたどり着けました。確かに県道から路地をちょっと入ったところにあるので判りにくいのですが、目星をつけたところには他に集落がなかったこと(集落のまわりはリンゴ畑です)、その集落に入ったらいかにも湯屋らしい屋根が目に入ったこと、こうした手がかりが容易に発見できた要因です。長い間浴場を巡っていると、自然と勘がついてくるものです。
左:路地には看板が出ていますが、これが無ければただの民家
右:営業時間案内の札には「9時になれば消灯します。悪く思わないで下さい」と書かれている。ちょっと面白い表現。
敷地入って左手がオーナーの自宅、中央が民宿棟、右手が湯屋となっています。民宿棟の前には2~3台の車が停められる駐車スペースあり。民宿と書かれていますが閑散としており、果たして本当に民宿業をやっているのかわかりません。宿棟玄関の手前右手に分岐があって、そちらが湯屋の入り口。雪国らしく二重の玄関になっていて、外観は完全に民家で外側には何の表示もないため、ぱっと見は民宿の勝手口のようですが、よくみると中玄関には「梅沢温泉」と書かれた木の表札が下がっているので、こちらへ入ってもよいことがわかるかと思います。
左:浴場の入り口
右:中玄関の様子。表札が提げられている
中は一応無人で、料金は名前を書いたメモ(用紙が現地にあり)と一緒に、脱衣室内にあるお盆の上に置いておきます。訪問時は先客のお爺さんのほか、オーナーの奥さんが脱衣室内を清掃しており、明らかによそ者と分かる私を見つけると、笑顔ながら私の素性の詮索を開始。なるほど、ここは基本的に地元民専用なんですね。中玄関には常連さん用の入浴用具棚があって、桶やシャンプー類がずらっと置かれていることからもそれがわかります。
脱衣室内にあるおぼんの上に、名前を書いたメモとともに料金を置いておく
木造でこじんまりとしていながら天井が高く、床とそこから立ち上がり50センチ程はタイル敷きで結構清潔感があります。お風呂は内湯がひとつのみ。味わい深い木製で方形の浴槽は2~3人も入ればいっぱいになるような小さなもの。お湯が静かにかけながされています。牛の置物が据えられた湯口からは間断なくお湯が注がれおり、この牛の置物の下にコックがあるので、それで湯量や湯加減を調節することができます。湯口のお湯はちょっと熱めなので、湯船が熱かったら湯量を絞ればいいわけです(とはいえ基本的には地元の方のお湯なので、郷に入れば郷に従え、地元の方が好む湯加減に従いましょう)。
お湯は薄いウーロン茶色の透明、マイルドな塩味にダシの味と渋みのような味が混ざり合い、芳しい臭素臭が漂います。肌によくなじむつるつるすべすべとした浴感で、お湯の中では綿埃のような湯華が浮遊しています。塩化物泉だけあって湯上りはとてもぽかぽかし、おそらく重曹成分も相当含まれているのでしょう、肌もすべすべです。加温・循環・消毒・加水など一切なし。
左:浴槽の様子
右:このお風呂についての能書。大衆浴場ではなく体を養生するための温泉である、と書かれている。ということは民宿というより湯治宿なのかもしれない
先ほどは私をいろいろと詮索してきた奥さんですが、私が怪しくない人物だと判明すると歓迎の気持ちを伝えてくれ、お湯に入る前は「このお湯は湯当たりするから、あんまり長湯しないで早めに出てきたほうがいいよ」などと心配してくださいました。そして停めてあった私の車が「川崎」ナンバーであることに気付いたオーナーご夫妻は「よくここまで来ましたね」と驚かれ、帰るときにはお二人揃って見送ってくださいました。体も心もあったまる、実にのどかな温泉でした。
ナトリウム-塩化物泉
49.8℃
(詳細な分析表の掲示なし)
青森県北津軽郡鶴田町横萢字松倉51 地図
6:00~21:00
200円
私の好み:★★★