※残念ながら2014年11月に取り壊されてしまったようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/2c/ad8f52810ccdecfb579cb0efdbe04012.jpg)
台北の温泉地といえばその筆頭に挙げられるのは言わずもがな北投温泉ですが、そこから山へ登った奥の方にも多くの温泉地があり、秘湯めいた温泉もあちこちに点在しています。今回はこの一帯屈指の地熱地帯である龍鳳谷へ向かって、当地の公共浴場を利用してみることにしました。まずはMRT北投駅前から、230番(陽明山行)か小25番(六窟行)のいずれかのバスに乗車します。この時は黄色いマイクロバスの230番がやってきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/65/2ab96e9a4c5fa52601f658c68573ed89.jpg)
バスは北投駅から北投温泉街を抜けて、陽明山の山裾を上がる泉源路の坂を延々登り続け、23分で「龍鳳谷」バス停に到着しました。ここで下車します。なお北投駅の他、石牌駅から行義路を上がってくる535番(六窟行)か128番(第二停車場行)のバスに乗ってもOKです。バス停の前には仮設のトイレがひとつあり、偶々便意を催したので使わせていただいたのですが、公衆仮設トイレにもかかわらずとても綺麗に維持されており、気持ちよく用を足せました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/21/bee2c2aac86ed3515d79384411791241.jpg)
バス停の前には「龍鳳谷餐庁」という温泉施設の跡があるのですが、全体的に埃を被ったように暗く、しかもゲートには売り物件の札が張られていたので、現在は営業をやめてしまったのかもしれません(間違っていたらゴメンナサイ)。この「龍鳳谷餐庁」の先(バス停から数十メートル)のところに、「龍泉宮」と彫られた石碑が立っており、その脇から谷底へ伸びる階段がありますので、この階段へと進んでどんどん下ってゆきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/08/88f5a04770f5f738d5f39477264c5dfb.jpg)
落石注意の標識に怯えながら階段を下ってゆくと、やがて中華風のお宮の前を通ります。このお宮が「龍泉宮」なのでしょうね。階段は更に下方へ伸びており、お宮のテラス下を潜る感じで進むと…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/1b/90e7c3929be40fbcfc3baa5d74793dd0.jpg)
階段は橋へ直結されており、この橋で白く濁った谷底の川を渡ります。川岸には黒いホースがウネウネと無数に並行しており、また両岸を跨いでいるホースもたくさん見られます。いずれも界隈の民家へ上水を引くためのものでしょうけど、台湾ってこの手の設備を無秩序状態で放ったらかしにしておく傾向にあるんですよね。せっかくの美観も台無し…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/0d/b08bf1b4c74e8099da79fbb68a59a755.jpg)
橋の対岸右手には、トーチカみたいに細長い小窓が開いている、古びたコンクリの低い建物があり、その壁には「女→」とペンキで大きく書かれていました。これこそ今回の目的地である「羅漢窟温泉公共浴室」であります。その表示の通り、手前の川側は女湯でして、奥の崖側が男湯となっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ce/632b8c45615c1a8eabf933a46529bddb.jpg)
継ぎ接ぎだらけの目隠しが施された入口より奥へ進むと、小窓からはおじさん達の会話と、手桶でザバーッと掛け湯する音が聞こえて来ました。ほほぉ、これが男湯の外観か。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/c9/6e82faff4dafc4d8378dbfa850828bd7.jpg)
この「羅漢窟温泉公共浴室」は地元民向けの共同浴場なのですが、私のような外来者でも無料で利用することができます。と言っても、台湾のジモ専ならではの独特な空気感と衛生観念に抵抗感が無ければ(あるいは耐久力があれば)の話ですけどね。なお男女別の内湯ですから、全裸で入浴します。
台湾の公共浴場はえてして脱衣スペースと入浴スペースが一体化していることが多いのですが、ご多分に漏れずこちらも同様の造りでして、しかも両スペースがフラットであるため、脱衣スペースまでビショビショでした。L字形に棚が並んでおり、その上では換気扇がブンブン音を奏でて勢い良く回っています。見るからにオンボロな共同浴場なのですが、それでも脱衣スペースにはお茶を淹れるための器具が一式揃っており、台湾の方々の生活とお茶は切っても切れないものであることを、改めて認識させられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/12/208ae8c9a7db690ef42d85dec833ffd5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/7a/4c5645b05cd4c9d97418891887997f34.jpg)
室内の壁には「洗乾浄才入池」、つまり体を綺麗にしてから湯船に入りましょうと直に書かれています。この手の注意書きは台湾の温泉浴場でしたらどこでも見られますので、別段珍しいものではないのですが、殊にここのお風呂においては、妙に現実味を持って訴えかけているように思われます。と言いますのも、反対側の壁に掲示されている「使用注意事項」のプレートには、約10年前に衛生局が当浴場へ出した勧告が貼り付けられており、そこには当浴場と近所の「媽祖窟公共温泉浴室」の2箇所が「水質不合格・請使用民衆配合改善」、つまり水質検査の結果、浴用の基準に達していなかった(不合格だった)ので、利用する皆さんの善処を求めます、と書かれているのです。どんな基準において不合格だったのかは記されていませんが、文中にて「使用民衆於進入浴池前、先行沖洗清潔後再入池」、つまり湯船へ浸かる前にまず体を綺麗に洗いましょうとあるので、おそらく大腸菌関係の数値が規定をオーバーしていたのでしょう。つまり衛生局の見解では、マナーに問題があると言いたいようです。確かにそれもあるでしょうけど、外部と浴室内がほぼフラットで、足裏に外の泥をつけたまま湯船へ入れてしまうような造りになっていることも、大いに影響しているような気がします。
ちなみに私の利用時、衛生局から文句を言われる筋合いなんて無いほど、常連さんは全身石鹸の泡だらけになって、しっかりと体を洗ってから入浴なさっていました。洗い場にシャワーなどのカランは無いのですが、その代わり大きなバケツや手桶がたくさん用意されており、各自で後述する湯口からお湯をバケツに汲んで、そのお湯で掛け湯をしたり、体を洗ったりしていました。また室内右側には小さな冷水槽もあり、常時水が供給されているので、クールダウンを図るべくこの水を浴びる方も多く見られました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/3b/fba3a60ee0b344b78a8a762666897772.jpg)
浴槽は2分割されており、いずれも7人サイズ(左の方が若干大きい)。左側の槽に源泉から引かれている配湯管があり、ホースに接続されていて、両浴槽へお湯を供給できるようになっていました。ホース口から吐出されるお湯は50℃以上あり、浴槽へは直接加水できない構造のため、このホース口が落とされている方の浴槽が必然的に熱くなります。しかも、このホースは常連さんの気まぐれによって左右のどちらにも向けられるため、おそらくその時々によって、どちらの浴槽が熱いのか(そしてどのくらい熱いのか)は変わってくるものと思われます。なお上画像ではホース口が左側槽に向いていますが、この直前までは右側槽でひたすらお湯を吐出し続けていたため、右側槽は体感で46~7℃という高温となっており、熱すぎて入れたもんじゃありませんでしたが、左側槽は43℃前後で良い湯加減でした。
さて肝心のお湯に関してですが、麓の北投温泉のような酸性泉でなく、はたまた近所の行義路温泉のような白濁の硫黄泉でもなく、鉄錆系の金気がとても強い泉質でして、湯船ではやや橙色を帯びた貝汁濁りを呈しており、強い金気の他、石膏的な甘み、そして明瞭な炭酸味も感じられました。前々回取り上げた「冷水坑温泉」に近い泉質かと推測されますが、冷水坑温泉のような入浴中における気泡の付着は見られませんでした。入浴中の肌にはギッシギシと強い引っ掛かりがあり、湯上がりもかなりのベタつきが残りました。とても個性の強いお湯です。湯使いは当然ながら完全掛け流しです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/5c/ca3b82388b7ca0edf8126f4452f1646d.jpg)
浴室の隣には上画像のような休憩スペースがあり、腰掛けが用意されている他、水場もあって、浴室ではなくこちらで水浴びをしているお爺さんもいらっしゃいました。また常連さんの風呂道具(バケツを含む)もたくさん並んでいました。
地元のおじさん(お爺さん)たちがスッポンポンで賑やかに喋りながら入浴しており、しかも谷底の薄暗い環境のもと、日本人の衛生観念から考えれば及び腰にならざるを得ない状態で入浴するわけですので、台湾の公衆浴場に慣れていない方にはあまりおすすめできませんが(おそらく台湾の若者も敬遠するでしょう)、泉質重視の温泉ファンでしたら行っても損は無い、なかなか面白いお風呂でした。
MRT北投駅前から、230番(陽明山行)か小25番(六窟行)、あるいは石牌駅から535番(六窟行)か128番(第二停車場行)のいずれかの路線バスで「龍鳳谷」バス停下車、徒歩3~4分
台北市北投区泉源路242号 地図
利用可能時間不明
無料
備品類なし
私の好み:★★+0.5
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台北の温泉地といえばその筆頭に挙げられるのは言わずもがな北投温泉ですが、そこから山へ登った奥の方にも多くの温泉地があり、秘湯めいた温泉もあちこちに点在しています。今回はこの一帯屈指の地熱地帯である龍鳳谷へ向かって、当地の公共浴場を利用してみることにしました。まずはMRT北投駅前から、230番(陽明山行)か小25番(六窟行)のいずれかのバスに乗車します。この時は黄色いマイクロバスの230番がやってきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/65/2ab96e9a4c5fa52601f658c68573ed89.jpg)
バスは北投駅から北投温泉街を抜けて、陽明山の山裾を上がる泉源路の坂を延々登り続け、23分で「龍鳳谷」バス停に到着しました。ここで下車します。なお北投駅の他、石牌駅から行義路を上がってくる535番(六窟行)か128番(第二停車場行)のバスに乗ってもOKです。バス停の前には仮設のトイレがひとつあり、偶々便意を催したので使わせていただいたのですが、公衆仮設トイレにもかかわらずとても綺麗に維持されており、気持ちよく用を足せました。
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バス停の前には「龍鳳谷餐庁」という温泉施設の跡があるのですが、全体的に埃を被ったように暗く、しかもゲートには売り物件の札が張られていたので、現在は営業をやめてしまったのかもしれません(間違っていたらゴメンナサイ)。この「龍鳳谷餐庁」の先(バス停から数十メートル)のところに、「龍泉宮」と彫られた石碑が立っており、その脇から谷底へ伸びる階段がありますので、この階段へと進んでどんどん下ってゆきます。
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落石注意の標識に怯えながら階段を下ってゆくと、やがて中華風のお宮の前を通ります。このお宮が「龍泉宮」なのでしょうね。階段は更に下方へ伸びており、お宮のテラス下を潜る感じで進むと…
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階段は橋へ直結されており、この橋で白く濁った谷底の川を渡ります。川岸には黒いホースがウネウネと無数に並行しており、また両岸を跨いでいるホースもたくさん見られます。いずれも界隈の民家へ上水を引くためのものでしょうけど、台湾ってこの手の設備を無秩序状態で放ったらかしにしておく傾向にあるんですよね。せっかくの美観も台無し…。
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橋の対岸右手には、トーチカみたいに細長い小窓が開いている、古びたコンクリの低い建物があり、その壁には「女→」とペンキで大きく書かれていました。これこそ今回の目的地である「羅漢窟温泉公共浴室」であります。その表示の通り、手前の川側は女湯でして、奥の崖側が男湯となっています。
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継ぎ接ぎだらけの目隠しが施された入口より奥へ進むと、小窓からはおじさん達の会話と、手桶でザバーッと掛け湯する音が聞こえて来ました。ほほぉ、これが男湯の外観か。
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この「羅漢窟温泉公共浴室」は地元民向けの共同浴場なのですが、私のような外来者でも無料で利用することができます。と言っても、台湾のジモ専ならではの独特な空気感と衛生観念に抵抗感が無ければ(あるいは耐久力があれば)の話ですけどね。なお男女別の内湯ですから、全裸で入浴します。
台湾の公共浴場はえてして脱衣スペースと入浴スペースが一体化していることが多いのですが、ご多分に漏れずこちらも同様の造りでして、しかも両スペースがフラットであるため、脱衣スペースまでビショビショでした。L字形に棚が並んでおり、その上では換気扇がブンブン音を奏でて勢い良く回っています。見るからにオンボロな共同浴場なのですが、それでも脱衣スペースにはお茶を淹れるための器具が一式揃っており、台湾の方々の生活とお茶は切っても切れないものであることを、改めて認識させられました。
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室内の壁には「洗乾浄才入池」、つまり体を綺麗にしてから湯船に入りましょうと直に書かれています。この手の注意書きは台湾の温泉浴場でしたらどこでも見られますので、別段珍しいものではないのですが、殊にここのお風呂においては、妙に現実味を持って訴えかけているように思われます。と言いますのも、反対側の壁に掲示されている「使用注意事項」のプレートには、約10年前に衛生局が当浴場へ出した勧告が貼り付けられており、そこには当浴場と近所の「媽祖窟公共温泉浴室」の2箇所が「水質不合格・請使用民衆配合改善」、つまり水質検査の結果、浴用の基準に達していなかった(不合格だった)ので、利用する皆さんの善処を求めます、と書かれているのです。どんな基準において不合格だったのかは記されていませんが、文中にて「使用民衆於進入浴池前、先行沖洗清潔後再入池」、つまり湯船へ浸かる前にまず体を綺麗に洗いましょうとあるので、おそらく大腸菌関係の数値が規定をオーバーしていたのでしょう。つまり衛生局の見解では、マナーに問題があると言いたいようです。確かにそれもあるでしょうけど、外部と浴室内がほぼフラットで、足裏に外の泥をつけたまま湯船へ入れてしまうような造りになっていることも、大いに影響しているような気がします。
ちなみに私の利用時、衛生局から文句を言われる筋合いなんて無いほど、常連さんは全身石鹸の泡だらけになって、しっかりと体を洗ってから入浴なさっていました。洗い場にシャワーなどのカランは無いのですが、その代わり大きなバケツや手桶がたくさん用意されており、各自で後述する湯口からお湯をバケツに汲んで、そのお湯で掛け湯をしたり、体を洗ったりしていました。また室内右側には小さな冷水槽もあり、常時水が供給されているので、クールダウンを図るべくこの水を浴びる方も多く見られました。
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浴槽は2分割されており、いずれも7人サイズ(左の方が若干大きい)。左側の槽に源泉から引かれている配湯管があり、ホースに接続されていて、両浴槽へお湯を供給できるようになっていました。ホース口から吐出されるお湯は50℃以上あり、浴槽へは直接加水できない構造のため、このホース口が落とされている方の浴槽が必然的に熱くなります。しかも、このホースは常連さんの気まぐれによって左右のどちらにも向けられるため、おそらくその時々によって、どちらの浴槽が熱いのか(そしてどのくらい熱いのか)は変わってくるものと思われます。なお上画像ではホース口が左側槽に向いていますが、この直前までは右側槽でひたすらお湯を吐出し続けていたため、右側槽は体感で46~7℃という高温となっており、熱すぎて入れたもんじゃありませんでしたが、左側槽は43℃前後で良い湯加減でした。
さて肝心のお湯に関してですが、麓の北投温泉のような酸性泉でなく、はたまた近所の行義路温泉のような白濁の硫黄泉でもなく、鉄錆系の金気がとても強い泉質でして、湯船ではやや橙色を帯びた貝汁濁りを呈しており、強い金気の他、石膏的な甘み、そして明瞭な炭酸味も感じられました。前々回取り上げた「冷水坑温泉」に近い泉質かと推測されますが、冷水坑温泉のような入浴中における気泡の付着は見られませんでした。入浴中の肌にはギッシギシと強い引っ掛かりがあり、湯上がりもかなりのベタつきが残りました。とても個性の強いお湯です。湯使いは当然ながら完全掛け流しです。
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浴室の隣には上画像のような休憩スペースがあり、腰掛けが用意されている他、水場もあって、浴室ではなくこちらで水浴びをしているお爺さんもいらっしゃいました。また常連さんの風呂道具(バケツを含む)もたくさん並んでいました。
地元のおじさん(お爺さん)たちがスッポンポンで賑やかに喋りながら入浴しており、しかも谷底の薄暗い環境のもと、日本人の衛生観念から考えれば及び腰にならざるを得ない状態で入浴するわけですので、台湾の公衆浴場に慣れていない方にはあまりおすすめできませんが(おそらく台湾の若者も敬遠するでしょう)、泉質重視の温泉ファンでしたら行っても損は無い、なかなか面白いお風呂でした。
MRT北投駅前から、230番(陽明山行)か小25番(六窟行)、あるいは石牌駅から535番(六窟行)か128番(第二停車場行)のいずれかの路線バスで「龍鳳谷」バス停下車、徒歩3~4分
台北市北投区泉源路242号 地図
利用可能時間不明
無料
備品類なし
私の好み:★★+0.5