温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

三香温泉

2012年11月30日 | 北海道
 
屈斜路湖畔の森の中に佇む一軒宿の温泉「三香温泉」で5年ぶりに立ち寄り入浴してきました。数年前には休業の話もありましたが、その後なんとか今日まで営業が続けられているようで、明かりが灯っている玄関を目にした時にはホッと安心しました。玄関の前では可愛らしいワンちゃんがお出迎えです。



ちなみにこちらは5年前(2007年)の冬に訪れた時の様子です。玄関の扁額が現在とは異なる渋いスタイルですね。


 
玄関の中に入ってご主人に直接料金を支払い、帳場とラウンジをつなぐ細長い通路を突っ切って裏庭へと出、露天風呂の看板が指し示す方へと向かいます。画像左(上)は先日(2012年9月下旬)、画像右(下)は2007年冬の様子です。



離れになっている脱衣小屋。手前が男、奥が女です。


 
真ん中に薪ストーブは据えられている脱衣室。室内の備品は棚とカゴなど必要最低限のものしかありませんが、存在感を放つこの武骨なストーブのおかげで、簡素な造りながらも頼もしさが感じられます。なお下足場付近にコインロッカーが備え付けられていますので、旅行の途中に立ち寄っても安心です。


 
立ち寄り客が利用できるお風呂はこの露天風呂のみで、内湯は宿泊者専用なんだそうです。ここでも今年秋の画像と2007年冬の画像を並べて紹介させていただきます。
針葉樹の木立が奥に広がるとっても静かで清々しい環境に、大きな四角形の露天風呂が設けられております。今回は清掃直後に利用したためか、浴槽の周りには桶や腰掛けが整然と並べられていました。浴槽・床ともに打ちっぱなしのコンクリで、浴槽はL字型の仕切りによって大小に二分されており、奥の方の小さな浴槽はぬるめの湯加減になっていました。
ちなみに2007年冬の画像をよく見てみますと、今年はL字型に仕切られている浴槽が、2007年では更に板で田の字のような感じに仕切られていることに気づきます。4分割することによって細かい温度調整を行なっていたんですね。



上の画像とは反対側から小屋の方を捉えてみました。小屋といい周囲の森といい、なんとも言えない良い雰囲気ですね。


 
浴場内には特にカランのようなものはないのですが、男女仕切りの塀の下にはこのような小さな枡があり、その上に掲示されている札には消えかかった文字で「冷ました源泉・・・(以下判読不可)」と書かれています。カランが無い代わりにこの枡に貯められているお湯で掛け湯や上がり湯をするのでしょう。ちなみに私は湯船から桶で直接お湯を汲んで掛け湯しました。



男女を仕切る塀の支柱の根本みたなところから、源泉がドバドバと音を轟かせながら男女のお風呂の双方へ向けて吐き出されていました。お湯は薄いコーヒーのような琥珀色の透明で、付近の和琴露天風呂やコタン共同浴場で漂っているようなアブラ臭にモール臭を混ぜたような匂いを嗅ぎ取ることができ、また結構はっきりとした苦味とモール泉的な風味、そしてタマゴ感に似て非なる独特の味が感じられました。重曹泉型の単純泉なのである程度のツルスベ感を想像していましたが、想定していたツルスベ感の他に意外にも弱く引っかかる浴感も混在しており、温泉の質感というものは数字を見ただけでは簡単にわからないことを実感させられました。湯口でのお湯はやや熱めですが、湯船では絶妙な湯加減が保たれており、当温泉のアブラ臭をクンクン嗅ぎながら、最高の湯加減のお湯に浸かって、じっくりと屈斜路湖畔の清らかな自然に包まれることができました。
ファンの多いこの三香温泉。いつまでも旅人が良質のお湯を楽しめるよう、末永く暖簾を守っていただきたく願っております。


三香1号井
単純温泉 48.0℃ pH7.6 160L/min(動力揚湯) 溶存物質0.621g/kg 成分総計0.630g/kg
Na+:118.7mg(81.52mval%), Ca++:16.9mg(13.37mval%),
Cl-:81.2mg(37.54mval%), HCO3-:207.2mg(55.74mval%),
H2SiO3:165.2mg,

北海道川上郡弟子屈町屈斜路391-15 地図
015-484-2140
ホームページ

立ち寄り入浴10:00~20:00(火曜・金曜は清掃のため16時頃まで休業)
400円
コインロッカーあり、他備品類なし

私の好み:★★★
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オーロラ温泉 オーロラファームビレッジ

2012年11月29日 | 北海道

釧路湿原といえば皆さんは何を連想するでしょうか。手付かずの広大な自然、丹頂鶴、トレッキング、カヤック…。人それぞれかと思いますが、温泉バカな私の場合はモール泉が筆頭候補だったりします。北海道のモール泉といえば十勝川温泉や幕別温泉、そして帯広市街の温泉銭湯が有名ですが、モールとはドイツ語で湿原を意味していることからも察せられる通り、広大な湿地である釧路湿原周辺だってモール泉が湧出する要件を満たしているわけでして、拙ブログでも以前に標茶の市街にあるモール泉の温泉銭湯「富士温泉」を取り上げております。今回は湿原エリアからはちょっと離れていますが、温泉ファンの間で評価が高いモール系の温泉が湧出している「オーロラファームビレッジ」にスポットライトを当てさせていただきます。

標茶の市街から国道274号を西進し、途中から林道に入って2キロほど走ると、右手に手作り感の溢れるゲートが構えていました。ここから更に未舗装の道を進んでいきます。



途中で「夕日の丘」と名付けられている見晴らしの良い丘に出ました。標茶郊外の丘陵を一望でき、とっても爽快です。



「夕日の丘」から坂を下りきると、丘と丘に挟まれた谷状の地形にロッジなどが立ち並ぶエリアへと入ってゆきます。
その中央に建ついかにも農場らしい大きなドームの建物がこちらの受付でして、私の訪問を不審者の侵入と勘違いしたのか、玄関前ではワンコがけたたましく吠えていましたが、そんなワンコを避けるようにしながら車を止めてドームの中に入ると、オーナー夫妻の奥さんがにこやかに対応してくださいました。


 
ドームの周囲に建つコテージやログハウス群で宿泊することもできるんですね。コテージ前に置かれたカートは広い敷地内を移動するためのものでしょうか?


●混浴露天

料金支払い時に奥さんからお風呂に関しての説明を受けました。曰く、お風呂は受付があるドームから更に奥へ250m先にあり、駐車スペースもあるので車で直接行ってください、一番手前にあるのは混浴の露天があり、奥には男女別の内湯と露天もあります、混浴の露天がおすすめです…とのことでした。その説明に従い、車でお風呂の前まで進み、上画像に写っている源泉小屋と思しき建物の前で車を止めました。



車道の左側のちょっと下がったところに建てられているのが混浴露天の建物ですね。さっそく行ってみましょう。


 
入口や脱衣室こそ男女別に分かれていますが、脱衣室はとても簡素でこじんまりしており、そこを抜けるとすぐに入浴ゾーンが広がっていました。大きな湯船を含めて建物は総木造であり、目の前に原生林が広がるワイルドな雰囲気が魅力的です。湯船の半分は屋根で覆われていますが、残り半分は梁こそ出ているものの屋根は無く、空を仰ぎ見ながら入浴することができました。

洗髪や体を洗うことは後述する男女別内湯で行うことを前提にしているらしく、こちらのお風呂はあくまで湯船に浸かることに主眼が置かれた構造となっているようですが、それでも一応洗い場らしき箇所があり、鏡と蛇口がひとつずつ備え付けられていました。


 
湯口からドバドバと注がれている源泉は紛うこと無きモール系の温泉であり、紅茶のような美しい琥珀色をしたお湯からははっきりとモール臭と弱タマゴ臭が放たれ、口にすると重曹由来の清涼感があるほろ苦みと弱タマゴ味が感じられました。そしてモール泉といえば誰もが美人になれちゃうほど強いツルスベ感が特徴的ですが、ご多分にもれずこちらのお湯もツルスベ浴感は非常に強く、むしろヌルヌルに近いのではないかと思えるほどでもあり、中年太りのオッサンである私はあまりの滑らかな肌触りに感激し、誰も見ていないのをいいことに、自分の肌を何度も頻りにさすりながら、その感触にうっとりしてしまいました。傍から見れば気色悪い光景かもしれませんが、それほど浴感が素晴らしいのです。



浴感のみならず泡付きの多さも特筆すべき点でして、湯船の表面には白い泡がたくさん浮かんでおり、入浴するとツルスベの肌へ瞬く間に夥しいほどの気泡がびっしりと付着します。拭っても拭っても付着してくる気泡には興奮を禁じえません。分析表を見ますと陰イオンで(ミリバル%値で)最も多いのが炭酸イオンであり、これが上述のような浴感や現象をもたらしているのでしょうね。
なお湯使いは当然ながら完全掛け流しであり、この露天風呂では縁からオーバーフローすることなく浴槽に取り付けられたUV管から排湯されていました。



浴室の傍らには足ふきタオルが用意されていました。こんな細やかな配慮こそ嬉しいものですよね。



●男女別浴室
 
続いて男女別のお風呂も利用してみました。手前の亜麻色の小屋は女湯、奥の茶色の小屋は男湯です。



女湯の入口には「混浴禁止」と書かれた札が。
先ほどの混浴露天と同じようなお風呂だと勘違いしちゃうお客さんがいるのかもしれませんね。


 
男湯の更に奥には「犬専用温泉」が設けられていました。ワンちゃんが入浴できるよう、2つ並べられたステンレス浴槽にはぬるめのお湯が注がれていました。人間様ばかりがいい思いをしてはワンコが可哀想ですもんね、ワンコだって家族の一員、家族みんなで温泉の恵みを享受致しましょう。


 
こちらは男湯の脱衣室。棚とカゴがあるだけの簡素な造りですが、室内には洋式のトイレが設けられています。壁のクリップボードには食事のメニューが掲示されており、ラーメンやカレーがこちらのご自慢のようです。


 
内湯は岩風呂風の造りで、やはりこちらでもモールのお湯がふんだんに掛け流されていました。湯面には白い泡が浮かんでいます。浴槽の大きさは2~3人サイズ、湯加減は混浴露天よりややぬるめでした。



撮影し忘れちゃったのですが、壁よりホースが直接出ているシャワーはヘッドが湯船に突っ込まれていたのですが、そのヘッドを湯船から取り出してみると、源泉が出っ放しになっていました。



男女別のお風呂にも露天が据えられており、女湯はひとつだけですが、男湯では2つの浴槽を利用することができます。手前側(左側)はポリバスを材木で囲っているもので、奥側(右側)はステンレスの浴槽が裸のまんまで据え付けられています。


 
まずは手前側の浴槽から。源泉井から引かれている導湯管が浴槽縁にて温泉を吐出させており、湯面は白い泡で覆われています。湯温は体感で41℃程であり、いつまでも入っていたくなる湯加減です。大きなお風呂も良いですが、壺湯のような感じで入れるこうしたサイズのお風呂も侮り難く、混浴露天と違ってこちらは頭上に梁も柱も無い完全な露天状態ですから、とっても開放的な状態でのんびりゆっくりとモールのお湯を長湯することができました。



泡付きもご覧のとおり激しく、入浴するや否や全身に付着してきます。お湯のツルスベ浴感および泡付きは、源泉に近い混浴露天のほうが強いのですが、それはあくまで相対的な話であり、この露天風呂でも充分に爽快な浴感と泡付きを堪能できます。



手前側浴槽の排湯は、湯面で口を開けている塩ビの配管へと吸い込まれ、隣の浴槽へと流れてゆきます。つまり湯口のある手前側浴槽は上流、隣のステンレス槽は下流に当たるわけです。



従いまして、下流側に当たるこのステンレス浴槽のお湯はかなりぬるく、かつ泡付きもやや減っております。気温が下がる時期にこの浴槽へ入ると湯冷めしちゃいそうですが、夏の暑い日でしたら、ぬるいお湯とモール泉ならではの浴感と相俟って、めちゃくちゃ爽快なのではないかと察せられます。
なお、この浴槽から更に下流には上の方で紹介した「犬専用温泉」が位置しており、2つの露天と犬用のお風呂は同じお湯が上流下流の関係を形成しながら流れているわけです。

湯上りはサッパリ爽快。身も心も軽やかになりました。
アワアワ且つスベスベのモール泉であるここのお湯は、本当に素晴らしいものでした。


アルカリ性単純温泉 43.6℃ pH9.4 94L/min(自噴) 溶存物質0.260g/kg 成分総計0.260g/kg 
Na+:60.2mg(97.40mval%),
Cl-:8.3mg(8.75mval%), SO4--:8.5mg(6.84mval%), CO3--:60.7mg(76.81mval%),
H2SiO3:114.8mg,

北海道川上郡標茶町栄219-1  地図
015-488-4588
ホームページ

10:00~21:00 第1・3火曜定休
400円
備品類なし

私の好み:★★★
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雌阿寒温泉 オンネトー温泉景福

2012年11月28日 | 北海道
※残念ながら閉館してしまいました。


前回取り上げた「野中温泉」に続き、今回はその隣に位置している「オンネトー温泉景福」です。こちらには以前立ち寄り入浴で訪れたことがあるのですが、今回は宿泊での利用です。1泊2食付で一人6,500円というリーズナブルな価格設定なので、私のように爪で火を灯すような毎日を送っている細民でも気兼ねなく泊まることができちゃいますね。



今回宛てがわれたお部屋はこちら。6畳あるかないかの、まさに一人旅サイズのコンパクトな室内でして、布団はセルフで敷き、冷蔵庫は無し、タオルを含めてアメニティ類の用意も無いので自分であらかじめ準備しておくというかなり省サービスなシステムなのですが、床にはカーペットが敷かれており、テレビだって置かれているので、特に支障なく一晩を過ごすことができました。なお難視聴地域対策の放送を受けているため、テレビに映るのは関東広域圏の番組です。もっとも、宿泊中は風呂に入るか飯を食うか寝るかのいずれかですから、テレビなんて別にどうでも良いんですけどね。ちなみに今回のお部屋のすぐ目の前が浴場入口でしたので、その気軽さが手伝って宿泊中は何度もお風呂に入っちゃいました。



お食事は食堂でいただきます。宿泊中はご主人お一人しかスタッフの姿を見なかったのですが、一人で切り盛りなさっているのか、ご主人はとてもお忙しそうでした。


 
画像左(上)は夕食。夕方6時からいただきます。値段相応な内容およびボリュームですが、マスの刺身やクレソン・フキのおひたしなどご当地らしい献立も並べられており、これらの美味しいおかずのお蔭でごはんのお箸が進み、気づけばお櫃のお米は空になっていました。
画像右(下)は朝食で、7:30からです。焼鮭に海苔という日本の旅館らしいラインナップですが、ハムや目玉焼きが中央に鎮座しているあたりは家庭的なぬくもりが感じられます。



宿泊したお部屋の前が浴室の入り口。画像の右が内湯で左へ入ると露天です。まずは内湯から。



揮発油のようなツーンと鼻孔を刺激する強い匂いが充満する内湯の室内。その匂いの強さのあまり、浴室に一歩足を踏み入れた途端、軽い目眩と頭痛が発生し、目はショボショボし、喉はイガイガして咳き込んでしまいました。以前入浴したときも同じ症状が起きましたが、相変わらずここのお湯は強烈です。また、お湯を口にしてみますと、唇が痺れちゃうほど強い渋みとえぐみ、そして苦味を有しており、匂いとともに味も非常にアグレッシブなんですね。温泉の刺激に関してはドMな私はこうした刺激を受け、その強さに涙を流しながら喜んでしまいました。



洗い場にはカランなんてものはなく、ぬるい水が出てくるバルブがひとつあるだけ。石鹸の類の備え付けもありません。
お湯は湯船から桶で直接汲むことになります。湯船のお湯は上述のような匂いを発していますから、こちらで洗髪したり体を洗ったりすると、全身から油の匂いが漂よっちゃいますが、これは致し方ありません。



拙ブログをご覧の方なら皆様御存知かと思いますが、内風呂のお湯は玉砂利が敷かれた岩盤の底から足元湧出しており、そのお湯は非常に清らかに澄み切っています。この足元湧出は男湯の特権なんだそうでして、女湯は男湯の底で湧いたお湯を受けて利用しているようです。なお浴槽の縁には硫黄が黄色く付着していました。


 
このお風呂に入った人なら、誰しもこのパイプに関心が及ぶでしょう。下から立ち上がった塩ビのパイプからぬるくて強烈に苦いお湯がドバドバと吐き出されており、昼間や夜間は真下に置かれた桶に落とされるだけで、特に何かしらに使われること無く捨てられていますが、早朝の浴室清掃直後にお風呂へ行ってみますと、このパイプが浴槽へと向きを変えられており、湯船のお湯をいち早く溜めることに一役買っていました。


 
次にこちらの通路を進んで露天風呂へ向かいましょう。



露天風呂は混浴。内湯と違って美しい青白色に濁ったお湯が張られております。池のように広いお風呂が、雌阿寒の麓の自然豊かな環境のもとに据えられており、とっても開放的です。混浴とはいえ、女湯側にはちょっとした目隠しの仕切りがありますから、女性の方でも男性の存在を気にせず入浴することができますね。


 
こちらのお湯は湧出したては無色透明ながら、時間の経過や空気との接触に伴って徐々に白濁してゆくんですね。硫黄のコロイドによって濁っているわけですから、コンディションによって変色するかもしれません。今回でも夜と早朝では濁り方が異なっており、掃除直後の早朝の方が透明度が高かったようでした。
ちなみに露天風呂はかなりぬるく、私が利用した秋の某日は朝晩の冷え込みが厳しかったため、一度露天に入るとなかなか湯船から出ることができず、結果的に長湯してしまいました。もっとも湧出したばかりの内湯ですら40℃くらいですから、表面積が広い露天はかなり冷めてしまうわけです。でも私以外のお客さんもぬるさを気にせず、開放的な環境と綺麗な白濁湯を絶賛しながら長湯なさっていましたから、それだけの魅力がこの露天風呂にはあるのです。暑い夏に入ったら爽快で気持ち良いでしょうね。同じお湯でありながら内湯と露天で違った顔を見せる個性的な温泉が楽しめる、とても敷居の低い家庭的なお宿です。


源泉名:景福
含硫黄-マグネシウム・カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 41.6℃ pH5.8 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質3.222g/kg 成分総計3.798g/kg
Na+:239.7mg(22.15mval%), Mg++:215.9mg(37.74mval%), Ca++:339.7mg(35.99mval%),
Cl-:451.5mg(27.79mval%), HS-:1.8g(0.11mval%), SO4--:1365mg(61.98mval%), HCO3-:281.1mg(10.05mval%),
H2SiO3:233.8mg, CO2:544.4mg, H2S:31.6mg,

北海道足寄郡足寄町茂足寄162-1 地図
0156-29-7370
ホームページ

日帰り入浴10:00~20:00(1泊2食6,500円、素泊まり4,000円)
冬季(11月下旬~3月末)休業
300円
備品類なし

私の好み:★★★
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雌阿寒温泉 野中温泉(旧YH)

2012年11月27日 | 北海道
 
北海道・足寄町の雌阿寒温泉には3軒の宿もしくは入浴施設がひとつの区画に並んで営業していますが、その中でも「野中温泉別館」と「オンネトー景福」という2つの旅館に挟まれた真ん中の「野中温泉」で入浴してきました。こちらはいままでユースホステルとして営業していましたが、建物の老朽劣化により2011年3月に一旦幕を下ろし、その後一部を建て直して入浴専門施設として営業を再開したんだそうです。正面部分はすっかり新しくなって玄関部分は小洒落たデザインとなっており、少なくともここだけ見たらリゾート地のペンションかオーベルジュではないかと勘違いしちゃいそうです。


 
玄関の戸を開けると、とっても丁重で朗らかなご夫婦が応対してくださいました。料金を支払って奥へと進みます。帳場より奥は旧来の建物がそのまま使われており、かつては宿泊客が褥を並べていたであろう客室が廊下の両側で戸を閉ざしていました。浴室は廊下の突き当りです。



浴室手前にあるステンレスの共用流し台がユースホステル時代の面影を残していました。



脱衣室には長椅子とカゴがあるだけで至って簡素です。そのカゴも割れているものが多く、部屋を含め備品類は以前からそのまま使われていることがわかります。


 
浴室もYH時代そのままであり、内湯のみですが、室内に入った途端につい息を呑んでしまうほど、風格あふれる総エゾマツ造の立派なもので、柱や梁の接合部分には釘などが一切使われていないんだとか。金属を使用すると硫化してボロボロになっちゃうから木組みで建築しているんでしょうね。大工さんの技術には恐れ入ります。東北の湯治場を連想させる古風なお風呂にはカランなんてものはなく、掛け湯するには湯船から直接汲むか、湯口の傍で突き出ている樋に流れているぬるいお湯を使うことになります。浴槽も総木造であり、大きさは8人サイズ程度でしょうか。



温泉成分がコンモリ付着した湯口から源泉が滔々と注がれており、その対称の位置にある切り欠けから大量にお湯が溢れ出ています。そのオーバーフローが流れる床は硫黄で真っ黄色に染まっていました。
湯口のお湯は直接触れてしまう程度の温度であり、大して熱くありませんが、投入量が多いために湯船のお湯は湯口での温度とほとんど変化なく、非常に気持ちのよい絶妙な湯加減となっていました。私が入浴した時にはほとんど日が暮れていたためにお湯の色はあまりわかりませんが、薄い白色の貝汁濁りのように見え、更には浴槽内に付着した成分析出によりウグイス色を帯びているようにも映りました。浴室に入った途端にアブラ臭のような硫化水素臭が全身を包み、お湯を両手で掬って鼻に近づけるとがアブラのような臭いが強く鼻孔を刺激します。また口にすると粘膜が痺れるような苦味・渋み・えぐみが口腔内を駆け巡りました。
湯使いはおそらく源泉100%の完全掛け流し。アブラ的な知覚が強い硫黄のお湯であり、ちょうど良い感じの湯加減と滑らかな浴感が素晴らしく、総木造の浴室が湯治的な雰囲気を高めてくれる、極上の温泉浴場です。



こんな素敵な温泉なのに、料金はたったの200円なんですから、とってもお得ですね。両サイドの旅館でも日帰り入浴できますが、料金としてはここが最も安いようです。露天風呂こそありませんが、付近を訪れた際にはぜひ立ち寄りたい温泉浴場であります。



野中温泉1号
含硫黄-マグネシウム・カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 43.8℃ pH5.8 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質3.442g/kg 成分総計4.038g/kg
Na+:253.1mg(21.88mval%), K+:62.6mg(3.18mval%), NH4+:3.7mg(0.42mval%), Mg++:227.0mg(37.12mval%), Ca++:369.2mg(36.61mval%), Mn++:11.5mg(0.83mval%),
Cl-:498.4mg(28.58mval%), HS-:1.8mg(0.10mval%), SO4--:1441mg(66.99mval%), HCO3-:308.2mg(1.27mval%),
H2SiO3:240.1mg, CO2:562.2mg, H2S:33.1mg,

北海道足寄郡足寄町茂足寄159  地図

7:00~19:00
200円
備品類なし

私の好み:★★★
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たざわ湖芸術村 温泉ゆぽぽ

2012年11月26日 | 秋田県

「劇団わらび座」という演劇グループが運営する秋田県仙北市の「たざわ湖芸術村」は、「わらび座」の本拠地となる舞台の他に宿泊施設、温泉、地ビールのレストラン、森林工芸館、芸能研究所など様々な施設によって構成されている総合的なレジャー施設なんだそうですが、そんなことも露知らず、ただ温泉があるという情報だけを頼りに、秋の某日、芸術村の大きな核となっており「温泉ゆぽぽ」へと向かいました。こちらの温泉は宿泊施設に付帯している温泉浴場という位置づけのようですが、入浴のみの客も気軽に利用することができます。


 
ちなみに画像左(上)は「温泉ゆぽぽ」の宿泊棟でして、ここの宿泊客も後述するお風呂を大浴場として利用することになります。また画像右(下)は地ビールがいただけるブルワリー「田沢湖ビール」です。訪問日は私一人で車を運転しておりましたので、残念ながらビールを飲むことはできず…。


 
大きな壺が飾られているえらく立派で広いロビーに、卑屈な貧乏性の私はちょっとたじろいでしまいました。受付で直接スタッフさんに料金を支払い、このロビー右手から奥へ延びる廊下を進み…



渡り廊下を歩いて浴場棟へと進みます。記憶はおぼろげなのですが、確かこの廊下の先で宿泊棟との連絡通路に合流しているんじゃなかったかな。



浴場には男女別に小浴場と大浴場があり、小浴場は文字通りこじんまりしていながらもサウナ併設、大浴場は内湯ながらも庭園を眺めながら檜のお風呂でのんびり寛げる造りとなっているんだそうです。
まずは小浴室から覗いてみましょう。



さすが宿泊客も利用するお風呂だけあって脱衣室は綺麗で清潔、備品類も一通り揃っており使い勝手も問題ありません。



ガラス窓の向こうに庭園が広がる浴室。浴槽は3~4人サイズで、サウナと樽の水風呂も据え付けられており、洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基設置されています。湯船のお湯は薄い黄色を帯びた温泉が使われており、お湯のフィーリングなどに関しては後述する大浴場の箇所にて述べますが、こちらのお湯は加温循環消毒がばっちり行われているようで、失礼ながら私の記憶にはあまり印象に残っていません。ほかのお客さんの利用状況を見る限りでは、小浴場はお風呂目当てというよりサウナに入りたいお客さんによって利用されているように思われます。



続いて大浴場へ。入口は小浴場との並びにありますから、存在に気付かないことはないでしょうね。


 
さすが大浴場を称するだけあって脱衣室は広々しており、他のお客さんとの干渉を気にせず着替えることができました。お手入れもよく行き届いており、綺麗で衛生的です。


 
室内には檜材がふんだんに使われており、特に梁の立派さには驚かされます。これらの梁がむきだしとなっている天井はとても高く、大きな窓ガラスからは外光が燦々と降り注ぎ、床面積も非常に広々しているため、室内空間とは思えないほどの開放感がありました。室内には浴槽が大小1つずつ据えられています。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が13基。各シャワーには全国の温泉施設でたまに見かける馬油シャンプーが備え付けられています。


 
大きなガラス窓に面した大浴槽は20人以上でも同時に入れそうなほど広いものであり、立っているときにはもちろん、湯船に浸かっているときでも、窓の外の庭園を眺めることができました。一方、張られているお湯は小浴場と同じく薄い黄色透明で、加温加水循環消毒という湯使いであるため、次に述べる小浴槽よりはるかに源泉由来の知覚が弱く、むしろ塩素臭が気になってしまい、塩素臭嫌いの私は、残念ながらせっかくの窓の景色を湯船でゆっくり楽しむ気にはなれませんでした。でも湯口とは反対側の浴槽縁からはオーバーフローが見られ、人が湯船に入ればしっかりお湯が溢れ出てゆくので、完全循環ではなく半循環なのかもしれません。


 
「温泉ゆぽぽ」の中で私が最も気に入ったのはこの小浴槽です。「微温湯(ぬるゆ)」と称されているこの浴槽には36度の源泉が加温されることなく注がれており、塩素臭も感じられなかったため、おそらく源泉かけ流しに近い状態のお湯かと思われます。浴槽には丸太が渡されており、ここに頭を載っけることによって寝湯が楽しめるわけですが、不感温度帯である上に、他の浴槽と違ってお湯の鈍りや塩素臭などが無いため、実際に入ってみると非常に気持ち良く、いつまでも長湯していたくなるような夢心地に浸れました。お湯の特徴としては薄い黄色透明、弱塩味+芒硝味+弱金気味、弱金気臭+芒硝臭が感じられます。明らかに他の浴槽より匂い・味ともはっきりと伝わってきました。

比較的遅い時間まで営業しており、お風呂は広くて使い勝手は良好なので、かけ流し云々にこだわらなければ、とっても便利なお風呂といえるでしょうね。お湯のクオリティにこだわる方でも、上述のように大浴場の小浴槽でしたら納得していただけるような気がします。きっと…。


わらび温泉
ナトリウム-硫酸塩泉 35.3℃ pH不明 220L/min 
Na+:1048.0mg, Ca++:79.9mg,
Cl-:352.4mg, SO4--:1977.0mg,
H2SiO3:49.3mg,
加水あり(温泉成分が高濃度のため井戸水を加えて希釈し資源保護に努めている)
加温あり(源泉温度が低温のため)
循環装置使用・消毒処理あり

秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430
0187-44-3333
ホームページ

小浴場12:00~22:00、大浴場10:00~22:00
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
(ロッカーは数が少ないのでフロントに預けたほうが吉)

私の好み:★+0.5
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