温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

行義路温泉 山之林spa温泉餐庁

2014年09月20日 | 台湾
 
前回取り上げた龍鳳谷のすぐ南に位置している行義路温泉には多くの入浴施設があり、拙ブログでも何度か紹介しておりますが、そこで使われるお湯の多くは龍鳳谷の温泉露頭(源泉地帯)から引いていますので、源泉でお湯が湧く姿を見た私としては、何としてでもその「白磺泉」に入りたい。そこで今回選んだのは・・・


 
温泉街の北側(つまり龍鳳谷に近い位置)にある「山之林spa温泉餐庁」です。たくさんのお店がある行義路温泉の中でなぜここを選んだかと言えば、特にこれといった理由はなく、単純に龍鳳谷から歩いて近いところにあり、且つ営業中であることをわかりやすくアピールしていたからに過ぎません。この時は炎天下の中を歩き続けて草臥れてしまい、一刻も早くどこか建物の中に入って休憩したかったのです。

駐車場を通り抜けて入口ゲートを潜り、階段を下った先にある受付にて料金を支払います。入浴料金は250元なのですが、併設されているレストランで400元以上オーダーすれば、入浴券1枚をサービスで進呈してくれます。この「レストランで400元以上使えば入浴サービス」というシステムは、行義路温泉の多くの施設で共通しており、当地独特の商慣習と言えるでしょう。レストランと一体化した日帰り温泉というのが、行義路温泉の大きな特徴です。でも私のように一人で行動する者にとって、食事で400元を費やすのは結構大変ですから、今回は食事をせず入浴のみの利用としました。


 
受付で料金と引き換えに渡してくれる券を手にしながら食堂の脇を抜け、その先にある浴場専用のカウンターで券を提出し、カウンターのすぐ奥にある入口より浴室へと入ります。更衣ゾーンは綺麗でメンテナンスが行き届いており、片側にコインロッカーがズラリと並び、反対側に冷水機・化粧台・洗面台などが配置されています。土足ゾーンと裸足ゾーンが画然と分けられていますし、ロッカーの数も多く、室内空間にも余裕があるので、快適に着替えることができました。なお男女別のお風呂ですので裸で入浴します。行義路温泉の各施設は、裸で入れるお風呂が多いという点でも共通していますね。



更衣スペースの前方右側に洗い場が配置されています。シャワー付き混合水栓が5基並んでおり、お湯のハンドルを開けると温泉が出てきました。


 
お風呂は露天風呂のみですが、目の前に川が流れて周囲に山の緑が広がる自然豊かなロケーションはとても清々しく、また台湾の温泉にありがちなBGMなどは流れておらず、聞こえてくるのは川のせせらぎと鳥の囀りですので、余計なものに邪魔されずゆっくりと寛げました。また温泉街の端っこに位置しているため、他の施設などの人工物が視界に入ってこず、まるで山奥に滞在しているかのような感覚が味わえました。

この露天風呂には温度や機能が異なる浴槽がいくつかあるので、好みに応じた湯浴みが楽しめます。頭上を覆う日除けの黄色いテントがちょっとダサいのですが、それに目を瞑れば私的には十分合格です。中央に据えられている上画像の浴槽は大小の2つに分割されており、小さな方は4.5メートル四方で、44~5℃近い高温設定となっています。槽の中央には島のような吐出口が突き出ており、てっきり温泉が供給されているものと思いきや、そこから流れているのは単なる冷水でして、温泉は浴槽縁の「高温注意」と書かれた札がある辺りから槽内投入されていました。一方、その隣の大きな槽は大体4.5m×7mで、小さな高温槽からのお湯を受けている他、この槽でも源泉の槽内投入が行われており、私の体感で42℃前後というとても入りやすい湯加減となっていました。加水は行われているものの、放流式の湯使いかと思われます。


 
上述の主浴槽を取り囲むように、水風呂・足つぼ刺激ゾーン(床に足つぼを刺激する小石がたくさん敷き詰められている)・打たせ湯などが設けられており、主浴槽で火照った後に水風呂へ入ると、非常に気持ちよく、私は何度も主浴槽と水風呂を往復してしまいました。

主浴槽の崖側には2種類の打たせ湯(台湾では沖撃湯といいます)があり、ひとつは頭上から垂直にお湯が落とされるタイプのもので、巨大なシャワーヘッドのような吐出口が4つほど取り付けられています。もうひとつはアヒル口のような吐出口から斜めに噴射されるタイプで、台湾の打たせ湯らしく、その勢いは大変強力です。いずれもスイッチボタンを押すことによって作動します。上画像は後者を稼動されている様子です。打たせ湯でも温泉を使っているのが嬉しいところです。

上述のようにお湯は龍鳳谷の源泉から引いている「白磺泉」でして、湯船では綺麗な乳白色を呈して濁っており、酸味とともに粉っぽい味も感じられます。硫黄感、とりわけ匂いがとても強く、私はこの後に松山空港から帰国したのですが、機内はもちろん、帰国後もしばらくの間、私の体からはイオウ臭が放たれ続けました。湯中ではキシキシとした引っかかる浴感があり、湯上がりは全身にパウダーを塗りこんだような感覚とともに、硫黄の濃さゆえか、ベタつきも残りました。
入浴中は湯守りのおじさんがこまめに湯加減をチェックし、お客さんに温度の好みを聞きながら、その都度裏へ回って引湯管のコックを開閉して、投入量を調整していました。ちゃんとしている施設なのであります。

こちらでは露天風呂のほか貸切風呂もあり、こちらも250元で利用できるのですが、安全面を考慮して2人1室での利用となっているそうですので、一人客の場合は利用できるかどうか…。
青い空・山の緑・白濁の露天風呂というトリコロールがとても美しかったこの露天風呂。何も考えずにこちらを選んだのですが、結果的に正解でした。日本のように裸で入浴できるのも嬉しいですね。


MRT石牌駅より508番・535番・536番・小8番バスで「行義路四」バス停下車、徒歩3分
台北市北投区行義路402巷15号  地図
02-2872-4598
ホームページ

11:00~翌2:00
入浴のみ250元(レストランで400元以上注文すれば入浴券1枚サービス)
ロッカー(有料20元)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする