温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

川又温泉

2009年06月30日 | 北海道
北海道には多くの野湯が存在していますが、その中でも今回はちょっとした冒険をすれば極上のお湯を堪能できる川又温泉を紹介します。
冒険と書いたように川又温泉へは普通の恰好では到達できず、簡単な準備を要しますので、まずはそれから説明します。


<<準備するもの>>

・入浴道具(タオルなど)…これは言うに及ばずですね
・熊よけの鈴…熊出没地帯ですので必須です
・ゴム長靴…途中4回ほど川を徒渉します。川は最深部で30センチ弱ありますので、脛が隠れる丈のゴム長靴があればいいでしょう。ゴム長靴を履かず徒渉するときだけサンダルに履き替えるという方法もありますが、履き替えが面倒ですし足元も不安定ですのであまりおすすめしません。
・長袖…木の枝や笹が生い茂る薮の中を歩きます。また虫も多い場所ですので、たとえ暑い日であっても長袖(ロンTなど)を着ておきましょう。


<<行き方>>

(1)林道を見つける

・登別市の幌別から道道327号線を北上。幌別ダムを通過し、森林以外何も無い山の中を更に進むと、やがて鉱山町という集落に辿りつきます。集落に入ってしばらく進むと左手に画像1の看板が見えてきます。これがこれから進むべき牛舎奥林道の入り口です。看板には現在地の他、川又温泉の位置も描かれていますので、しっかり確認しておきましょう。


画像1

・また林道の入り口には画像2の看板も立っています。これによればこの看板から目印となる大きな桂の木まで約3.5km、そこから徒歩で約700mのようです。


画像2


(2)林道を進む

・林道は画像3のようにひたすらダートです。ところどころ穴凹があるので注意を要します。


画像3


・やがて右手に「パラビッツの森」の看板が目に入ります(画像4)。
この看板の先で道が二又に分岐しますので、ここは左に進み、橋を渡ってください(画像5)。


画像4


画像5


・橋を渡るとすぐに再び道が分岐しますので、今度は右へ進んでください(画像6)。
尚、この分岐の先から路面状態が悪くなります。ゆっくり進まないと普通の車高の車なら確実に底を擦ります。


画像6


・画像2の看板に描かれていた大きな桂の木の前に到着しました(画像7)。若干広くなっていますので2~3台は駐車することができるかと思います。ここで車を降り、持参してきたゴム長靴に履き替えます。熊よけの鈴も忘れずに。


画像7


(3)獣道を歩き、川を渡れ

・大きな桂の木の下を通り抜けると、すぐに画像8にあるような道標に出くわしますので、これに従い右手の道へ進みます。


画像8


・笹薮を通り抜け岩場を下ると川に出ます。ここで1回目の徒渉です。沢の合流地点のようでちょっと広くなっており、どこをどう進めばよいか迷いますが、落ち着いて見渡してみると、木の枝に赤いリボンが結わかれているのを確認できるかと思いますので、この赤いリボンを目指して進んでください(画像9)。


画像9 (わかりにくいのですが写真中央の上部に赤いリボンがあります)


・川を渡り、横たわる丸太を越すと、すぐに2回目の徒渉となります。ここは若干深めなので、川底の状況をよく見て足場を慎重に選びながら注意して渡ってください。画像10のようにロープに赤いリボンが結ばれていますので、これを目指して対岸(左岸)へ渡ってください。


画像10


・2回目の徒渉を終えて対岸に渡ると、道はS字にうねりながら河岸を登ります。道があまりに細く今にも消えそうなので心細くなりますが、途中画像11や画像12のような看板・道標があるので、この道でよかったんだと安心することができます。画像12の道標で残り500mです。


画像11


画像12


・更に進むと道の途中の枝に「この道で間違っていない」と教えてくれる赤いリボンが、そして残り400mを示す道標が、それぞれ川又温泉を目指す私たちを励ましてくれます(画像13・14)。


画像13


画像14


・3回目の徒渉です。右岸へ渡ってください。ここは2回目の所より浅いので、比較的楽に渡れるでしょう。今まで同様赤いリボンが目印です(画像15)。


画像15 (わかりにくいのですが写真中央に赤いリボンがあります)


・右岸を歩き続けると、やがて小さな滝が3つほど続いているような場所が現れます(画像16)。ここを通り過ぎれば、目指す温泉はもうすぐです。


画像16


・上述の滝のようなところを過ぎると、突然目の前の対岸に、周りの環境に似つかわしくない木造の更衣スペースが現れます(画像17)。ここが川又温泉です。最後の徒渉をして対岸に渡りましょう。


画像17


<<お湯について>>

周囲の藪に守られるかのように、そのお湯は滾滾と湧いていました。野湯といえば余程手入れを頻繁にしない限りすぐに藻や苔が発生して入浴に適さない状態となってしまいますが、ここはその常識を見事に覆してくれました。無色で綺麗に澄み切っており、見ているだけで心が洗われるようです。無色というより青色といったほうが相応しい輝きを放っていて、実に神秘的です。
木板で囲われた四角い浴槽の底からお湯が湧いており、ふんだんにオーバーフローして川へ流れ出ています。お湯に入ると足元からプクプクと泡があがってくるのでお湯の湧出を体感できるでしょう。お湯からは遠くからでもわかる明瞭なたまごの匂いが感じられ、口に含んでみると薄っすらたまご味がします。そして強いツルツルスベスベ感があり、非常に気持ちよく湯浴みできます。湯温は実測値で33.0℃(外気温13℃)ですから、かなりぬるめですが、夏の暑い時期に入れば爽快感が得られるかと思います(私はぬるめが好きなので、この温度でも全く問題なく入浴できました)。浴感がとても心地よく、またお湯の透明感が実に美しいので、ぬるいとはいえ、いつまでも入り続けていたい夢心地のお湯でした。

尚、往路は大きな桂の木から30分弱かかりましたが、復路は20分で戻ってこられました。復路も赤いリボンや道標を目印にして迷わないようにしてください。








泉質不明

北海道登別市鉱山町 地図

野湯につきいつでも入浴可
(ただし冬はルート的にも湯温的にも厳しいと思います)

私の好み:★★★
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天城温泉 禅の湯

2009年06月29日 | 静岡県


伊豆の河津から天城峠に向かって登ってゆくと、ループ橋から1km程手前の右手に曹洞宗の古刹慈眼院があります。このお寺は1857(安政4)年にアメリカの初代駐日総領事であるハリスが、日米修好通商条約を締結するために江戸へ赴く途中で宿泊したお寺で、山門の袂にはその歴史を今に伝える石碑が据えられている他、滞在時にハリスが使用した椅子(曲録)も残っているそうです。

このお寺の境内にはかつてハリスに因んで名づけられた「ハリスコート」というユースホステルがありましたが、数年前に全面改築され、いまは「禅の湯」と名前を変えて日帰り入浴を受け付けている他、改築後もユースホステルとして営業を続けており、伊豆としては格安の値段で宿泊することが出来ます。
境内に入ると手前に本堂が、そしてその奥に隣接する形で「禅の湯」があります。「禅の湯」はいかにも現代建築という外観ながら、隣接する本堂に不思議とマッチする真っ白な建物で、内部もとてもスタイリッシュ。玄関の上がり框こそフローリングですが、そこから先は畳敷きになっており、また随所に木材をちりばめたりと、現代建築ながらしっかり和のテイストを織り込んでいます。

外観同様、脱衣所も内湯も白を基調としたインテリアになっており、内湯は大きなガラス張りで開放感たっぷり。露天風呂はウッディな造りで、デッキチェアも置かれているので、これに横たわってお風呂で火照った体を冷ますもよし。伊豆の山間らしい長閑な景色が眺められます。このようにお風呂は限られたスペースを有効に使って開放感と明るさ、そしてゆとりの空間を作り出しています。

お湯は自家源泉を使った源泉掛け流しで、伊豆らしい無色透明の透き通ったもの。湯口にコップが置いてあるので飲んでみると、味は無いものの微かに鉱物湯のような匂いが感じられます。アルカリ性泉のツルツル感と硫酸塩泉のキシキシ感が混在した浴感で、お湯を手に掬うと硫酸塩泉ならではのとろみが楽しめます。
またこの「禅の湯」には「石の湯」という名の岩盤浴も備えられています。はじめに料金を支払う際に岩盤浴着を渡されるので、これを着て入浴をするのですが、普通の岩盤浴のように一枚板の岩盤の上に臥せるのと違って、ここは玉砂利の上に横たわるので、砂利が体の曲線にうまい具合にフィットして実に心地よく、また温度や湿度の加減も高すぎず低すぎず、忍耐を伴うことなく快適に汗を流すことができました。

開放感ある清潔なお風呂に爽快な岩盤浴と、実に快適な環境の中で、時間の経過を忘れていつまでも湯浴みを楽しませていただきました。日帰り入浴料金は伊豆らしく高めですが、それに見合ったパフォーマンスが得られる優良施設だと思います。


慈眼院の山門


「禅の湯」入り口


内湯


内湯の湯口


露天風呂


カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
47.0℃ pH9.0 169L/min 成分総計1.383g/kg

静岡県賀茂郡河津町梨本28-1 地図
0558-35-7253
ホームページ

10:00~22:00 無休
1000円

私の好み:★★★
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美由希食堂

2009年06月28日 | 福島県
会津若松へ行った際、地元出身の人から「是非行ってみて」と薦められて訪れた食堂です。
駅としては会津若松よりも西会津駅の方がはるかに近く、また鶴ヶ城からも近い距離にあります。
店の前にはSLの動輪が置かれていますが、それ以外は街中の食堂といった佇まいで、店のそこかしこから懐かしさが感じられます。街の食堂らしくメニューが豊富ですが、メインはラーメン・カツ丼・カツギョウザのようで、会津若松のご当地B級グルメとして名を馳せているソースカツ丼もありますが、このお店を薦めてくれた人はカツギョウザを推していたので、それに従いカツギョウザ、そしてスープ代わりにミニラーメンを注文しました。

カツギョウザとは、ギョウザの具を薄い豚肉で巻き、それにパン粉をまぶして揚げたものです。目の前に提供されるときは半分にカットされて出されるので、形くずれなく食べやすい状態になっています。ボリュームがあってジューシーな具に、サクっとした衣の食感が絶妙にマッチして実に美味。多くの人が初めて味わう味覚と感覚だと思います。
餃子らしく酢醤油と醤油をつけて食べてもよし、カツらしくソースで食べてもいいのですが、具そのものにしっかりと味がついているので、衣のサクサク感を殺さないためにも何もつけずにそのまま食べても美味しくいただけます。

また一緒に頼んだラーメンも、あっさりしていて且つコクがある煮干味のスープが、更科の日本蕎麦を思わせる縮れの少ない白い麺にうまく絡んでこれまた美味。卵焼きが載せられているのが特徴です。

お店の人もとても愛想がよく親切で、お腹が満たされるだけでなく心まで温まります。付近には高校があるので学生にも愛されているこのお店。いつまでも暖簾と独自の味を守っていただきたいものです。




美由希食堂 (ラーメン / 西若松)
★★★☆☆ 3.5

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大沢温泉

2009年06月26日 | 岩手県


岩手県の大沢温泉といえば、立派な旅館もあれば湯治も受け付けている、日本の温泉文化を一箇所に凝縮したような温泉です。大沢温泉は高級感溢れる「山水閣」、茅葺き屋根の旅館「菊水館」、そして湯治場となっている「自炊部」の3エリアに分かれており、このうち日帰り入浴を受け付けているのは「自炊部」です。とはいえあくまで帳場があるのが「自炊部」なだけで、大沢温泉3エリア内にあるお風呂計7ヶ所のうち、日帰り入浴の客は「大沢の湯」「薬師の湯」「南部の湯(菊水館)」「豊沢の湯(山水閣)」の4ヶ所(女性はこの他自炊部にある女性専用露天風呂も可)に入ることができます。ちなみにその帳場は昭和初期のような雰囲気が漂っており、何ともいえない味わいが感じられました。

さて今回はその4ヶ所のお風呂のうち、大沢温泉名物である露天風呂「大沢の湯」を紹介します。この「大沢の湯」は混浴ですが、さすがに女性客は遠慮してしまうようで、訪問時には男性客しかいませんでした。お湯は無色透明無味無臭で、癖がなく体への当たりが優しいものです。若干熱めでしたが、肌がすべすべし、湯上りにはさっぱり感も得られます。この露天風呂は豊沢川の川縁に設けられており、川面を吹く風がお風呂の上をそよげば、火照った体を程よく冷ましてくれます。川面を眺めながらの湯浴みは実にのんびりでき、心を癒すにはもってこいです。
上述の通り、大沢温泉では料金内で他のお風呂にも入浴可能ですので、訪問の際には是非湯巡りを楽しんでみてください。




アルカリ性単純泉
51.3℃ pH9.2 成分総計0.5995g

JR東北本線・花巻駅から岩手県交通バス・新鉛温泉行で約25分
大沢温泉バス停下車
岩手県花巻市湯口字大沢181 地図
0198-25-2315
ホームページ
路線バス時刻表

7:00~20:30(受付最終20:00)
500円

私の好み:★★
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川湯温泉 川湯公衆浴場

2009年06月24日 | 北海道


硫黄山(アトサヌプリ)の麓に広がる川湯温泉は北海道東部の代表的な温泉地であり、かつ日本屈指の酸性度が高い温泉でもあります。川湯という地名の由来はアイヌ語の「セセキ(熱い)ペツ(川)」を意訳したもので、実際に温泉街の中を高温の温泉川が流れています。アサトヌプリは現在も火山活動を続けており、その活動によってもたらされているのが川湯温泉であります。

ビル建築の旅館・ホテルが建ち並ぶ温泉街の中央に郵便局がありますが、その並びに今回紹介する公衆浴場があります。外見はかなり草臥れており、内部もやはり古びているのですが、地元の人々から愛されているようで常に客足は絶えません。浴槽は二つに分かれており、左は熱め、右はぬるめという設定になっていました。洗い場や浴槽のタイルが部分的にはげており、特にぬるめの浴槽でそれが目立つのですが、これも古い浴場ならではの味わい深さでしょう。

無色透明で硫化水素臭のするお湯を口にしてみると、まるで濃縮した梅干の汁を飲んだかのように口が収斂するとても強い酸味、そして塩味と金気を感じました。この味は強烈です。湯口にコップが置いてあるのですが、とてもゴクゴク飲めるものではありません。チビチビ飲んでも口が窄まります。さすが北海道で一番といわれる酸性を誇るだけあります。傷や指のさかむけなど、体でちょっとでも皮がめくれているところがあれば忽ち滲みて痛みを感じることでしょう。一方で、強酸性ゆえに水虫など菌による感染症や湿疹などの慢性皮膚病には効果覿面です。

ここを含め川湯温泉はどの施設でも源泉掛け流しなのですが、これは湯量が豊富で循環する必要がないという理由の他、循環しようにも酸性度が高すぎて機器が壊れてしまうため掛け流しにするほかないという事情もあるようです。各ホテルでも日帰り入浴を受け付けていますが、温泉ファンならコイン2枚でパワーのあるお湯を手軽に堪能できる「川湯公衆浴場」に是非入っていただきたいものです。




「体にヨクキクヨ!!」というコピーが誇らしげな張り紙


道路を挟んだ向かい側にある足湯


酸性・含鉄(Ⅱ)・硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)
44.2℃ pH1.8 156ℓ/min(自噴) 成分総計4.134g/kg

北海道川上郡弟子屈町川湯温泉 地図
01548-3-2043
9:00~20:00(11月~4月)、8:00~20:00(5月〜8月)、水曜定休(8月無休)
200円
250円
(営業時間および料金の記載については2019年5月に訂正しました)

私の好み:★★★
コメント (2)
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