温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

七窟温泉餐庁 (台湾北部・陽明山周辺)

2010年09月30日 | 台湾
前回取り上げた六窟温泉の近くに七窟温泉があるらしいので、ざっくりと調べた地図を片手に行ってみることにしました。


 
まず六窟から湖底路を南下、紗帽山西麓の坂をどんどん下っていきます。まっすぐ南へ下りていた道が途中で思いっきりグイっと曲がって北西へ向きを変え、更に下ってしばらくすると、左から陽投公路が合流する交差点に突き当りました。辺りは傾斜地を耕作した棚田が山裾に段を作っており、とても長閑な田園風景が広がっています(画像に写っている煙は単なる焚火です。湯けむりじゃありません)。この辺りに目的地があるらしいのですが、それらしきものはどこにも見当たらない…。


 
うろうろしていたら、上述の交差点の前方(北投側)に北側の斜面を登る一本の路地が分かれており、その分岐点に「七窟」と書かれた看板が立っているのを発見(左画像)。せっかく下ってきたのに、また坂を登らなきゃいけないのかと落胆しつつ、看板に従い路地の坂を登ります。すると左手に祠が建つ分岐が現れ、再び「七窟」の看板が。しかも看板に書かれた矢印はそこから分岐する急坂を登れと示しているではありませんか(右画像)。


自分に鞭打って這うように登坂すると、まもなく目の前に立派な門が聳え立っていました。六窟から歩いて15分程、公路の分岐から大した距離じゃないのに、急勾配のおかげでエラく歩いた気がします。


 
門をくぐった目の前に建つ母屋でおばちゃんに料金を支払います。するとおばちゃんは背後から下りる階段を指さしました。母屋は食堂棟のようで、お風呂は階下の半地下っぽい別棟に設けられているわけです。
七窟温泉「餐廳」と称しているからレストラン業も主要営業項目なんでしょうが、夕方だというのにお客さんは誰一人おらず、経営者ファミリーと思しき婆さんが家族と談笑していました。どうやら家族団欒を邪魔しちゃったみたい…。


そそくさと階段を下りてお風呂の方へ。パッと見た感じでは、浴室というより病院か何かの廃墟みたいな冴えない外観で、本当にお風呂があるのか疑わしくなっちゃいましたが、軒下にはちゃんとドライヤーやミラーが取り付けられているので、やっぱりここで間違いないみたいです。入り口は二つ、右側がトイレで左側が浴室。大浴場的なものはなく、全て個室風呂です。薄暗い一本の廊下に個室の入り口が並ぶ無機質な光景は、さながら古い大きな病院の女子トイレのよう。個室は15室あります。


個室内部は台湾の一般的な個室風呂同様、2人が入れる程度の狭い空間にただ浴槽が据え付けられているだけ。でもここは各室に窓があるので、他の施設よりも密閉感が少なく明るい点が嬉しいところ。浴槽を洗ってお湯を溜めます。湯口から出るお湯は48℃弱。当ブログで既に取り上げている行義路温泉・川湯六窟温泉など紗帽山周辺の温泉は火山性の酸性硫黄泉なので、ここも同様かとばかり思っていたら、全然違う! 

薄ら赤茶色を帯びて弱く濁っているのですが、いわゆる硫黄っぽい匂いや酸っぱさが殆ど無いのです。金気味+石膏的味+炭酸味+甘味が混じった複雑な味覚、うすい油臭+金気臭。分析表が見当たらなかったので断言できませんが、おそらく重炭酸系を兼ねている石膏泉ではないでしょうか。なお個室内に掲示された活字の入浴説明には手書きで「pH6.4」と記されていました。

北投や陽明山界隈は酸性泉ばかりと思っていたので、ここ七窟温泉はその先入観を見事に覆してくれました。陽明山って湧出箇所も量も豊富、泉質も多様、奥がとても深い温泉郷だったんですね。
昔は上州草津の強烈な酸性泉で湯治したら、川原湯や沢渡などの優しいお湯を上がり湯にしたそうですが、七窟温泉も同じように、紗帽山・陽明山周辺の強い酸性泉に疲れたら、ここのお湯で仕上げるのもいいかもしれません。それにしても六窟や七窟があるってことは、八窟や九窟も存在してるんでしょうかね…。


MRT北投駅からミニバス「小25」、あるいはMRT石牌駅からバス「535」で「頂北投」下車。バス通りをバスが進む方向へ10分程道なりに歩くと「七窟」の看板が立つ分岐があるので、そこから看板に従い路地の坂を登る。「頂北投」から徒歩15分。
なおMRT北投駅からバス「230」に乗り「紗帽橋」で降りると、上述の路地分岐すぐそばまで行けるみたいです。
ミニバス小25の路線図・時刻表
バス535の路線図・時刻表
バス230の路線図・時刻表
(↑各リンク先において、時刻表は「發車間距」右の「固定班次」をクリック )
(いずれのバスも均一料金区間)


台北市北投区湖底路7-1 地図
02-2861-1135

七窟温泉を紹介している台湾のサイト(周辺の温泉施設も沢山掲載)

平日10:00~22:00、休日10:00~翌2:00 無休
100元
ドライヤー10元×2枚

私の好み:★★
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六窟温泉 (台湾北部・陽明山周辺)

2010年09月28日 | 台湾
台北から気軽に行ける緑の山塊、陽明山。ハイキングの名所であるほか、日本統治時代から台湾屈指の温泉郷でもあります。


 
山の中だというのに中心部の前山公園付近にはコンビニはおろかスターバックスまであります。一帯は平日でも大賑わいで、私が訪れた15時頃、台北中心部方面へ帰るバス停には長蛇の列ができていました。なお前山公園にはガイドブックに必ず載っている公共浴場がありますが、無料とあってかいつも混んでいるので今回はパス。


バス停へと流れる人の流れに逆らって、紗帽山の北側を捲く広い湖山路を西進。路傍ではあちこちでタイワンリスがちょこちょこと動きまわっていました。かわいい!

 
途中で左へ逸れる路地(湖底路)に入り、紗帽山西麓の長閑な風景を見下ろしながら緩やかな坂を下って突き当った奥に建っているのが「六窟温泉」です。陽明山塊のひとつである紗帽山は650m弱の低山ながらマグマの活動が活発で、山塊が持つ水の涵養力も豊かであることから、山周辺の至る所で温泉が湧き出ており、六窟温泉もそのひとつです。建物上部は大きな温泉マークと共に「六窟」と書かれているので、よく目立ちます。


陽明山の公園エリアから外れた場所にあるので、観光地的な雰囲気が全くなく、一軒宿のような趣きが感じられます。平日だというのに駐車場には沢山の車がとめられていました。玄関入って左手が広い食堂、右手が温泉スペース。


薄暗い受付の右斜め前が大衆池、つまり大浴場の共同浴場で、右手前側に個人池、つまり個室風呂がずらっと並んでいました。積極的なコミュニケーションの苦手な私は、迷わず個人池を選択。駐車台数が多い割に個室風呂を利用している客は少ないようで、私のほかは1~2室しか使われていませんでした。みなさん、大衆池か食堂で寛いでいるようです。

個室は空いているところならば、どこを使ってもよいみたいです(特に指定されませんでした)。台湾の典型的な個室風呂の様式で、まるで洋服屋の試着室のようにいくつも並んだ扉のひとつを開くと、いきなり目の前に浴槽が据え付けられており、とても狭くて、洗い場や湯上りに腰をかけるようなスペースはありません。キャパシティは1~2人でいっぱい(2人だと窮屈かも)。パーテーションで囲まれているので壁以外何も見えず、本当にお湯に入るだけの空間です。



浴槽は石板造り。まずは水を出しながらデッキブラシで浴槽をゴシゴシ洗い、それからバルブを開いてお湯を溜めます。一般的に台湾の個室風呂は、浴槽洗浄のため水の蛇口にホースが付けられていることが多いのですが、なぜかここはホースが無かったため、蛇口の水が届かない浴槽の隅々を洗い流すのが面倒でした(桶に水を汲んで流しました)。
湯口のお湯は46℃前後、浴槽へ溜めていくうちに丁度よい温度まで下がるので、水で薄める必要がなく、濃厚なお湯を堪能できます。見た目はほぼ透明ですが、弱い白系の貝汁濁りが認められます。軟式テニスボールのような硫黄臭、強い酸味で口腔が収斂します。酸味の強さが突き抜けており、他に複雑な味覚はあまり感じられなかったような気がします。スベスベして肌触りがよく気持ち良い浴感です。
その都度お湯を使い捨てる個室風呂は、自分の好みに湯加減を調節でき、しかも自分以外誰も触れていない新鮮なお湯が楽しめるので、狭苦しいとはいえ私は結構好きです。

今回私は陽明山の中心部から歩いて行きましたが、北投や石牌から六窟行のバスに乗って終点で降りれば、バス停の目の前なので、意外と交通の便は良好。施設としては面白みに欠けるように思いますが、お湯は強めの火山性酸性硫黄泉。個室風呂も大浴場も楽しめ、食堂も広く、いかにも観光地な陽明山の賑やかさから隔絶された静かで長閑な環境なので、手軽に喧騒を離れて濃いお湯に浸かりたいときには選択肢に入れてもよい施設だと思います。


MRT北投駅からミニバス「小25」、あるいはMRT石牌駅からバス「535」で終点の六窟下車、徒歩1~2分。もしくは陽明山の前山公園から徒歩15分。
ミニバス小25の路線図・時刻表 ←時刻表は「發車間距」右の「固定班次」をクリック
バス535の路線図・時刻表 ←時刻表は「發車間距」右の「固定班次」をクリック
(いずれのバスも均一料金区間)

台北市湖底路81 地図
02-2861-1728

5:00~24:00(レストランは11:00~23:00) 無休
個室風呂(個人池)100元
ドライヤー10元×2枚

私の好み:★★
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馬槽温泉 日月農荘 (台湾北部・陽明山周辺)

2010年09月27日 | 台湾
陽明山付近の馬槽に点在する温泉入浴施設のひとつ。陽明山方面からバスに乗って馬槽橋を渡ると、橋下の谷ではあちこちから白い湯煙が上がっているのがわかります。その中でも今回紹介する「日月農荘」はバス停から歩いて10分程なので、旅行者には訪問しやすい場所だと思います。



バスを降りて看板に従い省道から逸れる小道を下ると、突き当たりに大きな駐車スペースが広がっており、その右手に木造平屋の小屋がポツンポツンと並んでいます。周囲は低い山が広がるばかり。

 
 
受付のおじさんに料金を支払い中へ。食堂などを通り過ぎながら通路を進むと、まず右手に現れるのが個室風呂エリア。一般的に台湾の個室風呂は使うたびにお湯を捨てて空にしておくものですが、ここは全ての浴槽に常時お湯が張られていました。湧出量の都合かもしれません。でもお湯はちゃんとかけ流しなので、鮮度は全く問題ありません。


 
個室風呂の他に日本式の露天風呂があるので、今回個室風呂はパスして露天風呂(大衆池)へ。ここは一度料金を支払えば、個室風呂も露天風呂も両方楽しめます。また、男女別に分かれているので、裸で湯浴みできます。この露天風呂エリアは壁も床板もダークチーク調の落ち着いた木材が用いられており、更衣スペースも広く、手入れも行き届いていて割と清潔です。周囲は鬱蒼と茂る原生林でとても静か。周囲の壁に沿って弧のように設けられた浴槽は計5つあり、男湯の場合、左手前から時計回りにぬるめ・水風呂(座れる深さ)・中温・水風呂(浅め)・熱めの順になっていました。訪問時、各浴槽に取り付けられた温度計は、ぬるめ槽40℃、中温槽42℃、熱めの槽43℃と表示されていましたが、私の体感だと中温と熱めの槽はもうちょっと高いように感じられました。

お湯は青みを帯びた綺麗な白濁、無数の細かな湯の花がコロイド状に漂っています。鼻を突く硫化水素がはっきり匂います。味は明瞭な酸味があるのですが、強烈に濃い火山性の酸性泉にありがちな口に含んだときの不快感のようなものは弱かった気がします。また若干の塩味も含まれていました。マイルドな味覚に比例してか肌触りも柔らかでスベスベします。各浴槽ともお湯が大量投入でかけ流し(特に中温槽は投入量が多い。加水もあるのか)。

見た目が綺麗な白濁の硫黄泉で、濃いのにマイルドさも持ち合わせていますから、万人受けすること間違いなし。特に裸で露天風呂に入れるのが日本人受けしそうなポイントだと思います。台湾の温泉にありがちな騒々しいBGMもここは一切無し。風で梢の擦れる音や鳥の啼き声を耳にしながら入る静かな露天風呂は落ち着きが得られて最高です。最近は台湾でも裸で露天風呂に入る気持ち良さが市民権をしっかり得ているようで、訪問時は先客3人(しかも結構若め)が瞑想に耽るかのようにじっくりと湯浴みしていました。
泉質、風情や静寂さ、使い勝手、料金、アクセス面、などなど色んな意味で日本人にも台湾人にもおすすめです。


酸性弱鹸泉 pH3

皇家客運(台北~金山)・日月農荘バス停から徒歩10分
台北市士林区竹子湖路211巷8号 地図
02-2861-4096
・台北から皇家客運の金山行に乗って約1時間10分
・台湾のバス停には始発着の停留所(この路線の場合は台北と金山)の発車時刻しか掲示されていません。帰路、日月農荘バス停からバスに乗る際、
 台北行に乗る場合は、金山発の時刻に+30分した時刻
 金山行に乗る場合は、台北発の時刻に+1時間10分した時刻
がそれぞれのバス停発車時刻だと考えると良いようです(金山行は台北市内の渋滞の影響で大幅に狂う可能性あり)
皇家客運公式サイト

7:00~24:00 無休
150元(個人風呂・露天風呂の双方利用可)
コインロッカー10元×2枚、ドライヤー10元、受付にてタオル販売あり

私の好み:★★★


コメント (18)
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八煙野渓温泉 (台湾北部・陽明山周辺)

2010年09月25日 | 台湾
日本の野湯は、台湾では野渓温泉と呼ばれており、近年人気を集めているそうです。その多くは交通の便が悪いところにあるのですが、八煙の野渓温泉は台北からバスを使えば余裕で日帰りできるらしいので、天気の良い日に行ってみました。



MRT台大医院駅を降り、公園路を台北駅に向かって100~200m程歩くと、皇家客運の金山行バスが発着する停留所に着きます。単にポールが立っているだけで待合室みたいなものはありません。運ちゃんはタバコを一服し終わると、ドアを開けて客を乗車させました。私は「八煙温泉会館」と書いたメモを運ちゃんに提示し、悠遊カードを読取機にタッチ。その際に運ちゃんからラミネートされた整理券のようなものを渡されました。どうやら下車時までこれを持っておくみたいです。朝8:00定刻通りに出発、台北駅の脇を通り、士林を抜け、坂を登って陽明山や大油坑といった名勝を通り過ぎ、眺めの良い山道を走って、天籟温泉会館に寄り道しながら、約1時間半の乗車、強薪という停留所付近で運ちゃんから「ここで降りろ」と指示されました。


辺りは山だらけ、目の前に建つ「八煙温泉会館」の建物ばかりが目立ちます。バスが走ってきた陽金公路(省道2号甲)から脇にそれる下りの小道があり、八煙温泉会館の看板がこれでもかというほど立っているので、まずはそれに従って小道を下りていきます。


ある程度下ると舗装路はヘアピンカーブを描いて「八煙温泉会館」の敷地へと入っていきますが、ここをカーブしないで直進し、砂利道を進んでいきます。

 
すると間もなく、「公告 ここは陽明山国家公園の敷地内ですよ」と書かれた赤い看板が見えてきます。ここからハイキング道がスタート。しばらくは川沿いのフラットな道が続き、幅員も広くて歩きやすいです。

 
途中バリケードみたいな構造物がありますが、骨組しか残っていないので、余裕で通過できました。川は金気を多く含んでいるか、河床が赤く染まっています。

 
やがて沢に架かる簡素な橋を渡ります。金属の足場に木の板を載せた造りですが、しっかりしているので安心して渡れました。渡り終えると今までの軽快な道から一転、急な上り坂がひたすら続きます。途中で振り返ると金山方面が見晴らせて爽快です。

 
登りきって再びフラットになると、目の前にバリケードが立ちはだかりました。看板も立っており「ここから先は危険なので立入禁止、違反したら罰金15000元」と書かれていました。まぁ、これはいわゆる自己責任という認識で先へ入っていきましょう。事実、バリケードの脇は多くの人がすり抜けるためにしっかり踏み固められています。ここを越えたらすぐ視界が開け、目的地である野湯に到着。バスを降りてから30分弱でした。


野湯といえば山奥にひっそりと佇んでいるイメージがありますが、この野湯はかなり有名らしく、午前中から早くも多くの人で賑わっていました。バリケードの立入禁止の看板が空しいばかり。湯船がしっかり岩で組まれて出来ており、しかも相当広く、野湯というより立派な露天風呂です。大きく2つに区分され、手前側はぬるめ、一段高くなった奥がちょうど良い湯加減でした。

 
手前側のぬるい湯船は更に4分割され、それぞれが4人は入れる大きさ(画像左側)。奥の湯船からお湯が落ちてくるところは打たせ湯になっていました。奥の湯船(画像右側)も2~30人は余裕で入れる広さ、深さもちょうど良いです。

 
野湯の右手奥にある滝が源泉になっており、熱いお湯が大量に流れ落ち、奥側の湯船の縁を遠回りして、一番奥で沢の冷たい水と程良く混ざってから湯船に入りこんでいました。源泉と沢水のブレンド具合が絶妙、実によくできています。
お湯は薄めですが白濁しており、いかにも硫黄という感じの味がします。多少の酸味も含まれていましたが、刺激をもたらすほどの強さではありませんでした。また硫黄的な匂いも感じられましたが、こちらもそれほど強くはありませんでした。白濁の酸性硫黄泉なんでしょうが、加水のためか元々そういう泉質なのか随分マイルドになっています。


先客のグループ(↑画像)は中高年10人近く、みなさん上段の熱い方に入浴していました。グループのうち2人のお爺さんが戦前に学校で習った日本語を辛うじて覚えていらっしゃったので、有難いことにこのお爺さんが皆さんと私との通訳を買って出てくれました。山奥に一人で現れた日本人の私に皆さん興味津津。一斉に視線がこちらへ注がれます。ほとんど檻の中の動物状態。「その岩陰で着替えなさい。一緒に入りましょう」と更衣スペースの場所を教えてくれました。沢の向こうの岩へ板の橋が渡されておて、岩にはカーテン代わりの厚い布が垂れ下がっており、即席更衣所になっていました。岩にはフックまで取り付けられています。水着に着替えて皆さんのもとへ。改めて大歓迎を受けました。みなさんは新竹・桃園方面からトレッキングをしに来たんだそうです。談笑しているうち、中年のおじさんが缶カラを片手に源泉(熱湯)の滝を登っていきます。何しに行ったのかと思っていたら、おじさんは缶に硫黄の泥を詰めて戻ってきました。ここは天然の温泉泥パックも楽しめるみたいです。みなさんそれぞれ泥を手に取り全身に塗り始め「あなたもやりなさい」と勧められました。結局私を含めた全員が泥を塗りたくって真っ白になり、お互い不気味なさまを指さして大笑いしあいました。
やがて次々に後客も現れ、台湾人のみならず、欧米人グループも2組到来。直接話しかけると、一方はハンガリー人、他方はアメリカ人でした。なんてインターナショナルな野湯なんでしょう。ここは台北駐在の外国人にも有名なようです。


台湾人のおじさんが私を沢へ手招きます。上流に向かって湯船の左手を流れるのは単なる沢なのですが、この冷たい水に入るのが気持ちいいのだとか。私は水風呂が苦手なのですが、せっかくなのでおじさんにお付き合い。入りしなは確かに冷たさで身が縮み上がりますが、気温が高いからか温泉で体が熱くなっていたからか、次第に爽快に。お湯と沢を何度も往復しちゃいました。湯船の温度は2段階になっているは水風呂があるは脱衣所があるは、至れり尽くせりの野湯でした。

後日調べてみると、ここは常に賑わっているみたいですね。公共交通機関で来られ、台北から近いという立地なので、当然の帰結でしょう。人影のないひっそりとした野湯をイメージすると期待外れに終わる可能性大ですが、現地の方との交流を楽しみたい方にはもってこいの温泉ではないでしょうか。


皇家客運・強薪バス停から徒歩20~30分
台北県金山郷重和村林口 地図
・台北から約1時間30分
・台湾のバス停には始発着の停留所(この路線の場合は台北と金山)の発車時刻しか掲示されていません。帰路、強薪バス停(八煙温泉会館入口)からバスに乗る際、
 台北行に乗る場合は、金山発の時刻に+10分した時刻
 金山行に乗る場合は、台北発の時刻に+1時間30分した時刻
がそれぞれの強薪バス停発車時刻だと考えると良いようです(金山行は台北市内の渋滞の影響で大幅に狂う可能性あり)
皇家客運公式サイト

野湯につき備品類なし
水着着用・混浴
更衣スペースあり

私の好み:★★★
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北投温泉 北投温泉公共浴室 (台湾北部・北投)

2010年09月22日 | 台湾

北投の街中にある温泉浴場で、温泉街からは離れています。こんな場所で温泉に入れるの?と訝しくなってしまう立地。一見すると雑居ビルみたいで、温泉風情は一切なし。1階は大衆池、つまり共同浴場となっており、90元ぐらいで入れます。水着不要。洗い場と脱衣所が一緒になっている台湾スタイルなので、使い勝手はよくないかと思います。


私は誰にも気兼ねせずに入りたかったので、個人池(個室風呂)を選択。1時間で250元。大衆池の3倍弱ですが、まぁ仕方ないかぁ。番台のおじさんに個人池にしたいと申し出て料金を払うと、おじさんはにっこり微笑んでコインがジャラジャラ入っている缶を持ち出し、私を手招きして、一緒にエレベータで2階へ。

 
降りると、薄暗いフロアには計15室ほどの個室風呂がズラっと並んでおり、それらのうち一番奥にある1号室へ案内されました。すると、おじさんは缶から50元コインを摘み出して、壁に掛けてあるコイン受付機に5枚投入、1枚ごとに12分ずつ加算表示され、5枚で60分になりました。これでどうぞ、と言わんばかりにおじさんは再びニコっとし、サービスのミネラルウォーターを私に手渡してその場を立ち去りました。なるほどこの機械はコインタイマーなんですね。タイマーは扉の鍵に連動することもなく、単に時間が来たらブザーが鳴るだけ。ユルくて気楽です。

 
個室内は台湾によくある至って普通な造り。室内には一応窓があるものの、目の前は隣のビルの壁なので、景色は一切楽しめず、ただ湯浴みするだけ。浴槽は石板貼りで2人は入れそうな大きさ。水を出しブラシでゴシゴシ洗ってからお湯を張ります。コックを開くとお湯がドバドバ出てきますが、湯口では61℃もあったので、水で薄めて適温まで下げ、10分もしないでちょうどいい嵩に。

 
壁にはこのお湯が北投温泉ならではの青磺(酸性緑礬泉)であることを説明するプレートが貼られていました。指につけたお湯をなめてみると、うひゃーぁ、酸っぱい! 強烈な酸味にアルミ箔を齧ったような不快感が口の中に充満します。温泉街の有名な共同浴場「瀧之湯」と同じお湯でした。源泉から離れているのに、しっかり湯温と濃厚さが保たれているのは大したもんです。見た目は若干貝汁濁りを生じていましたがほぼ透明。お湯に浸かると肌にピリピリ沁みてきます。傷口があったらさぞ痛いことでしょう。強酸性泉ならではのヌメヌメ感もはっきり感じられます。一応シャワーが設けられていましたが、残念ながら水しか出ず、濃いお湯なので上がり湯したかったのですが、仕方ないので水浴びで済ませました。湯上りは肌がベトつき、ピリピリ感も残ります。北投のお湯は本当に強烈ですね。わざわざ足を運ぶほどの浴場ではないかもしれませんが、駅から近い上、24時間営業ですから夜中や早朝でも入れるのはありがたい点です。



MRT(台北捷運)淡水線・北投駅から徒歩約10分 地図
台北市北投区中央北路1段12
02-2894-7764

24時間営業
大衆浴場:90元 個人池(個室風呂):250元(1時間)
コインドライヤー10元

私の好み:★★
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