温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

トルコの温泉・旅行記 目次

2015年03月05日 | トルコ
2015.3.5作成

当ブログで記事にしてきたトルコの温泉や旅行記を一覧にしました。一部の旅行記を除き、県別に分けております。



●旅行記(地域問わず)
ローカル列車でデニズリからイズミルへ
イズミル市街で電車を乗り継ぐ
イズミル発コンヤ行 夜行列車
 前編
 後編
トルコ高速鉄道(YHT)の旅
 前編(ギョレメからアンカラ駅まで)
 後編(YHTとバスを乗り継いでアンカラからブルサへ)
トルコのレンタカー初体験
サビハ・ギョクチェン空港からドーハ経由で帰国の途へ

●ヤロワ県
テルマル温泉(ヤロワ温泉) テルマル・パルク・オテル
テルマル温泉(ヤロワ温泉)のハマム クルシュンル・バンヨ

●ブルサ県
ブルサ・チェキルゲ温泉 エスキ・カプルジャ
ブルサ・チェキルゲ温泉 イェニ・カプルジャ
ブルサ・チェキルゲ温泉 カラ・ムスタファ
ブルサ・チェキルゲ温泉 ティアラ・サーマル・ホテル
ブルサでちょこっと街歩き&グルメ

●キュタフヤ県
ウルジャ・ハレルク温泉 ターリヒ・アンスラル・ハマム
ギョベル温泉
ヨンジャル温泉 ヨンジャル・テルマル・オテル
 前編(客室・食事・周辺)
 後編(温泉大浴場)
ムラトダーウ温泉 
 前編(現地までの道のり)
 後編(いざ入浴)
ウルジャス温泉 石灰棚と源泉群
ウルジャス温泉公衆浴場(ウルジャ・ハマム)
ウルジャス温泉 公衆露天風呂
シマーヴ市 エイナル温泉で宿泊
シマーヴ市 エイナル温泉を散策
シマーヴ市 エイナル温泉 キュチュク・ハマム

●バルケシル県
ヒサララン温泉の源泉地帯と石灰華ドーム
ヒサララン温泉の温泉民宿で入浴
パムックチュ温泉の公衆浴場
ウルジャ温泉
ギョネン温泉 「ギュネシ・オテル」の貸切個室風呂
ギョネン温泉 公衆浴場
温泉の街ギョネンを散策
エクシデレ・ダー・ウルジャス温泉

●デニズリ県
パムッカレ・カラハユット旅行記
パムッカレで入浴体験
パムッカレ ヒエラポリス遺跡の温泉露天風呂(アンティーク・プール)
カラハユット温泉 スパ ヘラクレス サーマル ホテル
 前編(部屋・夜の大浴場)
 後編(朝の大浴場)
カラハユット温泉 クルムズ・ス

●ムーラ県
スルタニエ温泉
ダルヤン泥温泉
ダルヤン旅行記
 その1(現地までの道のり・食事)
 その2(宿泊・ダルヤンからデニズリへ)

●カイセリ県
カイセリ県 バイラムハジュ温泉

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サビハ・ギョクチェン空港からドーハ経由で帰国の途へ

2015年03月04日 | トルコ
※今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。
前回取り上げたヤロワ・テルマル温泉のハマムで入浴し、トルコ温泉めぐりの最後を締めくくった後は、その日のうちに空港へ向かって、帰国の途へ就きました。


●"İDO"のフェリーでヤロワからペンディッキへ
 
ハマムを出た後、前夜泊まった「テルマル・パルク・オテル」へ一旦戻って帰国の支度を調えたのち、午前11時前にチェックアウト。ホテルの目の前を通るミニバスに乗り込んで、約30分ほどでヤロワ港の"İDO"フェリー埠頭に到着です。この埠頭はバスターミナルと隣接しており、バスからフェリーへ便利に乗り継げるのですが、運転手さんは気を利かせて、フェリーターミナルの真ん前でバスを停めてくれました。なおテルマルからヤロワまでの運賃は3リラです。


 
窓口にてペンディッキ行のチケットを購入します。購入に際しては、まず窓口右手にあるタッチパネル式の整理券発券機で整理券を受け取り、券面に印字された番号が窓口に表示されたら、その窓口で購入するという流れを踏みます。早い話が、銀行の窓口と同じシステムですね。


 
出航時間の30分程前に対岸からやってきたフェリーが着岸し、手際よく舫われた後、乗客や車両が次々と下船してゆきました。続いてそれと入れ替わる形で、私達が歩いて乗船します。船は定刻12:00に、汽笛を鳴らすこと無く静かに出航しました。ヤロワ~ペンディッキ間の航路は内海であるマルマラ海の奥部であり、且つ天候も晴れて穏やかであったため、海面は全く波立っておらず、自分が船上にいることを忘れそうになるほど、揺れること無く滑らかに航行してくれました。


 
マルマラ海を渡ってイスタンブール側へショートカットできるフェリーは需要が高いらしく、船内には数百人規模で乗船可能なほどキャパがあるのに、7~8割という比較的高い乗船率が見られました。船内にはカフェなど楽しい船旅を演出してくれる各種設備も用意されています。なお座席は指定制です。


 
大小の貨物船が輻輳する中をスムーズに航行。画像をご覧になってもおわかりいただけるかと思いますが、本当に波が無く、至って穏やか。海ではなく湖のようです。でも海面にはたくさんのクラゲが浮かんでおり、潮の匂いも強く漂っていますので、船上から眺める青い水面が海であることは疑いようもありません。約50分ほどで対岸のイスタンブール市内のペンディッキに到着しました。


 
乗客は慌ただしく下船してゆきます。このペンディッキという街はイスタンブール市内と言っても、いわゆる旧市街や新市街などといった中心部から30kmも東へ遠く隔たっているのですが、市街地であることにはかわらず、埠頭前を横切る幹線道路は激しい往来が見られました。


 
埠頭の周辺はいわゆる繁華街が広がっており、週末だからか大変な人混みで、都会らしい喧騒に満ちていました。商店や飲食店が連なる先には立派なモスクがあり、更に奥へすすんでゆくと、高速鉄道"YHT"のイスタンブール側の起点となっているペンディッキ駅があるんだそうです。


●小さなハプニングその1 レストランにて
 

このペンディッキでは旅の最後を面白く演出してくれた2つの小さなハプニングに見舞われました。まず一つ目はレストランにて…。
ちょうどランチタイムでしたから、この街でトルコ最後の食事をとることに。と言っても、お店に何らのあても無かったので、たまたま目に入ったレストランに飛び込んで、2種類のケバプの盛り合わせを注文しました。この食事はなかなかの美味で、旅のラストを飾る食事として十分なものでしたが、びっくりしちゃったのが、店員のお兄ちゃんに勧められて飲んだ紫色のジュース。色合いからグレープジュースを想像したのですが、実際に喉を流れた味は、果汁の甘味とは対照的な、辛くて酸味の強い刺激的な味覚であり、未知なる衝撃的な味に驚き、思わず吐き出してしまいました。なんじゃこりゃ! なんてものを勧めてくれるんだ! その場でスマホを取り出し、ラベルの文字を翻訳したところ、どうやら赤ビートの絞り汁らしいことが判明。はじめの一口で懲りてしまい、ボトル一本をほとんど丸ごと残したのですが、トルコの方ってこんなものを平気でごくごく飲んじゃうのかな。食文化は本当に奥が深くて未知なる領域ばかりです。これが小さなハプニング、その1。


●小さなハプニングその2 タクシー
ハプニングその2は、食後に乗り込んだタクシーです。旅行先のタクシーにトラブルはつきものですけど、私が遭遇したトラブルは、まるでコントのような笑い草的ハプニングでした。

イスタンブールから国際線の飛行機に乗る場合は、アタチュルク空港を利用するのが一般的ですが、私が今回の旅行で入手した格安航空券はカタール航空のもので、往路は一般的なアタチュルク空港へ到着するのに、復路はイスタンブールのもうひとつの空港であるサビハ・ギョクチェン空港 (Sabiha Gökçen Uluslararası Havaalanı)から出発するという、オープンジョーもどきの風変わりなチケットでした。例えとして正しいかわかりませんが、東京で言えば往路は成田へ入国し、復路は羽田から出国する、といった感じでしょうか。このサビハ・ギョクチェン空港はイスタンブールのアジア側にあり、イスタンブール中心部からのアクセスが悪いために外国人旅行者からの評判はいまいちなようですが、ペンディッキからは大変近く、北東へ10キロ少々で辿り着けてしまうため、今回の私の旅にとってはむしろ好都合です。尤も、空港への公共交通機関は路線バス以外に無いようですが、大した距離じゃないので、タクシーを利用しても大した金額にはならないはず。そう考えて、食後に街中で待機していたタクシーに乗り込むことにしました。

乗車の際、つるっ禿げのおじさんドライバーに"Sabiha Gokcen Airport"と英語で告げたところ、おじさんは"OK! No Problem"と片言の英語で返答。車は薄汚れたヒュンダイのポンコツでしたが、発車と同時にメーターをちゃんと動かしてくれ、フロントガラスから見える標識にも"Havaalanı"(空港のこと)と表示されていたので、「問題なく空港へ辿り着けるはず」と安心して乗車していました。ところが世の中、そう甘くない。
ペンディッキから10分もしないうちに空港ターミナルビルが見えてきたので、「もうすぐだ」と降りる準備をしていたのですが、タクシーは何故か一旦近づいたターミナルビルから離れてゆくではありませんか。怪しく思った私は何度も「エアポート」と念を押しますが、その都度ドライバーは"No Problem"と自信満々で返答します。あれれ、俺はどこへ連れて行かれるんだろう、まさか遠回りしてメーターを稼ごうとしているのか…。そう疑ってトラブルに遭遇したことを覚悟した時、タクシーは巨大なショッピング施設の車寄せで止まりました。


 
そこは、サビハ・ギョクチェン空港近くにあるアウトレットモール"VIA PORT"カタカナで表記すればヴィアポートですね。どうやらドライバーは、私の「エアポート」という発音を「ヴィア・ポート」と勘違いして聞き取ったらしいのです。まさかエアポートの近隣にヴィア・ポートと称する施設があるとは予想だにできません。トルコって国は、最後の最後で面白いネタを提供してくれるぜ。思わずその場で爆笑してしまいました。これが小さなハプニング、その2。


●サビハ・ギョクチェン国際空港
 
オイラの発音が悪いのかもしれないし、ドライバーの思い込みも相当固そうだ…。口頭で伝えても埒が明きそうに無かったので、「指差し会話帳」を捲ってトルコ語で空港を意味する単語"Havaalanı"をドライバーに指し示したところ、彼はようやく理解してくれ、ポンコツヒュンダイをぶっ飛ばして、改めてサビハ・ギョクチェン空港へ向かって走ってくれました。アウトレットモール「ヴィア・ポート」から僅か数分で出発ロビーに到着です。トルコ滞在の最後の最後で面白い想い出をもたらしてくれたタクシーの運ちゃんには、感謝の意味を込めて普段より多めのチップを渡し、お互いに笑顔でハグして別れました。

イスタンブールを扱う日本語のガイドブックでは、その玄関口としてアタチュルク空港ばかり詳しく解説している一方、同じく国際空港であるサビハ・ギョクチェン空港に関しては「そんな空港もあるよ」程度しか触れておらず、アクセス面をはじめ、空港ターミナルの様子に関しても、ほとんど言及がありません。ガイドブックで取り上げなくても読者から文句が来ないほどの小規模な空港なのか、東京で言ったら調布飛行場みたいなものなのか…。しかし、実際の空港ターミナルは、私のそんな予想を大きく覆す、現代的なデザインの大変立派な施設でした。建物の大きさだけで捉えれば、中部国際空港と良い勝負ではないでしょうか。


 
ターミナルビルは確かに立派で綺麗なんです。でも市街中心部からアクセスが悪いためか閑散としており、余裕のあるキャパを持て余しているようでした。2020年のオリンピック開催地がイスタンブールに決まっていれば、この空港の将来性にも期待が持てたのでしょうけど…。また新しい施設であるためか、全般的にサービスや運用面が固まっていないような拙さが随所にみられ、改善の余地がまだまだ沢山あるように思われました。

タクシードライバーの勘違いにより、空港へ遠回りして着くはめになってしまいましたが、それでも搭乗便のチェックイン開始までまだ時間があったので、帰国後の日常生活に備え、ターミナル内のカフェでパソコンを開いてセコセコとお仕事をこなします(旅行先でも仕事をする私って、なんて哀しい生き物なんでしょう)。カフェの席にはコンセントが使え、Wifiも飛んでいるのでネット環境は問題ないのですが、ご多分に漏れずこの空港も物価が高く、たとえば350ml缶のスプライト一本が日本円で350円もすることにはビックリしました。パスポートコントロールの先にブランド物の免税店が並んでいることも各国の空港と同様。飲食店も数軒あり、これといった不便は感じられませんでしたが、どの店もお客さんが少なくて暇そうにしていたことが印象的でした。特にスタバなんて客がゼロ。この空港って、経営的に大丈夫なのかね…。


●ドーハでトランジット

イスタンブールのサビハ・ギョクチェン空港を定刻通り18:35に出発したカタール航空QR244便は、日付が変わろうとする真夜中23:40に、中東カタールのドーハ・ハマド空港へ到着。肌寒かったトルコとは打って変わって、灼熱の砂漠地帯にあるカタールは日没後でも30℃以上あり、秋物の服を着ていた私は、タラップを下りてバスへ乗り換える僅かな間で、うっすらと汗をかいてしまいました。なおQR244便の機材は、いまどきのナショナルフラッグキャリアが使うとは思えない、LCCへ回されていてもおかしくなさそうなA320の古参機。カタール航空って資金的にかなり余裕があるようなイメージがあるのですが、そんな会社でもサビハ・ギョクチェンというマイナーな空港を発着する路線には、お古があてがわれちゃうのかな。


 
ドーハという街は世界の旅行者から「世界一退屈な街」という不名誉な称号を与えられているらしいのですが、そんな事情もあってか、この空港を利用する旅客は別の国へ向かうトランジット客がほとんどで、私が乗ってきたQR244便のみならず、他便の乗客も、大多数は入国のゲートへ向かわずにトランジット専用ゲートへ列をなしていました。ドーハの新たな玄関口であるハマド空港ターミナルビルは、2014年に本格供用が開始されたとっても新しい施設であり、どこもかしこもデカくてピッカピカ。さすがオイルマネーで潤いまくっている国は違うなぁ。
さてトランジット専用のセキュリティチェックを通過すると、ターミナルの中央ホールへと導かれるのですが…


 
この中央ホールにはぬいぐるみのようなバカデカイ人形がデンと鎮座していました。黄色いぬいぐるみが電気スタンドの下でグッタリしており、グーグルの画像検索で「ハマド空港」と入力してみますと、リストアップされる中から結構な高比率でこの人形が写った画像が表示されますから、この空港を利用した人の多くが注目しているようです。でも何かがオカシイ。ディズニーの「くまのプーさん」のようであり、また所謂テディーベアのようでもあるけど、人形としては造りやデザインがユルユルで、かわいらしさが無い。ママに裁縫を習ったばかりの子供が、ボタンを使って初めてぬいぐるみに目を縫いつけたような、稚拙感に満ちあふれているのです。カタール版のユルキャラなのでしょうか。何らかの意味を込めてこんな姿にしているのでしょうけど、ぬいぐるみに関して特に説明はありません。しかも背後にまわったら、なんと電気スタンドのアームが、ぬいぐるみの背中を貫いているではありませんか。ユルキャラを超越したオカルトでもあったのです。一体これは何なんだ。



私が乗り継ぎたいドーハ発羽田行QR810便は朝7:20発ですから、ここで7時間以上も時間を潰さねばなりません。ドーハでの乗り継ぎ時間が長い場合、カタール航空ではホテルを用意してくれるのですが(こちらを参照)、それには「8時間以内の乗り継ぎ便が運航していない場合」「乗り継ぎ時間が8時間以上」などといった条件があり、搭乗券の料金クラスによっても利用不可となるんだそうです。もしこのサービスを利用したとしてもホテルで寝られる時間は実質的に2~3時間ですし、ホテルとの行き来で慌ただしくなり、かえってストレスを招きそうな気もします。そこでこの時は空港内の「オリックス・ラウンジ」で過ごすことにしました。一般的に空港のラウンジは一定クラス以上の乗客に利用が限られていますが、このラウンジは40アメリカドルを支払えば誰でも利用可能という使い勝手の良い施設です。
シャワーを浴びてさっぱりし(ドライヤーが無いのが玉に瑕)、食事をつまみながら自分のパソコンで日本のバラエティー番組を見て時間を潰しているうち、いつの間にやらウトウトしており、気づけば窓の外が薄ぼんやりと明るくなっていました。




 
※トランジットの話題が出たついでに、往路での体験もちょっと話させてください。
今回の旅行では往路の羽田→イスタンブールでもドーハで乗り継いだのですが、乗り継ぎに数時間も待った上述の復路と違い、往路のトランジットは大変スリリングなものでした。というのも、定刻通りであっても、僅か1時間で乗り継がなければならなかったのです。でもハマド空港公式サイト内のトランジットに関する説明によれば、45分あれば大丈夫であるらしいし、発券時点で航空会社が短時間の乗り換えを認めているんだから、多少遅れても接続してくれるだろうと楽観的に考えていました。羽田でチェックインする際にも、ドーハから先のチケットと一緒に上画像のような「ショートトランジット」と記されたチケットホルダーが手渡されますので、ドーハ空港内でこれを手にしていれば、職員が一目瞭然で「この客は急がせなきゃ」とわかるようになっています。羽田発ドーハ行のQR811便も定刻通りに出発してくれたので、ここまでは問題ありませんでした。

しかし、偏西風に対してアゲンストな方向だからか、ドーハ到着は定刻より30分の遅延。定刻通りであっても1時間しか猶予が無かったのですから、30分も遅れたら残りはわずか30分。タイトなんてもんじゃありません。どうやら私以外にも乗り換えで困っているお客さんがいるらしく、ボーディングブリッジがなかなかセッティングされないことに皆さん苛立ちを隠せない様子。ドアが開かれたと同時にターミナル内をダッシュし、ダメ元で次なる搭乗口へ向かったところ、職員はちゃんとディレイを承知しており、私が乗りたかったイスタンブール行も我々を待っていてくれ、積み残しを発生させることなく、結局15分遅れでドーハを出発したのでした。もちろん乗客のみならず荷物の乗り継ぎも問題なく、イスタンブールのバゲッジクレームでは、自分の荷物を無事に受け取れました。不安からくる冷や汗だけでなく、ダッシュしたことで本物の汗も大量に掻いてしまいましたが、なんだかんだで無事乗り継げてホッとひと安心。ということで…
結論:ドーハでの乗り換えは、1時間しかなくても、たぶん大丈夫。



 
 
話を復路に戻します。朝6時ころにラウンジを出て搭乗口へ。羽田行きQR810便の搭乗口は、やたらと長い空港内の通路を延々歩かされた先にありました。サビハ・ギョクチェンからの便は古いA320の古い機材でしたが、打って変わって、羽田行は導入されたばかりのB787。やっぱり最新鋭の飛行機は快適ですね。カタール航空は日本語エンターテイメントも充実しており、タッチパネルの操作性もまずまずなので、ちっとも退屈しませんでした。


2015年の年明けから2ヶ月以上に亘って続けてきましたトルコ温泉巡りの旅シリーズも、これにて終了です。いつものような冗長で中身の無い記事にもかかわらず、お付き合いくださいましてありがとうございました。
今回私が実際に巡った温泉施設数は26にも及びます。この旅でバイブル的存在となったのは、葛西暢人さんのサイト「とるこのととと」と、このサイトの内容を書籍化した『魅惑の温泉めぐり トルコ』です。トルコで個人旅行する際のHOW TOをはじめ、とにかく温泉に関するコンテンツが充実しており、トルコの温泉に関する書籍でこの右に出るものはありません。個人で取材執筆なさっているとは思えないほど、対象エリアが広範囲であり、且つ各温泉に関する記載内容も微に入り細を穿っていて、旅行者目線に立った痒いところに手が届く親切な記載内容には、旅の立案段階でも、実際の旅の中でも、大変助けられました。トルコへの愛情と造詣の深さが伝わってくる素晴らしい力作です。これらのコンテンツ無くして私の旅は成り立ちませんでした。心より感謝申し上げます。

次回記事からは日本の温泉に戻ります。
引き続き拙ブログを何卒よろしくお願い申し上げます。
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ヤロワ県 テルマル温泉(ヤロワ温泉)のハマム クルシュンル・バンヨ

2015年03月03日 | トルコ
ヤロワの出で湯テルマル温泉は、6世紀の東ローマ帝国ユスティニアヌス王朝にまで遡る歴史があるんだとか。日本三古湯で比べてみますと、約3000年前の遺跡が見つかっている道後温泉は別格として、有馬温泉や白浜温泉が遡れる歴史は7世紀の飛鳥時代と言われていますから、どうやらその2湯より1世紀近く先輩にあたるようです(あくまで文献で遡れる歴史で…という意味です)。幾日にも亘って計26の温泉施設をハシゴしてまいりました今回のトルコ温泉めぐりは、悠久の歴史を持つこのヤロワ温泉のハマムで締めくくることにしました。
(※)松山市道後温泉事務所のサイト内にその旨の記載あり



この日は夕方にイスタンブールのアジア側にあるサビハ・ギョクチェン国際空港を発つ飛行機で帰国する予定でしたので、お昼過ぎにヤロワの埠頭を出る高速船に乗って対岸のペンディッキに渡り、そこからタクシーに乗り込めば、時間的には余裕で空港へ到着することができるはず。そこでお昼までヤロワの温泉でゆっくり過ごすことにしました。上画像は今回宿泊した「テルマル・パルク・オテル」の前の通りを、翌朝撮影した様子です。ホテルに関しては、前回記事で取り上げた通りです。


 
斜面に広がる温泉街を北西から南東へ向かって登っている坂道は、私が宿泊したホテルのちょうど目の前で二又に分かれ、湯元である国営「テルマル・オテル」やその敷地である谷状の地形をぐるっと廻るような一方通行となります。歩行者は一方通行なんて関係ありませんから、最短距離で歩ける車両進入禁止の方向へと進みます。この道沿いにも土産屋や小規模旅館が並んでおり、店頭ではアラビア語の表記が目立っていました。


 
やがて公園のように緑豊かなゾーンとなり、蔬菜・果物・穀物などを扱う青空マーケットが並ぶようになりました。


 
「テルマル・オテル」の周辺は一部を除いて公園として開放されており、市民や観光客の憩いの場となっています。すり鉢状の地形の底には細い川が流れており、木々の美しい緑に抱かれるようにして浴場やホテルなど諸々の施設が設けられています。車道は勾配を緩和するため遠回りしているので、途中から階段で谷底へショートカットしました。



階段の上からは構内のいろんな施設が見下ろせます。先に見えているのは家族風呂の「スルタンハマム」かな。


 

階段を下りきると、"MİDE SUYU"と記されたガゼボに遭遇。スマホで翻訳したら「胃液」と訳のわからぬ単語が表示されたのですが、その前に立つ看板には"İÇME TEDAVİSİ"(食事療法)といった語句が並んでいましたので、おそらく飲泉所なのでしょう。実際に飲泉すべく手に受けようと、噴き上げられるお湯に触れたら、えらく熱くてびっくり仰天。空っぽの頭をフル回転させて何か良い方法はないかと思案しているうち、バッグに飲みかけのペットボトルがあることに気づいたので、その中身を空にしてからお湯を汲んで、フーフーしながら口にしたところ、薄いながらも石膏と芒硝の味が口の中に広がり、湯気とともにそれらの香りもふんわり漂ってきました。


 
飲泉所の先にある細長い小屋が、入浴関係の受付窓口です。さすがに観光客相手の施設だけあって、私がトルコでこれまで巡ってきた他の温泉施設よりも料金設定が高く(平均的な料金の倍以上)、しかも平日と週末で料金が異なっているところも特徴的です(もちろん週末の方が高い)。


 
ちなみに、受付窓口がある小屋の更に奥に、テルマル温泉の総本山と言うべき「テルマル・オテル」の本館がそびえ立っています。受付窓口の向こう側には、ホテルの屋外プールも見えました。


 
「テルマル・オテル」の敷地内には、ハマム・家族風呂などいくつかの温泉施設があるようですが、この時は、いわゆる伝統的なトルコ公衆浴場(ハマム)である「クルシュンル・バンヨ(Kurşunlu Banyo)」を利用することにしました。ドーム型天井のてっぺんから上がっている湯気が、温泉風情を醸し出しています。

入館すると、一般的なトルコのハマムと同様に、まず番台に貴重品を預け、その後更衣室に入って水着に着替えます。こちらのハマムは、任意の更衣室を使って構わないらしく、私が訪問した時には混雑気味でしたので、否応なく他のお客さんと更衣室を一緒に使うこととなりました。なお番台ではタオルを無料で貸してくれました(料金が高いんだから、そのくらいサービスしれくれないとね…)。



ハマム内はいくつもの部屋に分かれており、全ての部屋をいちいち取り上げていたらキリがないので、手書きで申し訳ないのですが、私が実際に足を踏み入れた様子や目にした部屋の光景を元に、大雑把に館内図を描いてみました。いい加減な私の記憶のまま、わかる範囲内で描いていますので、あまり正確ではないことをご承知おきください。たしか、大体こんな感じのレイアウトだったよな…といった程度です。以下、この適当な図をもとに話を進めてまいります。


 
大理石がふんだんに使われている館内は貫禄たっぷり。洗い場もたくさん用意されており、もちろん水栓から吐出されるお湯はアツアツの温泉です。このハマムは男女混浴である点も特徴的。一般的にトルコのハマムは、男女の浴室が完全に分離されているか、あるいは曜日や時間帯によって男女を分けていることが多いのですが、こちらは海外からの観光客が多いためかそのような区分なく、男女一緒に入浴するスタイルをとっています。混浴とはいえ、もちろん水着着用が必須。水ぶくれした土偶みたいな欧州人のおばちゃん達が、お肉をタプンタプンと揺らしながらビキニ姿で浴場内を闊歩していました。

上述のように、トルコ温泉巡りの締めくくりで訪れたハマムですから、旅の疲れをしっかり癒してから帰国の途に就きたいと考え、入館時に番台へ垢すりとマッサージの両方を申し込みました。しかしながら、私が入館した朝9時頃はまだ施術師が出勤していないとのことで、受け付けてもらえずガッカリ。ひとっ風呂浴びた後、館内の探検がてら再び番台の前をウロウロしていたら、10時前になってようやく番台のおじちゃんが私に声をかけ、「施術師が出勤したので、今ならすぐに大丈夫だよ」と教えてくれました。そこで即座にお願いし、屈強な体格の施術師さんに案内されてマッサージ室(手書き図の7番)へと入りました。右(下)画像に写っている扉の向こうがマッサージ室です。旅の最後を飾るイベントですから、ワクワク期待してサービスを受けたのですが、結論から言えばかなりの下手っぴ。垢すりとマッサージを合わせて50リラもするのに、私を担当した施術師はとにかく仕事が雑。力任せで丁寧さに欠け、翌日のもみ返しは間違いなし。しかも2つのサービスを合わせて合計30分もやってくれず、実にあっけなく終わってしまいました。一見さんが多い観光客相手の施設で、この手のサービスに技術を求めるのは難しいのかな、あるいは偶々下手っぴに当たってしまったのかな、はたまた手抜きをされちゃっただけなのかな…。旅行中は何度かマッサージしてもらいましたが、技術面では以前当ブログで取り上げたブルサの「イェニ・カプルジャ」が最も上手でした(あくまで個人的な感想ですが)。


 
主浴槽がある浴室(手書き図の8番)では、「浪花のモーツァルト」ことキダ・タロー氏の横顔を彷彿とさせる面持ちの獅子が、石膏感と芒硝感を有する熱い温泉を噴き出しています(図の9番)。浴槽の縁からしっかりオーバーフローしており、槽内の吸引や供給は確認できなかったので、キダ先生の頭髪のように人工的なものは介在せず、偽りのない本物の掛け流しかと思われるのですが、浴槽の容量に対して投入量が足らないのか、本来無色透明であるはずのお湯は、若干の濁りを呈していました。なお湯加減は日本人向きの42℃前後です。

浴室の最奥部には温泉熱を活用したミストサウナがあり(図の12番)、これがかなり熱く、私は5分いるのが精一杯でした。またミストサウナと主浴槽の間には、大理石造で円形の腰掛け槽があり(図の11番)、槽内にお湯が張られているわけではなかったので、てっきり岩盤浴みたいに槽自体が熱くなっているののかと思いきや、実際には槽内にチョロチョロとお湯が注がれるだけの代物で拍子抜け。それでも何故かこの腰掛け槽には、お客さんが集まって、客同士で肩を寄せあいながら腰掛けていたのでした。

ハマムとしては外観も館内もさすがと思わせる風格を漂わせているのですが、お湯といいサービスといい、トルコの他のハマムを体験してきた私には今ひとつ物足りなく感じられました。コストパフォーマンス的な問題がそのような主観をより強くさせているのかもしれません。でも歴史ある温泉を我が身で浴びることは意義深く、温泉ファンとして良い体験をさせてもらいました。


GPS座標:N40.6035, E29.173349,

ホームページ(トルコ語表記)

7:30~22:30
平日23リラ・週末28リラ
貴重品は番台預かり、ドライヤーあり、タオル貸し出しあり

私の好み:★★
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ヤロワ県 テルマル温泉(ヤロワ温泉) テルマル・パルク・オテル

2015年03月02日 | トルコ
レンタカーでキュタフヤ県やバルケシル県の温泉を巡ってまいりましたが、4日間にわたって私の旅の相棒をつとめてくれたレンタカーともいよいよお別れ。ブルサの営業所へ返却後は、タクシーでバスターミナルへ行って、バスでこの日の宿泊予定地であるヤロワへと向かいました。


●ブルサからヤロワのテルマル温泉へ移動
 
巨大なブルサのバスターミナルでは、余多のバス会社が窓口を開いており、どこを尋ねたらよいものか見当がつきません…。


 
そんなこともあろうかと、先日当ブログでも取り上げたトルコのバス時刻検索サイト"Neredennereye.com"、およびトルコ西部に強いネットワークを持つキャミルコチ(Kâmil Koç)の公式サイトを前夜のうちに調べておいたところ、ブルサからヤロワへ行くバスの本数は多いのですが、どういうわけか、私が移動したい時間帯(16時~17時)だけ妙なブランクがあり、たとえばキャミルコチの場合は18時まで次の便が無く、Neredennereye.comで時刻検索ができるような他の大手会社も、やはり上手い具合に乗り継ぐことができません。2時間近い待ち時間を覚悟しかけた時、キャミルコチの隣の窓口を見たら、ヤロワ(YALOVA)と大きく記されているバス会社を発見。その窓口で次のバスの時刻を尋ねたところ、何と15分後にヤロワへ行くバスが発車するとのこと。まさに渡りに船のグッドタイミング。中小資本の会社なので、いささかの不安は拭えませんが、ま、何とかなるだろうと即時にチケットを購入しました。運賃は14リラ。



白いボディーに"Yalova"と緑字で記された"Yalova Seyahat"社のバスに乗車です。フロントガラスには「フェリー経由イスタンブール行」と表示されていましたので、おそらくヤロワの埠頭からバスごとフェリーに乗り、海上をショートカットしてイスタンブールまで行くのでしょう。


 
大手のバス会社と違って車内サービスはペットボトルのミネラルウォーターだけですが、他社より早く到着できるんですから文句は言えません。ヘッドホン付きの車内モニターも装備しており、居住性も問題ありません。
定刻通りに出発したバスは幹線道路D575号を北上します。途中ゲムリク(Gemlik)という街を通過中に、車窓からチラッと海を望むことができました。


 
ブルサからぴったり1時間でヤロワのバスターミナルに到着です。このバスターミナルはフェリー埠頭に隣接しており、バスを降りると潮の香がふわっと鼻をくすぐってきました。バスターミナルからフェリー埠頭にかけての一帯は人混みでごった返しており、当地が交通の要衝であることを実感させてくれます。ヤロワの温泉街はこのバスターミナル(埠頭)から南西へ15kmほど入ったテルマルという街にあるのですが、既にとっぷり日が暮れており、なるべく早めに宿に着きたかったので、ヤロワの街では寄り道せずに、すぐにテルマル行きのミニバスに乗り込みました。
夕刻の帰宅時間帯だからかミニバスは大変混雑しており、にもかかわらず街の途中で次々にお客を拾うものだから、最終的にはドアを閉めることですら難儀するほどギュウギュウ詰めになる始末。そんな状態でも老人にはすすんで席を譲ろうとし、運賃の受け渡しや停留所に関する伝言もお客さん同士で協力しあうのですから、その公共心には敬服の念を抱かざるを得ません。


●ホテルにチェックイン
 
途中渋滞に巻き込まれたため、50分弱かかってバスはようやくテルマルへと辿り着きました(日中ならば30分ほど)。上述のようにヤロワ温泉はブルサの中心部から15kmも離れたテルマルという別の街に位置しているため、街の名前をとってテルマル温泉と称されることもあります。温泉名に関してヤロワとテルマルのどちらを選択すべきか、初訪問の私には判別できませんので、以下、当ブログでは両方を併記させていただき、文章的にクドくなったらヤロワ温泉のみを表記することにします。

ミニバス乗車時に運転手へホテル名を告げておいたところ、ホテルの目の前で降ろしてくれました。トルコのミニバスは融通が効くので助かります。ここがその晩お世話になった「テルマル・パルク・オテル(Termal Park Otel)」です。英語で表記し直せば"Thermal Park Hotelとなるはず。文字通り緑豊かな公園の傍にある温泉ホテルです。バス下車後に外観を撮ったのですが、暗い中ではちっとも状況がわかりませんから…



翌朝改めてホテルの外観を撮影しました。温泉街の真ん中を貫く坂道の途中に位置する、4階建てのホテルです。安宿でも高級ホテルでもない、中間価格帯のごくごく普通なホテルです。



上画像は夜のロビーです。表情豊かなフロントのおじさんは、満面の笑みを浮かべて対応してくれ、しかも英語が流暢でしたので、コミュニケーション面でも苦労せずに済みました。一方、ボーイとして働くおじさんは、晩年の横山ノックを上から押し潰したような、低身長・禿頭・太鼓腹という3拍子が揃った体型で、英語を理解している様子もなく、能面のようにどんな時でも無表情。でも、どんな仕事もそつなくこなし、動作も機敏で、ボーイとしては合格点なのです。無表情のままチョコマカ動き回る様は小動物のようでもあり、もし日本の若い女の子達が彼を見つけたら、カワイイおじさんとして持て囃すこと間違いなし。私の旅の記憶にも、強烈なキャラクターがはっきりと刻まれました。個人的にはそのキャラを活かして、是非何らかのコメディー映画に出演してほしいなぁ。


 
そんなおじさんボーイに案内されて客室へ。セミダブルが2つ並ぶツインルームです。冷蔵庫・テレビ・ミニバー・エアコンなどひと通りの設備が備え付けられており、テレビはNHKワールド(英語放送)が視聴可能で、Wifiもしっかり飛んでいました。


 
各客室にはベランダがあり、私が泊まった部屋からはテルマルの街を一望することができました。


 
上画像は朝にベランダから景色を眺めた様子。見晴らし良好、なかなかのロケーションです。すり鉢状の地形の向こう側にはジャーミー(モスク)があり、朝5時頃には街中に轟く大音響でアザーンで強制的に目を覚まされました。ホテルとジャーミーの間は谷状になっているため遮るものがなく、アザーンがストレートに届いてしまうんですね。これもイスラム圏ならではの体験であります。


 

当然ながら客室にはいくつかのランクがあるわけですが、私はバスタブが使えるランクのお部屋を選びました。なぜなら客室の水栓からヤロワの温泉が出てくるから。実際にコックを開けたところ、直に触れないほど激熱の温泉が吐出されました。水栓金具のお湯側には白い析出がこびりついており、湯気とともに弱い石膏臭と芒硝臭が漂います。バスタブにはジャグジーが備え付けられていましたので、この時は缶ビールを飲みながらジャグジーを動かし、優雅な気分で部屋風呂を楽しみました。なおバスタブが無い部屋もあるみたいです。


 
部屋風呂で飲んだ缶ビールは、トルコで最もメジャーな銘柄の「エフィス」。サントリーの「金麦」みたいなデザインですが、間違いなく「エフェス」の方が先輩なんでしょうね。缶の上部には各国語でビールを意味する単語が並んでおり、アルファベットと伍しながら「ビール」という日本語もプリントされていました。


●ホテル内の貸切風呂
ホテルの地下には貸し切りの個室風呂があり、宿泊客は無料で利用できますので、フロントに利用したい旨を申し出て、入浴させてもらうことにしました。ここでも件のおじさんボーイが案内してくれます。彼に言えばバスタオルも貸してくれます。

 
地下の廊下には数部屋の個室が並んでいました。どの部屋も同じ造りのようですので、この時はおじさんが通してくれた3号室を利用することにしました。脱衣室内はロイヤルブルーのタイル貼りで、腰掛けや鏡の枠などに用いられている木材が、見た目の印象を柔和にしています。



(↑サムネイルをクリックすると分析表の画像が拡大されます)
廊下には温泉分析表が掲示されていました。データの抄出は当ページの下部に掲載しておきますが、これによれば泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉で、源泉温度は60℃もあるんですね。


 
浴室内は脱衣室と同じくタイル貼りですが、浴槽は総大理石で、少なくとも2人は余裕、詰めれば3人入れちゃいそうな、ゆとりのあるキャパを有しています。大きな浴槽ですから、空の状態からお湯を張るには時間がかかりそうですが、お湯の吐出量が多いので、意外とすぐに入浴に適した嵩まで溜まってくれました。


  
真鍮の水栓から出てくる温泉の温度は59.8℃。分析表には60℃と表記されていましたから、ほとんど変わっていませんね。このままではさすがに熱すぎるので、適宜水で薄めながら温度調整しました。客室のカランと同様に、水栓のお湯側や吐出口は、温泉成分の析出によって白い粉状のものが付着しています。


 
十分にお湯が溜まったところで、いざ入浴です。肩までしっかり入れる深さがあり、槽自体の容量も大きく、総大理石ならではの滑らかな肌触りが心地よいので、一人で湯浴みすると贅沢な気分に浸れました。貸切の個室ですから、日本と同じように一糸まとわない姿で入浴できるのも嬉しいですね。
お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、石膏と芒硝の味や匂いがやんわりと感じられます。サラスベとひかかる浴感が混在しており、腕でお湯を掻くと、弱いながらもトロミが伝わってきました。一見すると癖の無さそうなお湯ですが、温まりパワーが大変強く、湯上がりは汗がちっとも引きません。部屋に備え付けられていたバスローブを羽織ったのですが、大量発汗のためにビショビショになってしまったほどです。外観からは想像できない実力派のお湯でした。


●温泉街で食事
 
風呂から上がってひと呼吸おいたところで、夕食をとるため夜の温泉街を散策です。ホテル前の坂道に沿って、飲食店や土産店など観光客向けのお店がたくさん並んでおり、各店舗を見て回っているうち、アラビア文字やサウジアラビアの国旗が店先で目立っていることに気づきました。この街はそちらの方面からのお客さんに好まれているのでしょう。たしかに各ホテルのロビーでは、ご主人と行動をともにする、真っ黒なアバヤを纏った奥様の姿をよく見かけました。


 
どのお店を選ぼうか迷っているうち、店先からお兄さんに声をかけられたので、呼び声につられてそのレストランへ入ることにしました。メニューとしてはごく一般的なトルコ料理がラインナップされていたので、その中でも無難と思われたイスケンダル・ケバプを注文したのですが、目の前に出されたものはメニューの写真とは別物で、盛り付けが単調で味にもいまいち深みが無く、ブルサにある元祖の店で本物のイスケンダル・ケバプを食べている私としては、いまひとつ物足りない食事になってしまいました。ま、この街を訪れた目的は温泉入浴であり、既にその目的は達せられているのですから、それで十分満足しているんですけどね。
次回記事では、翌朝に利用したテルマル(ヤロワ)温泉のハマムについて取り上げます。


以下は「テルマル・パルク・オテル」に関する諸データです

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 60℃ pH7.56 成分総計1401.590mg/kg
Na+:250.591mg(57.206mval%), Ca++:155.310mg(40.755mval%),
Cl-:77.484mg(11.405mval%), SO4--:775.000mg(84.246mval%), HCO3-:42.700mg(3.652mval%),
H2SiO3:84.604mg, HBO2:2.028mg,
(2002年1月29日分析)

GPS座標:N40.605514, E29.174772,


ホームページ
日帰り入浴が可能がどうかは不明

私の好み:★★+0.5
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バルケシル県 エクシデレ・ダー・ウルジャス温泉

2015年02月28日 | トルコ
温泉の街バルケシル県ギョネンで一泊した翌日は、街から南西へ約15km離れた山の中にある一軒宿の温泉「エクシデレ・ダー・ウルジャス(Ekşidere Dağ Ilıcası)」へレンタカーで向かい、日帰り入浴してまいりました。もしこの記事をご覧になって現地へ行ってみたくなった酔狂な方のため、実際に私が辿ったルートを、Google Mapを用いながら説明させていただきます。なおここでは便宜的に、ギョネンのオトガル(バスターミナル)を起点とさせていただきました。



 
まずはギョネンの街を抜けてバルヤ(Balya)方面へ南下。途中で道が二又に分かれるので、ここで右へ逸れます。分岐点にはちゃんと"Ekşidere Dağ Ilıcası"と記された標識が立っているので、それさえ見逃さなえれば大丈夫【地点1】。
この先も"Dağ Ilıcası"と記された青い看板が随所に立っていますから、それに従って進めば問題ありません。たとえばBalcıdedeという集落では丁字路にぶつかりますが、ここでもちゃんと看板が立っており、そこに示された矢印に従い右へ鋭角に曲がります【地点2】。


 
牧歌的な景色の中を安全運転でドライブ。草原の真ん中で車を駐め、ヒバリがさえずる中で深呼吸。


 
途中でいくつか集落を抜けます。集落内は道幅が狭く、舗装が荒れてデコボコしていますから、スピードを落として安全運転に心がけました。
温泉宿の名前にもなっているエクシデレ(Ekşidere)集落では、ジャーミー(モスク)の手前の十字路を右折して、細い坂道をグイッと上がってゆきます。ルート上ではここが最も迷いやすい箇所かと思いますが、それでも曲がり角にはちゃんと案内看板がありますから、それを見逃さなければ大丈夫【地点3】。


  
エクシデレ集落を抜けると人家が途絶え、畑や森林がモザイク状に散らばる丘陵地帯となります。対向車ならぬ対向驢馬というべきか、ロバに乗って移動しているおじさんと行き違ったり、羊飼いに導かれて移動する羊の群れが目の前を横切ったりと、実に長閑な地域です。



向こう側の丘に緑色の建物が見えてきましたよ。


 
「エクシデレ・ダー・ウルジャス」に到着です。名前を直訳するとエクシデレ山温泉となるのでしょうか。周囲の環境に溶け込むことを意図しているのか、ホテルの建物は緑色に塗られており、高さも周りの木々を越えない範疇に抑えられています。ホテル棟の他、アパートやコテージと思しき棟も建ち並んでいました。


 
敷地内にはジャーミー(モスク)があり、「こんな人里離れた一軒宿でも信仰は欠かせないんだなぁ」なんて呟きながらボンヤリ眺めていたところ、中からおじさんが現れて、コップで飲むジェスチャーをしながら、奥の方へ行ってごらん、と指をさします。おじさんが指し示した方向には、チョロチョロと清水が滴る水汲みがあり、その様子をカメラに収めていると、後ろの方からボトルを抱えた老夫婦が2組やってきて、この清水をボトルに汲みはじめました。この水はそんなに美味いのか。実際に手で汲んで口にしたところ、たしかに口当たりがまろやかで飲みやすい。この辺りでは名水として知られているのでしょう。


 
この温泉宿は小高い丘の上に位置しており、彼方へ幾重にも連なるなだらかな丘と、そこに広がる広大な畑や森林、そして点在する集落を眺望することができました。この日は天候にも恵まれ、雄大な景色を眺めているだけでも爽快です。子供用遊具も設置されていますから、ファミリーで訪れてのんびり過ごすのも良いですね。


 
さて入浴へ。ホテルは幾棟かの建物に分かれているのですが、入浴利用の際には、1階に売店がある棟の窓口でチケット購入します。料金は8リラ。



窓口の斜め前が浴場です。


 
こちらが浴場の入口です。チケットを購入すれば誰でもすぐに入浴できるわけではなく、浴場がひとつしかないため、時間によって男女が分けられており、その時間割に合った人しか入場できません。入口前には時間割が掲示されていましたので、その内容を以下に書き写しておきます。
 男湯:6:00~8:00、10:30~12:00、14:30~16:00、18:30~20:00、
 女湯:8:30~10:00、12:30~14:00、16:30~18:00、20:30~22:00、
早朝の時間帯を除けば、男女はそれぞれ1時間半ずつで交代し、男女の切替時に30分のインターバルを挟むというスケジュールとなっているわけですね。たとえ夫婦で訪れても、どちらかが待ちぼうけを喰らわなきゃいえないのが、この温泉の哀しいところ…。
入口ゲートには機械式の回転バーが設置されており、入口に常駐している係員のおじさんにチケットを提示すると、チケットにスタンプを捺された上で、おじさんのポケットに突っ込まれていたICカードがゲートの機械にかざされ、これによって回転バーのロックが外れて入館できるというシステムになっています。なんでこんな面倒な方法にしているのでしょう。



入口の内側には貴重品箱がありますから、財布などはこちらに預けます。


 

更衣室は左右シンメトリな造りで、一定間隔毎に仕切り板が突き出ており、その間にベンチや服掛けフックが設置されていますので、任意の箇所に荷物など置くことになります。奥の方には試着室のような小さな着替え室もありますが、私は面倒なので、バスタオルを腰に巻いて、ベンチのところで着替えてしまいました(他のお客さんも同様でした)。


 
更衣室の奥にはシャワールームや洗い場も完備。洗い場はタイル貼りですが、典型的なトルコのハマム様式で、6基ある水栓からはぬるめの温泉が吐出されます。実際に水栓を開けてみたところ、お湯に含まれる無数の気泡により、湯受けのお湯は白く濁りました。


 
洗い場で体をしっかり洗った後は、露天風呂に入りましょう。こちらの浴槽は上画像の露天風呂ひとつのみです。露天とはいえ四方を高い塀で囲われており、水平方向の視野では開放感が無いのですが、(あくまで私の勝手な解釈ですが)このお風呂は女性も使いますので、周囲からの視線を徹底的に遮るべく、このような高い塀で囲まれているのかもしれません。イスラム圏らしい設計といえそうです。



塀は高いのですが、見上げると青空が仰げ、時折心地良いそよ風が入ってきます。山の空気は澄んでいますし、小鳥のさえずりも聞こえ、湯浴みにぴったりの、実に爽快な環境です。


 
浴槽は目測で一辺が8mの正方形。深さが1.65mもあり、ちょうど同じ高さの身長である私が底面で爪先立ちをしても、あとちょっとのところで高さが足りずに沈んでしまいました。底面には白い砂利が敷き詰められているのですが、一部分はちょっぴり茶色を帯びており、そこからブクブクと気泡を上げながらお湯が供給されていました。足元湧出なんでしょうか、はたまた単に配湯管の吐出口を砂利の下に敷いているだけなのでしょうか。足元湧出だったら嬉しいな…。湯温は41.0℃。日本人でも満足できる絶妙な湯加減です。


 
プールサイドにはちょっと低くなったスペースがあり、露天風呂から流れ出るお湯を集めて打たせ湯にしていました。画像に写っているお爺さんは「お前もやってみろ」と声をかけてきましたので、実際にお湯に打たれてみたのですが、画像をご覧になってもおわかりのように、水流が太くて勢いが強く、体にかかる衝撃も結構パワフルです。お爺さんのように中腰で肩に当てる方もいれば、その場でうつ伏せになって腰に当てる方もおり、皆さん思い思いに打たせ湯を楽しんでいらっしゃいました。



深い浴槽ですので、私は立泳ぎをしながら記念撮影を試みました。日本から遠く離れたトルコの温泉で、にわか仕込みの小堀流踏水術を実践する私。中近東で日本の古式泳法を実践するとは思っても見ませんでした。深いとはいえ、槽内の一部にはステップもありますから、そこに腰掛ければのんびり湯浴みできます。41℃という私のストライクゾーンど真ん中の湯加減だったので、肩まで浸かって存分にお湯を堪能し、体が火照り始めたらプールサイドでトドになって、上空から下りてくるそよ風でクールダウンさせると、なお一層の充足感を味わえました。

湯量が豊富で、上述の打たせ湯の他、プールサイドの穴からどんどん排湯されているのですが、泉質由来なのか、あるいは湯鈍りが発生しているのか、お湯はごく僅かに黄色を帯びながら弱く濁っているように見えます。ほぼ無味無臭で、湯中では若干引っかかる浴感が得られました。湯上がりはホカホカと温浴効果が長続きするのですが、それでいて粗熱の抜けも良いためにサッパリ感も共存し、嫌味な熱の篭りや発汗はありませんでした。

私は男女の時間割を知らずに訪れてしまったため、現地で30分近く待たされたのですが、時間割をご存知の地元の方々は男湯のスタート時間の数分前に次々と車でやってきて、平日の昼間だと言うのに、露天風呂は10人以上の湯浴み客で賑わいました。皆さん温泉が好きなんですね。



GPS座標:40.029864, 27.562070


浴室がひとつしかないため、男女は以下の時間割によって交互に使用
 男湯:6:00~8:00、10:30~12:00、14:30~16:00、18:30~20:00、
 女湯:8:30~10:00、12:30~14:00、16:30~18:00、20:30~22:00、
8リラ
貴重品用ロッカーあり、他備品類なし(売店にて入浴グッズの販売あり)

私の好み:★★+0.5
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