温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

板柳温泉公衆浴場

2012年09月29日 | 青森県
※残念ながら休業中です(2019年)。

 
板柳駅至近にある「板柳温泉」につきまして、拙ブログでは風前の灯という言葉がピッタリな「旅館部」を以前に取り上げておりますが、営業しているんだか否か分からないほど草臥れている「旅館部」とは違って、今回取り上げる公衆浴場部は入口に電飾ゲートが立っており、誰の目にも営業していることは明らかな状況でしたので、安心して利用することができました。こちらの湯屋ですが、公衆浴場にしては風格のある建物だと思ったら、弘前にあった女学校の校舎を移築したものなんだそうです。



館内の佇まいは昭和の銭湯そのもの。下足箱は銭湯の代名詞たる松竹錠です。男女両浴室の間に挟まっている番台で料金を支払います。


 
脱衣室もいかにも銭湯らしい風情で、室内にはもちろん棚もあるのですが、大きくて丸い籠もたくさん積み重ねられており、多くの利用客はこの籠を利用して床に置いていました。私が利用した夕暮れ時はちょうど混雑のピークを迎えており、脱衣室の床はこの大きな籠で埋め尽くされているといっても過言ではないような状態でした。


 
室内に壁にはオーナーさんの筆と思われる川柳がたくさん展示されており、「足痛い腰痛いのも歳のせい」「ある病気みんな出てくる歳になり」など年老いてゆく身の上を嘆く哀愁に満ちたものもあれば、「ピチピチの磯のあわびを食べたいな」「若い時三度がさ今折たたみ」などオッサン臭いド下ネタな句もたくさんあったりして、面白いのでついつい全部を読んでしまいました。


 
ライムグリーンのタイルで統一された浴室。お風呂は内湯のみで2分割された浴槽が据えられています。
洗い場には固定式シャワーと古典的な押しバネ式カランのセットが壁に沿って10組、中央の島に押しバネ式カランのみが8基、そして室内の隅に立って使うシャワーが1基、それぞれ設置されていました。水栓から出てくるお湯は源泉ですが、水を出しても真水ではなく薄くぬるい源泉が出てきました。


 
大きな浴槽(左側)は8~10人サイズ、小さな浴槽(右側)は6~7人サイズといったところでしょうか。大小両浴槽とも底にあいた穴から源泉が供給されていますが、湯加減や湯使いなど、両浴槽のお湯にはあまり違いは無いようです。いずれの槽からも洗い場へお湯がオーバーフローしています。
見た目はほとんど無色透明で(微かに褐色を帯びているかも)、湯中ではこげ茶色の細長い浮遊物(湯の華)がちらほら待っています。お湯を鼻に近づけると津軽平野の温泉によくある化石海水的な有機臭と油臭が嗅ぎ取れ、口に含むと非常にしょっぱく、その中に薄い出汁味を伴っているようでした。入浴中は食塩泉的なツルスベ感が得られますが、濃いめの食塩泉ですから湯上りの火照りは強烈で発汗も止まらず、湯上り後しばらくは塩をかけられた菜っ葉のようにグッタリしてしまいました。ということは地吹雪が厳しい冬の厳冬期にはなかなか湯冷めしない熱の湯として重宝することでしょう。
駅から至近で掛け流しのお湯を堪能できる、いかにも青森県らしい鄙びた温泉銭湯です。


板柳温泉3号泉
ナトリウム-塩化物温泉 54.5℃ pH8.0 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質9.210g/kg 成分総計9.222g/kg
Na+:3181mg(93.57mval%), K+:257.3mg(4.45mval%),
Cl-:4968mg(94.13mcal%), HCO3-:397.8mg(4.38mval%),
H2SiO3:181.5mg, HBO2:65.7mg,

JR五能線・板柳駅より徒歩1分
青森県北津軽郡板柳町福野田実田47-13  地図
0172-73-2152

※残念ながら休業中です(2019年)。
7:00~21:00 無休
350円
貴重品用ロッカーあり、ドライヤー有料、各種入浴道具販売あり

私の好み:★★
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鰺ヶ沢 熊の湯温泉(そして、くろくまの滝)

2012年09月28日 | 青森県
 
私の津軽地方における拠点は鰺ヶ沢なのですが、灯台下暗しと言うべきか、当地へ通って16年になりますが、県内他市町村の観光地には訪問しているものの、鰺ヶ沢町内の所謂観光地と称されるようなところにはほとんど足を踏み入れたことがありません。日本の滝百選に選ばれており鰺ヶ沢の代表的な名勝でもある「くろくまの滝」もそのひとつでして、鰺ヶ沢の中心部からかなり離れていることもあって、いままで訪れたことがなかったのですが、猛暑が続いていた今夏(2012年)の某日、どうしても天然の清涼を求めたくなり、それなら滝飛沫を浴びるのがよろしかろう、という話になって「くろくまの滝」へと向かったのでありました。滝に関しては当記事下部で述べるとしまして、まずは滝観光の帰路に入浴のため立ち寄った「熊の湯温泉」について取り上げてみます。こちらも私が今まで訪れることの無かった温泉でして、今回滝に行かなければその存在すら忘れるところでした。

温泉の敷地と道路が接する辺りには、映画「わさお」のロケ地案内が立てられていました。最近鰺ヶ沢は「わさお」を前面に押し出した町おこしに必死のご様子。いまだにかのワンコの姿を一目見たいと全国から観光客がやってくるようですが、意外にも地元民の反応が冷たいのが気になるところでもあります。


 
宿の前には赤石川が流れており、夏の日差しを受けて清らかな川面がキラキラと輝いていました。この河原にもロケ地案内の看板が立っており、そこには佐野史郎氏の姿が写っておりました。


 
玄関の近くに置かれた水槽ではイワナが泳いでいます。この水は本来とっても清冽なのでしょうが、水槽のガラスが汚れているため、あんまり綺麗には見えませんでした。



建物の裏手にはものすごく獣臭い小屋があり…


 
頑丈な檻の中ではツキノワグマが飼育されていました。たしか3頭いたはずでして、うち1頭は私の姿を確認するや、2足立ちになって鼻をクンクンさせていました。山を縦横無尽に駆けずり回っているのが本来の生態なんでしょうから、こんな狭い檻の中ではさぞかし窮屈なんだろうなぁ。



さて玄関から中に入り、食堂で料金を支払います。客席では宿のご家族と思しき方がテレビを鑑賞中。ほのぼのとした家庭的な雰囲気です。



浴室は食堂とは反対側。靴を脱いで廊下にあがって左手すぐです。


 
廊下にはかぐや姫の伊勢正三・乾久美子・地元のヒーロー舞の海などタレントのサインが飾られているのですが、それらと並んでいる一葉の写真には秋篠宮様が写っていました。こんなところにもいらっしゃっていたんですね。また、浴室入り口付近には湯使いに関する手書きの表示も掲示されていました。



脱衣室は至ってシンプルで、ただ棚と籠があるだけなのですが、棚は柱と梁だけで造られており、梁の間隔が広いため、棚に直接荷物を置くことはできず、どうしても籠が必要な状態でした。



鄙びた感たっぷりの浴室。お風呂は内湯のみです。白い壁と男女両浴室を仕切るガラスブロックが印象的でした。


 
洗い場には蛇口が2基設けられており、栓を開けるとぬるい源泉が出てきました。


 
岩組みの浴槽は大小に2分割されており、大きな方の浴槽は3~4人サイズ、丁度良い湯加減に加温された源泉が張られているのですが、浴槽の上に出っ張っている蛇口からは非加温の源泉が吐出されていました。非加温の蛇口を目一杯開いてみても大して吐出量は増えません。あれ、加温されているお湯はどこから供給されているのかしら。一応放流式の湯使いのようでして少量ながらオーバーフローが見られるので、おそらく浴槽内にも加温源泉用の湯口があるのかもしれませんね(お湯が濁っていたのでよくわかりませんでした)。一方、小さな浴槽は2人サイズで、大きな浴槽からお湯を受けているらしく湯温はぬるめでした。

お湯は鈍い黄金色(やや深緑色が混ざった橙色あるいは黄土色)に強く濁り、透明度はほとんどありません。重い感じの石灰味に微塩味と金気味、そして金気臭と土気臭が感じられました。ギシギシ引っかかる浴感です。また館内表示には塩素消毒が行われている旨が記されていましたが、たしかにそれらしき臭いも湯面から漂っているようでした。


 
浴槽の岩には石灰の析出が固まって庇のようにせり出ていました。また床もやはりコテコテな析出によって千枚田状態となっており、橙色と黒色のまだら模様に染まっていました。お湯の感触を楽しむことも大切ですが、こうした析出に目を奪われちゃうのが温泉マニアの悲しい性。この施設に関しては、お湯よりも析出の方が強く印象に残りました。


ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物・炭酸水素塩泉 35.8℃ pH6.8 31.0L/min 溶存物質2.77g/kg 成分総計2.858g/kg 
Na+:436.9mg(51.53mval%), Ca++:284.2mg(38.45mval%),
Cl-:443.2mg(34.00mval%), SO4--:631.4mg(35.78mval%), HCO3-:664.9mg(29.65mval%)
H2SiO3:199.7mg, 遊離CO2:88.1mg,

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字一ッ森町字湯湧淵31  地図
0173-79-2518

入浴可能時間不明
350円
石鹸あり、他備品類なし

私の好み:★★


--------------------------

●くろくまの滝
 
日本の滝百選の選ばれている「くろくまの滝」。
駐車場にはトイレもあるんですね。停まっている車は他県ナンバーばかり(私もそうですが)。夏真っ盛りだったこの日は駐車した途端にアブの襲来に見舞われ、ドアを開けたと同時に車内に数匹が入り込んできてしまい、30代半ばのオッサンたる私はひとりでギャーギャー情けない声をあげながら、奴らを必死に追っ払ったのでした。



駐車場から滝まで600メートルのお手軽ウォーキングです。



美しいブナの森の中をのんびり歩きます。急な坂があるわけでもなし、険しい箇所があるわけでもありません。小さな子供がいる家族でも楽しめる爽快な森歩きです。



梢の向こうに白く落ちる瀑布が目に入ってきましたよ。



滝壺の傍まで近づいてみました。
なかなか立派じゃありませんか。そして天然のミストシャワーを浴びることができ、とっても清涼です。あぁ気持ち良い!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つがる地球村温泉「藤山邸」

2012年09月27日 | 青森県

10数年ぶりに、旧森田村のリゾート施設「つがる地球村」内にある「つがる地球村温泉」を利用しました。隣接する「森のレストラン ライアン」でしたら何度かお世話になっている一方、特段避けていたわけではないのですが何故かこの浴場を利用する機会には恵まれず、気付けば前回利用から干支が一回りしていました。長い年月が私の脳味噌を劣化させており、前回利用した時の記憶はほとんど失われており、実質的には初めて訪問するのと同じような感覚で入口の戸をくぐりました。入口はレストラン「ライアン」左隣の少々奥まった場所にあり、中へ入るとすぐ左に浴場専用の小さなカウンターがありました。今回は青森県の地域情報誌『フィーラー』の別冊『家族割 おでかけ天国 日帰りの湯っこ』に付録されているクーポンを利用し、通常(500円)の半額で入浴させていただきました。


 
受付すぐ前が浴場入口です。各入口がこんなに接近していたっけ? 過去のおぼろげな記憶を懸命に辿ってみると、もう少し広いカウンターやロビーが脳裏に浮かんできたのですが、もしかしたら今回は裏口みたいなところから入っちゃったのかな。
さすがに入浴料が近隣相場より高く設定されているだけあって、脱衣室はよく手入れされており、無料で使えるドライヤーが2台用意されていたり綿棒が使えたりと、備品やアメニティー類が一通り揃っていて使い勝手良好です。


 
浴室内には大きな長方形の主浴槽、その左隣に水風呂、サウナが設けられています。浴槽に面してガラス窓がいくつも並んでおり、明るく開放的です。意外にも源泉投入量が多く、浴槽の縁からはお湯が絶え間なく床へオーバーフローしているほか、ガラス窓下の排湯溝にも流下していました。


 
主浴槽のお湯はジャスミン茶のような色を帯びており、薄塩味+重曹味+非鉄系金気味、そして非鉄系金気臭+磯の香り+僅かなアンモニア臭+微かなカーボン的アブラ臭がそれぞれ感じられました。重曹のパワーがいかんなく発揮されている爽快なお湯であり、思わず肌をさすりたくなる衝動に駆られるツルスベ浴感が存分に得られるのですが、それ以上に特筆すべきは肌への泡付きでして、30秒もお湯の中に体を沈めていれば全身が気泡に覆われました。館内表示によれば季節のより加温しているとのことですが、今回は夏の真っ盛りに訪問しましたので、けだし加温無しの純然たる掛け流し状態だったかと思われます。


 
水風呂には井水が使われているようですが、この水は単なる地下水ではなくどうやら冷鉱泉のようでして、薄い黄色の笹濁りで、塩気は無いものの金気を含んでいるように感じられました。隣り合う温泉槽と比較すると、色の違いが明白です。温泉槽で火照った体をこの水風呂でクールダウンさせると非常に気持ち良く、温冷の両浴槽を何度も行き来してしまいました。


 
洗い場にはシャワー付き混合水栓が14基設置されており、各ブースがセパレートされているため、隣客との干渉を気にせずに使えました。しかも主浴槽側ともきちんと仕切られているため、シャワーのお湯や泡が入浴エリアへ飛んでくるようなことがなく、快適な入浴環境が確保されていました。



浴室から2枚のガラス戸を開けると露天風呂。完全に建物に内包されており、すっかり屋根に覆われているため、半露天と称したほうが良いかもしれません。浴槽は3人サイズで、内部はタイル貼りですが、縁には木材が使われています。浴槽からはしっかりお湯が溢れ出ており、湯面には白い気泡が浮いていました。

お湯の質は良好ですし、施設は綺麗で使い勝手良好。万人受けしそうな温泉施設と言えそうですね。付近の「森田温泉」ほどではありませんが、しっかりとした泡付きと重曹的爽快感が楽しめる素晴らしいお湯に感動してしまいました。こんな良いお湯だったならば、もっと早く足繁く通っていればよかったと後悔しきりです。夏には重曹による爽快感が味わえるでしょうが、冬には食塩泉的なあたたまりも期待できるかと思います。なお、施設内のコテージには源泉が引かれている露天風呂もあるんだそうです。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 44.0℃ pH不明 成分総計不明
Na+:403.3mg,
Cl-:247.7mg, HCO3-:726.3mg,
遊離CO2:24.0mg,
入浴に適した温度にするため加温

青森県つがる市森田町床舞藤山244  地図
0173-26-2855
ホームページ

6:00~22:00
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稲垣豊稔温泉 つがる市健康増進施設 稲穂の湯

2012年09月26日 | 青森県
 
だだっ広い水田が広がる旧稲垣村域の津軽平野。付近には「こめ米(マイ)ロード」というふざけた名前の広域農道が南北に延びています。岩木川付近の田圃の畦道を車で流していると、青々とした稲の海の向こうに、切り妻のおでこに温泉マークを掲げた平屋の施設が目に入ってきました。


 
その施設の名前は「つがる市健康増進施設 稲穂の湯」。言わずもがな温泉入浴施設なわけです。ロケーションを素直に表現しているネーミングですね。黒い屋根にベージュ系の外壁というシックな装いのこの建物はかなり新しいように見えますが、それもそのはず、開業は2010年12月24日であり、オープンしてからまだ1年半くらいしか経っていないのです。


 
バス停が目の前の好立地、と言いたいところですが、一日5往復しか運転されないので、あんまり使いものになりませんね。駐車場がとっても広いので、こちらには車で訪れましょう。駐車場の隅っこには源泉施設と思しき貯湯タンクが設置されていました。


 
受付前の券売機で支払い、明るく元気なおばちゃんに券を手渡します。玄関前には休憩スペースが設けられており、その一角はお座敷となっていました。おそらくこの施設を利用する地域の爺さん婆さんにとっては、チェアーとテーブルの組み合わせより、畳・座布団・ちゃぶ台の方がはるかに落ち着くものと思われますから、地方の温浴施設にとってお座敷は必須と言えるでしょう。


 
脱衣室は明るく清潔感に満ちており、とても綺麗で使い勝手良好です。棚におさめられているカゴの他、ロッカーもあるので、貴重品管理が気になる外来者でも安心して利用できますね。県内の公衆浴場施設にしては珍しくドライヤーが無料で使えるのが嬉しいところ。冷房こそありませんが、天井でシーリングファンがまわっているので、湯上がりのクールダウンもさほど問題ありません。



洗面台の近くには、温度計が取り付けられた配管の下に接続されている、湯たんぽのカバーが被せられたこのような物体があったのですが、これって何でしょう?


 
浴室もなかなか広くて綺麗です。窓から上の側壁は木材、下はベージュ系のタイル、そしてカランまわりは黒系の色調でまとめられており、シックで落ち着きのあるデザインと言えそうです。また、浴槽は20人は余裕で同時に入れそうなほど大きなものがひとつ据えられているのですが、この槽が総ヒバ造という非常に立派なものであるため、浴室内には上品さや風格すら漂っているようでした。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が2箇所に分かれて計12基設置されています。水栓から出てくるお湯は真湯です。



浴室入口脇には真湯の掛け湯枡あり。


 
ヒバ材で組まれた湯口から源泉がドボドボと投入されています。泉質の関係でヒバのお風呂はとっても滑りやすく、私も2回程バランスを崩してしまいましたが、一応槽内のステップなどには滑り止めのイボイボが付いていました。
お湯は薄い黄色でややぼんやりと霞んでいるように見えます。薄い塩味と微かな臭素臭、そして塩素臭が感じられます。塩素消毒は残念ですが、気になるほど強い臭いではありませんでしたし、法令面を厳守せねばならない公営(市営)の施設ですからやむを得ないでしょう。なお湯中では食塩泉らしい弱めのツルスベ感が得られました。温度調整のため加水されているそうですが、それでもやや熱めの湯加減でした。



湯口とは対角線上にある切り欠けからしっかり溢れ出し、温泉成分の影響なのか、床は溢れ出しのお湯によって赤茶色に染まっています。また浴槽の縁の全辺からもオーバーフローしていますが、こちらについては縁の下にあるグレーチングに流れ落ちてゆくため、洗い場に流れてゆくことは無く、従って洗い場の床が変色するようなこともありません。
加水のためか、この界隈の温泉にしてはちょっと薄いような気もしますが、湯使いはしっかり放流式であり、またヒバの浴槽の感触の良さやお風呂の綺麗さは素晴らしく、全体としてとっても良い印象を受けました。



この「稲穂の湯」は、隣接している「西部クリーンセンター(ゴミ焼却施設)」の稼動を延長させるため、地元の要望に応える形で(というか実際には地元に対する慰撫を目的として)事業化されたもののようです。詳しくは平成20年1月付・つがる市長「年頭あいさつ」をご覧ください。同じような理由・目的で建設された温泉入浴施設といえば、新潟県南魚沼市の「島新田温泉 金城の里」が挙げられますが、両者とも施設の造りや雰囲気がとっても似ているような気がしました。事業化する理由が同じだと、たとえ場所は違えどもその結果として生まれてくる施設は似通ってしまうのかしら。


ナトリウム-塩化物温泉 44.0℃ pH8.3 湧出量測定不可(掘削動力揚湯) 溶存物質1.555g/kg 成分総計1.555g/kg 
Na+:543.3mg(97.20mval%),
Cl-:574.2mg(68.64mval%), SO4--:153.2mg(13.52mval%), HCO3-:214.9mg(14.92mval%),
H2SiO3:26.5mg,
衛生管理のため塩素消毒実施
温泉温度を適温にするため加水

五所川原駅から弘南バス・下繁田行(稲垣方面行)バスで下穂積下車すぐ
青森県つがる市稲垣町繁田白籏56  地図
0173-46-2020
つがる市HP内紹介ページ

8:00~21:00、第4月曜および1月1日定休
320円
ロッカー・ドライヤーあり(いずれも無料)、基本的な入浴道具販売有

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五所川原市 天然温泉エルムの湯

2012年09月25日 | 青森県

いまや五所川原のみならず津軽一円を商圏としている大型ショッピングセンター「エルムの街」の一角に、「エルムの湯」という温泉を使用したスーパー銭湯が存在していることは、私は開業以前から知っておりましたが、現代風の綺麗なスーパー銭湯は津軽の温泉らしくないという私の勝手な思い込みが訪問を阻止していたのみならず、加水循環消毒という湯使いであるという情報も従前から耳にしていたので、何度も目の前を通過していながらいままで利用してきませんでしたが、無料入浴券をもらったので、ものは試し、行ってみることにしたのです。上の画像は昼間に撮影したものですが、実際には閉館1時間前(夜11時頃)に利用しました。


 
フロントまわりはいかにもスパ銭らしい雰囲気ですね。この画像は館内に「ホタルの光」が流れているタイミングで獲ったため、客はおろか係員も写っていません。なお館内には廉価な簡易宿泊施設があるらしく、寝台で夜を越せるんだそうです。私は当地では「パークイン五所川原エルムシティ」を定宿にしているのですが、今度は宿代を浮かせるべく、こちらで一泊してみようかしら。



浴室入口付近にはドクターフィッシュが(もちろん有料)。これもスパ銭ではすっかりおなじみになりましたね。



100円リターン式のロッカーが並ぶ脱衣室。さすがに綺麗で使い勝手良好です。小上がりにはマッサージチェアーが2台置かれていました。


 
この施設で感心したことのひとつに、温泉の浮遊物に関する分析調査を掲示していることが挙げられます。大抵はお手製の簡単な説明(たとえば「温泉中の浮遊物は湯の華ですのでご安心を」みたいなもの)で済ませてしまいますが、こちらでは関係機関に調査を依頼した報告書をそのまま掲示しており、ウソ偽りなくお湯について説明しようとしている施設側の誠意が伝わってくるようでした。



浴室も典型的なスーパー銭湯そのものであり、奥行きが長く天井は高く、広々としていて開放感があります。そして室内にはたくさんの洗い場と多様な温浴槽が設けられています。


 
洗い場にはスパウトとシャワーのペアが計32組、いくつかの島に分かれて設置されています。水栓からは黒っぽい褐色のお湯が吐出され、そのお湯を口にしてみるとマイルドな塩味が感じられました。なお洗い場にはボディーソープやシャンプーが備え付けられているのですが、2~3ブースに1セットしかないため、数が足りていないように思われます。従いまして石鹸類は持参したほうは良いでしょうね。



温浴槽は手前から、座湯・電気湯・ジャグジー…


 
そして白湯の低温・中温・高温、という順に並んでいます。白湯というからには真湯なのかと思いきや、実際に投入されているのは無色透明の食塩泉とモール泉のような褐色の冷鉱泉をブレンドさせたものでして、食塩泉の温度が高いため、冷鉱泉を混ぜて温度調整しているんだそうです。このため3つある白湯浴槽は冷鉱泉の混合割合によってお湯の色が異なり、当然ながら温度の高い浴槽ほど色が薄く、高温槽では底がはっきり見えるものの、中温槽や低温槽では底がぼやけて見えるほどの着色と濁りを帯びていました。また源泉は成分総計8.468g/kgという数値を有する純食塩泉であるため、高温槽のお湯はかなりしょっぱいものでしたが、中温槽や低温槽ではかなり塩味がマイルドになっていました。
分析表に付記された表示によれば、循環ろ過装置使用・衛生基準を満たすため塩素系薬剤を使用、とのことですが、塩素臭はあまり気にならず、また浴槽縁の切り欠けからの溢れ出しもありましたから、循環装置併用の半掛け流しといった湯使いなのではないかと推測されます。



上述した温泉と冷鉱泉のブレンドについては、ちゃんと浴槽の上でも説明が掲示されていました。


 
こちらは露天風呂。節電中なのか照明はほとんど点けられておらず、結果的に画像もかなり暗くなってしまいました。頭上は屋根に覆われ、周囲は高い塀に囲まれ、外の景色はちっとも楽しめませんが、まぁ周囲には店舗などが建ち並んでいる立地ゆえに致し方ないでしょう。
こちらにも内湯の白湯浴槽と同様に源泉と冷鉱泉がブレンドされたものが投入されているようですが、暗かったので見た目に関してはよくわかりませんでした。しかしながらお湯の塩分濃度は白湯高温槽とほぼ同等であるように思われます。また外気に冷やされているためか、温度に関しては白湯中温槽と同じくらいにまで下がっていました。お湯は浴槽奥にある岩の湯口から落とされ、手前側の切り欠けから溢れ出ていますが、投入量と排湯量が釣り合っていないように見受けられ、おそらく槽内でも吸引が行われているのではないかと思います。


 
私が「エルムの湯」で感激したのは、実は温泉ではなくこの水風呂です。サウナ室前に据えられているのですが、この水風呂に用いられている冷鉱泉が秀逸なのです。上述のように温泉の温度調整のために混ぜられている冷鉱泉なのですが、まるで濃い烏龍茶のような深い琥珀色をした鉱泉からはモール系の匂いがふんわり漂い、ツルスベ浴感もはっきり得られて非常に爽快でした。今回は温浴槽より水風呂に入っている時間の方が長かったかもしれません。今年の夏のような猛暑にはピッタリ。なお塩素系薬剤の臭いがしたので、薬剤による消毒が行われているのかもしれません。



水風呂以上に気に入ったのがサウナ前の掛け水です。水風呂と同じ冷鉱泉のはずなのですが、こちらの方が知覚面がはるかにはっきりとしており、かなり強い金気の味と匂い、モール系の匂い、そして重曹系の清涼苦味が感じられました。また鉱泉が溜められている甕のまわりは真っ黒く染まっており、いかにこの鉱泉が濃いかがビジュアル面でも確認できました。そういえば近所の「音次郎温泉」にも同様の水風呂がありますね。この界隈では、塩辛くて熱い食塩泉と、モール系の冷鉱泉が、同じ場所で(ボーリングの深さを変えるだけで)同時に利用できるのですから、なんとも素晴らしい地下構造です。一方、水風呂の方もオーバーフローしているものの、その流路はほとんど着色されていません。甕は冷鉱泉100%であるけど、水風呂の方は水道水か何かで薄められているのかしら。真実の程はよくわかりませんが、とにかくこの甕の鉱泉は本当に爽快でした。温泉に来ておきながら水風呂に惚れるとは本末転倒な感は否めませんが、好きになっちゃったものは仕方が無い、恋は盲目なのであります。


エルム源泉
ナトリウム-塩化物泉 59.0℃ pH不明 溶存物質8.468g/kg 成分総計8.468g/kg 
Na+:3082mg(95.78mval%),
Cl-:4737mg(95.49mval%),
H2SiO3:65.6mg, HBO2:66.6mg,
温度調整のために加水(お湯の汲替え時や温度が熱くなった時のみ)、
循環ろ過装置使用
衛生基準を満たすため塩素系薬剤を使用

青森県五所川原市大字唐笠柳字藤巻509-17
0173-34-1126
ホームページ

6:00~24:00(受付23:30まで) 無休
400円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする