温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

古川温泉 ルートイン古川駅前

2019年12月18日 | 宮城県
ビジネスホテルを選ぶ際に決め手となる要素は人それぞれ好みに依るかと思いますが、このブログをご覧になるような方でしたら「やっぱり温泉大浴場がないとね」と仰る方が多いのではないかと推察いたします。
温泉浴場を擁するチェーン系のホテルといえばドーミーインが有名ですね。私も全国各地でお世話になっており、チェーンならではの安定したサービスゆえに、どこを旅しても安心して利用できます。また徹底的なコストカットで廉価な料金を実現しているスーパーホテルも温泉浴場を付帯するところが多いかと思います。

全国展開しているビジネスホテルチェーンのひとつにルートインがありますね。ルートインといえば全国に300近いホテルを運営しており、その多くに大浴場が併設されていますが、ほとんどは人工温泉の大浴場であるため、残念ながら私のような天然温泉マニアは触手が伸びにくい・・・。でも300のうち25施設では天然温泉が引かれており、当ブログの記事にはしていないものの、私もいままで知床・帯広・諏訪・氷見などでルートインの温泉浴場を利用させていただいております。
さて今回はそんな温泉浴場を擁するルートインの中でも、掛け流しの温泉がある宮城県北部「ルートイン古川駅前」で宿泊することにしました。



みちのくの湯処として有名な鳴子温泉。その玄関口である東北新幹線古川駅前に立地するビジネスホテルです。外観はごく普通であり、全国各地にあるルートインと変わりありません。駐車場ではハイエースやバネット、ボンゴなどの商用車が目立ちます。



看板にも特に温泉を示すような文字はありません。
チェックインを済ませてお部屋へ。客室も至って普通で何の問題もなく、快適に過ごせます。
さて、部屋に備え付けてある浴衣に着替え、部屋のタオルを持って、フロントがある1階へ下ります。



フロントの横に構えているのが温泉大浴場の入口です。右が男で左が女。



いかにもビジネスホテルらしく、浴室入口の手前にはコインランドリーや自販機、アイスベンダー等が設置されていました。ドア横にある読み取り装置にルームキーを差し込むことにより、浴室のドアが開錠されます。
脱衣室もこれまたビジホらしく、至って実用本位な造りなのですが、さほど大きくない為、4人以上同時に利用すると窮屈かもしれません。室内には貴重品用(ルームキー用)ロッカーが用意されています。洗面台2つ、ドライヤーなども備え付けられています。



浴室も典型的なビジネスホテルのお風呂であり、温泉風情はあまり感じられず、旅や仕事で疲れた体の汗や垢を流すという、極めて実用的な目的のために造られたと言わんばかりの佇まいです。でもこのような雰囲気のお風呂を持つ温泉旅館も多いので、ルートインと言わずにこの浴室の画像を見れば、中小規模の温泉旅館と勘違いするかもしれませんね。
浴槽の上には大きな窓が設けられているのですが、目隠しの塀がすぐ目の前に立ちはだかっているため、景色を眺めることはできません(駅前の1階なので当たり前ですね)。窓の外に植えられた緑が、無機質な見た目にやさしいアクセントを加えています。

コンパクトな脱衣室から想像がつくように、お風呂自体もさほど大きくなくこぢんまりしています。尤も、こちらのお風呂は宿泊者以外利用しませんから、あまり大きさは必要ないのかもしれません。男湯浴室の洗い場にはシャワー付きカランが2+3=5基設置されているのですが、女湯は狭くて3基しかないらしく、男女で差をつけてしまうところは少々前時代的と言えるかもしれません(もっとも客層に即しているのでしょうけど)。



浴槽は小文字のbやqを手前に倒したような形状をしており、表面には石板やタイルが貼られていますが、温泉成分の付着により全体的に茶色っぽく染まっています。目測ですが容量はおおよそ6人といったところ。左奥の湯口からしっかりした量の源泉が吐出され、右側の溝へ全量オーバーフローしています。槽内吸引などは行われていません。



夜中に入った時、温度計は45℃を指していました。実際にはここまで高くなかったかと思いますが、それでも一般的なお風呂に比べれば熱い湯加減です。コスト重視のビジネスホテルがわざわざ燃料代を無駄にして湯加減を高温にするはずありませんから、これは高い温度で湧出した源泉のお湯をそのまま供給していると解釈すべきでしょう。
なお翌朝には湯船に水道のホースが突っ込まれ、適温に調整されていました。お客さんから「熱い!」と文句があったのかもしれませんね。



湯口からは絶え間なくお湯が注がれていました。浴槽の容量に対して投入量が多いので、お湯のコンディションは良好。それゆえ湯加減も熱かったのかもしれません。私が利用したのは夜中だったため良くわかりませんが、お湯ほぼ透明ながら若干琥珀色を帯びているように見えました。

湯口のお湯を口に含んでみますと、弱い塩味と金気味、そしてほのかな金気の匂いが感じられました。塩素消毒しているので若干のカルキ臭も確認できましたが、ビジネスホテルの客が相手なので消毒は致し方ないでしょうし、その臭いもさほど気になりません。また消毒以外の加温加水循環ろ過は行われていません。れっきとした放流式(いわゆる掛け流し)の湯使いです。湯中では食塩泉らしいツルスベの滑らかな浴感がちゃんと得られますし、溶存物質量が多い食塩泉なので、体の芯までしっかり温まります。
たまたまこちらへ訪問した時期の私は不眠気味だったのですが、こちらのお風呂に肩まで浸かり、よく温まってからベッドに入ったところ、翌朝までしっかり熟睡することができました。これこそ天然温泉パワーですね。

湯どころ鳴子の玄関口に相応しい良質な温泉を有する利用価値の高いホテルでした。


古川温泉旅人の湯
ナトリウム-塩化物温泉 46.2℃ pH7.8 溶存物質1943.4mg/kg 蒸発残留物1863mg/kg
Na;:646.3mg(93.11mval%), Ca++:28.6mg,
Cl-:912.5mg(85.69mval%), Br-:2.6mg, SO4--:71.3mg, HCO3-:167.0mg(9.12mval%),
H2SiO3:74.6mg, HBO2:17.8mg,
(平成30年4月11日)
加水・加温・循環なし
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤使用)

宮城県大崎市古川駅前大通1-4-18
0229-22-0095
ホームページ

宿泊客のみ入浴可。夜は深夜2:00まで。朝は5:00から。

私の好み:★★+0.5
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野田花井温泉 のだ温泉ほのか

2019年12月11日 | 東京都・埼玉県・千葉県
前回記事の埼玉県春日部市から東武野田線に乗って千葉県北部の野田市へとやってまいりました。そう、東武野田線です。東武さんが懸命にイメージアップを図ろうとも、依怙地な私はアーバンパークラインだなんて頓珍漢なカタカナ名称で呼んであげません。野田線は野田線です。ま、そんな戯言はさておき、大宮から岩槻・春日部・野田・柏、そして船橋といった郊外都市を結ぶこの野田線沿線には、意外にも温泉を使用したスーパー銭湯が多いのです。それもそのはず、前回記事で述べたように、県こそ違えど沿線全域が古東京湾だったエリアに該当しますので、この沿線でボーリングをすれば。質の良し悪しはともかく高確率で化石海水型の温泉が湧き上がってくるのです。ということは、この路線にほぼ並行している国道16号沿道も温泉が多いエリアと言うことができ、16号線で考えれば沿道の多摩丘陵エリア(町田・相模原等)にも温泉のスーパー銭湯が点在していますから、東京の都心から半径30~40kmのエリアは知る人ぞ知る温泉郷と呼べるのかもしれません。


東武野田線の各駅停車に乗り、野田市の梅郷駅で下車しました。カタカナの路線愛称は好き嫌いが分かれるところかと思いますが、急行運転を開始したり複線化を進めたり新型車両を導入したりと、東武鉄道が近年野田線に対して実施している各種改善策には目を見張るものがあり、個人的見解としては大変立派だと感心しております。
2016年に運転を開始した野田線の急行はこの梅郷駅にも停車しますので、私はこの恩恵を受ける形で新型60000系の急行電車に乗り込み、梅郷駅で下車したのでした(と言っても春日部から梅郷まで急行も各駅に停まるのですが…)。

駅から目的地までは路線バスに乗り換えます。
駅の西口ロータリーに設けられたバス停の屋根には・・・



緑の莢に入った豆が載せられ、その莢には「まめバス」と書かれていました。
目的地までは野田市のコミュニティーバス「まめバス」に乗るのです。てっきり野田名産の醤油の原料に由来した名前なのかと思いきや、豆のような小型車体であることや市民のマメな利用を願っていること、そして枝豆の出荷量全国一であることが、その名称の由来なんだとか。



なるほど、本当に豆みたいな小さい車体なんですね。このかわいらしいバスに揺られること約6分。花井というバス停で下車しました。



バス停前の通りに面して大きな看板が立っていました。施設名称の下に「源泉かけ流し」の文字が躍っています。



バス停から1分も歩かないで、今回の目的地である「のだ温泉ほのか」の正面玄関に到着しました。

「ほのか」は札幌やその近郊を地盤とする北海道のスーパー銭湯チェーンですが、数年前に千葉県蘇我へ進出し、2016年12月にはこの野田で本州第2号店をオープンさせています。オープンと言っても新規開店ではなく、この施設はかつて東武系の「グランローザ潮の湯」という温浴施設でしたが、一旦閉館した後、「ほのか」の運営会社に経営権が移って、「のだ温泉ほのか」として2016年にリニューアルオープンしました。
東武はここでの温浴施設運営から手を引きましたが、同じ敷地内にあるビジネスホテルは引き続き東武の系列会社が運営しています。



玄関から中に入り、受付にて下足箱のキーを預け、それと引き換えに館内精算用チップ付きのロッカーキーを受け取ります。

館内の内装はバリ島のリゾートをイメージしているような感じです。館内図によれば、円筒形の建物の中央に岩盤浴ゾーンがあり、その2階にレストランが設けられています。そして円筒の外周部に温泉浴場が配置されています。

料金はお風呂の入浴料と岩盤浴の利用料(タオルと岩盤浴着付)がセットになっていますので、両方とも利用するとしまして、まずはお風呂から入ってみましょう(お風呂だけの料金設定ってあるのでしょうか?)。
なお、ここから先の画像はありません。公式ホームページの画像をお借りしようかとも考えたのですが、使いたい画像はどれも入浴中のモデルさんが写り込んでいるため、今回はお借りすることもせず、文章だけで説明してまいります。あしからずご了承ください。お風呂の様子をご覧になりたい場合は、お手数ですが公式ホームページをご覧ください。


脱衣室はとても広くて明るく、清潔感に満ち溢れています。広い空間を活かし、ロッカーもたくさん用意されており、週末でも混雑を感じさせません。また洗面台やパウダーゾーンにもゆとりがあるため、全体的にストレスフリーです。温泉入浴する場合は当然脱衣するわけですが、岩盤浴利用時もここで岩盤浴着に着替えます。

大きな円筒形をした建物の円周部に浴室が配置されているわけですから、その浴室は当然ながら扇形のような形状になっています。浴室に入ってすぐ目の前には掛け湯があり、一見するとお湯が濁っているようですが、これは槽の構造が原因であると思われ、実際にはごく普通の真湯です。
この掛け湯を過ぎた左手にはサウナ、右手にはあかすり室、そして正面には水風呂が設けられています。こちらの水風呂は大きくて深いため、複数人数がゆったり且つどっぷりとクールダウンできます。話が前後しますが、お風呂の後に利用した岩盤浴で体がかなり熱くなってしまった私は、お風呂に戻って水風呂でしっかり冷却し、全身を走る爽快感に思わず身震いしてしまいました。温浴において水風呂が果たす役割って、とっても重要ですね。

水風呂の裏手と言いますか、浴室の中央から左手奥にかけてには洗い場が配置されています。約20基ほどのシャワー付き混合水栓が取り付けられ、それぞれにボディーソープ・シャンプー・コンディショナーが備え付けられています。各カランの半数近くには袖板が付けられており、また一区画当たりの幅が広い為、隣のお客さんとの干渉を気にせずゆったり使えます。

内湯の浴槽は窓に沿って2種類据え付けられています。その2種類とは真湯の泡風呂と温泉循環ろ過槽。温泉槽はちょっと深めの造りで入り応えあり、私が訪問した真夏の某日、温泉槽の湯温が40℃というちょっとぬるめにセッティングされていました。後述しますがこちらの温泉は温まりがパワフルな「熱の湯」ですから、猛暑の日はお湯を冷ましているのかもしれませんね。なお内湯の壁面上部には、こちらの源泉は湧出時の温度(44.8℃)が千葉県1位、そして湧出量(毎分450L)は千葉県6位であることをデカデカと誇示していました。温度が県下トップで湧出量も県内屈指という優秀な源泉が、山岳地帯やその麓ではなく、真っ平らな江戸川(利根川流域)の氾濫原にあるというのが、温泉が多い他県では見られない千葉県らしい特徴ではないかと思います。

一方、露天は周囲を壁に囲まれていますが、広さは確保されているためまずまずの開放感が得られ、デッキチェアーも数台用意されているので、誰しも風を感じながら気持ち良く湯浴みが楽しめるでしょう。この露天ゾーンには源泉かけ流し岩風呂と真湯の浴槽があります。真湯といっても何らかの入浴剤かそれに準ずるものが日替わり(週替わり?)で溶かしてあるらしく、私が訪問した日は重曹でした。重曹は猛暑に相応しいさっぱりとする浴感をもたらす成分ですから、季節などによって趣向を凝らしているのでしょう。

源泉岩風呂は深さが浅めと一般的という2段階構造になっています。そこに張られたお湯はうっすらと飴色を帯び、かつ同色の細かな湯の華が無数に舞っているため、やや濁っているように見えます。浴槽縁に並べられた岩の表面は、温泉成分の付着により黒く変色しており、温泉成分の濃さがビジュアル的に伝わってきます。
湯船の浅いところに岩組みの湯口があり、体感で45℃近くはあると思しき結構熱いお湯が、やや絞り気味で投入されています。この絞り加減が絶妙なのか、湯船は40℃前後というぬるめの湯加減がキープされており、猛暑でも気持ち良く入浴することができました。真夏はこの程度に調整されているのでしょうし、厳冬期は絞ることなく熱いまま注がれているものと推測されます。そして岩の縁からは、投入量と同程度のお湯がオーバーフローしていました。この露天風呂に関しては一応放流式の湯使いですが、状況に応じて加温や加水が行われており、放流式と同時並行で循環消毒も実施されているようです。なお完全に循環されている内湯の温泉槽も当然しょっぱいのですが、味も色も薄く、湯の花も見られません。お湯のコンディションは露天風呂の方がはるかに良好です。

この施設の旧名称は「潮の湯」ですが、そのストレートなネーミングが言い表しているように、こちらのお湯は典型的な化石海水型の温泉です。露天岩風呂の湯口から出てくるお湯を手に掬って鼻に近づけてみますと、化石海水型の温泉にありがちな刺激臭がプンと鼻を突いてきます。分析表によれば臭素イオン47.5mg、ヨウ素イオン11.6mgと、この温泉は刺激臭を有するハロゲンを大変多く含んでいます。と同時に消毒臭も感じられましたが、これは致し方ないところ。ちょっと舐めてみますと非常に塩辛く、一緒に苦汁味も舌へ伝わってきました。溶存物質22.18g/kgというとんでもなく濃い食塩泉であり、湯中では滑らかなツルスベ浴感が得られ、温浴効果の高い泉質ですからぬるめでも非常に良く温まります。濃い食塩泉ですから冬は湯上がり後も長時間ポカポカが長続きしますが、夏は迂闊に長湯すると体力を奪われ疲れてしまいますから、長湯は避け、湯上がり時にも適宜真湯などで上がり湯を掛けた方が良いかと思います。



こちらは、館内に掲示されていた約20万年前の古東京湾の図。当地がかつては海底にあったことが一目瞭然ですね。20万年前の海水が悠久の年月を経て温められ、2019年のいま、自分の目の前で浴用として供じられているわけです。なんとロマンチックなことでしょう。でも、石油と同じ地下資源ですから、汲み出し続けているとやがて枯渇する運命でもあるわけです。一度きりで使い捨てる掛け流しという湯使いを持て囃す私のような考え方は、将来のリソースを食い荒らす極めて罪深い現世利益追求型ではないのか、と少々反省してしまいます。しょっぱいお湯に浸かりながら、自分の気持まで塩辛くなってしまいました。
そんな屁理屈はさておき、お湯自体はとても良く化石海水らしさを存分に味わえますので、お近くへお出かけの際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。本文では触れませんでしたが、いろんな小部屋がタイプ別に分かれている岩盤浴も面白かったですよ(岩盤浴についてのコメントが全く無くてごめんなさい)。


含よう素・ナトリウム-塩化物強温泉 44.8℃ 溶存物質22.18g/kg 成分総計22.20g/kg
Na+:7526mg(86.99mval%), NH4+:18.1mg, Mg++:207.3mg, Ca++:570.4mg(7.56mval%), Fe++:3.6mg,
Cl-:13320mg(98.69mval%), Br-:47.5mg, I-:11.6mg, HCO3-:248.3mg,
H2SiO3:54.4mg, HBO2:71.7mg, CO2:19.4mg,
(平成29年4月26日)
加水あり(源泉成分が強いため)
加温あり(温度を適温に保つため)
循環ろ過あり(源泉の有効利用のため、衛生管理のため)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を使用)

東武野田線・梅郷駅から野田市「まめバス」に乗って6分で花井下車すぐ。
千葉県野田市花井1丁目1-2
04-7123-4126
ホームページ

9:00~25:00 年中無休
平日1220円、土休日1420円。大小タオル+岩盤浴着+岩盤浴バスタオル付き
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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春日部温泉 湯楽の里

2019年12月06日 | 東京都・埼玉県・千葉県
地球が今より暖かかった太古の昔、東京湾は現在よりもはるかに大きく、現在の栃木県付近まで海岸線が入り込んでいました。その後、海は徐々に現在の位置まで退いていきましたが、当時の海水は地中深くに染み込んで溜まり、じっくり温められ、化石海水型の温泉として現在まで関東平野の地中で存在し続けています。
埼玉県の平野部ではこの化石海水を各地で汲み上げて浴用に活用されており、温泉ファンも太鼓判を捺すような名湯も多いのですが、今回はそんな化石海水型温泉の典型例である「春日部温泉 湯楽の里」へ行ってまいりました。私個人としては3回目の訪問ですが、拙ブログでは初登場です。

「湯楽の里」は関東の温泉ファンなら誰しもが知っているであろう有名なスーパー銭湯チェーンであり、その半数で天然温泉に入ることができます。しかも、さらにその一部ではスーパー銭湯でありながら掛け流しの湯使いを実践しており、首都圏にいながら良質な温泉を楽しめちゃうのです。
今回私は電車とバスを乗り継いで現地へ向かうことにしました。



まずは東武線の春日部駅で下車。駅名標の上では、ご当地のヒーロー的存在である「クレヨンしんちゃん」がお出迎え。



東口のロータリーから平成エンタープライズという聞きなれない会社の路線バス「南桜井駅」行に乗車します。なお運賃の支払いに交通系ICカードは使えません。現金のみですから予め小銭の用意を。



駅から乗ることわずか数分、2つ目のバス停で下車します。浴場名がバス停の名前にもなっているんですね。わかりやすいですね。



こちらが「春日部温泉 湯楽の里」の正面ファサード。以前訪れた際は、車で直接駐車場に入ってしまったので、こうしてまじまじと正面の姿を見るのは、私にとっては初めてかもしれません。



玄関付近の植え込みの中には、源泉関係と思しき施設がありました。



下足場には100円リターン式のシューズロッカーがあり、この鍵を受付に差し出して館内精算用のリストバントと引き換えます。下足場には温泉井を掘削する際に使われたボーリングピットが展示されていました。地下深くから動力揚湯する必要がある首都圏近郊の温泉スーパー銭湯では、必ずと言って良いほどピットが飾られていますね。なおこちらでは1500メートル掘削したそうです。



受付がある1階には食堂やマッサージコーナー、ゲームコーナーなど、温泉の付帯設備が配置されています。肝心のお風呂は2階です。2階へ上がる階段には春日部の名物大凧の大凧がつりさげられていました。いや、実際には春日部と言うより、合併する前の旧庄和町の名物と言った方が正しいのかもしれません。

多くのお客さんが利用する都市部のスーパー銭湯にしては、脱衣室はやや狭いように感じられ、パウダーゾーンも同様に狭いのですが、衣類や荷物を収めるロッカーはコイン不要で使えますので、その点は便利と言えましょう。

内湯は奥行が長い造りで、縦長の長方形の中央に洗い場が配置され、その洗い場付近にかけ湯が2ヶ所(脱衣室出入口付近と水風呂横)、そして高温サウナや水風呂なども並んでいます。長方形の奥にはジェットバスの浴槽と炭酸風呂が隣り合っているのですが、いずれも真湯の沸かし湯であり、温泉ではないようです。

一方、露天風呂では温泉が多用されています。
以下、公式サイトの画像をお借りしています。



露天ゾーンはテラスの上に設えられたお庭のような造りになっており、寝ころび湯、源泉風呂、岩風呂、寝湯、壺湯(3つ)といった浴槽が設けられています。これらのうち、温泉が使われているのは源泉風呂・岩風呂・壺湯の3種類です。



露天の主浴槽とでも言うべき岩風呂。お湯に関する委細は後述しますが、黄土色に濃く濁る温泉が岩に囲まれた浴槽いっぱいに湛えられ、オーバーフローが流れる床は赤茶色や黒色に染まっています。この岩風呂は屋根が掛かっていますので、多少の雨なら凌げるでしょう。



岩風呂よりちょっと高い位置に設けられているのが源泉風呂。こちらには小さな滑滝みたいな湯口があり、源泉が注がれています。源泉風呂を満たしたお湯が上述の岩風呂へと流れ落ちてゆくので、この源泉風呂の方がお湯の鮮度感は良いかと思います。施設の説明によれば、この浴槽では暖かい時期に加温なしでお湯を供給しているとのことで、私の訪問時は初夏でしたから非加温状態だったかと思われますが、非加温(源泉湧出温度43℃)にしてはかなり熱く、長湯することができない程でした。



岩風呂や源泉風呂からちょっと離れたところで並んでいるのが3つの壺湯。こちらにも岩風呂や源泉風呂と同じ温泉が注がれているのですが、私の体感で申し上げると、3種類ある温泉仕様の浴槽の中でもこの壺湯が最も浴感が良く、お湯の個性がはっきり且つしっかりと全身に伝わってきました。人が入るたびにお湯がザバーッと溢れ出て、その都度供給され続けますから、お湯のコンディションが良かったのでしょう。

冒頭でも申し上げましたように、こちらの温泉は化石海水型の典型例。お湯は黄土色に濃く濁り、その透明度は30~40cmで、お湯が触れる浴槽の縁や床などは赤茶色に染まっています。強い鹹味とにがり味、そして少々の金気味が感じられ、メタンガスを思わせる鉱油的な匂いも嗅ぎ取れます。この匂いとともにお湯からはハロゲン系のツンとくる弱い刺激臭も確認できたのですが、こちらの匂いは源泉由来なのか消毒なのか不明。お湯に浸かるとツルスベの滑らかな浴感と引っかかる浴感が拮抗して肌に伝わってきます。
非常に濃い食塩泉ですから夏は強烈に火照り、決して長風呂ができません。私もある程度源泉のお風呂に浸かると、体力が奪われそうになるので、内湯へ戻って水風呂でクールダウンさせてもらいました。一方、寒い冬には体の芯から温まるばかりか温浴効果が長時間持続しますから、寒さ知らずの心強い味方になってくれるでしょう。

温泉を使用している露天ゾーンの3浴槽では放流式の湯使いを実施しているとのこと(季節により加温あり)。いずれの浴槽でもなかなかの投入量が保たれているのでお湯のコンディションが良く、なるほど掛け流しであるということを実感させてくれます。スーパー銭湯であることを忘れてしまうほど、非常に個性的なお湯を楽しむことができました。


ナトリウム-塩化物強塩温泉 43.0℃ pH7.27 320L/min(動力揚湯) 溶存物質17.250g/kg 成分総計17.279g/kg
Na+:5655mg(84.10mval%), NH4+:16.7mg, Mg++:209.2mg(5.88mval%), Ca++:207.7mg(8.66mval%), Fe+++:3.4mg,
Cl-:10340mg(98.61mval%), Br-:39.9mg, I-:12.5mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:211.7mg,
H2SiO3:47.7mg, HBO2:103.9mg, CO2:29.7mg,
(平成26年11月11日)
加水・循環なし
加温することあり(気温の低い時、熱交換により加温)
消毒あり(衛生管理のため通年二酸化塩素剤を適宜添加)

埼玉県春日部市小渕105-1
048-755-4126
ホームページ

9:00~25:00(受付終了24:30)
平日780円、土休及び特定日980円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

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まえばし駅前天然温泉 ゆ~ゆ

2019年11月29日 | 群馬県
県内各地で温泉が湧いている群馬県は、温泉県という名称を巡って大分県と競い合う東日本屈指の湯どころでもありますが、そんな土地柄だからか、県庁所在地の最寄駅前という至って交通至便な場所にも、良質な温泉浴場を擁しているのであります。



前橋駅から駅前の並木道を進んだ右手にあるのが、温泉ファンからの誉れが高い「まえばし駅前温泉 ゆ~ゆ」です。私は今まで何度か訪れていますが、ブログで紹介したことがなかったため、ネタ集めを兼ねて先日再訪致しました。



玄関廻りはまるでシティホテルかフィットネスジムのようなファサードです。駅前ですので電車でのアクセスが楽チンなのはもちろんですが、建物の裏手には駐車場も完備されていますので、車でのアクセスも良好です。



1階のカウンターで受付で下駄箱の鍵(100円リターン式)と引き換えに、館内精算用の番号札が手渡されます。この札を手にしながら2階へ。
2階には大きな食堂が営業しており、この日も多くのお客さんで賑わっていました。



食堂と同じ2階に浴場の入口があり、紅と紺の暖簾がさがっています。

なお、この先は撮影禁止につき、以下の画像は公式サイトからお借りしております。



天井が高い浴室には大きなガラスを採用されており、外光がふんだんに室内へ降り注ぐことにより明るく開放的な入浴環境が作り出されています。都市部の公衆浴場ですから洗い場スペースは広く確保されており、シャワー付きカランが壁沿いに11個、二つの島に12個、奥の壁沿いに4個、計27個設置されているのですが、私の訪問時は混雑していたため、その多くが埋まっていました。すごい人気なんですね。

大きな窓の下には、まるでプールを彷彿とさせるような大きさの主浴槽が据え付けられています。その主浴槽の手前側の角には、ぬるい源泉のお湯が注がれる掛け湯専用の槽があり、その近くに主浴槽用の湯口が設けられています。掛け湯はぬるめですが、湯口から出るお湯は熱いため、大きな主浴槽でも掛け湯側の湯加減は若干熱めである一方、その反対側の奥は若干ぬるめでした。
内湯のお湯はやや赤みを帯びた淡い黄色を呈しつつ、少々濁っています。温度調整等のために槽内循環されていますが、同時に新鮮源泉も投入されており、お湯の溢れ出しもしっかりと見られ、オーバーフローが流れる室内の床は、元々白い素材だったにもかかわらず、赤茶色に染まっていました。また掛け湯のお湯は主浴槽へと落ちるのですが、その流下する部分には石灰の析出がコテコテにこびりついていました。色や析出などにより、お湯の濃さがビジュアル的に伝わってきますね。

なお浴室の奥にはサウナ室があります。おぼろげな記憶なのですが、10年ほど前に訪れた時、サウナは無かったような気がしますので、おそらく後から増設したんだろうと推測されますが、いかにも後付けらしく何とかスペースを捻出して作ったような感があり、広い浴室に比べると若干物足りなさを覚えるかもしれません。



続いて露天へ。
周囲は市街地ですから周囲は高い塀に囲まれており、景色は望むべくもありません。しかし西洋のガーデン調に設えられたこの露天ゾーンは寛ぐに十分スペースが確保されており、実際にこのゾーン内に置かれた数台のデッキチェアーでは、お風呂で温まった体をクールダウンさせるべく、お客さんたちが寝そべってノンビリ過ごしていらっしゃいました。
露天の浴槽は内湯をひとまわり小さくさせたような感じですが、それでもなかなか大きなもの。内湯のお湯の色合いは赤みを帯びた黄色でしたが、露天ではそれよりも緑色に傾いているように見えます。外気の影響を受けるためか、内湯より若干ぬるめの湯加減でしたが、むしろそれが人を長湯へいざなうのか、たくさんのお客さんが瞑目したり、仲間同士でおしゃべりしたりと、思い思いのスタイルでのんびり湯浴みしていました。

内湯の掛け湯下にある湯口にてお湯を口に含んでみたところ、はっきりとした塩味に鉄錆味が感じられ、アブラ臭も嗅ぎ取れます。上述のように石灰の析出が見られるお湯なので、引っかかりのある浴感なのかと思いきや、食塩泉らしい滑らかなツルスベ浴感が得られ、且つ、食塩泉らしいパワフルな温浴効果が如何なく発揮されるため、お風呂上がりは大変気持ち良く、いつまでも湯冷めせずに体がホコホコし続けました。

ちなみにこちらの施設で使われている源泉は、施設の直下にあるんだとか。駅前の市街地なのに、こんな本格的且つ実力派の温泉に入れるのですから、前橋という街にはただただ驚くほかありません。温泉ファンのみならず地元の方々からも支持される良質な温泉です。


くりまの湯
ナトリウム-塩化物温泉 55.5℃ pH7.3 133L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質4.70g/kg 成分総計4.74g/kg
Na+:1544mg(90.31mval%), Mg++:20.3mg, Ca++:98.0mg,
Cl-:2221mg(85.43mval%), HCO3-:641mg(14.33mval%), Br-:10.3mg,
H2SiO3:59.6mg, HBO2:80.4mg, CO2:36.2mg,
加水あり(源泉温度が高いため)
循環あり(温度調整のため)
加温なし

JR両毛線・前橋駅より徒歩3分程度
群馬県前橋市表町2-10-31
027-224-0111
ホームページ

10:00~23:00(受付22:30終了) 年中無休
平日650円、土日祝等750円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

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四万温泉(山口) 三木屋旅館

2019年11月24日 | 群馬県

前回記事の四万温泉・新湯地区から、四万川をちょっと下った山口地区へと移ってまいりました。
今回、山口地区の日帰り入浴で伺ったのは、大正元年創業の老舗「三木屋旅館」です。歴史あるお宿ですが、現代的な建物からは気品が伝わってきます。



玄関前のつくばいには、ぬるい温泉が落とされていました。建物へ入る前から温泉のお湯に出逢えると、何となく嬉しくなっちゃうのは私だけでしょうか。



午後3時半頃に訪って日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。



帳場で湯銭を支払いますと、お宿の方がフェイスタオルを私に下さると同時に、お風呂まで案内してくださいました。階段で2階へ上がり、絨毯敷きの廊下を歩いてゆくと、すぐ右手に浴場棟へつながる渡り廊下が分岐します。お風呂は内湯と露天があり、お宿の方は露天をすすめてくれたのですが・・・



まずは内湯「不老の湯」に入らせていただくことにしました。階段を上がった先に暖簾が掛かっており、左が女湯、右が男湯です。



綺麗ながらも必要最小限の設備に留めている脱衣室を抜けて内湯へ。
木材と石材の組み合わせにより落ち着いた雰囲気の内湯には、総木造の浴槽が設けられており、大きさは私の目測で1.2m×3.6mほど。この浴槽からは木のぬくもりや優しさとともに、老舗宿らしい重厚感が伝わってきます。
洗い場にはシャワー付きカランが計4基取り付けられ、カランからはボイラーの沸かし湯が出てきます。



お湯は木枠の湯口から静かに注がれており、湯船を満たしたお湯は窓側の縁からしっかり溢れ出ていました。お湯の投入量が絶妙な塩梅に調整されているため、とても快適な湯加減が維持されていました。静かで落ち着ける上品なお風呂です。



内湯に満足した私は、一旦着替えて再び廊下へ戻り、今度は露天風呂へ向かいました。専用の勝手口から宿の裏手に出て外履きに履き替えます。そして目の前の階段を上がると、まず目に入ってくるのがこのあたりの集落のお墓。意外なものの登場に少々面食らいましたが、気持ちを取り直してお墓の前を右に折れて階段を更に上がると、その先に露天の湯小屋がありました。扉を開けて中に入ります。手前が女湯、奥(左)が男湯です。



露天の上屋は木造で、開放的かつゆとりのある造り。
斜面の高台に位置し、山口集落を見下ろすようなロケーションです。露天風呂があるスペースは板敷きになっていて、あたかも能の舞台のようです。屋根にすっかり覆われているものの、圧迫感は無く、むしろ谷に向かって開放的なので、屋根の存在はあまり気になりません。
浴槽の大きさは1.2m×2.4mといったところでしょうか。縁には木材、内部には石板が採用されており、市緑豊かな周囲の環境と、静かで落ち着いたお風呂の雰囲気に大変よく合っています。訪問時はお湯の投入量が絞り気味だったのですが、おそらく源泉温度が熱いため投入量で湯加減を調整していたのかもしれません。とはいえ、私が湯船に入るとしっかり溢れ出ていきました(その代わり湯嵩の回復には時間を要しました)。
なおこの露天風呂にも洗い場にあり、シャワー付きが2つ並んでいます。余談ですが、シャワーのお湯を出すと、裏手からボイラーの動作音が聞こえてきました。



上述のように周囲を見下ろす場所に位置しているため見晴らしがよく、目下を横切るバス通り(旧メインストリート)や集落、四万川、そして対岸の山の緑を一望できます。空が広くて緑がとっても綺麗です。山の木々の上を鳥たちが囀りながら飛び交っており、小鳥の声を音楽にしながら大変のんびりと湯浴みすることができました。なお対岸には国道のバイパスが走っており、その橋からこちらが見えてしまうのですが、基本的にこの辺りは車で通過しちゃいますから、道路からこちらに気づく人は少ないでしょう。

内湯・露天とも温泉は完全掛け流し。夏季には加水されるそうですが、少なくとも私の訪問時は湯量調整により湯加減をコントロールしていており、加水は無かったように思われるので、源泉の持ち味を大切にするべく、余程熱くならない限りは加水をできるだけ避けているのかもしれません。源泉名は内湯の浴室名にもなっている不老の湯源泉。無色澄明で綺麗に澄んでおり、湯面からは木材のような香ばしい香りと石膏の匂い、そして味が感じられます。いずれもそれほど強くありませんが、意識して感じ取ればしっかり確認できるかと思います。入浴して間もなくはスルスベの滑らかな浴感ですが、肩まで入って全身がお湯に包まれると、硫酸塩泉らしい引っかかるような浴感も得られます。トロミがあり肌にしっとりと馴染んでくれるとても良いお湯です。私は露天で時間を忘れて、ぼんやりといつまでも入り続けてしまいました。群馬県民にはお馴染みの上毛かるたの読み札で「よ」は「世のちり洗う 四万温泉」と詠われていますが、このお風呂に浸かっていると、まさに私の心の中に溜まっていた塵や滓がオーバーフローとともに流さ去ってゆくようでした。
今回は日帰りでしたが、次回は宿泊してゆっくり湯浴みしたいものです。


不老の湯
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 51.9℃ pH7.4 蒸発残留物1.45g/kg 成分総計1.43g/kg
Na+:276mg, Ca++:167mg,
Cl-:455mg, SO4--:280mg, HCO3-:79.4mg,
H2SiO3:104mg, HBO2:31.2mg,
(平成13年3月26日)
夏季のみ加水あり(他季節は加水なし)、加温・循環・消毒なし

群馬県吾妻郡中之条町四万甲3894
0279-64-2324
ホームページ

日帰り入浴15:00~
1000円
ドライヤー・ロッカーの備え付けなし

私の好み:★★★
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