温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

(旅グルメ) 弘前 高砂 (そば店)

2009年04月30日 | 青森県


弘前で蕎麦といえばここ。かの棟方志功も通ったという、弘前市民なら誰もが知るお店です。私はかれこれ2~30回は訪問しているかもしれません。青森銀行記念館の裏手に位置しており、弘前城からも近いので、弘前観光の際には是非ここでお蕎麦を手繰っていただきたい。桜の見ごろを迎えるゴールデンウィークには大行列ができてしまいますが…。

表通りからちょっと入った静かな環境で、ひっそりと佇む店構えは料亭のようですが、中に入ると古くからの商家のようなどっしりとした雰囲気を受けることでしょう。玄関を潜った三和土になっているところは椅子席ですが、これをL字で取り囲むように座敷が設けられ、奥にあるお庭が見通せるようになっています。また座敷の床の間には浮世絵や掛け軸が掛けられ、骨董品の皿や壺が据えられ、卓は重厚な漆塗りであり、それらが一体となって格調の高い和の空間を作り上げています。店内にBGMが流れていないのも佳い点です。

私のおすすめは天ぷらそばです。かけ蕎麦の上に、尾を綺麗に切り揃えられてサクサクの衣を纏った海老が2本載っかっています。料亭のような上品な揚げ方にうっとりします。お蕎麦は喉越しのよい二八蕎麦で、白く透き通るように美しい光沢があります。おつゆも出汁がよくきいており、甘からず鹹からず丁度よい塩梅で、私はいただく度にいつも全部飲み干してしまうほどです。

青森県を本州の北端だからといって侮ることなかれ、粋で格調高い文化が昔から息づいているのです。味と店の雰囲気が相乗効果を齎すことにより、城下町ならでの歴史と風格を感じ取ることができる、弘前が誇る名店だと思います。




JR奥羽本線・弘前駅 徒歩25分(2.1km)
駅前から土手町循環の100円バスに乗り、本町で下車すると便利

青森県弘前市大字親方町1-2 
0172-32-8025

11:00~18:00
月曜定休

高砂 (そば / 中央弘前)★★★★ 4.0

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白浜温泉 崎の湯露天風呂

2009年04月29日 | 和歌山県


和歌山県の温泉といえばまずここの名前が挙がるほど有名なところです。白浜温泉は日本三古湯のひとつですが、中でもこの「崎の湯」は白浜の中でも最も古い歴史を有しており、悠久の歴史を感じながら絶好のロケーションで湯浴みすることができる、白浜随一の観光名所です。

名前が示すとおり岩場の崎に設けられたお風呂で、岩を穿ってつくられた浴槽がひとつ、そして波打ち際のまさに波飛沫がかからんとするところにもうひとつの浴槽があります。前者の浴槽に入ると視線が低くなってしまいあまり眺望がきかないのですが、後者は海が手に届く場所につくられているので、お湯に浸かりながら大海原を一望することが出来ます。まるで海の中にいるかのような錯覚に陥るほどの素晴らしい眺めで、なるほど人気の理由も頷けます。

お湯は熱めの無色透明が源泉のまま掛け流されています。湯中の硫黄分が浴槽の岩にこびりつくため、やや白濁して見え、部分によっては青みがかっているようです。海辺の温泉だけあって味は塩味ですが、海水ほど濃くなくマイルド。磯の香りとお湯から上がる硫黄の香り(そして微かな鉱物臭)の両方が鼻に漂ってきます。

こんな良いことことずくめの「崎の湯」ですが、気になる点もいくつか。まず眺望の素晴らしい露天風呂ですが、視界の先には海中展望台が聳え立ち、せっかくの開放感を邪魔しています。展望台からは湯浴みしているこちら側の様子が見て取れるのではないでしょうか。そんな視線の問題も気になり、いまひとつ開放感に欠けてしまうのは否めません。また、観光名所ゆえに私のような観光客がひっきりなしに訪れ、掛け湯もせずいきなり入ってくるので落ち着けないのも残念なところです。
お湯の質は温泉マニアにも納得できるものですから、上述の点を割り切りさえすれば、観光地の外湯としては十分楽しめるのではないでしょうか。




受付・入口


行幸(みゆき)源泉


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(みゆき2号)
83℃ pH7.4

JR紀勢本線・白浜駅から三段壁行き(白浜バスセンター経由)バスで湯崎下車
和歌山県西牟婁郡白浜町湯崎1668
0739-42-3016
南紀白浜ホームページ
明光バス ホームページ

4月1日~6月30日、9月1日~9月30日→8:00~18:00
7月1日~8月31日→7:00~19:00
10月1日~3月31日→8:00~17:00
水曜定休
300円
コインロッカーあり

私の好み:★★
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大塩温泉 共同浴場

2009年04月28日 | 福島県
※大塩温泉共同浴場は2015年8月にリニューアルオープンし、当記事で取り上げている湯小屋とは異なる、綺麗な浴場へと生まれ変わりました。当記事はリニューアル前の様子を取り上げております。



西会津は秘湯の宝庫で、特に只見線沿線には温泉マニアを唸らせる共同浴場が点在しています。会津横田駅から徒歩圏内にある大塩温泉共同浴場もそのひとつ。
只見川の川縁に建てられており、浴室は玄関より低い所に河岸に位置しているので、玄関で靴を脱いで階段を下り浴室へ向かいます。浴室に入ると泉質由来の金気の匂いがぷんと鼻をつきます。湯口から絶え間なくお湯が注がれ、静かにあふれ出ています。浴槽のお湯は白みを帯びた薄い緑色に濁っており、コンクリートの浴槽や床は温泉成分の析出によって赤茶色に染まり、また湯口付近では石灰による凸凹がはっきりと現れています。湯口にはコップがあるので飲んでみると、炭酸の味に金気の味、そしてカルシウム由来と思われる独特の苦味と薄い塩味が多層に及んで感じられました。炭酸味からわかるように、お湯に浸かると肌には遊離炭酸ガスの気泡がたくさん付着します。味と良い濁り方といい、かなり濃いお湯だと思われます。

成分表を見ると源泉の温度は38℃となっており、この浴場ではお昼以降お湯を加熱して入浴に適するようにしています。逆に考えれば、午前中を狙えば手の加えられていない源泉そのままのお湯を味わうことが出来るわけで、夏の暑い日に入ると気持ち良いこと間違いありません。内湯だけの素朴で鄙びた温泉ですが、窓から望める只見川の渓流を眺めながら、じっくりと長湯してお湯の良さを堪能したい温泉です。


只見川を臨む浴室


析出物で白くこんもりとしている湯口


析出物で赤茶色に染まっています


ちなみに、この界隈の温泉水を含む地下水は炭酸ガスを多く含有しているのか、大塩温泉共同浴場の近くには天然の炭酸水が湧く井戸があります。共同浴場から国道を挟んで北西の方角に進むと「会津心水」という名前の炭酸水瓶詰め工場があるので、その左側の森の中に入ればすぐに見つけられるでしょう。
井戸の中を覗くとパチパチと音を立てながら炭酸水が湧いているのがわかります。井戸の縁には紐が結わかれたやかんが括り付けられているので、これで汲んで飲んでみると、実に美味い。天然水ならではの冷たさに加え、水自体が柔らかいので飲みやすく、また炭酸が口の中で弾ける肌理の細かなシュワシュワ感も楽しめ、非常に上質な清涼感が得られます。これぞまさに自然の恵みです。


炭酸水の井戸


パチパチ弾けながら湧き出ています


含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
38℃ pH6.5 成分総計12.502g/kg

JR只見線・会津横田駅 徒歩15分(約1.5km)
福島県大沼郡金山町大字大塩字休場 地図

4月~10月→7:30~21:30(加熱は12時~)
11月~3月→8:30~20:30(加熱は12時~)
200円以上の寸志(加温の燃料代として)
但し連休などは午前中から加熱することもあります

私の好み:★★★
コメント (4)
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箱根湯本温泉 かっぱ天国

2009年04月27日 | 神奈川県


つい先日、箱根の玄関口としての役割を担う箱根登山鉄道の箱根湯本駅がリニューアルされましたが、その駅のちょうど真裏に、寂れた温泉地の古びたストリップ小屋を髣髴とさせる、色が飛んでくすんだ原色の電飾看板が目印の温泉施設があります。
箱根湯本駅の真上という絶好の場所に位置しているのですが、上述のような外観といい、駅裏という立地といい、古色蒼然とした安直な名前といい、いろんな意味であまり期待は持てそうにありません。
実際に入ってみても、お世辞にも褒められたもんじゃない古めかしい建物からは、あちらこちらからギシギシと今にも壊れそうな心細い軋みが狂想曲のように音を立て、浴室へ至るまでに通る廊下の壁紙や床の様子からはこの施設の老朽劣化を十分すぎるほど窺い知れるのですが、お湯の質はそんな外観や内装からもたらされるイメージを大きく覆すものでびっくりします。


入るのを躊躇いたくなる入口


浴槽は大と小のふたつあるのですが、私の訪問時には小はアクリルの蓋が被せられて閉鎖中で、大のみの入浴となりました。駅前の民間入浴施設にもかかわらず、お湯は消毒されることなく掛け流しでちゃんとオーバーフローしており、こうした湯使いは評価するに値します。岩でできた浴槽の底に近いところから供給されるお湯は無色透明で、手で掬うと湯面からは微かに石膏の匂いが、口に含むと薄っすらと石膏の味が感じられます。お湯の波や湯面から突き出した指先がキラキラと青白く反射する、硫酸塩泉によく見られる特徴もちゃんと出ています。また石膏泉ならではのスベスベ感とキシキシ感が共存とした浴感もしっかり得られ、湯上りも温もりがよく持続し、お肌も表面サラサラ内部シットリで実に爽快です。薄いものの石膏の特徴がよく出ているという点で、群馬県北部の水上温泉や湯宿温泉に近い泉質といえるでしょう。

ここは硫酸塩泉の良さが理解できる人のみお湯を楽しむことができるお風呂だと思います。単なる無色透明のお湯にしか感じられない人にとっては、立地に胡坐をかいたボロいお風呂としか映らないかもしれません。温泉を楽しむには場数も大切なのですね。




閉鎖中の小浴槽


ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(湯本第83・98号混合)
54.7℃ pH8.64 成分総計1.010g/kg

箱根登山鉄道・箱根湯本駅 徒歩2分程
神奈川県足柄下郡箱根町湯本777 地図
0460-85-6121
ホームページ
(HTML習いたてのようなページです)

10:00~22:00 無休
750円
ドライヤーあり

私の好み:★★
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コタン温泉 露天風呂

2009年04月25日 | 北海道


北海道の屈斜路湖畔はいろんなところで温泉が湧いており、和琴半島の公衆浴場は当ブログでも紹介していますが、今回は湖の南端に湧く「コタン温泉 露天風呂」を取り上げます。

アイヌ民族資料館近くの湖畔に位置しており、専用駐車場もあってわかりやすく、一見すると利用しやすそうに思えますが、浴槽は一応岩で区切られてはいるものの実質的には混浴であり、男女別の小さな脱衣小屋があるものの、そこから浴槽までは10メートル強ほど歩く必要があるので、女性にはちょっと厳しいかもしれません。浴槽や脱衣所以外の設備は何もありません。

しかし、目の前が屈斜路湖という絶好のロケーションが、欠点を補ってあまりある開放感や爽快感を与えてくれ、大空の下で大自然に溶け込んだかのような雄大な気分を味わえます。何しろ浴槽の縁の向こう側は屈斜路湖の湖水であり、お湯に浸かっているとあたかも自分と湖が渾然一体となっているかのような気分になります。特に冬に訪れると、沢山の白鳥が湖面で羽根を休めており、白鳥を至近距離で戯れるかのように眺めながら、のんびりと湯浴みすることができます。

お湯は微かに黄色を帯びた透明で無味、仄かに燻したような匂いのする源泉が掛け流されています。やや熱めですが、重曹泉ならではのつるすべ感が心地よく、湖上を吹く風で火照った体を冷ますと湯上りも爽快です。


白鳥を間近に見ながら、湖水に入っているような感覚で湯浴み


近くにはアイヌの住居「チセ」を復元したものがある


ナトリウム-炭酸水素塩泉
68.3℃ pH7.0 動力揚湯 蒸発残留0.696g/kg 成分総計1.056g/kg

北海道川上郡弟子屈町字屈斜路市街1条通り 地図

24時間 無休
無料

私の好み:★★★
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