温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

中棚温泉 中棚荘

2022年06月29日 | 長野県

(2021年9月訪問)
小諸の在にポツンと佇む名湯「中棚温泉 中棚荘」で日帰り入浴してまいりました。
場所は小諸市体育館の近くで、観光地とは思えないごくごく普通の集落の中にある旅館なのですが、島崎藤村ゆかりの老舗旅館でああり、旧館は重文に指定されているほどです。旧館の隣に位置する本館が現在の営業施設で、こちらも実に良い雰囲気。その2階にある受付で日帰り入浴をお願いすると、スタッフの方がとても丁寧に対応してくださいました。


千曲川左岸の傾斜地に数棟の建物が分かれて建てられており、浴場がある建物は傾斜地の上の方に位置しています。このためお風呂へ向かう際には受付があるフロアから階段をあがり、渡り廊下を進んで宿泊棟に移り、更にその宿泊棟の途中から山側の階段へ逸れて階段を登ってゆくことになります。


男女別のお風呂に到着しました。なおここまで上がってくる階段の途中には、温泉ファンの心を惹き付ける設備があるのですが、それについては記事の後半でご紹介します。


館内には現在使用している源泉を掘削する際に使われたボーリングピットが展示されていました。1988年に地下600メートルまで掘り進めたんだそうです。なおこちらのお宿で使われている源泉は2つあるのですが、1号泉は湧出量が少ないため、2号泉が主力となっているようです。


こちらのお風呂は、旅館にしては珍しく、更衣室と内湯の間に仕切りが無い構造です。野沢温泉や別府温泉の共同浴場みたいな構造と表現したら良いのでしょうか。更衣室は畳敷きで、棚が無い代わりに籠がたくさん用意されています。着替えながら建物の上部を見上げると、太くて立派な梁や梁が建物を支えていることがわかります。しかも天井も高くて広々。この湯屋の建築にはさぞかしお金がかかっているのでしょう。なお室内にロッカーは無いので貴重品は予めフロントへ預けておきましょう。
更衣エリアの斜向かいには洗い場が配置されており、シャワー付きカランが5基並んでいます。なおシャワーから出てくるお湯は源泉使用です。湯船で温泉に浸かることは当然気持ち良いのですが、シャワーで源泉のお湯を浴びるのも、湯船とはちょっと違った気持ち良さや嬉しさがありますよね。


内湯の浴槽は黒光りしており、寸法こそ失念してしまいましたが、重厚感があって大きく立派なものです。この湯船にはちょっと熱め(私の体感で42~43℃でしょうか)に加温されたお湯が注がれています。この内湯における湯使いはかけ流しと循環の併用であり、それゆえかオーバーフローは若干少なめです。


浴槽中央の壺みたいなところからお湯が噴き上がっているのですが、これはおそらく生源泉ではないかと思われます(そう推測する理由は後述)。この壺からの噴き上がるお湯に加えて、浴槽内にて循環加温したお湯も投入されており、浴槽に浸かると源泉由来のタマゴ臭とともに消毒の塩素臭が混ざったような感じで湯面から匂いが漂っていました。


千曲川を見下ろす河岸に設けられた露天風呂。木立で若干視界が遮られるものの、梢の間から千曲川が流れる一帯を見下ろすことができ、緑に抱かれた静かで清々しいロケーションです。露天の周りに立つ木々は落葉樹なので、新緑、紅葉、そして冬といったように季節によっても楽しめるのではないでしょうか。

この露天風呂には2つの浴槽があり、それぞれ2~3人サイズ。奥の浴槽は打たせ湯が設けられています。一方、手前側の浴槽には湯口があり、こちらに落とされたお湯は、打たせ湯がある奥の湯船へと流れていきます。
循環併用の内湯と異なり、露天風呂は循環の無い放流式(かけ流し)の湯使いであり(若干消毒しているかと思われます)、私の訪問日はどうやら非加温らしいので、長湯したくなる心地よい湯加減になっていました。もちろん打たせ湯も源泉のお湯です。


湯口がある手前側の浴槽には非加温の生源泉と加温された源泉がそれぞれ別のパイプから注がれているのですが、生源泉の方からは気泡がたくさん出ており、この浴槽に入ると全身にたくさん気泡が付着します。気泡マニアの方は興奮すること間違いありません。湯口からはふんわりタマゴ臭が放たれ、お湯を口に含むとタマゴ味、そしてアルカリ泉的な微収斂が感じられます。なお上述で内湯の壺のような湯口から噴き上がるお湯は生源泉ではないかと推測した理由は、そのお湯からも露天手前側浴槽の湯口で感じ取った感覚と同じものを得たからです。
露天両浴槽に浸かるとツルツルスベスベの滑らかな浴感がしっかり得られ、しかも微睡みを誘うような絶妙な湯加減がキープされており、実に素晴らしいお湯です。


当記事の前半で、浴場まで上がってくる階段の途中には、温泉ファンの心を惹き付ける設備がある、と申しましたが、その設備とは飲泉場です。源泉から近い位置で手が加えられていない生の源泉を味わうことができるため、湧出したての源泉の姿を感じることができる貴重な設備です。ここのお湯を実際に飲んでみると、しっかりとしたタマゴ味及びタマゴ臭があり、また微収斂もはっきり感じられます。お風呂のお湯と違って塩素入っていないので、源泉のお湯の知覚的特徴を知りたいならばこの飲泉場が最適です。

雰囲気もお湯もブリリアントなこちらのお宿。次回訪問時は是非宿泊してゆっくり過ごしたいものです。


中棚温泉1
いわゆる規定泉(メタケイ酸) 12.5℃ pH7.5 2.8L/min(自然湧出) 溶存物質0.4228g/kg 成分総計0.4570g/kg
Na+:20.8mg(19.21mval%), Mg++:15.3mg(26.89mval%), Ca++:43.6mg(46.53mval%), Fe++:5.2mg,
Cl-:30.9mg(18.56mval%), SO4--:38.8mg,(17.28mval%), HCO3-:182.8mg(63.99mval%),
H2SiO3:79.3mg,
(令和3年2月25日)

中棚温泉2
アルカリ性単純温泉 37.8℃ pH8.7 189L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質0.4918g/kg 成分総計0.4918g/kg
Na+:123.9mg(95.06mval%),
Cl-:56.4mg(27.76mval%), HS-:0.6mg, HCO3-:228.5mg(65.33mval%), CO3--:9.0mg,
H2SiO3:58.1mg,
(令和3年2月25日)

長野県小諸市乙1210
0267-22-1511
ホームページ

日帰り入浴11:30~14:00受付終了 
1000円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー無し(フロント預かり)

私の好み:★★★
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布引観音温泉

2022年06月21日 | 長野県

(2021年9月訪問)
前回記事までの群馬県西毛地方から、碓氷峠を越えて長野県東信地方へとやってまいりました。東信地方にも温泉はたくさんありますが、中でも私好みの渋い温泉施設を目指すことにします。
「牛に引かれて善光寺詣り」という有名な言葉がありますが、これは小諸市の布引観音に由来しているんですね。むかしむかし、小諸付近に住んでいた吝嗇で不信心な婆さんが川で布をさらしていたところ、牛が角にその布をひっかけて走り去ろうとするので、布を取られてなるものかと必死になった婆さんはその牛を追いかけていったら、いつの間にやら善光寺にたどり着き、途方に暮れて善光寺で夜を明かそうとすると、夢枕に仏様が現れたんだとか。それ以来婆さんは仏様を篤く信じるようになったんだそうですが、婆さんの布を持って行った牛は、実は観音様の化身であり、その観音様を祀ったのが布引観音なんだそうです。小諸付近で千曲川沿いに車を走らせていると、途中で断崖絶壁の下を走行しますが、ちょうどその断崖絶壁の途中に布引観音の観音堂があります。

前置きが長くなってしまいましたが、この布引観音から市境を越え小諸市から東御市に入って間もなくのところにあるのが、今回取り上げる「布引観音温泉」です。私も車を運転する途中で、婆さんの吝嗇さと自分のケチ臭さはどちらがひどいのだろうかと思いながら、観音堂がある断崖絶壁の下を走り市境を越えて現地へと向かいました。


駐車場の一角がぬかるんでいたので、どうしたものかと近づいてみたら、鬱蒼と茂る藤棚の下に飲泉所が設けられ、ぬるい源泉がチョロチョロと落とされていました。記事後半でも触れますが、この飲泉所には「深層水」と称する水も滴り落ちていました。温泉とは異なる水なのでしょうか。


牛に布を持っていかれた婆さんがいまにも中から現れそうな感じの、少々草臥れた建物ですが、ここでは宿泊も可能なんだとか。日中なのにやや薄暗い感が否めない館内に入り、受付で直接おじさんに湯銭を支払います。この受付カウンターそばにロッカーが設置されているので、貴重品はそちらへ預けても良いですし、脱衣室内にも100円リターン式ロッカーが設置されていますから、それを利用しても良いでしょう。なお脱衣室内にドライヤーは見当たりませんでした。


お風呂は男女別内湯のみ。青森県の温泉銭湯を思わせるような建物の造りから想像するに、おそらく男女浴場はシンメトリーな構造になっているものと思われます。浴室はそこそこ広いのですが天井や壁などに随所にシミや汚れが多く、照明も一部切れていて、渋い施設に慣れていない方ですと、ちょっと不安になってしまうかもしれません。

浴場の中央には4m×2mの長方形の浴槽が据えられ、隅っこにも浴槽がひとつ設けられています。中央の浴槽は温泉槽で、隅っこにあるもう一つの浴槽は上述の駐車場飲泉所でも触れた「深層水」と称する水の水風呂です。ところで深層水ってどういう水なのでしょう。海洋深層水という名称を冠した商品ならば目にしますが、信州の人里ですから海洋とは無縁であり、となれば深層とは所謂深井戸のことなのか、はたまたそれとは別なのか…。不思議に思って公式サイトを見てみたら、どうやら地下140mから汲み上げている地下水のことを意味しているようです。


男女両浴室を仕切る塀に沿って洗い場が配置されており、シャワー専用の単水栓が4つ並んでいます。水栓からは源泉のお湯が出てくるのですが、吐出圧力が弱く、しかも間欠泉のように出たり出なかったりするので、使い勝手はいまいち。なお石鹸類など備え付けは無いので持参しましょう。


中央の温泉浴槽は、真ん中に設けられた仕切りで二つに分けられています。脱衣場側の浴槽は湯口からお湯が投入されて適温が維持されているのですが、もうひとつの湯尻側の浴槽はぬるくて、湯鈍りを起こしているような感じでした。なお浴槽内で循環させているような様子は見られなかったので、おそらくかけ流しの湯使いかと思われますが、加温や加水、消毒の実施状況は不明です。湯船のお湯には貝汁のような弱い濁りが見られますが、元々そのような濁りを呈するお湯なのか、はたまた湯鈍りなのかという点についても、私には判別できませんでした。


駐車場の飲泉所やお風呂の湯口から出てくるお湯を口に含んでみますと、弱い塩味と微かな出汁味、そして何やら有機的な風味が感じられ、どことなく青森県津軽平野に湧出する食塩泉的な味や匂いに似ています。上述でこの浴場の様子を「青森県の温泉銭湯」と表現しましたが、浴場の造作や構造のみならず、そこで供給される温泉の知覚的特徴までも、青森県っぽいのです。信州と津軽は何百キロも離れていますが、思わぬところで似た特徴を有する温泉に遭遇し、私は東信の地で湯浴みしながら遠く離れた津軽平野の情景を思い出したのでした。
なお湯中ではツルスベ浴感が得られるほか、さほど熱いお湯ではないにもかかわらず、さすが食塩泉だけあって、全身しっかりと温まり、火照って汗が止まらなくなりました。

この地で入浴していたら牛に引かれて善光寺どころか津軽まで連れていかれそうな気がしないでもないのですが、そんな冗談はともかく、温泉入浴にサウナや露天風呂など余計な設備は不要とお感じの方や、かけ流しの温泉が好きな方、そして渋い施設が好きな御仁にはもってこいの温泉浴場かと思います。


ナトリウム-塩化物温泉 42.3℃ pH8.1 湧出量記載なし(掘削自噴) 溶存物質1.920g/kg 成分総計1.924g/kg
Na+:609.6mg(85.33mval%), Ca++:84.2mg(13.51mval%), Fe++:0.3mg,
Cl-:1017mg(92.44mval%), Br-:4.4mg, -:1.4mg, HS-:0.2mg, SO4--:29.3mg, HCO3-:100.9mg,
H2SiO3:55.8mg,
(平成29年12月11日)

長野県東御市布下489‐1
0268-67-3434
ホームページ

日帰り入浴9:00~18:00
500円
ロッカーあり。石鹸類・ドライヤー無し

私の好み:★★+0.5
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霧積温泉 金湯館 2021年9月再訪(後編 お風呂)

2022年06月12日 | 群馬県
前回記事の続編です。


さ、お風呂へ参りましょう。廊下を歩いた突き当たりが浴場です。
宿泊中、私はこの廊下を何度往復したことか。山奥のお宿に一人で泊まっていますから、ご飯を食べる以外に時間をつぶす術が無く、持参した本を読み飽きる度にお風呂へ幾度も通って、全身がふやけるほど思う存分名湯を堪能したのでした。


お風呂は以前拙ブログで取り上げた時の様子と変わっていません。白いタイル張りの浴室に入ると、いかにも霧積のお湯らしい、ふんわりとした卵の匂いと甘くて優しい石膏臭に包まれました。


山奥の宿ですが洗い場は4ヶ所あり、シャワーこそ無いものの、シャンプー類はしっかり備え付けられています。


湯船に張られているのは、霧積のお湯100%の完全かけ流し。無色透明で綺麗に澄んだお湯に入ると、全身に気泡がたくさん付着します。また湯中の肌は青白く見えます。湯中ではサラサラとした軽やかな浴感が肌に伝わりますが、少々石膏泉らしいキシキシ感も得られます。
湧出温度38~39℃のお湯を加温しないで投入しているため、湯船に入った時にはぬるく感じますが、体への負担が軽いまま長く湯に浸かることができ、じっくり長湯すると不思議なほど全身がポカポカと温まります。


湯口に置かれたコップでお湯を飲んでみますと、ほのかなタマゴ味の他、しっかりとした石膏味が口に中に広がります。
館内に掲示されている分析表は比較的簡素なものなので詳しいことは分かりませんが、でもカルシウムイオンが90.22ミリバルl%(473mg)、硫酸イオンが94.41ミリバルl%(1160mg)、と混じりっけが少ないほぼ純粋な石膏(硫酸カルシウム)泉と称すべきお湯であるため、味・匂い・浴感ともに石膏泉らしさがしっかりと感じられます。またお湯の鮮度が良いためか、他の石膏泉にありがちな生臭さのような変な臭いが無いのもうれしいところです。


館内には飲泉できる流し台もありますから、入浴中のみならず、いつでも飲泉できます(あまり飲みすぎないように)。


浴場の近くには、岩清水が出しっぱなしになっている流し台がありますので・・・


風呂上がりの水分補給にゴクッと飲ませてもらいました。キリリと冷えて実にうまい!

歴史ある温泉宿で一晩すごし、自然に抱かれながら素晴らしい良泉にたっぷり浸かったおかげで、東京での仕事で疲弊しきっていた私の身も心もすっかり蘇りました。機会を見つけて再訪するつもりです。


入之湯
カルシウム-硫酸塩温泉 38.9℃ pH表記無し
Na+:55.5mg, Ca++:473mg(90.22mval%),
Cl-:39.2mg, SO4--:1160mg(94.41mval%), HS-:0.3mg,
H2SiO3:37.6mg, CO2:5.3mg,
(平成20年11月18日)
 
群馬県安中市松井田町坂本1928
027-395-3851
ホームページ

私の好み:★★★
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霧積温泉 金湯館 2021年9月再訪(前編 お部屋・お食事)

2022年06月08日 | 群馬県
(2021年9月訪問)
残暑厳しい昨年(2021年)9月、以前拙ブログで取り上げたことのある群馬県西毛地方の霧積温泉「金湯館」へ、避暑を目的として一泊お世話になりました。前回ブログで取り上げた際は日帰り入浴でしたが、今回は宿泊して思う存分名湯を堪能させていただきます。


まずは中山道から分岐して霧積へ向かう細い一本道をひたすら車で走り、そのドン詰まりにある駐車場で車を停めて、携帯でお宿へ連絡します。駐車場から杣道を30分ほど歩いて行くこともできますが、往路は大人しく送迎車を利用させていただくことにしました。木立の陰で日差しを除けながらしばらく待っているとワンボックスの送迎車がやってきました。車には既にお客さんが乗車しており、どうやら横川駅からのお客さんを乗せて上がってきたようでした。


送迎車は険しい林道を走り、やがてお宿の上に到着。下車したところから徒歩で斜面を下って、お宿にチェックインです。
とても山深い秘境にあるお宿ですが、明治17年創業の老舗であり、明治の元勲や文人墨客がこの地を訪ねています。また霧積といえば森村誠一『人間の証明』が有名ですね。この作品は当地を訪れるならば課題図書と言うべき必読の書です。
上画像に写っている正面の母屋は明治16年に建てられて以来使われ続け、いまだに現役という歴史的な建物なんだとか。


そんな明治の木造建築に入ると、天井からランプが吊り下げられており、歴史的建造物ならではの低い天井と相俟って実に良い雰囲気です。そういえば以前訪問した時には秘湯を守る会の提灯がさがっていましたが、現在は無くなっているんですね。ま、私は守る会のスタンプを集めているわけではないので、全然問題ありません。


今回私が通された客室はこちら。入室時には既に布団が敷かれており、すぐにでも横になれる状態でしたが、まずはお風呂に入りたかったので、布団に体を横たえることはしませんでした。山小屋のような秘湯の一軒宿ですが、客室内は旅館としての設備がひと通り揃っています。9月中旬だというのに石油ストーブが用意されており、残暑厳しい時期なのに暖房なんて必要あるのか、と不思議に思ったのですが、日が暮れるとかなり冷え込み、夜中や早朝にはストーブを焚かないと寒くて仕方ないほどでした。避暑どころではなかったのですが、それほど下界と山の中とでは気温が異なるわけですね。


お部屋にはテレビもありますよ。たまに電波が入らないこともありますが、たまにはテレビを点けないで一晩を過ごすのも宜しいのではないでしょうか。なお私の携帯(au)は圏外になったりならなかったり…。テレビと同じくスマホを使わないで翌朝まで過ごすのも一興。精神的な健康が増進すること間違いありません。


お食事はお部屋出しです。
上画像は夕食のお膳。ご当地で採れたものを中心にした山の幸の天ぷらはボリュームたっぷりで非常に美味しく、また上州名物のこんにゃくも美味。


そしてアユの塩焼きや具沢山のけんちん汁も美味しく、白いご飯が進みます。気づけばお櫃のご飯が空っぽになっていました。なお食べ終わったら、お膳を廊下に出しておきます。


朝食も山の幸で彩られており、鱒の甘露煮や山菜のおかず、とろろ芋、キノコのお味噌汁など、健康になれそうな食材を美味しくいただけました。ごちそうさまでした。

さて、次回記事ではお風呂へ参りましょう。

次回に続く
コメント (2)
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上増田温泉 砦乃湯

2022年06月01日 | 群馬県

(2021年9月訪問)
今回記事から群馬県西毛地域の温泉を巡ります。まずは安中市の上増田温泉「砦乃湯」を訪ねます。松井田の市街から県道33号線を北上し、カーナビに導かれるまま途中から山道に逸れ、車が1台しか走れないような細い道を進むと、その突き当たりで急に視界が広がります。「砦乃湯」の駐車場に到着です。


駐車場は広く、30台収容可能なんだとか。この駐車場の真ん中にフェンスで囲まれた設備を発見。どうやら源泉設備のようです。上へ突き出ているパイプは、おそらく曝気用のものでしょう。

建物自体は山間の鄙びた温泉宿を思わせる渋い佇まいですが、宿泊業は営んでおらず、日帰り入浴とお食事のみの営業です。玄関を入って靴を下足箱に預け、受付カウンターの上にある小さな券売機で料金を支払って、下駄箱の鍵と入浴券を受付のおじさんに差し出すと、引き換えに下足箱と同じ番号の札が手渡されます。そして退館時にこの札を返すと、下足箱の鍵がこちらへ戻ってくるシステムになっています。


受付の向かいには大きなお座敷(休憩所)が広がっています。なお入浴せず食事だけの利用も可能だそうです。


受付奥の左手に男女の暖簾が仲良く並んでいます。
この暖簾をくぐるとゆるやかに下るスロープがあり、下りきった先が脱衣室です。室内は明るくて洗面台も広く、ドライヤーも複数用意されていて使い勝手良好です。なおロッカーは100円リターン式ですので、予め小銭を用意しておきましょう。

館内は撮影禁止であり、また公式サイトには浴室内の様子が分かるような画像がないため、以下、お風呂については文章のみでご紹介します。悪しからずご了承ください。

男湯の場合、浴室に入って左手にはサウナと小さな水風呂が配置され、私の訪問時にはサウナ好きのオジサマ達が玉のような汗をかいていらっしゃいました。いまや温浴施設にとって集客のためにサウナは欠かせない設備ですね。
一方、右手の壁側(脱衣室側)には洗い場があり、シャワー付き混合水栓が5基並んでいます。この洗い場と大きな窓の間には主浴槽があり、その寸法は目測で3.5m×2mほどでしょうか、おそらく6~7人は楽に入れる容量を擁しています。壁から湯口が突き出ており、そこからお湯がドボドボと音を室内に響かせながら浴槽へ落とされています。この内湯のお湯は非加温の完全かけ流しのため、時によっては温度が上下するそうです。湯船のお湯はほぼ無色透明で湯の華は少なく、入りやすい温度に維持され、実際に入ってみるとシャキッとした鮮度感が得られました。
なお浴槽の脇には小さな鉢があって、そこにもお湯が注がれていました。おそらく上がり湯として使うのでしょう。

露天風呂の目の前には沢が流れており、杉の木立に囲まれた緑豊かな環境で、せせらぎを耳にしながら入浴することができます。露天の湯船は女湯との仕切り塀の傍にあり、3分の1ほどに屋根が掛けられています。この露天エリアはそこそこ広いので、開放感を得ながらのびのびと寛ぐことができるでしょう。
露天の湯船には内湯と同じ源泉の温泉が投入されているのですが、内湯は非加温であったのに対し、露天は温度低下をカバーするため加温されており(41~42℃に維持されていました)、この影響なのか無色透明である内湯のお湯とは異なり、露天のお湯は薄く暗い赤黒色に濁っていて、薄い褐色の湯の花もたくさん浮遊していました。内湯と同じくかけ流しなのですが、加温が原因なのかお湯の鮮度が若干落ちているように感じられ、私個人としては内湯の方が断然気に入りました。

内湯の湯口から注がれるお湯を口に含んでみますと、淡い塩味と重曹的な清涼感のあるほろ苦みが感じられます。またアブラ臭というよりはカーボンを思わせるような香りも嗅ぎ取れます。湯船ではツルスベ系のしっかりとした滑らかな浴感が肌に伝わってきました。上述の通り、加温については内湯と露天で異なりますが、加水循環ろ過消毒が行われていない点については内湯・露天ともに共通です。
静かな環境で自然を感じながらのんびりとかけ流しの温泉に入れる、利用価値の高い入浴施設でした。


砦乃湯
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 40.8℃ pH8.0 蒸発残留物1.22g/kg 成分総計1.76g/kg
Na+:470mg,
Cl-:214mg, HCO3-:959mg, CO3--:3.6mg,
H2SiO3:54.6mg, HBO2:22.7mg,
(平成31年1月11日)
加水循環ろ過消毒なし
内湯は加温なし。露天は加温あり(外気温との調整のため)

群馬県安中市松井田町上増田2164
027-388-1177
ホームページ

10:00~20:00(最終受付19:00) 水曜定休
600円(温泉ニフティに割引クーポンあり)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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