温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

矢指ヶ浦温泉館

2024年01月26日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年2月訪問)
前回記事に続いて外房の魅力的な鉱泉を巡ってまいります。今回取り上げるのは県内では歴史ある鉱泉宿「矢指ヶ浦温泉館」です。1952(昭和27)年に千葉県温泉指定の第一号を受けた鉱泉で、その渋い佇まいは温泉ファンから支持を集めており、日帰り入浴も可能なので、私も訪問してみることにしてみました。
九十九里浜に沿って伸びる県道30号線を東に向かって走ると、施設の看板が目に入ってきます。施設自体はこの看板の下から左の路地に入ればすぐなのですが、車の場合はここを右に曲がって・・・


廃車体が放置されているこの場所(お寿司屋さんの向かい)に車を停めます。3〜4台は駐車できるでしょうか。


なお駐車場の目と鼻の先は九十九里浜ですので、お風呂上がりにこの雄大な景色を眺めるもの良いかと思います。


さて、車を停めて県道を横断し、お宿の施設に向かいましょう。一軒すると民家と見紛うような佇まいのお宿で、玄関もまさに民家そのもの。私が訪ねたのは14時半頃。引き戸を開けてごめんなさいと声をかけ、出てきて下さった女将さんに日帰り入浴をお願いしますと、コロナの影響で入浴は15時からになったとのことですが、お湯がちょうど沸いたところだったので、一番風呂に入れさせていただきました。


祖父母の家へお邪魔しているような感覚で館内を進み、お風呂の暖簾をくぐります。さぁ、どんなお湯に出会えるのかしら。


お風呂は内湯のみでかなり年季が入っており、長年にわたってお客さんを癒してきた浴槽のタイルは、入浴客の疲れを吸い取り続けてしまったのか、やや草臥れて変色していました。ガラス窓の外はのどかな農村の景色。鄙びた昭和の鉱泉宿という表現がピッタリです。


こちらの源泉は冷鉱泉ですので加温しており、おそらく循環も行われているかと思われます。そのお湯は無色透明に見えますが、薄っすら黄色を帯びているのかもしれません。お湯に浸かると弱いツルスベ浴感があり、良く温まります。


浴槽用の水栓を開けると、非加温の新鮮な生冷鉱泉が出てきます。この冷鉱泉を風呂桶に溜めると、はじめは泡立って白く濁るのですが、やがて無色透明になりました。驚くべきはこの冷鉱泉の味と匂い。まるで茹で卵の卵黄を思わせる濃厚な硫化水素の香りと味が感じられるのです。外房といえば、濃い目のモール泉か、ガス湧出を伴う鹹水かのいずれかかと思っていましたので、この立地でチオ硫酸イオンらしさが際立つタマゴ感の鉱泉に出会えるとは想像だにしませんでした。なおこのタマゴ感の他には弱い土気も感じられましたが、海の近くにもかかわらず塩気は得られませんでした。


館内に掲示されている昭和28年の古い分析表によれば、泉質名が「含ヨウ素食塩泉」と表記されています。千葉県域では明治期から天然ガスの掘削が行われており、現在も県内の一部エリアでは天然ガスの地産地消が行われています。特に外房エリアの北部(九十九里一帯)はガス田が多く点在しており、矢指ヶ浦温泉も元々は天然ガス掘削のついでに出た鉱泉を浴用に提供していたそうですから、天然ガスを伴う鉱泉は一般的にヨウ素を多く含む鹹水であることを考えると、矢指ヶ浦温泉の鉱泉もかつてはヨード臭をプンプンと漂わせる塩辛い鉱泉だったのかもしれません。それが長年の汲み上げに伴って次第に泉質が変化し、現在のタマゴ水のような特徴を有するようになったのでしょう。
のどかで静かな環境のもと、非加温の冷鉱泉をたっぷり堪能させていただきました。このような鉱泉宿が長く続いてくれることを祈っています。


千葉県旭市足川3918
0479-64-2218

日帰り入浴15時以降(終了時間は施設へお問い合わせください)
650円

私の好み:★★+0.5
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飯岡福祉センター 飯岡温泉

2024年01月21日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年1月訪問)
地熱資源や温泉資源に恵まれている日本でも、千葉県は例外的に地熱にあまり恵まれず、それゆえ25℃以上で湧出する温泉法上の温泉も多くなく、浴用に供される鉱泉のほとんどは冷鉱泉として湧出しているのですが、冷鉱泉だからと侮るなかれ、千葉県の冷鉱泉は個性的なものが多く、その個性も強烈なものばかり。そこで今回から千葉県の鉱泉をいくつか取り上げてまいります。まずは外房の「飯岡温泉」から。
かつて当地は海上郡飯岡町でしたが市町村合併によって現在は旭市の一部になっています。その旧飯岡町の役場があった付近には、上画像のようなシンメトリな造りの建物があり、右側は旭市の保健センター、そして左側が・・・


今回の目的施設である「飯岡福祉センター」です。この建物の1階に鉱泉を沸かした入浴施設があり、基本的には地元市民向けの福祉目的として提供されているのですが、市外の者でも利用可能ですので、都民の私も利用させていただきました。


いかにもお役所然とした窓口で入浴したい旨を申し出ますと、所定の用紙へ住所・氏名・電話番号の記入を求められました。指示通りに用紙へ記入し、市外利用者の料金を支払って・・・


受付前のホールを横切り・・・


廊下を進んで、奥にあるお風呂へ向かいます。
こちらの施設では2室あるお風呂を曜日によって男女の暖簾を替えており、私が訪問した日は手前の浴室が男湯となっていました。
脱衣室は飾りっ気のないシンプルな造りで、室内にはロッカー付きの棚が設置されているほか、ドライヤーが1台備え付けられています。

訪問時は地元のお爺さんたちでかなり混み合っていたため、お風呂の様子については文章のみで紹介させていただきます。
浴室内の洗い場にはシャワー付きカランが計8ヶ所あり、うち1か所は立って使うタイプです。浴槽は内湯の一つのみで、露天風呂など内湯浴槽以外の設備はありません。浴槽は大きな窓に面しており、キャパシティーとしては10人強といったところでしょうか。
特筆すべきは浴槽に張られたお湯の見た目。いわゆる黒湯なのですが、墨汁のように真っ黒であり、その透明度は10センチ程度という濃さ。よく見るとやや茶色を帯びており、イカ墨にも似たような感じです。お湯からは消毒臭が放たれていますが、源泉由来の苦味や版画インクのような匂いが感じられ、湯船に入るとニュルニュルスベスベと表現したくなるようなとても強い滑らかさに大変びっくりしました。分析表によるとフミン質(腐植質)がなんと167.8mgも含まれており、しかも純重曹泉というべき泉質であり、それゆえ非常に濃い黒さと驚く程の滑らかな浴感が現れているのでしょう。なお房総エリアの鉱泉といえば鹹味やヨード臭などを有することが多いのですが、こちらの鉱泉ではいずれも感じられませんでした。濃いモール泉と言ってよいかと思います。

私が湯船に入っていると、同じく入浴中のお爺さんたちは、備え付けのネットで湯面に浮いた繊維っぽい浮遊物を懸命に掬っていたのですが、あれはフミン質の多い温泉でよく見られる温泉成分なのではないかと思われます。おそらくお爺さんたちは風呂垢のつもりで掬い取っていたのでしょうけど、泉質由来なので取っても取ってもキリがなく、途中であきらめていました。
いずれにせよ非常に個性的な鉱泉ですので一浴の価値はあります。


飯岡温泉
ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉 13.6℃ pH8.4 湧出量測定不能(動力揚水) 溶存物質1.91g/kg 成分総計1.94g/kg
Na+:455.8mg(93.20mval%),
HCO3-:1141mg(96.74mval%), Cl-:9.2mg, I-:0.1mg, Br-:0.2mg,
H2SiO3:78.5mg, 腐植質167.8mg,
(平成28年3月24日)

千葉県旭市横根3520
0479-57-5577
紹介ページ(旭市公式サイト内)

浴室営業時間11:00~15:00または16:00
市外300円
ロッカー・石鹸・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

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熱海駅前温泉(田原浴場) 濃い濁り湯だった某日

2024年01月14日 | 静岡県

(2023年1月訪問)
近年は観光客が戻りつつある熱海。需要が高ければ相場も上がるため、最近熱海で温泉に入ろうとすると料金が比較的高めに設定されており、その金額を目にしてたじろぐこともしばしばです。また慎重に施設を選ばないと高いばかりか、お湯もいまいちだったりしますから、熱海での入浴は施設数の割りに意外と難しかったりします。そんな中で、昔から鉄道利用者にとっての有難い見方が「熱海駅前温泉(田原浴場)」です。
拙ブログでは今まで「既に取り上げているはず」と私が勘違いして紹介から漏れてしまっている施設がいくつもありますが、この「熱海駅前温泉」もそんな紹介漏れ施設のひとつ。とっくにブログでご紹介していたかと思っていましたが、調べてみたら今まで一度も触れたことが無かったため、ようやく今回取り上げさせていただきます。私は今までこちらのお風呂に何度かお世話になっていますは、今回ご紹介するのは2023年1月に利用した際の記録です。この時は湯船のお湯の色がいつもと変わっていたため、そのことも含めてご紹介させていただきます。

上画像は熱海駅の外観です。この新しい駅ビルがオープンしたのは2016年の秋ですから、早いものでもう7年以上も経っているのですね。


駅から歩いて2分もしないうちに「熱海駅前温泉」へ到着です。熱海駅前振興会館の1階。本当に駅前なんですよね。学生時代など青春18きっぷで貧乏旅をしていた頃には、ここで何度もお世話になり、その都度旅の垢を落としました。外観は昔から変わっていません。玄関入ってすぐのところにある番台で湯銭を支払い、領収証をもらって・・・


貴重品をロッカーに収めつつ、左側の通路を進みます。この通路の奥にはいわゆるパウダールームと称したら良さそうなスペースがありますので、お風呂上がりに身支度を整えたい方は活用すると良いでしょう。


脱衣室へ向かいます。脱衣室にはいかにも昭和の銭湯という風情を強く漂わせる手書きの広告が掲出されており、また、荷物を納めるロッカーはアルミ板の松竹錠で施錠します。昭和を舞台にしたドラマや映画の撮影にもってこいかもしれませんね。なお室内には扇風機の他にエアコンも設置されていますので、四季を通じて快適に利用できます。ドライヤーが無料で使えるのはありがたいところです。


2023年1月に利用した際には、脱衣室へ入るドアに「温泉に濁りがありますが成分には問題ありません」と書かれた紙が貼り付けられていました。温泉は生き物ゆえ、その時々によって温度のみならず色合いや匂いなどが常に変化するものですから、多少の変化は当然のことと捉えたいものです。


こちらが浴室。昭和の面影を強く残すタイル張りの渋い温泉銭湯です。
右の壁に沿ってL字型にシャワー計7基設置されています。シャワーから出るお湯はボイラーの沸かし湯で、吐出圧力は良好です。なお石鹸類の備え付けはありませんので、事前に用意するかあるいは番台で購入することになります。


浴槽はごくごく普通の四角形。右手前の柱がちょっと邪魔ですが、でも柱の右奥からも入れますので、3~4人でしたら問題なく浸かれるでしょう。湯船の湯加減はちょっと熱め。この熱さにおののくお客さんを私はここで何度か目撃しています。今回の利用時も、後から来た若いお客さんが湯船に入ろうとしたら、彼にとってこの湯船はかなり熱かったらしく、つま先だけお湯に入れただけで湯船に入ることができずに出ていってしまいました。


温泉が出るの蛇口の先には火傷防止のためなのかパイプが被せられています。源泉温度が高めなので加水されていますが、循環消毒は行われていない無いかけ流しの湯づかいです。

さてこちらのお湯は、いつもでしたらほぼ透明ながら僅かに茶色を呈して薄い茶色の浮遊物が舞う貝汁濁りのお湯なのですが 、この日は源泉の事情によるのか赤く濁っていました。しかも底が全く見えないほどの濃い濁りです。たしかに脱衣室入口ドアには「温泉に濁りがあります」と案内されていましたが、ここまで濁っているとは予想だにせず、こんな現象が起きるとは知りませんでした。

お客さんによっては施設の古さや湯船の熱さに腰を抜かして出て行ってしまうこともありますが、私にとってはこの熱さがとても気持ちよく、肩までしっかりと、そしてじっくりと湯あみさせていただきした。いかにも熱海のお湯らしく、温泉を口に含むとしょっぱく且つ苦汁味を含み、ほのかな磯の香りが感じられます。また湯中では引っかかる感触とトロミが同時に感じられ、特に入りしなはお湯が肌に染み込んでくるような感覚を得られます。硫酸塩泉と塩化土類泉の両方の特色を兼ね備えたような泉質と表現したらよいのでしょうか。なお赤い濁りですが金気はあまり感じられませんでした。

濃い食塩泉なので非常に火照るのですが、お湯の良さゆえに後を引き、ついつい湯船に長く浸かってしまいました。お蔭様で心身がよく温まり、厳冬期なのにしばらくは外套要らずで外を歩けたほど。
駅前のという便利な立地でワンコインでかけ流しの温泉に入ることができる、熱海の良心と言うべき公衆浴場です。


熱海389号
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 74.3℃ pH7.09 成分総計6.227g/kg
Na+:1244mg, Ca++:781.6mg, Fe++:2.2mg,
Cl-:2917mg, SO4--:1016mg, Br-:5.9mg, HCO3-:46.2mg,
H2SiO3:84.9mg, HBO2:12.0mg, CO2:10.1mg,
(平成20年3月24日)
加水あり(源泉の温度が高いため)
加温・循環・消毒なし

静岡県熱海市田原本町8-16
0557-81-3417

14:00~21:00 水曜定休
500円
ロッカー・ドライヤーあり。石鹸類の備え付けはなし(番台にて販売)

私の好み:★★★

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網代温泉 竹林庵みずの(日帰り入浴)

2024年01月08日 | 静岡県
(2023年1月訪問)
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。新年1回目の記事は伊豆の網代温泉「竹林庵みずの」で日帰り入浴した際の記録を書き綴ってまいります。


車で熱海方面から伊東方面へ海沿いを南下して、網代の市街地をちょっと過ぎた先を丁字路を山側へ右折し、道なりに進んで急な坂を上がっていきます。その坂の途中には「竹林庵みずの」で使われている温泉の源泉井があり、今からここで湧いたお湯に浸かるんだ、という意識を持ちながら更に急坂を上がってゆくと、やがて道はどん詰まりになり、その先が今回の目的地です。


お宿はいかにも伊豆らしい急傾斜地の上に立地しており、下から見上げた感じでは敷地が狭そうに思えるのですが、実際には奥に広く、駐車場もまずまずの市ペースが確保されています。


なんと駐車場の向こう側には厩舎や乗馬場があり、その近くには足湯も設けられていました。
山の斜面に広大な敷地が広がっているのですね。


さてお風呂に入らせていただきましょう。こちらのお宿では日帰り入浴も受け入れているのですが、基本的に予約をしてからの利用となりますので、私も事前に電話で予約し、利用時間を決めてから訪問しました。
玄関の引き戸は古民家風の設えで重々しい感じがしますが、実は自動ドアですので、近づくだけで勝手にすっと開いてくれます。
フロントで事前に日帰り入浴で予約してある旨を伝えて料金を支払いますと、スタッフの方がお風呂へ向かうための専用の外履きを履く勝手口のようなところまで案内してくださいました。そして、その場でお風呂の鍵を渡されました。なぜ鍵が必要かといえば、いわゆる大浴場ではなく、貸切風呂だからです。それゆえ事前予約制を採用しているのでしょう。


外履きで屋外の通路を歩き、宿泊棟の前を通過します。なお、この宿の客室は多くが温泉浴室を備えており、人気が高いため週末はかなり先まで予約で埋まっています。私も本当は宿泊で利用したかったのですが、なかなか自分のスケジュールと空き室状況がマッチしなかったため、日帰り入浴で訪問することにしたのでした。


宿泊棟を過ぎた先にある白い壁の建物が貸切風呂の個室群です。記憶が定かではないのですが、この棟にはおそらく4室はあったかと思います。こちらのお宿には貸切風呂が3種類、計6室あり、そのうち4室が今回取り上げる「眺め湯」、そして大きな浴槽と2面の眺望が特徴的な「竹林」と、屋根が無い露天の「天空」です。


今回私があてがわれた浴室は「眺め湯」のひとつである「三日月」です。鍵を開けて中に入ると・・・


明るくて広く綺麗な部屋であることにびっくり。しかも窓の向こうには相模灘が広がっているではありませんか。実に素晴らしい!


室内はエアコン完備です。入って左側には流し台などが身支度を整える設備が配置されており・・・


右側には衣類や荷物を収める棚と籠が設けられています。なお更衣ゾーンとお風呂の間には仕切りが無いので、余計に広々と感じられます。


窓はシャッターになっています。私が訪ねたのは1月でしたから入室時は防寒のために閉められていましたが、セルフで開閉することも可能ですので、私は開けたまま湯浴みさせていただきました。


総檜造りの浴槽は3人ほど入れそうな大きさを有し、2人でしたら余裕をもってゆったり入れます。貸切風呂でこのゆとりがあるサイズ感はありがたいですね。海を臨む展望テラスには2人用の籐の椅子があり、初島が浮かぶ相模灘を眺めながらのんびり過ごせます。もちろん湯船からの眺望も佳。高い位置にあるため見晴らしが素晴らしく、絶景を独り占めしながら湯浴みできるのです。


貸切風呂ですが予め湯船にはお湯が張られており、丁度良い塩梅に熱い源泉コックを開けてくれているので、自分で湯温調整することなく入浴できました。自分で調整することも可能ですが、下手にいじらない方が良いかもしれません。なお「冷泉」と書かれたコックから出るのは、単なる冷水ではなく、冷ました温泉のようであり、コックを開けると見るからに濃そうな色合いの冷泉が水栓から出てきました。


湯船のお湯はオリーブグリーンを薄くして且つ灰色みを帯びたような緑色、そして黄褐色をミックスさせたような複雑な色合いに弱く濁り、同色や褐色の微細な湯の花が湯中で無数に浮遊しています。無色透明なお湯が多い伊豆では珍しい濁り湯です。お湯を口に含んでみますと非常に塩辛く苦汁の味もあり、湯口でタイヤを思わせる黒ゴム的な匂いが漂ってくる一方、見た目に反して金気の味や臭いは少なく、他の匂いもあまり嗅ぎ取れません。味は濃いのに対して匂いは比較的弱いようです。むしろ湯船では檜の香りがしっかり感じられます。湯船に浸かると引っかかる浴感とトロミが共存しているように肌へ伝わります。
湯使いに関して、室内に掲示されている分析表では加温加水循環消毒ありと書かれているのですが、館内の別の案内では加水加温無しと書かれ、また浴槽の様子を見ても循環しているような構造ではないので、完全かけ流しと捉えて差し支えないかと思います(間違っていたらごめんなさい)。成分総計18.23gという非常に濃い食塩泉ですので入浴後はパワフルに火照りますが、浴感が素晴らしいため、火照るにもかかわらずなぜか後ろ髪を引かれて湯船から出たくなくなってしまいました。

景色も良いし風呂も最高。次回こそはタイミングを合わせて宿泊し、宿の魅力を存分に楽しんでみたいものです。


網代13号泉
カルシウム・ナトリウム-塩化物温泉 66.4℃ pH7.8 成分総計18.23g/kg
Na+:3244.0mg, Ca++:3358.0mg, Fe++:3.0mg,
Cl-:10850.0mg, Br-:10.2mg, I-:0.4mg, SO4--:274.8mg,
H2SiO3:164.9mg, HBO2:23.8mg, CO2:37.4mg,
(平成29年1月13日)

静岡県熱海市網代627-363
0557-67-2643
ホームページ

日帰り入浴は要予約(電話受付は9:00~18:00)
入浴開始時刻は13:00もしくは18:00のいずれか。1回60分。
3000円(ハンドタオル付)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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