温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

中山平温泉 菊地旅館

2017年11月29日 | 宮城県
本年(2017年)10月から連続してアメリカ西海岸の温泉を取り上げてまいりましたが、拙ブログの読者の皆様にとって海外の温泉はあまりご興味が無いようですので、今回からしばらくは日本の温泉に戻り、また間をあけてアメリカの温泉を取り上げるつもりでおります。今回はみちのくの中山平温泉です。


 
中山平温泉の旅館分布は、国道47号沿いと、国道から陸羽東線の線路に寄り添う形でに南側へぐるっと迂回する細い道沿いの2エリアに区分することができます。以前拙ブログでは後者のエリアに属する「あすか旅館」を取り上げたことがありますが、今回紹介する「菊池旅館」はそのご近所、ほとんど隣といっても差し支えないような場所にあります。湯治宿泊と休憩をメインとして営業しているようですが、この日は入浴のみの利用で伺いました。



駐車場の前に建つ小さな建物は源泉でしょうか。後述しますが、こちらの温泉は源泉を3本持っているんだとか。


 
玄関の引き戸を開けると、目の前のお座敷にご主人がいらっしゃったので、入浴したい旨を申し上げますと、いまは先客が利用中ですが間もなく上がるはずなので、それまで座敷で待っていてほしいと対応してくださいました。こちらのお宿には二つの浴室があり、本来は男女で使い分けているのですが、訪問時のご主人は足を痛めており、広い男湯のメンテナンスができない状態であったため、コンパクトな女湯のみで営業しており、このため先客がいるとその場で待つ必要があったのでした。

さて座敷の囲炉裏端でご主人と四方山話をしているうち先客が上がったので、その入れ替わりに私が入浴させていただきました。玄関前の廊下を進んだ突き当たりが浴室です。



お風呂へ入る前に、訪問時クローズされていた大浴室をちょっと見学。モルタルの壁に豆タイルが貼られた昭和の風情たっぷりな室内には、左右にそれぞれ1つずつの浴槽が平行に並んで据えられており、それぞれにしっかりとお湯が注がれていました。浴室自体は使っていなくとも、お湯は絶え間なく供給されるようです。


 
2つの浴槽はほぼ同じ大きさかと思われ、いずれも縁は木で槽内は豆タイル貼りなのですが、一方には小さな仕切りのような塀が括りつけられていました。湯船に入った時だけ機能するような目隠しとして設置されたのでしょうか。正直なところ、こちらのお風呂にも入りたかったのですが、ご主人がお手入れできていないお風呂に入るのは大変失礼ですので、ここは見るだけに留め、小浴室(女風呂)へ戻ることにしました。


 
タイル貼りの小浴室は実用本位のコンパクトな造りですが、室内には温泉由来のアブラ臭が漂っており、その芳香は湯の香にうるさい一部の温泉ファンを喜ばせるに十分な要素を有しています。


 
浴槽は1.8m×1m弱の立方体で2~3人サイズ。昭和の趣きを強く残す古い豆タイル貼りです。浴槽の左奥に石組みの湯口があり、その内部にはバルブ付きの配管が隠されていました。その湯口から出てくるお湯の量は、一見するとさほど多くないように思われるのですが、浴槽の容量に対しては十分のようであり、私が湯船に入るとお湯は勢いよくザバーっと溢れて室内が軽い洪水状態になり、その後しばらくは湯船の嵩が減ってしまうのですが、ものの数分で湯嵩は回復し、私が湯船から出た後も途切れることなくお湯は溢れ続けました。

お湯は薄い麦茶を思わせる淡い褐色で、湯中では同色の浮遊物がチラホラと舞っています。お湯を口に含むと麦茶のようなほろ苦さが感じられるほか、上述したようなアブラ臭、具体的にはミシン油を連想させるような鉱物油臭がふんわりと嗅ぎ取れます。中山平温泉といえばニュルニュルのウナギ湯を思い浮かべる方も多いかと思いますが、あの手のお湯が出るのは蒸気泉を使っている国道沿い施設が多く、こちらのように蒸気泉ではなく一般的なお湯の状態で湧く温泉については、アルカリ性泉らしい滑らかなツルスベ浴感が特徴的です。湯使いはもちろん完全掛け流し。淡いアブラ臭とツルスベ浴感に包まれながら、満足のゆく湯あみを楽しむことができました。

お風呂から上がると、ご主人がお話を交えながら鳴子温泉に関する様々な資料を見せてくださいました。また、こちらのお宿のお湯についても説明してくださり、計3本の源泉を有していることも教えてくださいました。1本目は昭和初期のもので、2本目は現在使っている昭和32年掘削の源泉井、3本目は昭和40年代に掘った硫黄の白濁湯ですが現在は使っていないんだそうです。一見すると渋くて鄙びた宿に見えますが、それでも複数の源泉を有しているのですから、いかに中山平温泉は温泉資源が豊富であるかがわかります。


高砂湯
単純温泉 59.1℃ pH7.8 溶存物質503.7mg/kg 蒸発残留物371.6mg/kg
Na+:67.4mg(93.91mval%),
Cl-:5.7mg(4.82mval%), S2O3--:0.3mg, SO4--:9.1mg(5.72mval%), HCO3-:179.0mg(88.25m,val%),
H2SiO3:235.3mg, H2S:0.1mg,
(平成21年9月16日)
加水加温循環消毒なし

陸羽東線・中山平駅より徒歩15分(1.2km)
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼54-1  地図
0229-87-2420

日帰り入浴時間10:00~20:00
550円
ボディーソープあり

私の好み:★★+0.5

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アメリカの目次

2017年11月27日 | アメリカ
2018.2.27更新

当ブログで記事にしてきたアメリカの温泉を一覧にしました。州別に分けています。



●カリフォルニア州
シカモア・ミネラルスプリングス・リゾート Sycamore Mineral Springs resort
 前編(客室のお風呂)
 後編
パソロブレス市 フランクリン温泉 Franklin Hot Springs
パソロブレス市 リバーオークス温泉 River Oaks Hot Springs
サンタバーバラ郡 ガヴィオタ温泉 Gaviota Hot Springs
テコパ温泉 Tecopa Hot Springs Resort
テコパ温泉 Tecopa Hot Springs(公衆浴場)
テコパ温泉の野天風呂 Tecopa Hot Tub
キーオ温泉 温泉の川  Keough Hot Ditch
ロングバレーカルデラ温泉群 The Rock Tub
ロングバレーカルデラ温泉群 Shepherd Hot Spring
ロングバレーカルデラ温泉群 Crab Cooker Hot Spring
ロングバレーカルデラ温泉群 Hilltop Hot Spring (Pulky's Pool)
ロングバレーカルデラ温泉群 Crowley Hot Spring (Wild Willy's)
ロングバレーカルデラ温泉群 Little Hot Creek Hot Spring
ロングバレーカルデラ温泉群 Hot Creek Geothermal Area
ベントン温泉 Benton Hot Springs B&B
 前編(宿の様子)
 後編(温泉露天風呂)
ファレス温泉 Fales Hot Springs
トラバーチン温泉 Travertine Hot Springs
バックアイ温泉 Backeye Hot Springs
 前編(上の湯)
 後編(下の湯)


●ネバダ州
フィッシュレイクバレー温泉 Fish Lake Valley Hot Springs
カイル温泉 Kyle Hot Springs
リースリバーバレー温泉 Reese River Valley Hot Springs
スミスクリークバレー温泉  Smith Creek Valley Hot Springs
スペンサー温泉  Spencer Hot Springs
モニターバレー温泉 Monitor Valley Hot Springs (Potts)
ダイアナズ・パンチボール  Diana's Punch Bowl
アルカライ温泉 Alkali Hot Springs
ワームスプリングス Warm Springs
アッシュスプリングス Ash Springs
クリスタルスプリングス Crystal Springs
キャリエンティ温泉 Caliente Hot Springs Motel And Spa
パナカ温泉の池 Panaca Hot Springs



●ユタ州
メードー温泉 Meadow Hot Springs
ミスティック温泉 Mystic Hot Springs


●ワシントン州
ワシントン州 オリンピック国立公園の野湯 Olympic Hot Springs



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バックアイ温泉 Backeye Hot Springs 後編(下の湯)

2017年11月25日 | アメリカ
前回記事の続編です。
バックアイ温泉には2つの天然露天風呂があります。前回記事では斜面の上に設けられた露天風呂「上の湯」をご紹介しましたが、今回取り上げるのは、川面のそばにある「下の湯」です。


眺めの良い斜面上の露天風呂「上の湯」に入りながら目下を流れる渓流を見つめていると・・・



斜面と川が接するところに茶色い石灰華ドームがせり出ており、その表面からゆらゆらと湯気が上がっていることに気づきました。そこで・・・



一旦服に着替えて、斜面を下ってドームの前までやってきました。間近で見ると、かなり巨大で立派なドームであることがわかります。そしてドームの直下に大きな湯溜まりがあることも確認できます。


 
ドームの上の斜面には複数の源泉があり、湧出した温泉が斜面を流れ落ちる過程で石灰華ドームが形成されたのでしょう。あのような巨大なドームですから、相当長い年月を経ているものと思われます。源泉の中でも湧出量の多い箇所で温度を計測してみたら、60.1℃という数値が表示されました。なかなかの高温ですね。


 
湧出した温泉は斜面を下り、そしてドームの表面を流れ落ちてゆきます。絶え間ない温泉の流れが、ドームを少しずつ、そして着実に成長させているのでしょう。


 
ドームの上を流れてきた温泉は、湯気を上げながらドーム下の湯溜まりへ垂直に落ち、その湯溜まりを天然の露天風呂にしていました。誠に勝手ながら拙ブログではこの露天風呂を「下の湯」と名づけさせていただきます。



6~7人は余裕で入れそうなサイズを有するこのプリミティヴな露天風呂。ちょっと浅いので、寝そべらないと肩までお湯に浸かれませんが、広さは十分なので、うまい具合に場所を見つけて足を伸ばし、露天風呂を囲っている石組みを枕にして入浴すると、なかなかよい塩梅で湯浴みできます。ただし、川面とほぼ同レベル(水位)にあり、石組みで隔てているだけなので、川がちょっとでも増水したら、この湯船はたちまち川に飲み込まれてしまうでしょう。雪解けシーズンや長雨のタイミングですと、もしかしたら入浴できないかもしれません。


 
前置きが長くなりましたが、私もこの湯船に入ってみました。源泉で60℃近い高温だったお湯も、ここまで流れ落ちてくる間に冷却され、湯船では40.8℃という絶妙な湯加減に落ち着いていました。「上の湯」では湯泥の影響でグレーに濁っていたお湯も、この「下の湯」では無色透明な状態が維持されており、重炭酸土類泉のような特徴、すなわち弱金気や弱土気、そして仄かな炭酸らしさも感じられました。もうちょっと深さがあれば完璧なのですが、野湯にそんなことを期待するのは無いものねだり。これだけの要件が揃っているでも十分です。



ドームの下は大きくえぐれて洞窟のようになっているので、その中にも入ってみました。内部はちょっとしたミストサウナ状態。天然の蒸し風呂です。直射日光が遮られるので、落ち着いて入浴できるもの良いですね。私はこの天然蒸し風呂の中でしばらく瞑目しながら湯浴みさせていただきました。気持ち良かったですよ。

眺めの良い「上の湯」と石灰華ドーム直下の「下の湯」、それぞれ趣向が異なる2つの露天風呂が楽しめるバックアイ温泉。私は非常に気に入りました。おすすめです。



GPS:38.239846, -119.325792,(駐車場)

常時利用可能(ただし冬季はアクセス困難かも)
無料
野湯につき備品類なし

私の好み:★★★


さて、先月中旬から連続して取り上げてきましたアメリカの温泉シリーズは一旦ここで小休止。次々回からは日本の温泉に戻ります。
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バックアイ温泉 Backeye Hot Springs 前編(上の湯)

2017年11月23日 | アメリカ
ブリッジポートの街から西へ向かった山の中に"Backeye Hot Springs"という面白そうな野湯があるという情報を得たので、行ってみることにしました。

 
ブリッジポート市街地の西端にあるGS(シェル石油)の角を南へ曲がり、"Twin Lakes Rord"という通りを道なりに進んでゆきます。



草をはむ牛たちを尻目に牧場の真ん中を突き抜け山の麓へ。


 
市街地から7.1マイル走ると、右手に"Backeye Road"という道が分かれますので、この道へ入ります。


  
道はまもなくダートになりますが、普通車でも問題なく走行できます。運転中にバックミラーを覗いたら、後ろに聳えるシエラネバダの山々があまりに美しかったので、その場で車を降り、青い山脈を背景に今回の旅の相棒であるレンタカー(JEEP Renegade)の姿を撮ってみました。SUVにはワイルドな景色がよく似合いますね。


 
坂道で山の裾野を上がってゆくと、やがて道の東側の視界が開け、市街地やその北側に水を湛える巨大な貯水池、そしてブリッジポート周辺に広がる平原を一望できる高台に出ました。言葉を失うほどの雄大な景色に感動! なお目下の平原を挟んだ向こう側(東側)の丘に、前回記事のトラバーチン温泉があるはずです。


 
道は再び森の中へ入り、ウネウネとしたカーブが続きます。途中でいくつか分岐がありますが、道しるべが立っているので迷う心配はありません。


 
右へ大きくカーブしながら一本の川を渡ると、まもなく広い駐車場に行き当たりますので、ここで車をとめます。この駐車場は緩やかな谷底の川をも見下ろす高台に位置しており、針葉樹林の彼方に先ほどの道から眺めた平原の景色が広がっていました。目指す温泉はここからすぐのところにあるはず。


 
駐車場から川の上流に向かって一本の杣道が伸びているので、ひとまず歩いてみることに。歩き始めてすぐ、足元に石で囲まれた小さな湯溜まりを発見しました。たしかにここでは温泉が湧いているのですね。でもこの湯溜まりは浅い上に汚らしかったので、見るだけに留めて更に先へ。



あれれ? 大樹の裏で何かキラキラ光っているぞ。



煌めいていたものとは、温泉のホットタブでした。川を見下ろす見晴らしの良い斜面の上に、地形を上手く生かして巧みに作られており、谷側は石でしっかりと固められています。お湯は足元もしくは側面から自然湧出しており、4~5人は同時に入れそうなキャパを有しています。お湯は本来無色透明かと思われますが、底に溜まる泥のため、湯船の中は濃いグレーに濁っていました。拙ブログではこの露天風呂を便宜的に「上の湯」と名づけさせていただきます。


 
ご覧のような素晴らしいロケーションです。ホットタブといっても、地面を軽く穿ち、その周囲を石で固めて、自然湧出する温泉を溜めただけでという極めてプリミティヴなものであり、底には湯泥が溜まっているためか、一般的なバスタブよりも浅い造りなのですが、寝そべれば肩までお湯に浸かることができるので、姿勢を工夫すればしっかり温まれます。



というわけで、入浴させていただきました。開放的な環境で入る温泉は、実に気持ち良い!
素晴らしいロケーションで野湯が楽しめるという情報はアウトドア愛好家の間で広く知れ渡っているのか、私が湯浴みしていると次々に後客がやってきて、その場で着替えて気持よさそうな表情を浮かべて入浴していました。洋の東西を問わず、温泉は人々の心身を癒すものであり、人々はそんな温泉を求めてあちこちを逍遥するのですね。



さて、湯あみをしながら下を流れる川を眺めていますと、お風呂の下に広がる斜面が川と接するところに、大きくて茶色い石灰華ドームがせりでており、そのドームの上や下などいろんなところから湯気が上がっていることに気付きました。湯気が上がるということは、温泉が流れているのでしょう。ということで、続いてはこの石灰華ドームへ向かうことにしました。

次回に続く

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トラバーチン温泉 Travertine Hot Springs

2017年11月21日 | アメリカ
カリフォルニア州中部のモノ郡ブリッジポート(Bridge Port)という街には、アウトドア愛好家の間でとても有名な野湯があるらしいので、どんな温泉に出会えるのか、実際に行ってみることにしました。


 
今回目指す温泉の名前はトラバーチン温泉(Travertine Hot Springs)。デジタル大辞泉によれば、トラバーチンとは「大理石の一種。緻密な縞状構造をもつ。湧泉や地下水の炭酸カルシウムが沈殿してできる」と説明されており、漢字だけで表現すると「石灰質化学沈殿岩」と言われることもある鉱石の名称です。温泉ファンにとっては、二股ラジウム温泉や夏油温泉の石灰華ドームをはじめ、重炭酸塩を多く含む温泉でしばしば見られる石灰華としておなじみの現象であり、拙ブログでは以前に巨大なトラバーチンが世界遺産として認定されているトルコのパムッカレを取り上げております。そんなトラバーチンが温泉名になるほど、立派な石灰華の堆積ができあがっているのでしょう。

ブリッジポートの街はずれにトラバーチン温泉へ向かう一本道があり、その道に入口には看板が立っています。


 
その道の途中には一応ウエルカムの看板が立っているので、行政機関ではこの温泉を観光地として認識していることが窺えるのですが、温泉までの坂道は未舗装路が続き、しかも所々大きくえぐれているので、適切にハンドルをさばかないとスタックさせてしまうかもしれません。とはいえ、プリウスでアクセスしている人もいたので、運転技術さえあれば問題ないかと思います。



未舗装路のどん詰まりが駐車場になっており、トイレも設置されていました。この地域では名の知れた観光名所なのかもしれません。ちなみに右端に写っている白いSUV(JEEP Renegade)は、今回の私の旅の相棒です。


 
駐車場付近には淡い赤茶色に染まったテーブル状の台地が広がっており、その一部が湯溜まりになっていました。そして湯溜まりではグループ客が水着に着替えて湯浴みを楽しんでいました。台地の中央付近にはお湯が流れる幾本かの亀裂が走っており、その筋の最上流部ではシュワシュワと泡や音を立てながら温泉が湧出。そこで湧いた温泉が湯溜まりへと流れていたのでした。でも私が目指しているのはここではありません。


 
駐車場からトレイルを進んで小さな丘を越えると・・・



視界が一気に開け、シエラネバダの山稜が左右に広がる雄大な景色が眼前に広がりました。
そして壮大な絶景を背景にしながら、丘の下で大きな石灰華ドームがデンと構え、そのかたわらに小さな露天風呂がお湯を湛えていました。目指していた温泉露天風呂はここです。


 
丘から下って、石灰華ドームを正面から眺めてみました。横に長いコッペパンのような形状をしています。


 
ドームの周辺でも温泉が自噴しており、小さな湯の池を形成していました。そのいずれもが小さく且つ浅いため、足湯はできますが、全身浴には不向きです。



横に長い石灰華ドームの先端に複数の湯溜まりができており、そこが有名な入浴スポットになっているのでした。



湯溜まりは様々な大きさがあり、温度も様々。温泉はドームの上から落ちており、流れ落ちるドームの表面は細かなフローストーンになっています。ドームの先端に並ぶ湯溜まりのうち、上から落ちてくるお湯が短距離で注がれる最も手前側のプールは適温で、そこから奥へ行くに従って徐々に温度が下がってゆく傾向にあります。最も奥にある一番大きな湯溜まりは、ぬるすぎて入浴には不向きでした。


 
ドームの真上には亀裂が走っており、各湯溜まりへお湯を注ぐ温泉は、この亀裂を流れているのでした。どこから温泉が流れてくるのか、亀裂を遡ってゆくと・・・


 
亀裂の終端は、このような温泉湧出ポイントになっていました。


 
温泉が自噴している穴に計器を突っ込んでみたところ、温泉の温度は65.5℃という高温でした。なおpH値は6.97です。湧出時こそ高温ですが、ドームの上を流れるうちに温度が下がり、しかも各湯溜まりへ分配される際にお湯の流れも細くなるため、末端へ落ちる頃には適温かややぬるめになっているのです。
このような立派な石灰華を形成する温泉ですから、そのお湯は重炭酸土類泉か塩化土類泉に属するはずであり、実際にお湯を手にとってテイスティングしてみますと、薄い塩味と弱金気味、弱炭酸味、そして土類感が得られ、その手のお湯にみられる典型的な特徴が現れていたのでした。



湯溜まり上のフローストーンにはお湯が滴り落ち、そのお湯は陽光を受けてキラキラと煌めいていました。
その場で水着に着替えて・・・


 
いざ入浴!
絶景を目の前にしながらの開放的な湯浴みはこの上なく爽快です。しかも長湯仕様の湯加減であるため、時間を忘れていつまでも浸かっていたくなります。
さすがに超有名な野天風呂だけあり、この日も次々に訪問者がやってきて、ここで湯浴みを楽しんでいらっしゃいました。人気を集めるのも至極当然の、ワイルドな極上露天風呂でした。



GPS:38.24569, -119.20413,

常時利用可能(ただしキャンピング不可)
無料
野湯につき備品類なし

私の好み:★★★
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