温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

秋田駒ヶ岳温泉

2011年09月30日 | 秋田県
 
田沢湖高原の手前に位置する水沢温泉郷に属する温泉宿ですが、水沢温泉から砂利道を数百メートル進んだ先の森の中に一軒離れてポツンと佇んでいるので、一軒宿の秘湯と表現して差し支えないでしょう。某日、立ち寄り入浴でお邪魔しました。こちらでは昼食時に十割そばをいただけるそうでして、蕎麦に目がない私は是非食べてみたかったのですが、残念ながら訪問時はそば処の営業時間を過ぎていたため、お風呂だけの利用となりました。


やたらと広いロビーです。券売機で料金を支払い、その券を宿の方に渡そうと声をかけてみるのですが、いくら叫んでもどなたも出てこない…。どうしたら良いのかと途方に暮れていたときに、ようやく奥から宿の方が現れ、フロントのデスクを指さしながら曰く「券をそのお皿に置いてくだされば、勝手に入っていいんですよ」とのこと。そういうことだったのね…。共同浴場みたいなシステムだったのか…。


玄関を入って右手が浴室。お風呂は男女別の内湯があります。露天風呂も用意されているそうですが、露天は宿泊客限定なんだそうです。

 
ちょっと昭和後期な雰囲気が漂う浴室ですが、よく手入れされています。洗い場のカランはシャワー付き混合栓が9基あります。化粧石板貼りの浴槽の大きさは、公式HPによれば2.7×2.7m、深さ55cmなんだそうです。
青みを帯びた乳白色に薄ら濁ったお湯ですが、透明度は高く、底がしっかり見えます。白い湯の華が夥しく多く、まるで溶き卵のスープの中に浸かっているかのようで、底には沈殿がたくさん溜まっていました。やや熱めの湯加減で、ゴムを噛んだような味に石膏味、そして後味に微かな塩味が感じられ、ゴムのような匂いがはっきり嗅ぎ取れました。重曹泉的なスベスベと石膏泉的な引っかかり浴感が混在しているようですが、スベスベの方が勝っているように感じられました。


湯口には岩のオブジェが置かれ、その岩を刳りぬいたところに塩ビが3本出ていて、うち2本が源泉、1本が加水用の水となっており、それらが木の枡に落とされて混合され、短い樋で浴槽へ注がれています。その量たるやとても多く、樋のキャパシティを超えており、枡から流れるお湯の半分以上は樋からこぼれ落ちていました。大量投入されるお湯は浴槽縁からオーバーフローせず、浴槽の底から突き出たVU管によって吸われて排湯されていきます。


打たせ湯があるのですが、落ちてくるお湯はぬるく、しかも吐湯口はボロボロのペットボトル。ユニークといえばユニークですが、もう少し何とかならないもんかしら…。

休日の夕方16:30に訪問したのですが、常時3~4人のお客さんが利用していました。宿泊のみならず、立ち寄り入浴施設としても多くのお客さんに認識されているようです。水沢温泉郷にありながら、水沢温泉とは全く異なる泉質で、しかもし一軒宿風情が味わせる、隠れた名湯ではないかと思います。今度は是非お蕎麦をいただきたいなぁ。


カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉
52.0℃ pH6.5 溶存物資2167.4mg/kg 成分総計2320.4mg/kg
Na:145.0mg(22.38mval%), Mg:112.0mg(32.70mval%), Ca:220.0mg(38.94mval%), Cl:205.0mg(20.43mval%), SO4:800.0mg(58.89mval%), HCO3:353.0mg(20.47mval%)
温度調整のため加水あり

秋田県仙北市田沢湖生保内字下高野80-68  地図
0187-46-2688 
ホームページ

立ち寄り入浴9:00~19:00 無休 毎週水曜9:00~12:00入浴不可
400円
貴重用の小型ロッカー(100円有料)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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大深温泉

2011年09月29日 | 秋田県
秋田八幡平に点在する温泉の中でも、温泉ファンから強い支持を集めている大深温泉。八幡平の温泉といえば、かつては湯治場としての色彩が強く、自炊してオンドルや蒸かし湯などでじっくり温まるというような光景があちこちで見られたわけですが、時代の波に流されて周辺の他の温泉はどんどん観光客に迎合してゆくなか、こちらは頑固なまでに昔からのスタイルを貫いており、かつての郷愁を求めに大深温泉を目指される方も多いのではないでしょうか。私はこちらに今まで2度ほど休憩と立ち寄り入浴でお邪魔していますが、宿泊したことはありません。大深温泉はオンドル小屋に泊まってこそ本当の価値がわかる場所ですから、立ち寄りだけの人間が偉そうに大深温泉のことを語れる資格は無いので、今回はいつものような駄文は抜きにして、画像とそのキャプションだけちょこちょことUPさせてください。


受付棟。こちらで料金を支払。
橋を渡って先へ進む。受付棟の先に湯屋があるが、ひとまず通過。

 
一帯は噴気帯になっており、源泉枡の姿も。

 
噴気帯のガレの上にオンドル小屋が建てられている。宿泊棟はこのオンドル小屋のみ。休憩の利用も可能。ちょっと入るだけでもムワっとする。ここで茣蓙を敷いて雑魚寝して、地熱の力で体を温めるのが、昔ながらの八幡平の湯治スタイル。数十年前から時が止まっているかのような光景。


小屋の外壁には蒸気を逃がすパイプが這わせてあり、そこから白い湯気が出ていた。パイプの口は硫黄で黄色く着色されている。


水場の水がキリリと冷えて美味い!


さらに奥の方にも噴気帯のガレ場が広がっている。

 
さて、来た道を戻って湯屋へ。ここでのお風呂は、オンドルでかいた汗を流すためにあるようなもの。共同浴場を思わせる質素な建物で内湯のみ。

 
総木造の湯屋。カランなし。6人サイズの湯船には青白く濁ったお湯が張られている。濁っているものの、浴槽の底は目視できる。源泉温度が高いため常時加水されており、42.1℃と丁度よい湯加減。大小様々な大きさの白い湯の花がたくさん浮遊し、お湯に足を入れると、沈殿している湯の花がボワっと舞い上がる。ゴムテニスボール的な風味を濃厚にしたような硫黄味と匂いに、泥っぽい味と微かな酸味(収斂)が感じられ、硫化水素臭も漂う。粉っぽいザラザラとした浴感。同じ八幡平の硫黄泉でも玉川温泉のように強烈な泉質ではなく、むしろ逆に薄くて優しいお湯なので、濃い温泉の刺激が苦手な方でも大丈夫。

 
源泉は木の樋から投入される。樋の内側は硫黄で真白に。温度は53.6℃。なるほど、これでは加水しないと入浴できないはずだ。湧出時にはもっと熱い。

久しぶりに文章を常体で書いてみたら、まぁ何て楽なんでしょう。
それはともかく、伝統的オンドル湯治スタイルを今に伝える大深温泉は、形態を変えることなく、便利になることなく、時代に媚びることなく、このままの姿で永遠に残ってほしいものです。


大深温泉
単純硫黄泉 77.1℃ pH5.8 溶存物質68.1mg/kg 成分総計121.8mg/kg
Na:2.7mg(21.82mval%), Mg:1.7mg(25.45mval%), Ca:5.4mg(49.09mg), S2O3:8.8mg(28.07mval%), SO4:9.4mg(35.09mval%), 遊離H2S:12.6mg
高温のため加水あり

秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林  地図
0186-31-2551

立ち寄り入浴時間 7:00~18:00 冬季(11月上旬~6月上旬)休業
500円
オンドル小屋休憩:750円/2時間(入浴料込み)

私の好み:★★★

コメント (5)
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大沼温泉 八幡平レークイン

2011年09月28日 | 秋田県
※残念ながら廃業してしまいました。


八幡平の秋田県側、明媚で静寂な湿原が広がる大沼の畔に建つ、八幡平アスピーテライン沿いのドライブイン兼宿泊施設です。私はいままで何度も目の前を通り過ぎていながら、いかにも昭和後半の観光施設らしい外観を敬遠してしまい、立ち寄ったことはなかったのですが、ここで温泉に入浴できるということを知り、某日アスピーテラインを走行している時に訪れてみることにしました。

 
駐車場入口付近には檻が置かれており、中ではクマさんが飼われていました。お名前は「じゅん」君で、御年21(2010年時点)。Wikipediaの記事によればツキノワグマの寿命は24年で飼育下なら33年とのことですから、いずれにせよご高齢でありまして、この時も動かざること山の如しと言わんばかりで、目は開けているのですが、気怠いのか、ちっとも動こうとしませんでした。尤も、本来は山の中を縦横無尽に行動する生き物ですから、こんな檻の中に入れられたら心身ともに鬱屈しちゃいますよね。

 
建物1階は食堂になっており、その受付で料金を支払って、階段を上がって2階の浴室へと向かいます。お風呂には男女別の内湯と混浴の露天風呂があり、双方は直接行き来できませんので、両方に入浴する場合は一旦着衣する必要があります。

 
内湯は、造りこそ昭和の香りが強く漂いますが、窓からは大沼が望め、結構広々しています。
洗い場のカランはシャワー付き混合栓が4基設置されています。タイル貼りの浴槽にはお湯が大量に投入されており、見ていて気持ち良いほど縁からザブザブと豪快にオーバーフローしていました。お湯は無色透明の単純泉ですが、浴室へ入った途端に油臭が鼻孔をくすぐり、さらに湯口でクンクン嗅いでみると、油臭の他に金気臭や臭素臭のような匂いが僅かに感じられました。味に関してはほぼ無味ですが、僅かに苦みのようなものがあったような気がします。湯中には赤茶色の浮遊物がちらほら見受けられました。弱めですがツルスベ感があり、肌への当たりが柔らかく、40℃程度という湯加減も手伝ってか、いつまでも長湯していられるような、優しいお湯でした。建物も浴室も地味ですが、まさかここで、こんな優しく柔らかいお湯に出会えるとは思っておらず、ちょっとびっくりしてしまいました。

 
こちらは露天風呂です。専用の扉から屋外へ出て、建物の裏手に回っていくのですが、そのロケーションといい、全体的な造りといい、後から取ってつけたような感が否めません。浴槽は2分割されており、湯口のある手前側の方が若干湯加減が高めでした。
お湯自体は無色透明無味無臭で、浴感なども特に個性的な主張を有するものではありませんが、お風呂が緑色掛かって見えるのは、浴槽内に苔が生えているからでして、泉質由来ではありません。また訪問時には湯口の湯溜りには虫がたくさん浮いていて、残念ながらあまり気持ち良く湯浴みすることはできませんでした。たまたま清掃時間から外れたタイミングで訪問してしまったのでしょうね。


露天風呂からも 梢の向こうに大沼が眺められます。景色は良く、とても爽快な環境です。夏は虫が鬱陶しいのですが、秋には露天風呂からの紅葉がさぞかし美しいことでしょう。

ところでこちらの施設では大沼温泉と八幡平温泉の2源泉を使用しているようですが、どのように使い分けされているのか、あるいは混合されているのか、よくわかりません。しかしながら、お湯の特徴から考えるに、元々この施設にあった内湯には大沼温泉を、後から増設した露天風呂には成分がとっても薄い八幡平温泉を引いているのではないかと、私は勝手に推測しています。間違っていたらごめんなさい。
設備面のみならず、お湯の質から捉えても、私個人としては露天よりは内湯の方が好みです。


大沼温泉
単純温泉 45.1℃ pH7.3 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質439.4mg/kg 成分総計480.7mg/kg
Na:48.5mg(54.81mval%), Ca:17.0mg(22.08mval%), HCO3:216.4mg(91.73mval%)

八幡平温泉
単純温泉 73.0℃ Ph7.2 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質101.9mg/kg 成分総計108.0mg/kg
Na:5.8mg(30.12mval%), Mg:2.2mg(21.69mval%), Ca:7.6mg(45.78mval%), SO4:10.8mg(23.66mval%), HCO3:35.2mg(62.37mval%)

秋田県鹿角市八幡平熊沢国有林第33林班イ小班内  地図
0186-31-2211
ホームページ

立ち寄り入浴時間:不明
400円
貴重品帳場預かり・内湯にシャンプー類とドライヤーあり

私の好み:★★
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松川温泉 松楓荘

2011年09月27日 | 岩手県

「日本秘湯を守る会」に加盟している有名なお宿です。秘湯感あふれる佇まいですが、八幡平樹海ラインから脇道に逸れればすぐに到達できるので、車があればアクセス良好です。今回は立ち寄り入浴でお邪魔しました。玄関脇の小さな槽ではお湯が湯気を立てながらフツフツと煮え滾っています。籠が入っていますから、温泉卵などを作るんでしょうね。帳場で料金を支払い、受付のおばあちゃんに或る事を確認したら「今だったらまだ大丈夫ですよ」との回答を得たので、お目当てのところへ直行しました。

 
お目当てとは、こちらのお宿の名物「洞窟岩風呂」です。訪問した時間は16:00過ぎだったのですが、この洞窟岩風呂は17:00~19:00が女性専用時間に設定されているので、念のために受付で確認したわけです。川に架かるボロい木の橋を渡って対岸の洞窟風呂へ。この脆そうな橋がいい雰囲気です。


渡り切ったところから宿の方を振り返ってみます。昔ながらの湯治場風情が漂う良いお宿ですね。

 
橋からちょっと段を下りたところにお目当ての洞窟風呂がありました。洞窟というか岩の大きな窪みのようなところに、青白いお湯が湛えられています。想像通り良い雰囲気です。脱衣所はないので、その場で着替えます。人気のお風呂ですが、幸いにして訪問時は誰もいなかったので、心置きなく着替え&湯浴みできました。
青白みを帯びて仄かに濁りながら底まではっきり透き通って見えるお湯からは、火山噴気孔から噴き出る硫化水素のような鼻を刺激する匂いが漂い、口にすると薬品のようなツンと刺激のある硫黄味に苦みと弱い酸味が混ざった味が感じられます。弱いスベスベが混じりながらもキシキシが勝る浴感。浴槽内の岩肌や木の支柱には、海藻あるいは髭のように白い綿状の湯の華がビッシリ付着し、湯船の中の流れに従ってユラユラ揺れています。湯中にも溶き卵のような湯の華が沢山浮遊しています。さらには湯口と思しき突起周辺は、析出により厚くコーティングされていました。
しかしながら山の中の川沿いのお風呂という立地ゆえ、夏にはアブが飛んで来やすく、この時もせっかく独り占めしてゆっくり湯浴みして寛いでいたのに、そんな私の安らぎを妨害するかのようにデカいアブが何匹も頭上を旋回しはじめたので、アブに追い払われるようにこの風呂から撤退しました。


次に内風呂へ。「秘湯を守る会」のデカい提灯がぶら下がっていますね。内湯は男女別です。

 
内湯は歴史を感じさせる木造の湯屋で、真ん中に巨大な岩が鎮座する豪快な造りです。この正面の巨大岩が板塀と一緒になって男女の仕切りとなっています。浴槽は深く、身長165cmの私が立つと、お臍ぐらいまで浸かってしまいます。こちらのお湯は洞窟岩風呂よりも白濁が強いものの、知覚的にはかなり近いように感じられました。湯加減は42℃くらいでしょうか。


浴室内にカランは無いのですが、その代りに木の切り株を刳りぬいた湯溜めが置かれ、そこからお湯を汲んで使う仕組みになっています。このお湯は真湯でした。

こちらのお宿にはこの他に混浴露天風呂もあり、立ち寄り入浴の料金内で利用できますが、訪問時にはご夫婦がゆっくり水入らずで寛いでいらっしゃったので、お邪魔してはいけないと思って入浴は遠慮しました。次回訪問時には是非入ってみたいと思います。
お風呂から上がって、帳場のお婆ちゃんに「いいお湯でした。ありがとうございました」と挨拶したら、「茹でたてだから美味しいよ。食べて」と、まるでご近所さんにおすそ分けするような感覚で、茹でトウモロコシをくださいました。一介の立ち寄り客なのに親切にしてくださり、体のみならず心まで温まりました。情けは人のためならず。こうした情けを受ければ受けるほど、私も世間様に対して奉仕しなきゃいけないと思う次第です。


松川温泉桜の湯
単純硫黄温泉 61.6℃ pH5.0 溶存物質0.1263g/kg 成分総計0.3163g/kg
Na:2.7mg(23.53mval%), Mg:1.5mg(23.53mval%), Ca:4.8mg(47.06mval%), SO4:6.60mg(24.56mval%), HCO3:22.60mg(64.91mval%), 遊離CO2:233.80mg, 遊離H2S:18.50mg
(館内には桜の湯源泉の分析表しか見当たらなかったのですが、どうやら他にも源泉があるようです)

岩手県八幡平市松尾寄木1-41  地図
0195-78-2245
ホームページ

立ち寄り入浴時間8:00~20:00(念のため予め先方へ問い合わせされたし)
500円
ロッカー(有料100円)・内湯に石鹸&シャンプーあり

私の好み:★★★
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東八幡平温泉 八幡平温泉郷 森乃湯 (そして松川地熱発電所)

2011年09月26日 | 岩手県
 
東八幡平温泉郷の観光拠点を兼ねた日帰り入浴専門施設です。自然豊かな岩手山麓の環境と調和するようなログハウス調の建物で、ガラスを多用しているため明るい雰囲気です。

 
道路を挟んだ向かい側にはこんな足湯(無料)がありました。


ロビーフロアには暖炉が設置された食堂や物産販売コーナーがあるのですが、和洋折衷というべきなのか、洋風の山小屋のような造りなのに和風な暖簾が下がっていたりと、この手の施設にありがちな方向性の迷走が見て取れます。それでも利用者は多く、私の訪問時も多くのお客さんが食堂コーナーで寛いでいました。


脱衣所は広々しており、手入れもちゃんとしているので、使い勝手は良好でした。ロビーや脱衣所など、館内の内装にはやたらと白い塗装が施されているのですが、せっかくなら外観同様にウッディな雰囲気を出せばいいのに…と思うのは私だけでしょうか。


休日に訪問したため、浴室内は大混雑しており、洗い場にある9基のシャワー付き混合栓が全て埋まっていたほどです。浴室内には上画像の主浴槽の他、サウナと水風呂が設けられており、サウナが人気を集めていました。日本全国どこへ行っても、サウナ併設の浴室は、大抵の場合お風呂よりもサウナに人気が集まりますね。
主浴槽はとても大きく、ガラス窓に面しているため、明るくて開放感があります。湯口から掛け流しで供給され、上画像の手前側の縁からオーバーフローしています。画像の奥の方は寝湯スペースとなっています。ただ、浴槽の中央部は私が苦手とする泡風呂が設けられており、ブクブクと常時騒々しい音を立てていました。

お湯は前回取り上げた「元湯七滝」と同じ「マグマの湯」と称される源泉、つまり松川地熱発電所でタービンを回した後に冷却された蒸気を利用しています。同じ源泉のはずですが「元湯七滝」とこちらの施設では、掲示されている温泉分析表の数値が大分異なっています。こちらの施設の分析表の方が新しいのですが(「元湯七滝」は平成9年、こちらは平成19年)、その間に源泉というか地熱発電所に変化があったのでしょうか。無色透明ながら微かに白く靄が掛かったような濁りを帯びるお湯は、仄かに酸味を有し、ゴムテニスボールのような硫黄的な匂いを弱く漂わせています。主浴槽の底には白い粉のような沈澱が沢山沈んでおり、歩くと足跡ができてしまうほどです。湯加減は42℃ほどですが、それでも他のお客さんには熱く感じるらしく、巡回に来た係員のおじさんに対し口々に「熱いよぉ」と文句を言うので、おじさんは大量に加水をはじめました。加水の是非はともかく、係員がこまめにお風呂をチェックしに来る点は大いに評価すべきことだと思います。


屋外に出ると露天風呂が2つ用意されていました。浴槽は上下に分かれ、上画像は下段の浴槽を写しています。その脇の階段を上がってゆくと…


上段の露天風呂です。上段の露天は2人入れば一杯になってしまいうそうな小さなものです。上段に上がったからといって、特段見晴らしが良いわけでもありません。強いて上段のメリットを挙げるならば、露天風呂の湯口は上段にしか設けられておらず、上段の浴槽のオーバーフローが下段の浴槽へ注がれるスタイルになっているため、下段で入浴していてもあまり良い気分にはなれない、上段の方が誰も触れていないお湯に入れる、ということでしょうか。でも露天はお湯の投入量が少なくて鮮度感がいまいちでした。

掛け流しのお湯ですが、温泉ファンが満足できるかはちょっと怪しいかもしれません。でも建物は立派で一通りの設備は揃っており、使い勝手はよいので、間違いなく一般受けするでしょう。


八幡平温泉(マグマの湯)
単純硫黄温泉(硫化水素型) 70.7℃ pH3.5 溶存物質178.4mg/kg 成分総計265.0m/kg
Na:17.0mg, Mg:1.3mg, Ca:7.0mg, SO4:79.3mg, 遊離CO2:75.7mg, 遊離H2S:10.9mg
平成19年8月8日分析

岩手県八幡平市松尾寄木第1地割590-280  地図
0195-78-3611

10:00~21:00
500円
ロッカー(小型・100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★


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●松川地熱発電所
この「森乃湯」を含めた東八幡平温泉郷へお湯を供給しているのが松川地熱発電所です。ボーリングして得られた地下の地熱で蒸気を作ってタービンを回して発電し、その蒸気は冷却塔で冷やされて、循環水として再び発電に使われたり、還元井によって水を地中へ戻したりしますが、その一部が温泉水となって麓の東八幡平温泉郷へと引かれているわけです。発電所本体は立ち入り不可能ですが、その入り口にあるPR館ならば見学可能ですので、ちょっと立ち寄ってみました。アイスランドの地熱発電所は本体に立ち入れるんですけどね…。


発電所へ近づくと武骨で大きな配管類があちこちに目立って敷設されているので、そのパイプに沿って先へ進むと…。


発電所の標識が立っていました。見学者に向けた注意も掲示されているのですが、浴衣での見学NGという旨が書かれていることに思わず苦笑。そんな奴いるのかしら。

 
こちらは松川発電所のPR館。一般者はここまでなら立ち入ることができます。開設期間中は年中無休なのですが、9:00~16:00までと閉館時間が早いのが残念。建物脇の配管設備からは、蒸気が音を立てて出ていました。

 
館内に入ると人里離れた山の中には場違いな綺麗なお姉さんが受付でお出迎え。それほど大きな施設ではなく、地熱発電の概要や仕組みなどをパネルや映像(スクリーン)を用いて説明しているだけでした。その中で目を惹くものは、松川発電所で以前使われていた日本最初の発電タービンや、本格運用開始前に稼働していたタービン発電機でしょうか。いずれも実物展示ですが、既にお役御免になったものですから、動物園に行って剥製を見せられているようなものですね。

 
思いっきり逆光の醜い画像で申し訳ないのですが、この大きな塔が冷却塔です。地熱発電所って、タービンや発電機よりも、冷却塔の方が目立っちゃうんですよね。タービンを回した後の蒸気は、この塔で冷却され、その一部が温泉水として東八幡平温泉郷へ供給されているわけです。つまりこの塔が源泉みたいなもんです。

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