温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

上栗山温泉 開運の湯

2009年03月31日 | 栃木県


栃木県最後の村だった栗山村が市町村合併によって消滅したのは2006年3月で、それ以来日光市として新たなスタートを切ったわけですが、当地が山奥の過疎地であることには変わり無く、訪れればおよそ関東地方とは思えないような深山幽谷の秘境を目にすることができましょう。

川俣湖へ伸びる県道23号線を走っていると、上栗山周辺で日帰り温泉の存在を誇示する幟がたくさん立てられている箇所に出くわします。この幟につられて鬼怒川を渡って上栗山集落に入ると、やがて温泉施設「開運の湯」に辿りつきます。温泉施設といってもほとんど集落の共同浴場といった趣でこじんまりしており、脱衣所も浴室も決して広くありませんが、ウォシュレットが設置されていたりドライヤーが置かれていたりと、共同浴場の割にはなかなかしっかりしています。

お湯の方もなかなかの実力を有しており、赤茶けた色(赤錆の色)に濁るお湯が掛け流されて浴槽から溢れ出ていました。溢れ出るところを中心に浴槽まわりは金気(鉄分)の析出によって赤茶色に染まっています。湯船からは鬼怒川の渓流を見下ろすことができました。お湯からは金気味と薄らとした塩味が、また金気の匂いと何かが焦げたような匂いが感じられました。周辺の温泉は無色透明な泉質のものが多いので、こうした赤茶色の濁り湯は貴重かと思われます。

特筆すべきは湯上り後にいただくお漬け物です。入口のホールにはこたつが置かれ、いつも2人ほどの地元のお婆ちゃんがそこに入っているのですが、湯上り後の客をこたつに招きいれて、卓上に並べられているお漬け物やちょっとした惣菜類を御馳走してくれるのです。お婆ちゃんは交代制でいつも同じように接してくれるかは不明ですが、私の訪問時は他の客も含めて歓迎してくれました。提供される食べ物はすべて地元の畑か山で採れたものばかりで、シンプルな味付けながらも素材の味が十分に活きており、また新鮮ゆえの食感も素晴らしいものがありました。地元の方との話に華を咲かせながら、地元のおいしい漬物や惣菜をいただくと、あぁここに来てよかったと実に心温まる思いがします。ハードだけではなくソフトこそ大切なんだと思い知らされたお風呂でした。




ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉
50.2℃ pH7.4 成分総計1958.5mg/kg

栃木県日光市上栗山179-31 地図
0228-97-1126

9:00~17:00
500円

私の好み:★★★
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和琴温泉 共同浴場

2009年03月30日 | 北海道


かつてはクッシーの出没も噂された北海道の屈斜路湖には杓文字のように和琴半島が突き出ており、この半島では至るところから温泉が湧いています。半島を一周する自然観察路を反時計回りに歩いて約10分ほどすると、湖畔にあばら家が建っているのが目に入りますが、これが共同浴場です。

外観から推測できる通り内部は脱衣所と浴室だけという至ってシンプルな構造で、浴槽はひとつしかないので混浴となります。コンクリートの湯船の底は泥の湖底そのまんまで、これでは入浴できないためすのこが沈めてあります。お湯はこの底から湧いてきます。

面白いのが湯温の調節方法で、ここは水道が引かれていないので、熱めの源泉を水で薄めることができません。ではどうするかというと、建物の外の排出溝に土嚢が数個積んであり、熱いときは土嚢でお湯の流出を防いで湯面を湖水面より幾分高くして、水圧で湧出量を押さえ込んで冷ます、という方法をとります。逆にぬるければ土嚢を1~2個取って排水量を多くすれば圧力が減り湧出量が増えて熱くなるといった具合です。こんな原始的な温度調節をするお風呂はなかなかお目にかかれません。

肝心のお湯ですが、無色透明無味無臭で、おそらく重曹が含まれているのでしょう、柔らかくさっぱり感がありました。ただしかなり熱めの場合が多いらしく、もし入浴時に入れないほど熱かったら、上述のような温度調節方法をとるので、冷めるまでに時間を要するため注意が必要です(ちなみに私の訪問時はとてもよい湯加減でした)。
浴槽の底のすのこにも泥が積もっているので清潔感を好む方にはお勧めできませんが、秘湯がお好きな方なら訪問する価値があるでしょう。




成分表示なし

北海道川上郡弟子屈町字屈斜路和琴 地図

24時間入浴可能ですが、照明がないので日中に限られます。
無料

私の好み:★★
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千本松温泉

2009年03月29日 | 栃木県


ホウライの千本松牧場といえば、U字工事のネタにも出てきそうなほど栃木県民にとってはポピュラーな行楽スポットで、週末は畜産物や乳製品を求める客や動物たちと戯れる家族連れで賑わっていますが、その片隅でなかなか良質な温泉が湧いています。
表の目立つショッピングエリアに比べると、温泉は奥の方にひっそりと佇んでいてこじんまりしていますが、温泉施設自体は開業してまだ数年なので全体的には綺麗で整っています。目立たない立地ゆえか、訪問時は休日の昼間なのに露天風呂をほぼ独占することができました。うす緑黄色で透明のお湯には茶色い湯の花が舞っており、温泉マニアを唸らせるようなはっきりとした油の匂いが漂ってきます。油の匂いのお湯は好き嫌いがわかれるようですが、好きな人には堪らないお湯かと思われます。匂いだけでなく重曹由来のつるつるすべすべした浴感も良好で、これが加水されているとはいえ掛け流されているのですから素晴らしい。いつまでも浸かっていたいお湯です。良質な温泉で温まって、畜産物や乳製品でお腹を満たせば、この上ないひと時が過ごせるでしょう。



ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉
54.5℃ pH8.9 139.4L/min(掘削揚湯) 成分総計1001mg/kg

栃木県那須塩原市千本松799
0287-36-1025
オフィシャルサイト

10:00~24:00
600円
ロッカー・ドライヤー有り

私の好み:★★★
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祢宜の畑温泉 西伊豆町営「やまびこ荘」

2009年03月28日 | 静岡県


伊豆の日帰り温泉施設はえてして、感覚の鈍い東京人の足元を見透かしたような価格設定とサービスで消毒たっぷりの循環湯を提供するところが少なくありませんが、探せば良心的な値段で良質なお湯に入らせてくれる施設だってあります。「やまびこ荘」はそんな良心的施設のひとつでしょう。
ここは昭和48年に廃校となった小学校の木造校舎を活用して宿泊施設(日帰り入浴可)にしたもので、中に入ると無機質に奥へ長い一本廊下や、その廊下に据え付けられた横に長いステンレスの流し、教室ならではの幅のある引き戸など、学校そのままの懐かしい光景が残っており、一気に子供の頃の記憶に戻ってしまいそうです。なお宿泊の場合は教室が客室となり、そこへ布団を敷いて寝ることになります。



小学校そのままの懐かしい造作

お風呂は内湯がひとつだけのシンプルなものですが、窓が大きく明るいので思ったよりは開放的です。桧の浴槽へは無色透明のお湯が加温されることなく、そのまま掛け流されてオーバーフローしています。湧出地で38.7℃なので当然浴槽ではそれ以下の湯温であり、浴用にはいくぶんぬるめかもしれませんが、その場合は隣に加温されている浴槽もあるので問題はないでしょう。温泉分析表を見ると無色透明無味無臭と記されてありましたが、よくよく感覚を研ぎ澄ましてみると、薄い塩味と渋み、そして石膏臭が感じられます。またお湯の新鮮さを証明するかのように、湯中の肌には気泡が付着します。
喧騒から完全に隔絶された静かな山中で、新鮮なぬるめのお湯に浸かって長湯すれば、下手なヒーリングより余程癒されます。




カルシウム-硫酸塩泉
38.7℃ pH8.7 886L/min 成分総量1730mg/kg

静岡県賀茂郡西伊豆町大沢里150 地図
0558-58-7153

12:00~17:00
500円

私の好み:★★★
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苗場温泉 雪ささの湯

2009年03月27日 | 新潟県


苗場プリンスホテルや苗場スキー場などリゾート施設が集まる湯沢町三国の国道沿いに、使い勝手の良い日帰り温泉施設「雪ささの湯」があります。ここはかつて「美人の湯」という名前に似つかわしくない古めかしい浴場でしたが、経営者が変わってお風呂を中心に手直しされ、万人受けするような温泉施設にリニューアルされました。また、お客さんを招き入れるためでしょうか、入口には流行りの足湯が設けられました。


国道に面している足湯

内部メインのリニューアルなために外観は古めかしさが否めませんが、中に入れば外観からくる第一印象を払拭できるでしょう。脱衣場・浴室とも広々しており清潔感があります。湯船は内湯と露天がひとつずつで、それぞれ大人数でも対応できそうな大きさです。ここはお湯が特徴的で、源泉かけ流しのお湯は赤みを帯びた黄土色に濃く濁っており、金気の匂いが感じられ、塩辛さと苦みに鉄の味と泥の味が加わります。施設の表示によれば加水・加温・循環・消毒はないとのこと。露天はあまり視界がよろしくありませんが、それでも清潔な環境の下で、濃いお湯をかけ流しで堪能できるのですから、実に良い気分です。


内湯

露天


カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
48.0℃ pH7.0 320L/min(動力揚湯) 成分総量5009.2mg

JR上越線・越後湯沢駅から越後交通(南越後観光バス)・浅貝上or西武クリスタルor苗場プリンスホテル行バスで約50分、浅貝上下車
越後交通ホームページ

新潟県南魚沼郡湯沢町三国355 地図
025-780-9500
ホームページ

4月~7月下旬→9:00~22:00 木曜定休
7月下旬~9月中旬→9:00~22:00 無休
9月中旬~11月末→9:00~22:00 木曜定休
12月~3月末→9:00~23:00 無休
800円
ロッカー・ドライヤー有
タオル等販売あり

私の好み:★★★
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