温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東埔温泉 景祥温泉飯店

2014年09月11日 | 台湾
 
東埔温泉の源泉で湧きたてのフレッシュな露天風呂を楽しんだ後は、そこからお湯を引く温泉街の旅館でも日帰り入浴することにしました。といっても、当地では施設を選ばないと良いお風呂には出会えないそうですから、訪台の度にお世話になっているWさん(ゲストハウスプリのオーナー)が教えてくださった「景祥温泉飯店」を訪れることにしました。東埔国小(小学校)の手前に位置しており、オレンジ色の外観がよく目立っているので、温泉街で辺りをキョロキョロ見回していれば、地図で場所を調べなくてもすぐに場所がわかります。訪問時、フロントには誰もいなかったのですが、インターホンで呼び出すとお宿のオバちゃんが現れ、入浴をお願いしますと心よく受け付けてくれました。フロント前のエレベータでオバちゃんと一緒に6階へと向かいます。


 
6階でエレベータを出ると、すぐ目の前に屋上露天風呂が広がっていました。このフロアはお風呂専用となっているようです。屋上と言っても貯水タンクを載せている高架が更に上にあるため、半分近くは屋根で覆われており、太い柱も立っていますが、エレベータから見て左手の谷側は屋根の無いオープンテラスとなっており、ベンチやテーブルがたくさん用意されていました。山の涼しい風が吹き抜けるので、お風呂に浸かって火照った際には、ここでクールダウンするととっても爽快でした。


 
建物の6階であるためテラスからの眺めが良く、山の方を眺めると東埔の観光名所である彩虹瀑布が目に入ってきます(画像左(上))。一方、逆方向の谷側を眺めますと、他宿の屋根越しにいくつもの山々が連なっており、オバちゃんは稜線の左の彼方を指さしながら「あっちが阿里山だよ」と教えてくれました(画像右(下))。


 
浴槽は大小が1つずつあり、いずれも白いタイル貼りで、右の大きな浴槽は大体7m×4mサイズです。なお、このお風呂は男女共用ですから、利用の際はシャワールームで水着で着替えます。


 
お湯はまずこの大きな槽へ注がれています。左(上)画像はその湯口を撮ったものです。ご覧の通り、湯口の吐出口は槽内にあり、その勢いは強いので、源泉供給量は結構多いものと予測されます。オバちゃん曰く、お湯は山の源泉から直接引いているとのこと。一方、右(下)画像は以前使われていたと思しき湯口で、現在では使用が止められてカラカラに乾いていますが、吐出口の下には顎鬚のように垂れる鱗状の石灰華が付着していました。ひと目でカルシウムを多く含む温泉であることがわかりますが、長年に亘って湯口を使用しているうちにスケールが溜まって目詰りを起こし、どうしようもなくなったので、この湯口を使わないで塩ビ管を直接湯船へ突っ込むようにしたのでしょう。


 
湯口のお湯を直接受けている大きな槽では、加水されていないためかかなり熱く、温度計を差してみたところ、45.1℃と表示されました。熱いお風呂に慣れている日本人でも躊躇っちゃう湯加減ですね。なお水素イオン濃度は弱アルカリ性のpH8.3でした。
お湯はほぼ無色透明ですが、浴槽の湯面上にはベージュ色の析出が線状にこびりついており、槽内のタイル表面にも同様のものが薄っすらと付着しているいるため、お湯は極僅かにアイボリー色を帯びているように見えました。お湯からは重炭酸土類泉から金気を除去して薄めたような感じの味や匂いが感じられ、具体的には重曹味や甘みを伴う石膏感が得られました。


 
2つの浴槽の仕切りには穴が開いており、この穴を通じて大きな浴槽から小さな浴槽へお湯が流れています。流れてくる間にお湯が冷めるため、下流側に当たる小さな浴槽(おおよそ3m×4m)では、入りやすい適温の41℃でした。小さな槽にもかつて使われていたと想像される湯口が設けられているのですが、こちらも使用停止となっており、現在では大きな槽からの受け湯のみとなっているようです。



熱い湯船と適温の湯船の両方に入ってみました。私は他の温泉地で47℃の熱いお風呂に入り慣れているつもりなので、45℃くらいでしたら難なく浸かれるのですが、夏の台湾で熱い風呂に入ると、湯上がりになかなか汗が引かずに難儀するものですね。でもお湯の鮮度(そして入った時に感じられるシャキッとした浴感)は明らかに熱い湯船のほうが優れていたので、逆上せてしまうのを覚悟の上、テラスのベンチで涼みながら、何度も熱い湯船とベンチを往復してしまいました。
源泉から数百メートル引湯しているため、その過程での酸化等によって、前回取り上げた温泉源頭のお湯と比べて若干の劣化が発生しているのですが、それでもスルスルとした滑らかなフィーリングが心地良く、結構良好なクオリティを維持しています。湯使いに関しては不明ですが、両方の浴槽を満たしたお湯は、各槽の底から立ち上がっているオーバーフロー管より排湯されており、特に加温や循環されている様子は無く、この宿を紹介して下さったWさん曰く24時間入浴可能とのことですので、掛け流しかそれに準じた状況かと思われます。
水着着用という点は日本人には残念ですが、お湯の鮮度感が良く、熱いお湯にも入れますので、お湯の質にこだわる方でも満足できるお風呂と言えそうです(宿泊料金もかなり安いそうです)。


台鉄集集線・水里駅近くのバスターミナルより員林客運バスの東埔行で終点下車、徒歩5分程度
南投県信義郷東埔村66-1  地図
049-2702100

入浴利用9:00~22:00(この時間内でも利用不可の場合あり。大まかな目安として捉えてください)
200元
ドライヤーあり

私の好み:★★



●東埔吊橋
 
熱いお風呂に浸かり続けていたら、湯上り後も汗が止まらなくなってしまったので、帰路のバスの時間まで、当地の観光名所の一つである「東埔吊橋」へ向かって、谷を吹く風に当たることにしました。東埔バス停の傍、東埔温泉の公共駐車場前に架かっており、全長200mで高低差128m。台湾屈指の長さと高さを誇る吊り橋なんだそうです。橋の中央部はグレーチングになっており、128m下の谷底を覗けます。結構スリリングですよ。


 
吊り橋の真ん中に立ち、左右両方を眺めながら、橋の上を吹き抜ける風に当たって火照った体をクールダウンしました。画像左(上)は温泉街方向、画像右(下)は陳有蘭溪の谷側および阿里山方向です。
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コメント
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