温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ニセコ昆布温泉 ニセコグランドホテル(日帰り入浴)

2019年10月31日 | 北海道

前回記事のニセコ湯本から山を下ってニセコ昆布温泉へとやってまいりました。ニセコ昆布温泉といえば、私の好きな「鯉川温泉旅館」が2018年から休業してしまい、個人的にはコアが抜けてしまったような気がしてとても寂しいのですが、とはいえ当地には他にも温泉旅館がまだまだ多く営業しており、日帰り入浴を受け付けている施設もありますから、今回はその中から「ニセコグランドホテル」にお邪魔して、立ち寄り入浴を楽しませていただくことにしました。

道道66号線沿いに位置し、その道を挟んだ向かい側ではニセコ名水甘露水が滾々と湧いています。
外観はいかにも昭和の観光ホテルといった感があり、館内ももちろんのこと、フロントスタッフの接客からも昭和な雰囲気がたっぷり伝わってきます。このフロントで日帰り入浴したい旨を申し出て湯銭を支払い、奥へと進みます。



浴場入口の手前には、湯使いを大きく書き記した電光掲示により、お風呂のお湯が掛け流しであることをアピールしていました。でも、後述するように加水と消毒が実施されていますから、完全な掛け流しと表現することに対しては、異論がある方もいらっしゃるかもしれません。

脱衣室は奥に長いウナギの寝床みたいな造りです。男湯の場合は右側に籠が納められた棚がズラリと並ぶ一方で、左側には洗面台が4~5基ほど並び、団体客など大人数にも対応できるキャパを擁しているようでした。昭和の観光スタイルは一般的に団体が多かったわけですから、その当時の名残と言えるのかもしれませんね。でも綺麗に整備されており、気持ち良く使えました。


さて、こちらの浴場では写真厳禁とのローカルルールがございますので、それに従い、ここから先は公式サイトの画像をお借りしながら話を進めてまいります(外国語表記が多いので、おそらく外国人観光客対策なのでしょう。また露天風呂が混浴であるという事情も影響しているのかもしれません)。
公式サイトの画像が小さいので、ここでご紹介する写真も小さいままです。ご了承ください。



脱衣室のドアを開けて右に折れるL字型の通路を進んだ先に、大きくて広い内湯があります。
上から見ると大きな扇形を描いていると思しきこの浴場の建物は、窓に向かって徐々に下っている傾斜地に設けられており、低い位置かつ円弧の部分には窓が広く採られ、浴室内はとても明るくて快適です。

浴場内の洗い場は上下に分かれて配置されており、高いところ(上段)に5基、低いところ(下段)に2基のシャワー付き混合水栓が取り付けられています。



こちらのお風呂では2つの源泉を有しており、源泉別に浴槽が分かれています。大きな浴槽には「鉄鉱泉」と書かれた1号井のお湯が張られています。冒頭で触れた鯉川温泉旅館(休業中)のお湯を思い起こさせてくれる重炭酸土類泉系のお湯で、黄土色とモスグリーンを混ぜたような濁り方をしており、塩味に出汁味、金気味、そしてしっかりとした炭酸味が感じられます。またお湯の濁りが強く、湯中では同色の粒子も無数に浮遊しています。湯口には鱗状の模様が(析出)ビッシリ且つコンモリこびりついており、お湯の濃さ(カルシウムや重曹の多さ)をビジュアル的に体感できます。

一方、小さな浴槽に注がれているのは「ナトリウム泉」と書かれた3号井のお湯。湧出量が1号井の3分の1しかないため、それに応じて浴槽も小さいのですが、オーバーフローする量が多く、小浴槽から露天出入口まで段々状に下がっている箇所を流下しながら、タイルが飛び石状に置かれている出入口のまわりでちょっとした湯溜まりを形成していました。3号井のお湯は黄土色に笹濁り、ほんのり金気のある淡い塩味が感じられます。
なおこの3号井(小浴槽)の湯口にも鱗状の析出が形成されていますが、私が見た感じでは大きな浴槽である「鉄鉱泉」の湯口の方が厚さや模様の多さ、そして太さが勝っていました。また両源泉のお湯ともに、湯船へ入った時にはキシキシとした浴感が得られ、しっとりして肌にまとわりつく感覚に包まれるのですが、どちらかと言えば大きな浴槽の1号井の方がその傾向がより強かったように感じられました。



内湯のドアを開けると、更に低い位置にまるで池のように大きな露天風呂が濁り湯を湛えています。その露天風呂へ下りてゆく階段には、足元を温めるためなのか、温泉のお湯が流されており、階段の表面を流下してゆく温泉によって、階段が黄土色に染まり、部分的に黒く染まり、しかも鱗状の析出もびっしりとこびりついていました。

お宿に庭に設えられた大きな岩風呂の露天は男女混浴です。とはいえ、女湯側には囲いにより目幕視された女性専用ゾーンがありますから、女性客は男性を気にせず入浴することができますが、男湯側の露天は混浴のみですから、男性諸氏がこちらの露天風呂に入る際は、紳士としてのエチケットを守りましょうね。余計な心配を回避したい方は湯浴み着のレンタルがありますから(男女とも)、それを利用すれば良いでしょう。

大きな露天ですから、外気に熱を奪われることにより温度ムラが発生してしまうため、私が確認した限りでは少なくとも2つ(もしくはそれ以上)の湯口が設けられ、それぞれから2つの源泉を混合させたお湯が投入されていました。露天は2つの源泉を混ぜ且つ加水もしているのではないかと思われる。明るい黄土色とモスグリーンを混ぜたような色に濁る。適温。大量にお湯が注がれている。小さな露天は大きな露天の湯尻から流下するお湯を受けているためぬるい。お湯も鈍り気味。



大きな1つの池に見える露天風呂は、実際には大小1つずつの岩風呂から成り立っており、大きな方は上から見ると凹字のような形状をしています。私個人としては他人様の存在を気にせず入浴したかったので、「奥の方に行けば視線は気にならないかも」と考えて奥へ進んだのですが、奥へ向かうに従い湯加減がぬるくなり、しかも場所によっては高い位置にある内湯から俯瞰できてしまうので、結局は湯加減を優先して、適温が維持されている手前の方へ戻ってしまいました。
なお奥の方には小さい浴槽があるのですが、こちらは大きな露天の湯尻から流下するお湯を受けているためぬるく、しかもお湯自体も鈍り気味でしたので、私は入りませんでした。

いかにも北海道らしい大きな露天で、ニセコ昆布らしい濁り湯に入れ、しかも内湯では2つの源泉を楽しめるという、1回でいろんな楽しみ方ができる入り応えたっぷりなお風呂でした。


1号井
ナトリウム-塩化物温泉 48.9℃ pH6.0 330L/min(動力揚湯) 溶存物質2.694g/kg 成分総計3.062g/kg
Na+:563.2mg(69.53mval%), Mg++:51.4mg(12.00mval%), Ca++:80.7mg(11.43mval%), Fe++:3.3mg,
Cl-:1001mg(76.75mval%), SO4--:134.5mg(7.61mval%), HCO3-:348.8mg(15.54mval%),
H2SiO3:370.0mg, HBO2:49.1mg, CO2:367.9mg,
(平成21年1月15日)
加水・塩素消毒あり

3号井
ナトリウム-塩化物・炭酸水素温泉 67.2℃ pH6.4 190L/min(動力揚湯) 溶存物質3.755g/kg 成分総計4.065g/kg
Na+:684.3mg(61.08mval%), Mg++:105.0mg(17.73mval%), Ca++:133.0mg(13.62mval%), Fe++:1.8mg,
Cl-:1162mg(68.74mval%), HS-:0.1mg, SO4--:156.0mg(6.81mval%), HCO3-:708.4mg(24.35mval%),
H2SiO3:599.4mg, HBO2:61.3mg, CO2:309.9mg,
(平成21年1月15日)
加水・塩素消毒あり

北海道虻田郡ニセコ町ニセコ412
0136-58-2121
ホームページ

日帰り入浴11:30~21:00
900円
貴重品用ロッカー(フロント斜め前)・シャンプー類・ドライヤーあり
有料の湯浴み着あり

私の好み:★★+0.5
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ニセコ湯本温泉 月美の宿 紅葉音

2019年10月24日 | 北海道
久しぶりに北海道の温泉を取り上げます。
とはいえ、今年(2019年)の北海道旅行は温泉巡りが目的ではなかったため、スケジュールの合間を縫って片手に収まるほどの浴場を訪ねることしかできませんでした。ご期待に沿える内容とならないかもしれませんが、ご了承ください。



まず取り上げるのは、私が大好きなニセコ湯本温泉にある旅館「紅葉音(あかはね)」です。場所としてはニセコ湯本温泉を代表する施設「雪秩父」の道路を挟んだ向かい側で、別荘地の並びです。
こちらはかつて「ちせの湯」という名称でしたが、2006年頃に現在の姿および名称へリニューアルし、1日に12組の宿泊客しか受け入れないスタイルにより行き届いたおもてなしを実現させているんだとか。その一方で日帰り入浴利用も受け付けていますので、私は日帰り利用でお邪魔させていただきました。
駐車場に車を停めると、和服姿の仲居さんが玄関から出てきてくださり、日帰り入浴をお願いしたいと伝えると、笑顔で対応してくださいました。



建物の外観こそ地味ですが、館内は落ち着いた民芸調の設えです。帳場で料金を支払い、玄関や帳場の左側に伸びる廊下をまっすぐ進んで、突き当たりにある浴場へと向かいます。なお帳場の奥には上写真に写っているような休憩場所(囲炉裏?)があり、有料(300円)ながら日帰り客用のコーヒーが用意されています。



館内には浴場内の撮影を遠慮してほしいという旨の注意書きがございましたので、ここからは公式サイトの写真を借用しながら記事を進めてまいります。

館内のお風呂は2室あり、私が訪問した日は手前側に女湯の、奥に男湯の暖簾が掛かっていたのですが、暖簾替えはあるのでしょうか? 脱衣室はコンパクトな造りで3~4人同時利用したらいっぱいになってしまうそうな感じですが、綺麗にお手入れされており、少人数でしたら使い勝手に不満はありません。

浴室(内湯)は総木造のようなつくりで落ち着いた雰囲気です。旧「ちせの湯」時代の内湯はタイル貼りと石板貼りの組み合わせだったようですから、リニューアルに伴い大きく内装を変えたのでしょう。洗い場にはシャワー付きカランが5基取り付けられており、各水栓は硫化して真っ黒に変色していました。硫黄の温泉ならではの光景ですね。内湯の浴槽もまた木で作られており、そこに張られているお湯はグレーに濃く濁っています。そして底には湯泥がたくさん溜まっています。私が湯船に入ると底に沈んでいた灰色の湯泥が舞いあがって、湯中に波状の雲のみたいな模様が描かれました。なお湯加減は誰しもが寛げる絶妙な湯加減でした。



内湯のドアを開けてステップを下ったところには露天風呂が設けられています。全て屋根掛けされていますが、そこそこ広く、また塀越しに周辺の景色を眺めることもできます。こちらも「ちせの湯」時代は屋根が無かったので、リニューアルの際に屋根を新設したのですね。
このお風呂でちょっとユニークなのが、壁に貼り付けられている大きな絵地図です。周辺の様子をイラストで描いた観光案内図なのですが、湯船に浸かるとちょうど目線の先にこの地図が掲示されているので、自分の旅程をなぞったり、あるいはまだ足を運んだことが無い場所を探したりと、ついつい夢中になって地図上の道や拠点を追いかけてしまいました。
こちらの湯船も適温に調整されており、底には湯泥が溜まっていますが、外光の影響か、同じ源泉ながら内湯よりも明るく且つ白っぽく見えます。なお湯口ではぬるい温泉と熱い温泉をミックスさせた上で湯船へ投入させていました。



こちらのお風呂に引かれているのは、ニセコ湯本の大湯沼のお湯である雪秩父源泉。イオウ泉らしい臭いや味を有する他、酸味もあり、またクレゾールのような刺激臭も少々感じられます。更には粉っぽい感覚も得られます。上述したように浴槽のお湯は適温なのですが、温泉に含まれる硫黄の血管拡張効果が発揮されることにより、大変よく温まり、途中でクールダウンしないと長湯できないほど、比較的短時間で体の芯までしっかりあたたまります。

今回は日帰り入浴でしたからお宿時間のおもてなしやお料理を体験することができなかったのですが、もし機会があれば再訪して宿泊し、お宿の魅力をじっくりと堪能したいと思っております。


施設内に分析表が見当たらなかったので、参考までに「雪秩父」にて掲出されていた分析表データを抄出します。
単純硫黄温泉(硫化水素型) 56.8℃ pH3.9 湧出量未記載(自然湧出) 溶存物質0.161g/kg 成分総計0.557g/kg 
H+:0.1mg, Na+:8.5mg(25.17mval%), Mg++:5.7mg(31.97mval%), Ca++:8.4mg(28.57mval%), Al+++:0.4mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:4.3mg, S2O3--:1.0mg, SO4--:64.2mg(90.54mval%), HSO4-:0.3mg,
H2SiO3:65.4mg, CO2:380.7mg, H2S:14.6mg,
(平成20年11月10日)

北海道磯谷郡蘭越町湯里680-13
0136-59-2881
ホームページ

日帰り入浴10:00~17:00
800円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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湯の川温泉 大黒屋旅館

2016年08月28日 | 北海道
 
前回記事で取り上げた湯の川温泉「旅館新松」を出てから、もう1軒お風呂をハシゴしようと温泉街をウロウロしていたところ、旅館の駐車場に立つ日帰り温泉の幟が目に入ってきたので、それに導かれて「大黒屋旅館」を訪うことにしました。


 
ロビーでは坊主頭のマスコットがお出迎え。フロント前に設置されている券売機で湯銭を支払います。日帰り入浴に関しては、回数券も販売しているほど積極的に受け入れているようです。明るく対応してくださるスタッフさんに入浴券を手渡し、コの字型に曲がる感じで廊下を進んで、通路の最奥にある浴場へと向かいます。


 
4畳ほどのコンパクトな脱衣室を抜けて浴室へ。お風呂は男女別の内湯が1室ずつで露天風呂はありません。一般的な旅館の大浴場と比較するとコンパクトな部類に含まれるであろうこの浴室には浴槽がひとつ、そして壁に沿ってL字型にシャワー付きカランが計8基並んでいました。カランに関しては設置感覚がちょっと狭いように思われ、実際に私がシャワーを浴びている時も、隣客との干渉が気になってしまいました。なおカランから出てくるお湯は真湯です。


 

全面タイル張りの浴槽は上画像のような形状をしており、最も長い辺で5m×2m強といったところ。直に触れないほど激熱のお湯を注いでいるパイプの口には晒しの布が巻かれて、湯の花などの固形物を濾し取っているのですが、その湯口まわりにはアイボリー色の石灰がこんもりと付着しており、まるでサンゴ礁のような細かなトゲトゲを形成していました。また浴槽側面の湯面ライン上にも石灰のこびりつきによる庇状の突起ができていました。
お湯はこのパイプのほか、槽内の穴からも適温のお湯が投入されていましたので、アツアツの源泉を投入しつつ、温度調整済みのお湯も並行供給して、入りやすい湯加減を維持しているのでしょう。


 
浴槽の縁は元々黒い御影石だったかと推測されるのですが、上述のような石灰のこびりつきが著しいため、元の素材が判別できないほどアイボリー色に厚くコーティングされており、あまりの厚さゆえ部分的にトラバーチン化して、ミルフィーユのような層をなしている箇所もありました。
浴槽に張られたお湯は底から立ち上がっているオーバーフロー管より排湯されているのですが、その直下にも吸込口があり、同時並行で湯船のお湯を吸い込んでいました。上述のように槽内から適温湯が投入されているので、後者の吸込口は循環用と推測されます。つまり、生源泉を投入しつつ、放流式と循環式を併用している湯使いと思われます。源泉のままですと熱すぎてしまうので、入浴に適した温度にするため、そのような措置が取られているのでしょう。

お湯は薄く靄が掛かったような淡い濁りを呈していますが、ほぼ無色透明と表現して差し支えない見た目をしており、お湯を口に含むと非常にしょっぱく、しかも苦汁の味も含まれていました。匂いに関してはあまり感じられませんでしたが、僅かに石膏臭と磯の香りが嗅ぎ取れたように記憶しています。湯口や浴槽まわりにこんもりと石灰をこびりつかせるようなお湯ですから、湯中ではカルシウムのしわざによって引っかかる浴感が強いのかと思いきや、実際には食塩泉らしいツルスベの方がはっきりと現れており、私の体感で表現するとツルスベ:引っかかり=7:3といった割合でツルスベの方が勝っていました。湯船は(私の体感で)42〜3℃という温度に調整されているのですが、さすが濃い食塩泉ですから温熱パワーは力強く、大して熱くないのにすぐに体が火照って長湯することができません。湯上がり後もしばらくは汗が止まらず、真冬だというのに脱衣室にあった扇風機を回して、体をクールダウンさせたのでした(私が訪れたのは2015年12月です)。でもその温熱パワーのおかげで、外へ出てもちっとも寒くなく、本来ならば身が縮こまるような風が吹いてもヘッチャラでした。湯の川温泉の熱の湯は、しばれる冬の北海道にとって強い味方ですね。



さて、湯の川温泉で2軒の湯めぐりを終えた私は、路面電車で函館駅へ戻り、再びJRに乗ってその晩のうちに本州へと渡ったのでした。以下、次回記事へ続く。


湯川3丁目1号井~4号井源泉混合
ナトリウム-塩化物温泉 64.1℃ pH6.8 溶存物質8.829g/kg 成分総計8.968g/kg
Na+:2199mg(65.73mval%), Mg++:316.2mg(17.88mval%), Ca++:401.4mg(13.76mval%),
Cl-:4073mg(79.57mval%), HS-:0.1mg, SO4--:754.6mg(10.88mval%), HCO3-:833.7mg(9.46mval%),
H2SiO3:81.4mg, HBO2:22.9mg, CO2:139.4mg, H2S:0.1mg,
(平成25年3月11日)

函館市電・湯の川駅より徒歩4~5分(約300m)
北海道函館市湯川町3-25-10  地図
0138-59-2743
ホームページ

日帰り入浴6:00~24:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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湯の川温泉 旅館新松

2016年08月27日 | 北海道

前回記事で長万部から特急列車に乗った私は、終点の函館で下車し、路面電車に乗り換えて湯の川温泉で軽く湯巡りをすることにしました。まず1軒目は「旅館新松」。交差点の角に位置しており、結構な大きさを有するお宿です。


 
深紅のカーペットが敷かれたロビーを訪うと、館内は何やら慌ただしい様子。どうやら団体客が宴会をしており、スタッフさんはその対応に追われていたようでした。受付のカウンターに目をやると、日帰り入浴専用の料金受け皿を発見。そこで、釣り銭が無いようにセルフで湯銭をここに置いて、入館させていただくことにしました。このようなものが用意されているということは、地元の方から銭湯のような愛され方もされているのでしょうね。


 
案内表示に従って廊下を進み、共用洗面台を通り過ぎた先に紺と紅の暖簾がかかっていました。
脱衣室ではお琴の音楽がスピーカーから流れており、日本旅館らしい和の風情を醸し出しているのですが・・・


 
浴室は実用的な造りで、旅館というより公衆浴場のような雰囲気です。でも室内空間は広いので、のびのび湯浴みできるはず。そんなお風呂には大きな浴槽がひとつ設けられ、洗い場にはカランが11基並んでいました(うち6基はシャワー付き)。
タイル張りの浴槽はおよそ6m×3m弱の四角形で、ゆとりのあるサイズですから、団体で利用しても楽に足を伸ばして悠々と入浴できるかと思います。この浴槽で目を引くのが、縁に分厚くこびりついている温泉成分。タイルの色がわからなくなるほどベージュ色にコーティングされているほか、浴槽側面の湯面ライン上にも庇のような出っ張りが形成されていたり、オーバーフローが流れる床のタイルも赤茶色に染まっていたりと、お湯の濃さがビジュアル的に伝わってきました。


 
 
獅子の湯口も元の容貌が隠れてしまうほどの析出で覆われており、そんな口からお湯がドバドバと供給されていました。お湯は弱いベージュ色に濁っており、湯中では明るい赤茶色の湯の花が舞っています。お湯を口に含むと、塩味、弱石膏感、ほのかな磯の香り、そして石灰を思わせる粉っぽい感覚が得られました。
湯口から吐出される時点でお湯は既に適温に近く、湯船でも万人受けする湯加減が維持されていました。函館エリアの温泉浴場は熱いお風呂が多いのですが、そんな土地柄にあって、適温の大浴場は貴重な存在かもしれません。湯使いに関する表示が無いので断定的なことはわかりませんが、適温にするため加水されている可能性はあるにせよ、循環などは行われていない放流式の湯使いかと推測されます。適温ながらも食塩泉らしい力強い温まりが得られ、湯上がりにはポカポカが持続して冬の函館でも寒さを気にせず過ごせました。


温泉分析書見当たらず(ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉)

函館市電・湯の川電停より徒歩5分(約400m)
北海道函館市湯川町2-12-16  地図
0138-57-5558
ホームページ

日帰り入浴は夜8時まで
400円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は自己管理

私の好み:★★
コメント (2)
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長万部温泉 長万部温泉ホテル

2016年08月26日 | 北海道
 
前回記事で取り上げた昆布川温泉「幽泉閣」をチェックアウトした朝。昆布駅から函館本線(山線)の普通列車に乗り、まず長万部へ向かいました。


 
長万部では函館行の特急へ乗り換えたかったのですが、私が乗りたい列車の発車まではまだ時間があったため、乗り換えの待ち時間を利用して、駅から近い長万部温泉でひとっ風呂浴びることにしました。長万部温泉は拙ブログでも何度か取り上げていますが、今回訪れたのは大衆浴場を兼ねている「長万部温泉ホテル」です。建物には玄関が左右に2つ並んでおり、左側は宿泊客用、右側は大衆浴場(銭湯)用というように使い分けられています。


 
私のような銭湯の利用客は、右側の玄関から入って靴を下駄箱へ納めた後、一旦左側玄関の方にある帳場で湯銭を納めてから、再び銭湯側へ戻って男女別の出入口へ入ることになります。男女両出入口が面する空間は6畳あるかないかという狭さなのですが、そんな空間に下足箱やダイニングテーブルのセット、そしてセブンティーンアイスの自販機などいろんなものが詰め込まれており、やや雑然としていました。
自動ドアで開閉する脱衣室に入ると、昭和のノスタルジーが感じられる室内には、ビニル床の上に茣蓙が幾重にも重ねて敷かれており、窓の下には何度もペンキを塗り直されたであろう木製の棚が設置され、片隅には長期宿泊客向けのコイン式洗濯機が用意されていました。


 
脱衣室には番台が面しているのですが、上述のように私は湯銭を宿の帳場で支払ったので、今でもこの番台が使われているかは不明です。また脱衣室の壁には手書きの古い効能書きが掲示されているのですが、このプレートの字がなぜか旧字体。長万部温泉が発見されたのは昭和30年であり、この頃には既に常用漢字が使われていましたから、当時まだ新字体に慣れていないお爺ちゃんが書いたのかもしれません。


 
お風呂は内湯のみ。古いタイル張りの浴室も、昭和の銭湯風情たっぷりです。中央に瓢箪のような形状をした浴槽が据えられ、右側にカランが一列に並んでいます。


 

洗い場には押しバネ式水栓と固定式シャワーのセットが7基並んでおり、各水栓の付け根は補修用のパテがこんもりと盛られていました。修繕に修繕を重ねているのかもしれませんね。お湯の水栓を開けるとドバドバと大量に吐出されるのですが、後述する温泉のお湯よりはぬるく、僅かにしょっぱいと同時に、ほのかなタマゴ感を有しているようにも感じられました。あれ? 長万部温泉のお湯にタマゴ感なんかあったっけ? 温泉のお湯を水で薄めているのでしょうけど、その水って単なる水道水なのか、はたまた何かしらの特徴を有する鉱泉水なのか、そのあたりの事情はよくわかりません。


 
瓢箪のようなスタイルの浴槽は大小2つに分かれており、両者の中間には以前使われていたであろう湯口跡が残っているのですが、現在は使われておらず、床から立ち上がっている塩ビ管から小さな浴槽へ注がれていました。この小さな浴槽は1〜2人サイズのコンパクトなもので、湯口のお湯が直接注がれていることからも容易に想像できますが、熱めの湯加減となっています。なお私の体感では44℃前後だったように思われます。


 

小さな浴槽から流れてくるお湯を受けているのが真ん丸い大浴槽で、直径約2m、7〜8人は入れそうなキャパがあります。大浴槽には専用の湯口が無いため、湯船に張られているお湯の全量が小浴槽からの流れ込みなのですが、湯面の表面積が広い上、小浴槽から落ちる過程で若干温度が下がるため、大きな浴槽のお湯は42〜3℃という入りやすい湯加減になっていました。大小両浴槽とも加水加温循環消毒が行われていない完全放流式の湯使いであり、大浴槽の縁から洗い場へ向かってオーバーフローするお湯によって、流路まわりのタイルは茶色く染まっていました。

お湯は淡いカナリア色を帯びた透明で、しょっぱさと弱出汁味が感じられ、湯面からはアブラ臭を漂わせています。湯中では薄い茶色の浮遊物が舞っており、上画像のように桶で掬うこともできました。ケロリン桶の画像で、ケロリンと中外製薬の間に写っている茶色い物体がその湯の花です。食塩泉であることに加え、炭酸イオンが多く含まれているためか、ツルツルスベスベのとっても滑らかな浴感が大変気持ち良く、湯中で何度も自分の肌をさすってしまいました。また濃度の濃い食塩泉ですからパワフルに火照る熱の湯でもあり、真冬だというのに湯上がりには汗が引かず、しばらくはコートを着ずに屋外を歩けるほど、体の芯からホコホコと温まりました。長万部温泉には何度もお世話になっていますが、何度入っても良い湯ですね。そのことを再認識致しました。


 

熱の湯に満足した私は長万部駅へと戻ってまいりました。まだ北海道新幹線の開通前ですから、駅の正面には開業を告知する大きな看板が掲示されていました。
また、跨線橋など駅構内には随所に英語や繁体字中国語表記が見られたのですが、以前にはこのような外国語案内はありませんでしたから、近年のインバウンド増加に伴って追加されたのでしょう。実際にこの日も駅で列車を待つ客の多くが台湾や香港など中華系の旅行者でした。長万部も変わったもんだ。由利徹が見たらびっくりするんじゃねぇか。


 
「スーパー北斗」函館行が入線です。私がホームで列車を待っている間、長万部の駅弁「かにめし」をつくっている「かなや」のおじさんと昔日の鉄道談義に華を咲かせていたのですが、この時、おじさんはこの列車に「かにめし」を50個も積み込んでいました。50個という数に私が驚いていると、おじさん曰く、このくらいの数はいつものことで、多い時は1本の列車に70〜80個積むこともあるよ、とのこと。アテンダントさんが車内で事前にオーダーを取り、それを受けて積み込むわけですが、ホームで立ち売りするよりはるかに売れるので商売としてありがたいと笑顔を浮かべていました。


 
 
かく言う私も、駅前の「かなや」店頭で駅弁「かにめし」を購入し、車内でいただきました。フレーク状のかにがたくさん載せられたこのお弁当。拙ブログに登場するのは2回目ですが(前回記事はこちら)、噴火湾が広がる車窓を眺めながら頬張ると、とっても美味しいんですよ。


長温R2号
ナトリウム-塩化物温泉 47.9℃ pH8.0 湧出量測定不能(動力揚湯) 溶存物質10.01g/kg 成分総計10.02g/kg
Na+:3393mg(92.08mval%), NH4+:21.1mg, Mg++:13.5mg, Ca++:137.4mg,
Cl-:5637mg(94.81mval%), HCO3-:442.4mg(4.32mval%), CO3--:30.6mg, I-:3.6mg, Br-:22.2mg,
H2SiO3:142.0mg, HBO2:29.4mg,
(平成27年5月13日)

JR長万部駅より徒歩10分ほど
(駅の東側に掛かっている人用跨線橋で駅裏へ出ればすぐ)
北海道山越郡長万部町温泉町402  地図
01377-2-207
ホームページ

6:00〜21:00 第2・4火曜定休
440円
貴重品帳場預かり、ドライヤーあり(10円有料)、石鹸など販売

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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