温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

那須お菓子の城温泉  源泉那須山

2021年06月25日 | 栃木県
(2020年8月訪問)


前回に引き続き栃木県那須の温泉を巡ります。那須地域はまさに温泉の宝庫。那須湯本に限らずいろんな場所で多様な温泉が湧いています。今回ご紹介するのは、那須高原エリアと東北道那須インターを結ぶ観光のメインロード、県道17号線那須街道に面している観光施設「お菓子の城 那須ハートランド」内の温泉入浴施設「源泉那須山」です。
「お菓子の城 那須ハートランド」の敷地はとても広く、県道に近い方には「お菓子の城」と称する見学可能な菓子工場兼直売所とレストランを擁した建物があり、そこから看板に従って車で奥の方へ入っていった先に、今回取り上げる「源泉那須山」があります。駐車場が広いので、車を停める場所に困ることはないでしょうけど、その多寡を見れば、館内に入らずとも場内の混雑具合がある程度推し量れるかと思います。
観光に便利な立地ですからいつも多くのお客さんでにぎわっているらしく、その話を伝え聞いていた私は今まで敬遠していたのですが、食わず嫌いも良くないと考えて、2020年の夏に訪問してみました。


この施設を取り上げているネット上の記事を見ますと、この施設には足湯があると書かれているのですが、私の訪問時には使用されていませんでした。


玄関の内側に設置されている券売機で料金を支払い、受付に券を差し出します。
木材を多用した和風の館内はとても広くて天井も高く、施設側の説明のよれば「古民家材を随所に取り入れた漆喰仕上げ純和風平屋建て300坪」の建物で、「全ての壁は、日本古来の伝統手法を取り入れ、藁(わら)と土を塗ったあら壁に、土と砂、藁、すさを混ぜた砂壁を漆喰で仕上げてい」るんだそうです。なかなか立派で且つ手のこんだ建築なのですね。そんな館内には男女別大浴場の他、大座敷の休憩室や食堂、そして家族風呂など、いろいろな施設が設けられています。


浴室内も大変広く明るくて開放的。非日常を感じるにもってこいの空間です。広さのみならず、このお風呂は設えが印象的。それもそのはず「檜の大浴場、国産銘木の無垢材のみを使い」、また天井や梁にも築100年以上の民家で使われていた木材を再利用しているんだとか。

男湯の場合、右手の手前に洗い場、右手奥に小浴槽と水風呂、左手に大きな主浴槽が配置されています。この主浴槽は、館内説明によれば主浴槽は33㎡(20畳)の広さがあり、樹齢100年以上の国産檜材を使って作られたそうです。特に底板は厚さ4.5センチの無節無垢材が使われており、その現物が館内に展示されています。実際に湯船に入って腰を沈めると、何とも言えない素晴らしいフィーリングが肌に伝わり、得も言われぬ心地良さに思わずウットリしてしまいました。


(上画像は公式サイトより借用)
屋外の露天風呂は東屋がかかっており、浴槽自体は円形で、石材の浴槽を木枠で囲った造りです。浴槽は広大な芝生広場の片隅にポツンと設置されており、浴槽に入ると、その芝生越しに那須連峰を仰ぎ見ることができて、なかなか爽快です。またこの露天ゾーンにはデッキチェアの他、別棟のサウナもあり、サウナで温まった後は内湯の水風呂へ入っても良し、あるいはそのまま露天ゾーンに留まって那須の風に吹かれながらクールダウンするのも良いでしょう。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目はほぼ透明ながわ僅かに茶色を帯びています。湯口から注がれるお湯を手に取ってテイスティングしてみますと、甘塩味のほか、少々の芒硝感、そして樹脂っぽいアブラ臭が感じられました。またカルキ臭も確認できました。分析表によれば溶存物質3.925g/kgであり、その主な成分は塩化ナトリウムなので、はっきりと塩味が得られると思いきや、それほど感じられなかったのが意外でした。味が薄いので加水しているのかと勘繰りたくなりますが、施設側の説明によれば、熱交換により適温に冷ましており、加水を行っていないらしいので、なぜ成分表で示されている数値を実感できないのか不思議です。とはいえ、湯船に入った時の気持ち良さは誰しも納得がいくもので、特に大きな内湯に入った時は、あまりの気持ちよさに思わず瞑目してしばらく浸かり続けました。なお湯使いはかけ流しとのこと。

大きなお風呂ならではの爽快感と、使い勝手の良さ、そしてクセが少なく入りやすい泉質のお湯という組み合わせは、家族連れやグループ客など、当地を訪れる観光客の最大公約数を狙ったような感じであり、お湯自体も決して悪くなく、かけ流しで良いお湯ですから、当地においてマニアックな湯めぐりではなく万人受けする湯めぐりが求められるような場合には、大いに重宝する施設かと思います。


泉の湯
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 52.2℃ pH7.7 162.0L/min(動力揚湯) 溶存物質3.925g/kg 成分総計3.925g/kg 
Na+:1157.0mg(93.18mval%), Ca++:63.3mg(5.85mval%),
Cl-:1226.1mg(63.28mval%), SO4--:579.6mg(22.08mval%), HCO3-:478.3mg(14.34mval%),
H2SiO3:84.4mg, HBO2:317.0mg,

栃木県那須町高久甲4588-10
0287-62-4126
ホームページ

平日10:00~22:00、土日祝日9:30~22:00(閉館30分前に受付終了)
平日10:00~16:00→890円、平日16:00~22:00→690円
土日祝日9:30~16:00→1040円、土日祝日16:00~22:00→840円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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那須湯本温泉 あさか荘

2021年06月18日 | 栃木県
(2020年8月訪問)


前回記事に引き続き栃木県那須エリアの温泉を巡ります。
前回記事の大丸温泉から山を下り、いつも観光客でにぎわう那須湯本へとやってまいりました。那須湯本で日帰り入浴といえば、有名なのが「鹿の湯」であり、温泉マニアだと「雲海閣」なども候補に入ってくるかと思います。この他にも当地の宿の多くで日帰り入浴を受け付けていますが、今回は見慣れない名前の「あさか荘」を訪ねて日帰り入浴することにしました。
看板の様子から推測するに、元々は別名称の旅館であり、居抜きのような形で別の経営者が買い取り、リニューアルと名前変更を経て営業を再開したものと思われます。

(帰宅後に調べたところ、以前は「千歳屋旅館」だったようです。2020年4月に現在の形でオープンしたんだとか。鹿の湯付近にある「民宿アサカ荘」のご家族が経営なさっているそうです。)


日帰り入浴をお願いすべく、玄関に入り帳場で声を掛けたところ、東南アジア系と思しき恰幅の良い元気なおばちゃんが現れ、明るく愛想よく対応してくださり、小さなバスケットに収められた日帰り入浴用のドライヤーと柔軟剤の香りを強く放つ貸タオルを渡してくれました。ドライヤーをその都度貸し出すのは、お風呂の近くに置いておくと部品が硫化してすぐ使い物にならなくなるための措置かと思いますが、入浴料500円なのにタオルを貸してくださるとは実にありがたい。上述のように当地では多くの宿で日帰り入浴を受け入れているので、こうした小さな心配りにより差別化を図っているのでしょうね。うれしいサービスです。
そして、おそらくあのおばちゃんは新しい女将なのでしょう。短い時間でしたが、おばちゃんの溌溂とした姿に接していると、こちらの気分まで自然と明るくなりました。


さて玄関から通路を進み、階段を下ると、紅と紺の暖簾がさがっていました。男女の暖簾が入口に提げられている光景は、どの温泉宿でも見られますが・・・


「ドアを締めてください(ママ)」という文言とともにタイ語表記の注意書きまで書かれていました。全国に星の数ほど存在する温泉宿のうち、手書きのタイ語表記が見られる施設は、果たしてどれだけあるでしょうか。ということは、あの元気なおばちゃんはタイの方なのでしょうね。


ウッディな雰囲気の中に硫黄の湯の香が漂う男湯は、裏路地に面しており、正面と左側に窓が設けられているため明るく快適です。


洗い場にはシャワー付き混合水栓が2基並んでいるほか、浴槽へ加水できる水道の蛇口も1つ設けられています。


那須湯本の白濁湯が張られた浴槽はタイル張りで、4人サイズといったところ。


木組みの湯口は硫黄で真っ白に染まっています。湯口の傍には硫化水素対策のため、換気扇が取り付けられていますね。
私が訪問した時には館内に分析表が掲示されていなかったのですが、ネット上に残る「千歳屋旅館」時代の記事等を検索してみますと、「鹿の湯・行人の湯 混合源泉」が引かれていたそうですから、おそらく現在も同様でしょう。

青白く濁るお湯の中には細かな黄色い湯の花も浮遊しており、湯面からはツンと鼻孔を刺激する硫黄臭が放たれています。湯口のお湯は熱いため、投入量はやや絞り気味です。それでも湯船のお湯は若干熱めなので、私は短いスパンで入ったり出たりを繰り返しました。心身がシャキット引き締まる良いお湯です。


窓を開けると、直下に引き湯をストックする槽(上画像で木の蓋で覆われた部分)が設けられていました。源泉から供給されてきた温泉は、一旦ここに溜められてから浴槽へ流下してゆくわけですが、元々の温度が高いため、湯口においても高温が保たれているようです。


窓の目の前に見えるのは「滝の湯共同浴場」ですね。以前拙ブログでも取り上げたことのある共同浴場で、地元組合員の他、那須湯本の旅館宿泊客も利用することができますので、ご興味がおありでしたら、当地での宿泊をおすすめします。

こちらのお宿はリーズナブルに宿泊できるようですから、那須湯本のお湯に浸かりながら気軽に宿泊したい場合には重宝しそうですね。コロナ禍でどこも厳しい状況が続いていますが、こうして閉業したお宿が復活して再びお客さんを迎え入れてくれると、実に嬉しいものです。頑張っていただきたいですね。

分析表掲示無し

栃木県那須郡那須町湯本
0287-76-2440

日帰り入浴8:00~20:00?
500円
シャンプー類・ドライヤー貸出あり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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大丸温泉 旅館ニューおおたか

2021年06月12日 | 栃木県
(2020年8月訪問)


那須茶臼岳ロープウエイ乗り場のちょっと下に、眺めの良い大丸園地という場所があり、広い駐車場に沿ってお土産物店が立ち並んでいるのですが、店舗の休廃業が相次いでおり、2020年夏の訪問時には半数以上が廃墟状態で、明るい日中でも妙に不気味な雰囲気を漂わせていました。そんな大丸園地から山側へ上がった、見晴らしの良い県営大丸駐車場の前にある一軒宿「旅館ニューおおたか」で日帰り入浴を楽しみました。那須の日帰り温泉入浴といえば、那須湯本の「鹿の湯」が有名で、いつも混雑していますが、ここまで上がってくる観光客が少ないのか、人の声より鳥の囀りが大きく聞こえるほど、とても静かな環境です。


帳場で日帰り入浴をお願いしますと快く対応してくださいました。私が訪問した時、先客は誰もいらっしゃらず、館内はとても静か。そんな館内の長場で湯銭を支払い、右手に伸びる廊下を進んでゆくと、突き当たりに貴重品ロッカーが設置されており、そこを左折して男女別の浴室へとつながっています。ロッカー前にはカゴが積み重ねられているので、利用客が各自でカゴを取っていきます。脱衣室は長年使い込まれているような佇まいで且つ質素な感じです。


年季が入った浴室には白い塗装が施され、窓際に岩風呂が設られており、訪問時は湯気と熱気で濛々としていました。この岩風呂は台形を横にした形状で、見た感じで4人サイズでしょうか。大きな石の湯口からお湯が落とされています。


洗い場にはシャワーつきカランが2基並んでいます。カランから出てくるお湯はボイラーの沸かし湯です。


分析表によると泉質名は単純泉ですが、実際のお湯は決して単純ではなく、湯船のお湯は灰色掛かった橙色に薄く濁っています。また岩風呂の表面にはトゲトゲとした析出がびっしり現れており、湯口のまわりには橙色に染まっています。内湯のお湯は加水されているものの、ちょっと熱めでした。


内湯のドアを開けて屋外に出て露天風呂へ。
露天も岩風呂で、こちらは12人ほど入れそうな大きさです。湯口から投入量をやや絞った状態で熱いお湯が落とされており、こちらも内湯と同じように濁っています。こちらの露天風呂は周囲に立つ木々が視界を遮っているのですが、木々の向こうは公共駐車場や公衆トイレなので、目隠しのためには致し方ありません。


内湯のところでも申し上げましたが、こちらのお湯は単純泉という名前に反して実に個性的。湯口のお湯をテイスティングしてみますと、金気味のほか炭酸カルシウム由来と思しき粉なっぽい味、そして土気の味も含まれ、さらには芒硝と思しき薬味も感じられます。こうした複雑な味覚をもたらす成分が、お湯の濁りやトゲトゲの析出をもたらしているのでしょう。湯船に肩まで浸かってみますと、はじめのうちはサラサラ感が肌に伝わりますが、やがて少々の引っ掛かりが得られ、その両方が全身を包み込み、優しいながらも力強く体を温めてくれました。なお湯使いは加水した上での掛け流しです。

茶臼岳の綺麗な空気と静かな環境のもとで、個性的なお湯に浸かり、おかげさまで心身の疲れは忽ち回復しました。硫黄泉に拘らなければ、那須湯本で混んだお風呂に入るより、ちょっと上がったこの大丸の地で静かにゆとりのある湯浴みを楽しむのも良いかと思います。


相の湯
単純温泉 71.7℃ pH6.5 溶存物質845mg/kg 成分総計955mg/kg
Na+:55.7mg, Ca++:66.1mg, Mg++:23.2mg, Fe++:1.3mg,
Cl-:4.8mg, SO4--:229.6mg, HCO3-:204.0mg,
CO2:109.8mg,
(昭和63年10月3日)

栃木県那須郡那須町湯本269
0287-76-2457
ホームページ

日帰り入浴10:00~17:00
700円
ロッカー(貴重品用)・シャンプー類・ドライヤー(帳場貸出)あり

私の好み:★★+0.5
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三斗小屋温泉 大黒屋 その3(お風呂)

2021年06月06日 | 栃木県
(2020年8月中旬訪問)
前回記事の続編です。
真夏でも清涼の地、那須岳の山中に湧く三斗小屋温泉「大黒屋」で、快適な一晩を過ごした記録を綴っております。


こちらのお宿には大小のお風呂があり、1時間ごとに男女の暖簾を掛け替えています。もちろん両方とも温泉が引かれています。
館内のあちこちに時間割が掲示されていますので、よく見て確認しながらお風呂を利用します。前回記事でも触れましたが、こちらは夜9時が消灯ですので、お風呂の利用も夜9時まで。翌朝は6時から入浴可能です。

●大浴場

大浴場は本館の廊下と直接つながっている総木造の浴舎で、屋根には湯気抜きも設けられ、徒歩でしか到達できない山中の宿とは思えないほど立派な作りです。


窓外の梢越しには遠方の稜線が眺められます。また窓を全開にすることで、実質的な半露天状態にすることも可能です。真夏に自然豊かなロケーションで露天風呂に入ると、往々にしてアブに襲われますが、少なくとも私の利用時にそのようなことはなく、山の清らかで涼しい空気に抱かれながら安心して湯浴みできました。


浴槽はちょっと深めの造りで、(目測で)1.8m×2.4mの浴槽を二分しています。浴槽の縁は木なのですが、槽内は青く黒光りしています(岩盤なのでしょうか)。訪問時、源泉が注がれる湯口側は熱くて入れなかったので、私は手前側に入りました。この手前側は(同じく目測で)1.2m×1.8mで2人~3人サイズでしょうか。湯口側のお湯が流れてくるこちら側もちょっと熱かったのですが、それでも大変気持ち良く、瞑目しながらじっくりゆっくり湯浴みを堪能させていただきました。


二つのお風呂にはそれぞれ異なる源泉が引かれています。大浴場に引かれているのは1号源泉で、湧出温度50℃以上のお湯がそのまま浴槽へ注がれています。山の中ですから加温や循環などの設備など導入できるはずもなく、完全かけ流しの湯使いであり、湯量も豊富です。そんなお湯の見た目は無色透明で、匂いもほとんど無く、口にしてみると薄い石膏や芒硝の風味が感じられます。サラサラとした浴感でありながら、体の芯までよくあたたまり、実に良いお湯です。


脱衣室に掲示されている筆書きの効能説明は明治時代のもの。当然後世に書き直されているかと思いますが、三斗小屋温泉は昔からあるということを伝えてくれます。


●岩風呂(小浴場)

一方、廊下の突き当たりから更に奥へ進んだところにある小さなお風呂が「岩風呂」です。脱衣室には二槽式洗濯機が設置されていましたが、これはあくまで業務用であり、客は使えないかと思います。


浴槽はいびつな円形の2人サイズ。詰めれば3人入れるかもしれません。青く黒光りする岩の浴槽の周りをモルタルで固めており、湯口にも飾りのような岩が置かれています。


岩風呂に引かれているお湯は3号泉。源泉湧出が41℃なので湯船もぬるめです。そして湯温低下を防ぐためか、湯口の塩ビ管を槽内まで伸ばしてお湯を投入しています。私が訪問した日のような夏ですと爽快感を覚える適温ですが、それ以外の季節ではかなりぬるく感じるのではないでしょうか。分析表を見ますと、大浴場の1号源泉とほぼ同じような成分構成および溶存物質量なのですが、実際のお湯を手に取ってみますと1号よりも風味が若干薄く、まさに単純泉といった感じでした。浴槽が小さいためか湯量が相対的に多く、私が湯船に入るとザバっと豪快に溢れ出ていきました。景観や雰囲気を楽しめるような環境ではありませんが、静かで落ち着けるお風呂です。

徒歩でしか行けない温泉である那須岳の三斗小屋温泉には、露天風呂を有する「煙草屋旅館」と、今回取り上げた旅館の風格を有する「大黒屋」の2軒があり、それぞれ趣きが異なるため甲乙つけがたく、いずれも素晴らしいお宿です。無雪期に三斗小屋温泉まで行くなら難易度が低いルートでたどり着けますので、那須岳へ何度も通って、その都度宿を変えてみるの良いですね。今回の「大黒屋」でも大変快適なひと時を過ごすことができました。


1号源泉
単純温泉 51.6℃ pH6.8 17.2L/min(自然湧出) 溶存物質0.642g/kg 成分総計0.666g/kg
Na+:41.9mg(28.00mval%), Ca++:61.4mg(47.11mval%), Mg++:17.0mg(21.55mval%),
SO4--:249.4mg(77.55mval%), HCO3-:90.0mg(22.03mval%),
H2SiO3:172.6mg, CO2:23.9mg,
(2019年8月9日)

3号源泉
単純温泉 41.8℃ pH6.5 35.9L/min(自然湧出) 溶存物質0.443g/kg 成分総計0.462g/kg
Na+:28.9mg(29.54mval%), Ca++:39.0mg(45.62mval%), Mg++:11.2mg(21.66mval%),
SO4--:177.0mg(85.84mval%), HCO3-:35.7mg(13.61mval%),
H2SiO3:145.4mg, CO2:18.9mg,
(2019年8月9日)

栃木県那須塩原市三斗小屋温泉
現地090-1045-4933
予約専用0287-74-2309(平日8:30~18:30)
ホームページ

営業期間:4月中旬~12月上旬(冬季休業)
1泊2食付き税込10,000円(このほか入湯税200円)、子供料金は公式サイトでご確認ください。
入浴のみの利用不可。

私の好み:★★★
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三斗小屋温泉 大黒屋 その2(部屋・食事)

2021年06月02日 | 栃木県
前回記事の続きです。

(2020年8月中旬訪問)


沼原を出発し、「会津中街道」の道筋をたどりながら、戊辰戦争の戦地だった三斗小屋宿跡を経由し、那須茶臼岳の西側を登って、三斗小屋温泉までたどり着きました。当地には2軒のお宿がありますが、この時お世話になったのは「大黒屋」です。もう1軒の「煙草屋旅館」は以前拙ブログで取り上げていますので、そちらをご覧ください。


まずは玄関で登山靴の紐を解き、宿帳に記入します。山奥なので電気は来ていませんが、自家発電により衛星電話やテレビ(BS)など、情報や連絡のための機器は使えるようになっています。


大黒屋は本館と新館に分かれていますが、私が泊まったのは歴史のある本館。なんと2019年で築150年を迎えたんだとか。ということは明治ひと桁に建築されたんですね。明治初期の建造物に宿泊できる機会はそう滅多にありません。しかも有名な都市や城下町、宿場町ではなく、那須岳の山の中なんですから面白いではありませんか。なお明治期の日本人は平均身長が低かったため(成人男性で160cm、女性で150cm弱)、明治期の建物であるこの本館は天井が低くて階段も急です。でもそれが良い雰囲気。


暗くなったら廊下にランプを灯します。これもまた良い雰囲気。気分はすっかり明治人。


今回私が利用したお部屋はこちらの「拾五番」。


6畳に広縁が付いている角部屋です。ちゃぶ台の上にはお茶が用意されており、旅館としての体裁を保っています。なお床のみならず梁や天井など至る所が傾いでいるような気がしますが、これも築150年の味わいということでご愛嬌。一応、部屋に電球ひとつがぶら下がっており、21時に消灯です。


梢の向こうに麓を見下ろせる清々しいロケーション。あぁ、あの麓からここまで自分の足で登ってきたのかぁ。実に感慨深い。私が訪問した8月中旬の東京は当然ながら地獄のような猛暑が続いていましたが、標高1460メートルのここ三斗小屋温泉は猛暑とは一切無縁の、とても清涼な極楽の地でした。日が沈むと涼しいどころか若干肌寒さすら感じ、就寝時には布団をしっかりかぶりたくなるほどでした。クーラーに涼を求めると体が参ってしまいますが、天然のクーラーならその心配は無用。きれいな空気を胸いっぱい吸えますから、心身の健康がすっかり回復することでしょう。


山の清冽な水で冷やした缶ビールを帳場にて購入し、登山で乾いた喉を潤します。
街で買う缶ビールと同じはずなのに、山で飲んだときの旨さたるや格別ですね。本当にうまい!


実質的な山小屋であるにもかかわらず、夕餉も朝餉もお部屋出しで提供されるところが旅館らしい
上画像は夕飯。この日は焼き魚、から揚げ、ホウレンソウ、お芋、お味噌汁という献立で、ちゃんとお膳に載って提供されるんです。またご飯はお櫃で提供されます。


こちらは朝食。いささか簡素な感は否めませんが、でもあまりお腹いっぱいですと、この後の行動に支障をきたしますから、この程度で十分です。塩分をしっかり摂って、行動時の発汗に備えます。

さて、肝心のお風呂は「その3」で紹介します。

次回に続く
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