温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

磐梯熱海温泉 湯kori

2023年12月28日 | 福島県

(2022年10月訪問)
磐越西線の磐梯熱海駅へやってまいりました。
郡山の奥座敷である磐梯熱海温泉の玄関口として、かつては特急「あいづ」も停まったそこそこの主要駅でしたが・・・


いまでは1時間に1本の普通列車、そして1日3往復の快速列車が止まる程度で、かなり地味なローカル線の閑散駅になってしまいました。磐梯熱海温泉の人気には陰りがあり、また地元の方は自家用車で移動するため、この駅の利用者数は年々減少しています。駅前も観光地らしくなくひっそりとしており、私が訪問した時も観光客の姿は見られませんでした。
でもそんな状況を打破してくれそうな施設が駅前に2019年に開業しました。上画像の左側に写っている・・・


「湯kori」です。画像の建物をご覧になるとお気づきになるかと思いますが、新築開業ではなく、かつて「小松屋」という旅館だった建物をリノベーションして、温泉付きゲストハウス兼カフェとして生まれ変わりました。
なお私が訪ねたのは2022年10月ですが、その後2023年春に改装工事が行われてリニューアルしていますので、記事中で紹介している内容と現状とでは若干異なる点があるかと思います。何卒ご了承ください。


宿泊や入浴の利用のみならず、食事のみの利用も可能のようです。
上述のように駅前は観光地とは思えないほど閑散としており食事できるお店を探すのに苦労しますが、ここは本当に駅前という至極便利な立地ですから、鉄道で磐梯熱海を訪ねた観光客にとっても観光拠点になり得るかもしれません。


今回私は日帰り入浴利用で訪問しました。入館すると若い男性スタッフが丁寧に応対し、玄関でスリッパを出してくださいました。人間って第一印象が大切ですけど、丁寧な接客のお蔭でこちらのお宿に対する第一印象も抜群に良く、館内においても大変良い気分で利用することができました。
お風呂は1階の奥に位置しており、大小1つずつあって、男女が日によって暖簾替えされているようです。私の訪問時は大きな方のお風呂に男湯の暖簾がさがっていました。


(画像は公式サイトから借用)
他の客さんがいらっしゃったので浴室内の撮影はしておりません。浴室内の画像は公式サイトから借用しております。
リノベーション工事により建物内部は綺麗になっていますが、建物の構造自体は昭和の建造物らしい特徴が残っており、特にお風呂に関しては意図的に旧旅館時代の面影を残しているようです。

大きな裸婦像のタイル絵が印象的な浴室はレトロ感たっぷり。正面向かって右手手前に洗い場があり、シャワー付きカランが計3つ並んでいます。浴槽は馬蹄のような形状のものが1つ。露天などはありません。
湯口から注がれ湯船を満たす温泉は郡山市の集中管理湯で、無色透明無味無臭ながらスベスベ感がしっかり肌に伝わり、入り心地がとても良好です。分析表を見る限り溶存している成分は決して多くないのですが、pH9.1というアルカリ性である点、そして炭酸イオンが23.5mgも含まれている点が、スベスベとした滑らかな浴感をもたらしているのでしょう。なお館内には湯使いに関する案内が無かったのですが、おそらく放流式かと思われまする。湯船では適温でしたが、湯口のお湯はちょっと熱く、また投入量自体もそんなに多くなかったため、加水をなるべく避け、投入量を絞ることによって湯加減を調整しているものと推測されます。

公式サイトを拝見しますと、客室やカフェなども小洒落て綺麗で、見るからに快適に利用できそうな感じ。今回は入浴のみの利用でしたが次回は是非宿泊利用で伺ってみたいものです。駅から徒歩30秒というこの上なく便利な立地を活かして、磐梯熱海の活性化に一役買っていただきたいと切に願っております。


郡山市営第1号泉・第4号泉・第5号泉・第7号泉統合泉
(混合比 1・4・7号混合:5号=3:1)
アルカリ性単純温泉 50.4℃ pH9.1 動力揚湯 溶存物質0.3880g/kg 成分総計0.3880g/kg
Na+:113.3mg(94.08mval%),
Cl-:60.0mg(33.07mval%), HS-:0.2mg, S2O3--:0.1mg, SO4--:102.1mg(41.68mval%), CO3--:23.5mg,
H2SiO3:60.2mg,
(平成26年6月23日)

福島県郡山市熱海町熱海1-109
024-984-3811
ホームページ

日帰り入浴11:00〜21:00(最終受付20:00)
700円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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2023年の拙ブログは本記事にて終了です。
本年も稚拙な記事をお読み下さりありがとうございました。
どうにか週1回のペースで更新することができました。
来年も同じペースで更新できたらと思っております。
引き続き2024年もお付き合いくださいますよう宜しくお願い申し上げます。
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赤湯温泉 好山荘 リニューアル後に再訪(2022年10月)

2023年12月22日 | 福島県

(2022年10月訪問)
福島の吾妻連峰と安達太良山の両山麓を縫うように走りながら土湯峠を越える福島県道70号線。私が訪問した時には山々が錦秋の彩りで大変美しく、所々で車を停めては、見事な紅葉を楽しませていただきました。


さて今回目指すのは土湯峠温泉郷の「赤湯温泉 好山荘」です。こちらの温泉は以前拙ブログで取り上げておりますが(当時の記事はこちら)、2021年に発生した地震によって一度は休業に追い込まれてしまいました。その後1年近く閉鎖が続き、もう復活は難しいかと思われていましたが、地元の方々によってクラウドファンディングによる再興が図られ、目標額に達したことで見事にリニューアルが進行し、晴れて営業再開と相成りました。私もクラウドファンディングに参加した一人として、どのように生まれ変わったのか自分の目で確かめるべく、今回再訪したのでした。


県道から温泉へのアプローチ路は急な傾斜の砂利道なので、初めての方はちょっと不安に思われるかもしれませんが、普通の乗用車でも問題なく通行できるかと思います。


坂道を下りきったところに建っていた建物は、以前の山小屋然とした雰囲気とは大きく異なるシックな色遣いの新しい姿に生まれ変わっていました。


こちらの玄関からお邪魔します。帳場にいらっしゃった女将さんに入浴したい旨を申し出、湯銭をお支払い。


帳場から右手に伸びる廊下に沿って客室が並び、一方帳場の左側にはお座敷やお風呂が配置されています。



大小2つのお風呂を男女で使い分けており、訪問時に男湯の暖簾が掛かっていたのは小さい方のお風呂でした。さすがに全面改築しただけあって、更衣室は小ぢんまりとしていながらも非常に綺麗で明るく、気持ち良く使えます。


小浴室なのでコンパクトな造りですが、大きな窓を採用することでスペース的な問題を払拭しようと試みられているような感じです。実際に窓からは陽光が燦々と降り注ぎ、山々の美しい景色を眺めながら湯あみすることができます。
洗い場にはシャワーが2つ設置されており、シャワーヘッドは3パターンの水流を切り替えられるタイプの製品が取り付けられていました。

目測で2メートル四方と思しき浴槽には、赤湯温泉という名前の通り赤く濁ったお湯が張られ、しっかり掛け流されています。なお浴槽などに手をついて擦ると指先にオレンジ色の沈殿が付着します。お湯からは金気と土気が感じられ、湯船に浸かると肌の皴1本1本に染み込んでゆくようなシットリ感が得られ、全身がよく温まります。はっきりと赤く濁っているにも関わらず泉質名は単純温泉。とはいえ溶存物質0.8532gなので、あと約0.15gあれば石膏泉を名乗れるわけで、温泉法による泉質名の線引きが、濁り湯なのに単純泉という不可解な状況を生み出していると言えましょう。

なおリニューアル前のお風呂には赤湯の露天風呂もありましたが、リニューアル後は内湯のみになっています。源泉湧出量が毎分70Lなので、無理に内湯と露天で分けるより、内湯一本にした方が良いという潔い判断かと思われます


続いて、離れの露天風呂にも行ってみましょう。内湯から一旦着替えて屋外に出て、駐車場を突っ切って露天風呂へ向かいます。


こちらはリニューアル前とほぼ同じ姿を保っているようでしたが、とはいえ全体的に綺麗になっており、以前のようなワイルドさを残しつつも、気持ち良く入浴できる環境が整えられています。なおミルクタンクを横倒しにして改造した手作り更衣室はリニューアル前からここに設置されており、この露天風呂の象徴的な存在とも言えそうです。


内湯の赤湯とは対照的に、離れの露天風呂は弱い白濁の単純硫黄泉。お湯からはマイルドな収斂酸味と硫黄らしい味や香りが感じられます。訪問日は小春日和の良い陽気で、青空に山々の紅葉が映え、あまりの美しさに湯浴みしながらしばし絶景に見惚れていました。

見事リニューアルによる営業再開を果たしたこちらのお宿。これからも末永く良いお湯を提供していただきたいと思っております。私もまた機会を見つけて再訪するつもりです。


【内湯】赤湯の三番の湯
単純温泉 52.8℃ pH6.7 70.4L/min 溶存物質0.8532g/kg 成分総計0.9413g/kg
Na+:37..8mg(19.10mval%9, Mg++:24.3mg(23.23mval%), Ca++:76.8mg(44.45mval%), Fe++:0.8mg,
SO4--:386.2mg(90.05mval%),
H2SiO3:245.2mg, CO2:88.1mg,
(令和2年9月25日)

【露天風呂】
(2022年10月訪問時には分析表が見当たらなかったため、以前拙ブログで紹介した古いデータを再掲します。)
赤湯温泉白湯
単純硫黄温泉(硫化水素型) 49.1℃ pH3.9(※) 17L/min(自然湧出) 溶存物質167.6mg/kg 成分総計223.4mg/kg
(※)湧出地におけるpHのデータが無いため試験室におけるpH値を掲載
Na+:7.5mg(17.16mval%), Ca++:15.8mg(41.08mval%), Al+++:4.0mg(22.88val%),
SO4--:96.0mg(96.6mval%),
H2SiO3:34.2mg, CO2:46.0mg, H2S:9.8mg,

福島県福島市土湯温泉町字鷲倉1
0242-64-3217

日帰り入浴10:00~14:30 
700円
冬期休業(12月〜3月)

私の好み:★★★

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横向温泉 滝川屋旅館

2023年12月15日 | 福島県

(2022年10月訪問)
福島県の安達太良山周辺は、言わずもがな温泉の宝庫です。
その北麓に位置する横向温泉「滝川屋旅館」は、以前は宿泊しないとお風呂に入浴できなかったのですが、最近になって事前予約制で日帰り入浴を受け付けてくださるようになったので、秋の色合いが深まってきた2022年10月某日に日帰り入浴で利用させていただくことにしました。


風情ある木造の旅館。宿泊客は1日一組しか取らないとのこと。そんなお宿のお風呂に入れるのですからありがたいですね。玄関の引き戸を開けて声を掛けますと、ご主人がご丁寧に案内してくださいました。


ご主人に導かれながら館内の廊下を奥へ奥へ、階段を下へ下へと進んでゆくと、その突き当たりが浴場棟になっていました。温泉巡りの経験則から申し上げますと、下って向かう施設のお風呂は良い傾向にあります。この浴場棟は綺麗に作り直されており、木材がまだ美しい状態を保っていました。お風呂は混浴と女湯の2室があるのですが、今回は貸切ということもあって混浴のお風呂を使わせていただきました。更衣室には薄皮まんじゅうでお馴染みの「柏屋」の鏡が取り付けられており、いかにも福島県だなと実感しました。


総木造の浴舎も実に風情たっぷり。湯の香と湯気が漂う静かで神秘的な空間です。その極上な雰囲気にうっとりとしてしまい、思わず「うわぁ」と感嘆の声が漏れてしまいました。浴室内には後述するように浴槽が3つある他に余計なものは無く、シャワーや洗い場などもありません。湯船から直接桶でお湯を汲んで掛け湯をすることになります。


浴槽まわりの床は幾何学模様の板張り。老舗旅館でしばしば見られる意匠ですね。


浴槽は3分割されており、一番大きな手前側の槽は約1.8m四方で、31℃くらいの非加温源泉が底から湧出しています。


一方、祠や鳥居の前の小さな浴槽には加温されたお湯が張られているのですが、それでも湯温は(私の入浴時で)36.5℃でした。なお画像に写っている鳥居下の湯口から加温された温泉が出ています。


壁際にはこんな小さな槽もあり、「この湯は眼に良いですよ!」と説明されていたので、試しに私もこのお湯で洗眼してみました。正直なところ洗眼前後で違いはよく分からなかったのですが、目の疾患に何らかの効能があるのかもしれません。

さてお湯に関してですが、浴槽のお湯はやや黄土色を帯びながら貝汁濁りを呈しており、湯船の中には山吹色の湯の花が無数に浮遊しています。お湯を口に含むと弱い金気と土気、微収斂、そしてほんのり焦げたような匂いと土気の匂いが感じられます。湯船ではキシキシとした引っかかる浴感の他、肌の皴に沁み入って来るようなシットリ感もあり、優しくしっかりと全身を包んでくれます。
こちらの温泉はぬる湯の名湯。非加温で31℃、加温しても40℃に至らないお湯なのですが、にもかかわらず湯上がりは不思議と体が芯から温まるのですから実に不思議。さすが名湯は素晴らしいパワーと優しさを兼ね備えているのですね。

なかなか宿泊する機会には恵まれそうにないのですが、それゆえ日帰り入浴ができることは非常にありがたく、お蔭様でぬる湯の名湯をじっくり堪能させていただきました。


下の湯
単純温泉 31.9℃ pH6.5 62.4ml/min(自然湧出) 溶存物質0.5824g/kg 成分総計0.8203g/kg
Na+:69.7mg(6171mval%), Mg++:7.4mg(12.42mval%), Ca++:15.0mg(15.27mval%),
HCO3-:284.1mg(93.95mval%),
H2SO3:174.1mg, CO2:237.9mg,
(平成29年3月17日)
一部の浴槽で加温あり、加水循環消毒なし

福島県耶麻郡猪苗代町若宮下湯甲2970
0242-64-3211

日帰り入浴は事前予約制。受付状況や時間などは施設へお問い合わせください。
1600円/1人 複数人数の場合はもう少し安くなる?
ロッカー・ドライヤー無し
石鹸類あり

私の好み:★★★
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磐梯山中腹 中の湯跡

2022年08月08日 | 福島県

(2021年10月訪問)
2022年夏の猛暑もなかなか手強いですね。暑さに負けて体力も気力もそろそろ限界を迎えそうなので、昨年晩秋の旅の記録を見ながら、視覚だけでも一服の涼を得てみようかと思います。昨年(2021年)の晩秋に私は会津の名峰磐梯山を登山しました。
磐梯山の山頂へ向かうコースは複数のありますが、今回選択したのは最もメジャーな八方台往復コースです。まずは車で八方台へ向かい、駐車場に車をとめて、登山口へと向かいます。早朝から多くの登山者が集まっており、人気の程が窺えます。


10月下旬といえば既に紅葉は終盤を迎えており、中腹ではそこそこ楽しめたものの、頂上へ近づくにつれて足元に白い雪がみられるようになり、やがてすっかり雪山になってしまいました。とはいえ、凍っているわけではないので、しっかり歩みを進めれば滑ることもなく、問題なく登れました。


雪山を順調に登って、磐梯山の頂上へ到達しました。


磐梯山の頂上といえば、360度全視界を楽しめる大パノラマが有名ですが、この時はあいにくの曇り空で、なかなか眺望がきかず、風がひたすら冷たいばかりで、頂上まで登り詰めたご褒美が得にくかったのですが、雲の流れが早かったため、一時的に開けた視界から、猪苗代湖や那須方面の山々を一望することができました。


頂上にて福島県民のソウルドリンク「酪王カフェオレ」を一気飲み。美味い!


下山時、途中の弘法清水茶屋に立ち寄り・・・


暖を取るべくコーヒーを注文しました。素晴らしいことに豆を選べ、しかもその場でドリップしてくれるのです。なんて贅沢なんでしょう。山の上とは思えません。


裏磐梯方面を眺めながら、おいしいコーヒーでほっと一息。


上述のように既に紅葉のシーズンは過ぎていましたが、山腹にはナナカマドの群生が広がり・・・


小さな赤い実が無数に実ってあたりを赤く染めていました。これは圧巻です。


さて、今回の記事の本題です。
下山時に立ち寄りたかったのが、上画像の場所です。温泉マニアの方なら言わずもがなですが・・・


かつてここには中の湯という温泉があり、90年代まで旅館も営業していましたが、既に廃業しており、いまでも旅館の廃墟が残っています。


硫黄を含む鉱泉はいまでも湧出しつづけており、あたりには青白く濁った小さな池が点在しています。また小さな噴気孔からはシューシューと音を立てて火山性ガスが噴き出ています。


硫化して黒く変色した祠の下では・・・


硫黄泉が泡を立てながらボコボコと湧出しています。
湧出孔で湧いたばかりのお湯はしっかり熱いのですが、量が少なく、また外気温が非常に低いので、青白い池の水はごくごく普通の池の同じように冷たく、とてもじゃありませんが野湯できるような状況ではありませんでした。硫黄泉は冷たいし、最もメジャーな登山道の路傍にあって公衆の視線も気になるので、私はここでの入浴を諦め、手だけ湯に浸してこの場から去ったのでした。

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郡山市 ホテルバーデン

2022年07月30日 | 福島県

(2021年10月訪問)
前回記事で取り上げた「なりた温泉」の近くにあるビジネスホテルです。周囲は田んぼだらけで何もないのですが、郡山南インターからは近いので、アクセス面は良好です。また館内にレストランもあるので、食事面の心配もありません。こちらのホテルは以前拙ブログで紹介したことがあるバーデン温泉や石橋ヘルス温泉と同系列の経営であり、館内には宿泊者専用の温泉浴場があるため、どんなお風呂に入れるのか楽しみにしながら宿泊利用させていただきました。なお訪問時はエントランス目の前にバス停が立っていて、郡山駅から路線バス1本でアクセスすることもできたのですが、2022年4月に路線バスが廃止されてしまったそうです。残念。


こちらがお部屋。広くて快適でした。
なお宿泊直前にネット予約しようとしたら満室と表示されてしまったのですが、電話で問い合わせたら無事に部屋を確保できました。このホテルに限った話ではないのですが、ネットで予約ができなくても、電話だと何とかなる場合がよくありますので、もし泊まりたい宿が満室だったとしても、あきらめずに電話してみましょう。


各部屋のユニットバスには温泉と書かれた水栓跡があり、温泉マニアとしては期待してしまうところです。ネット情報によれば客室にも温泉が引かれているとのことでしたが、現在この温泉と書かれた配管には封栓されていて使えません。フロントの方にも確認したのですが、現在お部屋への温泉の引湯はしていないそうです。となれば、温泉に入りたきゃ大浴場へ行くしかありません。


宿泊客用大浴場はホテルの1階です。ロビーから奥へ入って宴会場の廊下を突き進んだ奥にあります。24時間利用できるわけではなく、夜は24時まで、朝は4:30から利用可能です。なお私は旅程の関係で朝6時前にチェックアウトするため、朝5時前に大浴場を利用したのですが、なんとこんな早朝から既に2人の先客がおり、しかも浴場から出るときには5~6人と続々お客さんがお風呂へやってきたのです。このホテルは早朝から動き回るお客さんが多いのかしら。


脱衣室はとても広くスペースにゆとりがあります。また棚に大きなカゴが備え付けられていて、洗面台も大きく、清掃も行き届いていて使い勝手良好です。こんな立派な設備を宿泊者だけで使うのはもったいない気がします。なお浴場にタオルの備え付けがないので、各客室からタオル類を持ってゆくのですが、部屋へタオルを持ち帰る際に使うビニル袋が用意されています。ゴルフ場などのお風呂でよく見かけるサービスですが、こうした小さな心配りが嬉しいですね。


浴室もかなり広く、天井も高くて窓も大きく、露天こそありませんが、非日常空間を感じるには十分な広さと開放感が備わっています。また足元には十和田石(緑色凝灰岩)が敷かれているので足裏から伝わってくる感触も良好です。さらには、洗い場ゾーンとと入浴ゾーンがちゃんと分かれており、洗い場と湯船側を仕切る壁の一方(浴槽側)はベンチになっていて、湯船から上がってちょっと休憩するのに便利な造りになっています。


洗い場には計12か所のシャワーブースが設けられ(その他にも立って使うシャワーが2つあり)、一つ一つの間隔が広く取られているので、隣のお客さんをあまり気にせず使えるかと思います。なおシャワーから出てくるお湯は真湯かと思われます。


浴槽は内部がタイル貼りで縁には御影石を採用。弧を描くこの浴槽は前後二つに分かれており、手前側はちょっとぬるめでやや小さい一方、奥はグランドピアノのような形状で、実際の容量はわかりませんがとても大きく、数十人は余裕で入れるのではないかと思われます。


湯口から温泉がドバドバと轟きながら大量投入されており、しっかりかけ流されています。季節によって加水するそうですが、おそらく訪問日はほぼ無加水だったようです。つまり完全かけ流しの湯使いです。こちらでは二つの源泉をブレンドしており、湯口から出てくるお湯をテイスティングしてみますと、淡い塩味と弱い芒硝の味が感じられる程度で、印象的な香りや味、色など分かりやすい特徴はありません。しかしながら湯上がりは体の芯まで良く温まり、いつまでも汗が引きませんでした。
分析表を見ますと、溶存物質1.002g/kgというギリギリのラインで単純泉から逃れられて、辛うじてナトリウム-塩化物・硫酸塩泉という泉質名が名乗れています。0.003g少なければ単純泉になってしまう状況ですから、それゆえ知覚的特徴が弱いのかもしれませんが、とはいえ湯船に浸かるとしっかりとしたツルスベ浴感と少々の引っ掛かりが混在して肌に伝わってきます。いかにも食塩泉と硫酸塩泉のミックスといった感じですが、特筆すべきは26.2mgも含まれる炭酸イオンの多さでしょうか。この炭酸イオンの多さが明瞭なツルスベ浴感をもたらしているのでしょう。大量投入の完全かけ流し温泉は実に気持ち良く、浴場の大きさも相まって、実に心地よい湯浴みを楽しむことができました。

なお宿泊者はお隣の「バーデン温泉」もチェックインとチェックアウトの両日利用することができ、フロントで利用チケットがもらえるのですが、個人的にはこの大きな浴場だけで十分満足できました。


石橋温泉・石橋興産温泉 混合泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 45.0℃ pH8.4 溶存物質1.002g/kg 成分総計1.002g/kg
Na+:313.7mg,
Cl-:221.4mg, SO4--:211.7mg, HCO3-:123.9mg, CO3--:26.2mg,
H2SiO3:31.0mg, HBO2:51.1mg,
(平成8年3月5日)
加水あり(源泉温度が高いため季節により地下水を加水。加水率0~4%)
加温循環濾過消毒なし

福島県郡山市安積町成田字島ノ前2-3
024-947-7777
ホームページ

宿泊者専用(入浴のみ不可)

私の好み:★★★
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