ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

かつて都心に存在した別世界

2013-02-11 15:35:19 | 日記

上京して間もない頃 ・・・ 竹下通り、裏原宿、表参道と、田舎出身者お決まりのコースを歩いていたところ、交差点を越えたところで突然目に飛び込んできた。

軽薄短小と言われたプラスティック製の時代に反するセピア色の建物。 道沿いに広がる重厚な低層ビルは “ 同潤会アパート ” と名乗っていた。

正しくそれは “ 都心に存在した別世界 ” 。 そこに住みたいと思わせる便利な立地とお洒落な古めかしさで見る者を魅了し圧倒した。 そして時は流れた。

いつしかそれは “ 古屋 ” として取り壊され、時代に合致した綺麗な施設に。 仕事と生活で感性を鈍られていた僕は、興味を持つことなく過ごしていた。 そんな僕は最近、ある掲示板で同じ財団が建築した最後の物件が、5月に取り壊されてしまうことを知る。

そいつは稲荷町駅至近にあった。 意外なほど細い道を入ると右手に、かつて見た別世界が時空を超え、そのままの姿で存在していた。 僕は突然花粉症になった。

時代がかった重厚な姿。 凛とした佇まい。 狭い敷地に茂る木々。 そう、僕はこの佇まいを求め、“ Greenwood ” に巡り合ったのだろう。

 

寒空の下、どれくらいいただろうか。 建物へと入っていく若い女性2人と酎ハイ片手に自転車にまたがりながら眺めている中年男性に目礼をして帰途に就いた。

 

コメント
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