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Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

アントン・ブルックナーの交響曲第7番ホ長調WAB107を聴く

2016-01-22 05:07:36 | アントン・ブルックナーの作品
今回取り上げるのは1824年生まれのブルックナーが、
1883年に作曲した交響曲第7番ホ長調WAB107である。
今回聴いたCDはカルロ・マリア・ジュリーニ指揮、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるもの。
第一楽章アレグロ・モデラートは、ヴァイオリンの伴奏に乗り、
チェロが朗々とした第一主題を奏して始まる。
弦楽器がその主題を繰り返し、金管楽器も加わり雄大さを表現していく。
そのあと管楽器中心に第二主題が奏でられ、
金管楽器が加わり盛りあがりを見せていくがジュリーニの指揮のもと、
抑制のとれた感じがみられるところがよく、そのあと第三主題が現れる。
展開部と再現部を経て、最後のコーダは強い推進力で進み、
金管楽器が加わり、盛りあがりをみせて最後力強く堂々と終わる。

第ニ楽章アダージョは、冒頭からのテューバ四重奏に、
コントラバス・テューバが加わった合奏による第一主題で始まり、
第二主題は弦楽器によって奏される甘美な旋律である。
第一主題が再び現われて、この主題が繰り返され盛り上がり、
木管楽器と弦楽器による寂寥感のある音楽が展開されたあと、
ホルンの暖かい響きの中、消え入るようにして静かに終わる。
第三楽章スケルツォは、弦楽器が執拗に繰り返す音型に、
トランペットが主題を奏でていき、やがて他の金管楽器も加わり、
荒々しい旋律が奏でられ、繰り返しながら盛り上がりをみせていく。
中間部のトリオは対照的で牧歌的で穏やかな音楽である。
それが終わると冒頭の部分が再び繰り返され、金管楽器が活躍し、
盛りあがりをみせたあとは最後力強く終わる。
第四楽章フィナーレは弦楽器による生き生きとした第一主題で始まる。
続いてコラール風の第二主題が奏され、金管楽器のトッティが入る。
その後短い展開部の中で各主題が変形されたあと、
再現部で第一主題が奏されて、第一楽章の第一主題の動機が登場し、
主題が繰り返す中、徐々にも盛り上がりを見せ、最後力強く終わる。

アントン・ブルックナーの「キリストはおのれを低くして」WAB40を聴く

2016-01-21 06:18:13 | アントン・ブルックナーの作品
今回取り上げるのは1824年生まれのブルックナーが、
1884年に作曲した「キリストはおのれを低くして」WAB40である。
今回聴いたCDはマルティン・フレーミヒ指揮、
ドレスデン十字架合唱団の演奏によるもの。
新約聖書のピリピ人への手紙第二章をテキストにした、
4部合唱による合唱曲で、ハーモニーの美しい曲である。
合唱の部分と無音の部分が交互に出るところは、
ブルックナーの交響曲にもみられるもので、
合唱曲では素晴らしい効果を生み出す。

アントン・ブルックナーの交響曲ヘ短調WAB99を聴く

2016-01-20 06:46:40 | アントン・ブルックナーの作品
今回取り上げるのは1824年生まれのブルックナーが、
1863年に作曲した交響曲ヘ短調WAB99である。
今回聴いたCDはスクロヴァチェフスキー指揮、
ザールブリュッケン放送交響楽団の演奏によるもの。
第一楽章アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェは、ソナタ形式で、
弦楽器によって示される明るい第一主題が現れる。
この主題は繰り返され、金管楽器も加わりいったん盛り上がる。
第二主題も弦楽器によって奏でられる優しい旋律で、
木管楽器や金管楽器も加わり盛り上がっていく。
展開部は第一主題が変形されていくところから始まり、
短い展開部を経て、第一主題から再現部が始まる。
弦楽器が主題を繰り返したあと、金管楽器も加わり、
盛り上がり、最後は金管楽器とティンパニで力強く終わる。

第二楽章アンダンテ・モルトは、三部形式による楽章で、
弦楽器がやや悲劇的な感じの主題を奏でていくが、
途中からのどかな感じに変化していく。
オーボエが奏でる旋律は印象的である。
そして、クラリネットやフルートなどの木管楽器と、
弦楽器による旋律のやりとりが続き、哀愁漂う旋律が奏でられる。
重々しく悲劇的な感じの部分を経て、徐々に穏やかな感じに変わり、
木管楽器と弦楽器中心に展開されたあと、
ティンパニの音とホルンが響く中、静かに終わる。
第三楽章スケルツォ:「急速に」は、三部形式のスケルツォである。
舞曲風でやや荒々しい感じのスケルツォ主題が現れ、繰り返される。
中間部のトリオは木管楽器が牧歌風の旋律を奏でていき、
弦楽器がそれに絡んでいき、ホルンも牧歌的雰囲気を加える。
そして再び冒頭のスケルツォ主題が繰り返され、力強く終わる。
第四楽章フィナーレ:アレグロは、ソナタ形式で、
金管楽器とともに力強く奏でられる第一主題と、
弦楽器中心に奏でられる優しい感じの第二主題が奏でられる。
展開部はこれら主題を変形して始まり、木管楽器や金管楽器が活躍する。
短い展開部を経て各主題が再現されたあと、
コーダでは金管楽器が加わり、シューマンの交響曲第3番を
思わせるような感じで盛り上がって、最後堂々と終わる。

アントン・ブルックナーの「この場所は神が作り給う」WAB23を聴く

2016-01-17 05:57:19 | アントン・ブルックナーの作品
今回取り上げるのは1824年生まれのブルックナーが、
1869年に作曲した「この場所は神が作り給う」WAB23である。
今回聴いたCDはマルティン・フレーミヒ指揮、
ドレスデン十字架合唱団の演奏によるもの。
献堂式のためのミサとして作曲され、8月11日リンツで初演された。
クレムスミュンスターのベネディクト教団の、
オットー・ロイデル司教に献呈された作品である。
4声によるアカペラによる短い合唱曲であり、
絡み合う旋律が美しく、素朴な感じの曲である。

アントン・ブルックナーの交響曲第3番ニ短調WAB103(1879年第3稿、ノーヴァク版)を聴く

2016-01-16 06:50:05 | アントン・ブルックナーの作品
今回取り上げるのは1824年生まれのブルックナーが、
1879年に作曲した交響曲第3番ニ短調WAB103で、
第3稿にあたるものでノーヴァク版を使用している。
今回聴いたCDはクラウス・テンシュテット指揮、
バイエルン放送交響楽団の1976年のライブ演奏によるもの。
ここも各楽章を聴いた感想を述べていく。
第一楽章神秘的には、弦楽器による神秘的なさざ波のような音型に乗り、
第一主題がトランペットにより奏でられるのだが、
この盛り上がり方と速くなっていくところやダイナミックさは、
テンシュテットらしい強烈な個性を感じさせる演奏である。
第二主題は弦楽器で奏されるのどかな感じの旋律だが、
グイグイとものすごい推進力をもって進めていく。
第三主題は管楽器によるコラール風の旋律である。
ここも力強くダイナミックであり、金管楽器群が鳴り響き、
よくまあ、テンシュテットの指揮についていっている感じである。
強力な推進力をもって、オーケストラを引っ張っていきながら、
金管楽器を鳴らし、テンポを自由自在に操っていくところ、
まさにこれはテンシュテットのブルックナーである。
しかし、だからといってなぜかブルックナーの音楽を壊してはいない。
最後のコーダの一気に盛り上がって終わるところも圧巻である。

第二楽章アダージョ、クワジ・アンダンテは、
冒頭弦楽器が奏でる重々しくも甘美な旋律を、
やはり流れるようにテンポよく進めていく。
第三楽章スケルツォは、かなり速いテンポで進めていき、
荒々しく狂乱的な感じを思わせる演奏であり、
中間部も含め、あっという間に終わる感じである。
第四楽章アレグロも、最初から速いテンポで進め、
ダイナミックで力強く推進力のある演奏である。
金管楽器によって奏される力強く第一主題、
コラール風の第二主題、ユニゾンで示される第三主題、
それぞれが速く奏でられ、そっけない演奏かと思えば、
そうではなく心がこもっており、聴き手を飽きさせない。
中間のホルンの吹奏とフルートが奏でる部分は、
ゆったりして、その対照的なところがよい。
うまくオーケストラが統率されているなあと思う。
最後のところの盛り上がりも素晴らしく、爽快感がある。