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横浜から和田町の間、メータの「惑星」二度目の録音の謎を考える

2007-05-21 06:58:25 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
昨日は横浜から和田町まで歩いた。
今日もホルストの「惑星」を聴きながら歩いたが、
そろそろ「惑星」の話題も今回で終わりにしよう。

さて、今日紹介するCDはメータ指揮の1971年録音のもので、
ロスアンジェルス・フィルハーモニックが演奏している。
「惑星」という作品は同じ指揮者がよく2回目の録音する。
ボールトの5回は度外視するとして、
何人かの指揮者が2回目の録音がある。
カラヤン、プレヴィン、メータ、リーパーである。
他ライブ盤も含めれば、サージェントもそうだろうし、
そもそもホルスト自身が振った自作自演盤も、
1923~24年録音のものと、1926年録音のものがある。

メータの場合は1971年録音の旧盤と1989年録音の新盤がある。
新盤の演奏はニューヨーク・フィルハーモニックである。
旧盤の演奏時間は、火星7:10、金星8:04、水星3:50、
木星7:50、土星9:52、天王星5:39、海王星7:00で、
新盤の演奏時間は、火星、7:38、金星8:16、水星3:55、
木星8:09、土星10:37、天王星5:48、海王星8:27となっている。
1989年盤の土星の演奏時間が10分をこえるのは異常なくらいだ。
他にこの演奏時間をこえるのは、あるのだろうか、
この土星の演奏が気に入る人がいるかどうか分からないが、
テンポが遅いだけで、迫ってくる緊張感もなく、
残念ではあるが、私の好みではない。

なぜメータが「惑星」の2度目の録音をしたのかは疑問である。
1971年の録音は名盤としての誉れ高いし、
今聴いてもなかなかの演奏だとは思うのに、なぜだろう?

1971年の録音で感心させられるのは特に「火星」で、
LPレコードで聴いた時には印象深かった。
当時のレコードの中では平均的な演奏時間が6分代であったのを
ボールトと同じ7分とってゆったり演奏し、
34小節あたりからのテューバとトランペットのかけあい、
95小節できくたっぷりとしたテューバによる低音の響き、
96小節以降の中間部の揺れ動くような旋律、
最後のたたみかけるような終わり方に圧倒された記憶がある。

他の曲も全体的に出来がよく、録音もいい。
「土星」だってこちらの演奏の方がはるかにいいのである。
「惑星」の演奏の歴史をたどっていくと、名盤誕生の裏に
録音技術の発達というものを無視することはできない。

このメータの1971年の名盤の演奏の特徴は、
ダブルベースとテューバなどの楽器の
低音をきかせた重量感にあると私は思う。
それゆえ難点を唯一あげれば、テューバが活躍する「天王星」だ。
聴いていておかしいと思ったのが、
146小節目のテューバの音である。
楽譜ではピアノの指定で確かにテューバの音が入るのだが、
少し大きく入っており、聴いていて奇妙に聞こえる。
新盤ではその箇所については改善されている。

でも、新盤の「木星」では316小節のフルートなど木管の音が
省略されたのかわからないが入っておらず、奇妙である。
全体含めれば結果は旧盤の方がはるかによいと思う。
なぜ、メータが「惑星」を新しく録音する必要があったのか
その疑問は消えることはない。



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