Mars&Jupiter

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グスタフ・ホルストの日本組曲作品33(H126)を聴きながら、三枚町から西谷まで歩く

2010-12-02 06:37:21 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
昨日は三枚町から西谷駅まで歩きました。
途中聴いたのは、ホルストの管弦楽曲である。
日本組曲作品33(H126)は、1915年に作曲された。
日本組曲については、以前このブログでも触れたことがあるが、
今回は作品の内容にも詳しく触れながらとりあげたい。
組曲「惑星」を作曲している1914年から1916年の間に完成した作品で、
第3曲の「水星」以外を除く他の6曲が完成していた時期にあたる。
当時ロンドンコリージアム劇場で活躍していた日本人舞踏家伊藤道郎から、
日本の旋律を使った作品を書いてほしいと頼まれ作曲したようである。
とはいってもホルスト自身は日本の旋律を全く知らなかったので、
伊藤は日本の旋律のいくつかを口笛で吹き、それを採譜したようだ。
組曲は4つの短い舞踏と前奏曲・間奏曲の付いた6曲にまとめられ、
作品の初演は、クイーンズ・ホールのプロムナード・コンサートで、
作曲者自身の指揮、ニュー・クイーンズ・ホール管弦楽団の演奏で、
1919年9月1日行われた(伊藤道郎がこの作品を使って、
舞台公演をやったかについては定かではない)。
今回聴いたCDは、ジョン・ヴィクトリン・ユウ指揮、
フィルハーモニア管弦楽団による演奏のものである。

第1曲「前奏曲~漁師の歌」は、ファゴットのソロで始まる。
その旋律は弦楽器に引き継がれて広がりのある音楽になる。
これをイギリスで聴いた時に、私は日本的でありながら、
そこにイギリスの田園風景を強く感じた、東洋と西洋の。
第2曲「儀式的な踊り」は、「娘道成寺」という歌舞伎や
長唄に使われた旋律をもとにした作品のようである。
ユニゾンで奏される軽快な旋律が、印象的である。
第3曲「マリオネット(操り人形)の踊り」は、
鉄琴とともに演奏される軽快なスケルツォ風の音楽は、
組曲「惑星」の「水星」を感じさせる魅力的な曲だ。
この曲はこの組曲の中では日本的な要素は少ない。
第4曲「間奏曲~漁師の歌」は、低弦から始まり、
第1曲の旋律が弦楽器中心に奏される。

第5曲「桜の木の下での踊り」は、「五木の子守歌」の旋律が、
フルートによって示され、それがファゴットに引き継がれる。
この日本の叙情的な旋律がイングリッシュ・ホルンに引き継がれ、
さらには弦楽器に、最後はフルートとイングリッシュ・ホルンが奏し、
次のフィナーレにそのまま続いていく。
第6曲「フィナーレ~好色漢たちの踊り」は、
第2曲と同じ「娘道成寺」を使ったもので狂乱した感じで、
ホルストらしい対位法を使った華やかな管弦楽による曲である。
最後にかけて狂乱した感じが続き、盛り上がって終わる。
なお、この第6曲のタイトルは普通に訳すと「狼たちの踊り」だが、
そう訳すとなんで「狼たち」なのかよくわからない。
歌舞伎「娘道成寺」などの内容を考えると女たらしの人たちを
指しているのかなあと感じつつ、ここではこのように訳しました。
ジョン・ヴィクトリン・ユウによる盤は若々しさがあり、録音はいい。
しかしあまりにもテンポが速く、あっさりとした表現方法であり、
第6曲では2つの旋律のうち、一つがかき消されてしまうところもあり、
ホルストらしさが出ていないところでは、少し不満は残る。
その意味では、やはりこの曲の演奏はボールト盤の方が私は好きだ。

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2 コメント

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江戸子守歌、では? (麻垣康三)
2013-05-28 08:08:51
第5曲「桜の木の下での踊り」に出てくる旋律は、「五木の子守歌」ではなく、『江戸子守歌』ではないんでしょうか?
返信する
ありがとうございます (おおくぼっち)
2013-05-29 05:36:06
麻垣さま、コメントをありがとうございます。
この記事を書いた時は、このCDの中にある諸石さんの解説を参考にしていたので間違いだったようです。
他の本でも「五木の子守歌」だと書いているのが多かったので、そのまま信じていたのですが、どうやら「江戸子守歌」の旋律のようですね。
ご指摘のとおりだと思います。
ありがとうございます。
返信する

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