『福島第2原発事故は、想定外の津波によって起きた』ことになっている。事故発生3カ月を経て、徐々に判明してきた事実が数多くある。
それらのことを総合的に考えると、この原発は起きるべくして起きていることが解った。
この原発は、“想定外”の津波によって電源が消失したことが最大の原因であると、東電が発表している。しかし、通常の配電装置が、津波前の地震そのもので、供給できなくなっていたのである。
確かに自家発電は津波によって破壊されてしまい、電源を失くしてしまった。しかし、最も危険な海岸側に自家発電装置を設置したことそのものも、大きな過失である。それより何よりも、蓄電装置による電源の確保も十分でなかったことも解ってきた。
当初最も先に行うべきであった、圧力の開放”ベント”という作業が、電動以外では訓練すら行われてこなかった。手動のベント作業は、本を見ながら、放射能との戦いの中の手探りの作業であったのである。
もっと恐ろしいことは、2009年の安全基準の見直しの時に、耐震の見直しはやられたが、津波への見直しは不要と却下されていたことである。直前に専門家から、今回と同程度の貞観大津波の報告を受けていたのもかかわらず、考慮すらしなかった。
更に恐ろしいことは、この時に作成された安全基準に、電源消失は考慮する必要がないと、わざわざ盛り込まれたことである。電源は消失することはないから、マニュアルも訓練もする必要がなかったのである。
こうして、ベントも行われず、冷却も出来なかった結果、地震発生間もなくメルトダウン、更にはメルトスルーが起きてしまった。そして、爆発。そして周辺への大量の放射性物質の拡散。
そして、3ヶ月間の事実の隠ぺい。いつまで続くか解らない、20万人以上の人たちの終わりの見えない避難。政府のうろたえと、政治の混乱。
彼方はそれでもまだ原発を必要と思いますか?原発行政を信じますか?
月1回程度の部品交換で対応する汚染水浄化システムは、5時間の稼働で基準値をオーバーした。単純計算では144分の一しか持たなかった。システムは正常で汚染水が高濃度である可能性もあるという。
仮に自民党政権下の事故なら内閣総辞職という形で責任を放棄したろう。菅政権延命に協力しないとしか言えない石原幹事長の言葉の裏に本音が見えてくる。日本政治のごたごたは自己保身と権力(税金泥棒)拡大を目論む政党の情けなさを国民にさらしている。そのことすら気づかない国会議員なんて何の存在価値もない。
3.11以降の原発対応が詳細に報道され始めた。東電社長の5度の撤退要請に菅首相は怒鳴ったと非難された。もしかして、ここだけが自民党政権と違ったこと?
報道も各党も菅下ろしでこの不安の本質を隠蔽している。誰が首相になっても関係ないという国民も多い。居直り続ける菅首相に応援する数少ない評論は注目に値する。