鳩山内閣が、日米安保条約と沖縄返還に関して密約の有無を調査した。これを就任早々指示した岡田外相を評価したい。先日その結果が発表されたが、密約を広義と狭義にわけて説明をしていた。多くの報道はこれをすんなり受けて、あたかも密約も仕方ないような内容をタレ流している。
政府の発表では、文章の存在した物を狭義とし文章の存在しなかった物を広義と分類していた。その後に、菅財務大臣がアメリカに無利子で貸し付けていたお金の存在も、広義の密約と決めつけていた。
衆議院外務委員会に呼ばれたかつての官僚は、平然と書類の破棄をしたことを語っている。これでは、広義も狭義もないだろう。密約はその質を問われるべきで、一見仕方がなかったような密約もあったとし、これを容認する姿勢や許されるべきではない。
沖縄返還に関する密約は、今日の沖縄に75%も集中するアメリカ軍基地の存在につながっている。イラクがアメリカと結ばれている地協定以下の不平等な関係や、思いやり予算にまでつながっている。 日本を守るとされている沖縄のアメリカ軍は、古くはベトナムへ今日的にはイラクやアフガンへ侵略軍を送りだしている。
日米安保条約に関しても、朝鮮戦争が未だに終結していないことや、佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞している恥ずかしい現実もある。非核三原則を国是とはするが立法化しないなどの、今日的問題もある。
密約は、歴史上避けることができなかったような判断や、容認やむなしとするような曖昧な結論を引き出して満足する、岡田外相には失望の限りである。過去を検証することから、未来を生むむことができる。
今回共産党の赤峰議員の質問で、鳩山内閣はイラク戦争の検証をしない態度を表明した。政権以前にも、政権以後の昨年11月にも、鳩山首相は「イラク戦争は誤りだった」と発言している。それが、イラク戦争の検証はこれからの課題としたいような発言で終わっている。
普天間基地も県内やむなしと言っているようである。これは明らかな公約違反である。それとも誰かと密約でもしようとしているのか? 政権交代後の一連の動きを見ていると、鳩山内閣は急速に自民党化しているように思えてならない。
国政野党となった自民党が責任政党の看板を放棄して無責任に豹変するのは勝手ですが政権与党である社民党、民主党県連が野党時代と同じ無責任な主張を繰り返しては問題解決は不可能です。
普天間の県外移設、無条件返還を求めるならば海兵隊の全面撤退を求めるのが筋であり沖縄駐留の理由である基地施設区域の無期限自由使用に歯止めを掛ける日米安保条約、地位協定の包括的な見直しを米国と交渉し沖縄本島北部に集中する訓練施設の全面返還を求めるのが前提条件である。
この様な本質的な問題に踏み込んで実現可能な議論を提起している唯一の存在が国民新党の下地幹郎議員であるが問題の本質を理解出来ない沖縄県民の多くが短絡的に裏切り者と非難中傷している。
鳩山政権の模索する米国との合意と同時に沖縄県民の理解を得られる解決策は現実的に有り得ない。米国との合意を求めるにはSACO合意で辺野古移設を決めた際に米軍の求めた要件、ヘリ部隊と連動するKC-130空中給油機の運用可能な1300m滑走路と港湾施設が必要である。
それは上に挙げた訓練施設、北部訓練場、キャンプシュワーブ、キャンプハンセンへの兵員、物資機材の搬入に現在の那覇軍港、ホワイトビーチ、天願桟橋からの混雑する市街地経由を避ける為に必要な要件である。
現在、政府内で検討されている陸上案、勝連半島沖埋め立て案では米国との合意は望めない。
沖縄県民の理解を得るには近視眼的な目先の解決策では無く本質的な日米関係の包括的な見直しで在沖海兵隊及び陸軍グリーンベレー等の地上部隊を全面撤退させ、沖縄本島周辺の訓練施設を全面返還させる期限交渉を本気で米国と行うと沖縄県民に約束する事である。
下地幹郎議員が連立与党としての責任を果たす為に沖縄県民大多数の反感を買う危険を敢えて冒してまで現実的な解決策を提起している政治家としての覚悟を鳩山政権は共有すべきである。
鳩山政権が普天間問題を5月末までに解決不能な場合は辞職すると迫った下地議員の覚悟こそが政治家としての見事な見識であり迷走を繰り返す鳩山政権への地元沖縄を愛する血の叫びである。
しかし彼の政治家としての信念、見識、覚悟を米軍基地問題の本質を見誤った沖縄県民大多数が理解出来ない現実は悲劇である。
詳しくは私のブログを御参照下さい。
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