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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

さまよえる日本の原子力政策

2016-08-27 | 原発と再生可能エネルギー
昨日深夜に、NHK解説委員が確か7名ほど集まって、「どこに向かう原子力政策」と題して、原発の現状とこれから先に向けての討論が行われていた。深夜で見る人も少ないということではなかろうが、かなり本題に入った濃い内容であった。国民の70%を超す人が反対する中の再稼働とその未来であるが、色んな事を整理してくる解説員の意見であった。

先ず再稼働であるが、僅か3年で5基の再稼働を原子力規制員会は容認している。しかし、そのうち高浜の2基は司法判断で停止したままである。調査も再稼働の作業にも相当であったと思われるが、司法が止める現状は規制委員会の判断基準を、いわば全くの素人が止めたのである。この背景には、国民の目がある。福島事故前なら到底考えられないことである。委員会の意味は何処にあるのか。
その原子力規制員会の、再稼働の判断基準の中には避難計画がない。アメリカではそのことが最も大きいくらいの判断評価として、住民の安全と非難計画がある。避難計画が不十分だとして廃炉になった例もある。田中委員長は、平然と「規制員会の基準に沿っているかどうかの判断であって、防災基準ではない」、というのである。川内の2基と伊方の1機が現在稼働中であるが、特に伊方については避難計画は、極めて杜撰な内容になっている。愛媛県知事は、福島のような事故は起こらないと、何の根拠もなく無責任発言を繰り返す。
アメリカの原発への考え方は、事故はゼロにすることはできない。そのためリスク管理が前提になっているのである。

高速増殖炉もんじゅは、あらゆる計画が失敗している。これからこの計画が成功するとはとてもじゃないが予測できない。これまで6兆円投入している。物価変動を入れれば45兆円にはなるが、資源小国日本の生きる道とのお題目で始めたプルサーマル計画に、資金をこれからも投入するべきではない。その代わりに、放射性廃棄物が危険性を失うのに10万年かかるのを、理論的には700年ほどの短縮できるという技術開発に向けるべきである。驚異的な技術と言えるが、それでも700年とは信じがたい数字である。それと最も重要なことは、再生可能エネルギーの開発に資金を向けるべきである。
プルサーマル計画を支持する政治家たちは、プルトニュウムが抑止力を持つという主張である。現状でも4000発の核爆弾を製作できるが、日米原子力協定で目的を決めているから容認されているだけである。プルサーマル計画を中止するなら、核兵器を製造しないという保証を別途やらなければならない。三年後に失効する日米原子力協定を見直さなければならない。
原発の核抑止力を真剣に主張する政治家の意見など聞く必要はなかろうが、アメリカの御伺いが必要になる。
40年ルールをお役人主導で作られた一部廃炉を決めたが、40年を超えている原発も再稼働申請を行っている。原子力規制員会も規制の基準が不動のものでないことは誰の目にも明らかである。福島原発の事故後にあからさまになった多くの、原子力行政や研究機関などの相互に認め合う体質は何ら改善されていない。
安倍晋三は、世界で最も厳しい基準を何度も繰り返すが、中身は何ともお粗末なものである。司法に簡単に否定されるし、住民への避難計画もない。そもそも、活断層の評価もバラバラで明らかではないし、熊本地震のように繰り返される震度への評価は全くないのである。
誰がどう見ても日本の原発は再稼働の根拠を失っている。強引にベースロード電源などとして再稼働への道を開こうとするから、揺れ動くのである。再稼働の理由は企業側にしか存在しない。

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解説委員は国会で(敗戦処理を)論議すべきと結論 (唐松)
2016-08-28 20:59:31
 「どこに向かう 日本の原子力政策」のTV番組見ました。

 財政・金融・エネルギー担当の板垣解説委員の考え方には同感しましたが、高速炉の提案は眉唾物です。
 加えて、人口減少や省エネの現実には全く触れず、使用済み核燃料はゴミになると言う危機感を明確にしました。

 5人の解説委員の言えない本音は、原子力政策の敗戦処理を国会で真摯に取り上げろと言う主張でした。
 この番組を冷静に聞くと原発の経済的優位性、環境安全、エネルギーの安全安定提供全てが否定されました。

 米国が日本に任せたプルトニウムの再処理期限は2年後に失効。皮肉にもその直後、安倍内閣の任期が終わります。今度はどんな虚言で国民を納得させるのでしょう。

 来年度の新エネ予算16%減の要求で、原発責任のための任期延長論があるなんて夢にも思えない安倍政権です。
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