プーチンは、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク2州が「独立国家」を宣言したが、これを承認する大統領令に署名した。プーチンは大統領令で、両地域の平和維持を名目としてロシア軍の派遣を命じた。プーチン21日、独立宣言した「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の両トップをモスクワのクレムリンに招き、「友好相互援助条約」に調印した。ロシアはこれで法的には、両国の要請があればいつでも軍事侵攻が可能になる。
プーチンが描いたシナリオ通りである。そういえば全く同じ理由で侵攻したジョージアの時も、2002年夏の北京オリンピックの最中であった。失敗したけど。
バイデンがいくら、「ウクライナの主権と領土保全への明白な攻撃だ」と非難しても、地球の裏側である。
アメリカやEU諸国がいくら経済制裁を加えても、今や世界第二の経済大国となり、ロシアの10倍の経済大国になった中国の後ろ盾をプーチンはもらっている。ロシアとEUの貿易額はもうすぐ中国が上回る。
おそらくこの辺りのこと、特に天然ガスについて、プーチンは冬季オリンピックの参加国でもないのに国賓として迎えた習近平が、面倒見ると確約したのであろう。そこでプーチンのシナリオは、一気に現実化した。
時は米中経済戦争の真っ直中である。習近平は喜んで受け入れた。台湾問題やウイグルチベット問題で、孤立しないためにも強力なロシアの支援が確約されたというものである。
プーチンは今日の1時間に及ぶテレビ演説で、ウクライナのゼレンスキー政権がミンスク合意を履行せず、2地域に対して攻撃を激化させている、NATO(北大西洋条約機構)の東方不拡大を確約するロシアの要求を、米欧が無視したと批判している。民族的にも同じ文字や言葉を使い文化的にも同じだとも述べている。
要するにプーチンには時間をかけて用意された下地があり、そこにはジョージアやクリミアの経験を生かしているといえる。
プーチンは長年の経験、長期政権で得た長けた外交政治技術を発揮したに過ぎない。NATOに不拡大を求めながら、ソビエト、ロシア帝国時代の領土回復を目論むプーチンに軍事で威嚇して平和など語る資格などない。
国家の範囲は、民族や文化や宗教や地形が歴史が決定要因であるが、相対的なものでしかなく、21世紀は暴力的に奪い合う時代ではない。