そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料自給率を上げるためには有機農業へのシフトこそが重要である

2023-05-29 | 農協 食料自給率

食料自給率をげるためには、農産物の生産量を最大の方策とする人たちが御託を並べる。コロナ禍、円安、ウクライナ戦争、異常気象を背景に、有機農家が「うちは何も変わりませんよ。経費が上がったわけでもありませが、食料価格が上がってくれるので助かってます。」と述べていた。
日本の食料自給率は37%と言われている。この数字は結果を見ているだけで、農業の実態を著してはいない。肥料はほぼ全量輸入されて、大型畜産業の飼料の穀物は75%以上が輸入に依存したものである。こうしたことを算入すれば、10%を切ることが分かっている。
こうしたことに危機感を持つ農水省は、2021年9月に農林水産省が「みどり戦略(みどりの食料システム戦略)」を発表した。そこでは、有機農業の面積を2050年までに100万ha(全農地の25%)へと拡大する目標が掲げた。
ところが、この2年間政府のやったことは、スマート農業などや付加価値をたかめるためになど、生産量と金の評価を上げることばかりである。
農業に特化した対策などなにもやっていないに等しい。その象徴が、高く掲げた有機農業面積の拡大であったはずである。
有機農業は生態系農業と言い変えようという動きがあるが、現在政府のやっていることと真逆のことである。
みどり戦略では、2022年の有機農業の面積は25.2千haと、過去10年で約5割と大きく拡大しているが、有機JASの認証を取得している農地が56%、認証を受けていない農地が44%となってはいるものの、全農地面積に占める割合はわずか0.6%弱に過ぎイタリアの16%、ドイツ・スペインの約10%、フランスの8.8%、韓国の2.3%等と比較しても極めて低い水準である。みどり戦略の25%は天文学的数字といえる。
この危機は、農業を本来の形に戻すことが、遠回りのように見えるがこれから先のことを考えれば取るべき道である。
農業は本来投入するものがほとんどなく、太陽光の恵みを受けるゼロエミッションであるべきである。ところが日本の農業、政府が推進する大型農業は、多大の補助金による投資(税金である)と、大量の肥料や飼料や施設など外部資源(税金である)が必要である。コロナ禍はいみじくもそのことを、露見させてくれた。
21世紀の農業、世界は有機農業と家族型農業へとシフトしている。日本御農業政策は異常な前世紀の遺物でしかない。

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