高齢者外出介助の会

さあみんなで出かけましょう!

一番人生の楽しいとき

2005-11-02 22:41:01 | 外出介助
昨日事務所の前でパンフレットに見入っている方があり「中にぞうど」と声を掛けました。中に入られて話しているうちに以前にもこられた方と思い出しました。87歳になられた今もお元気で言葉もよどみなく、澄み切った目をされて高齢者と言うにはお元気な方です。話をするうちに「息子にもベンチャラをいわあなかんと気が付きました」どうして?聞くと「人生で一番楽しかったのはいつ」と息子に聞かれたとき「いいことなんて一回もない」と答えた。今年の冬に韓国に旅行に行こうと嫁さんから誘われ行くのですが、それまでは息子がイギリス、フランス、イタリア、ロシア、中国、アメリカの東海岸も西の方も連れて行ってくれた。飛行機もビジネスクラスかファーストに乗せてくれていました。でもパスポートを見ると10年近く誘いがなかった。この前、私の誕生日でみんなが集まり祝ってくれ、そのとき「一番人生で楽しかったこと?」と順番に話すことになり、私は何もなかったと言うと「息子がほらな。こんなこと言うよんねん」と。そこで初めて、息子にも気を使っていわなあかんと気付いた。前に聞かれたときも同じ事を言ったので、息子が気を悪くして誘ってくれなかったと分かった。聞いていた私は外見はすごく幸せに聞こえるけどと聞いたのです。「昔は結婚のとき自分で相手を選べなかった。親の決めた主人で私は尊敬できなかった。それで、父も恨んだ。母は小さい時になくなり、継母が来てかばってももらえず、女兄弟もなかったので心を開いて話が出来なかった」。いまも、自分の人生を自分で選べなかった心残りが幸せだと思われないのです。願って居られたのはお金でもなく、心から満足できる愛だったのだと気づかされました。人からうらやましいような環境を与えられても深い悲しみを持って喜べないこの方の「心」を私はせつないなあと思いました。