お友達の
梶谷友美さんが、ポエトリーリーディングという試みをなさるというので、聴きに行ってきました。今度のは、お芝居とはちょっと違うということなので、興味津々です。で、もったいぶらないで早速感想を申し上げますと、とっても面白かったです。小川賀子さんというフォークシンガーの方の演奏に乗って、梶谷さんの小説『花曇』の朗読(?というべきかお芝居のようでもあり)と、『兆し』という作品の、……これは何と言ったらよいのか、朗読というか音楽と言うかちょっと映像でもあり、とにかく私は初体験の不思議で素敵なものでした。あとで主催者の方が、梶谷さんの言葉にはかなり映像をひき起こすところがあって、読んだり聴いたりすると色や形が浮かんでくるのです、というようなことをおっしゃってましたが、私も激しく納得! どうして「見える」のか私も普段から不思議に思っています。すごいなー。言葉の選び方や運び方が抜群にうまいんですねー。あと、声もいい!
小川さんも素晴らしかったです。あのほっそりした体のどこから出ているのか、体自体がすでに楽器というか(ギターを持ってらっしゃいますが、もう一個別に楽器がある感じ)、遊牧民族が動物を呼ぶ時に使うときいたことがあるような独特の音が、喉でもなく胸でもなくどこかから発せられて、つい卒倒しかけました。いやー、すごい。頭の奥のほうに響きます。
さて、会場の「
中寺ハウス」は、普通の(とは言え昭和期の立派な感じの)民家なのですが、道路から長い小道を伝って玄関からお邪魔すると、外国人の男性が受付をしてくれました。そう言えば、今日はパキスタン料理などがいただけるので、きっとそのお店の人に違いないと思ったら、やはりそうでした。中へ上がらせてもらうと、いきなり応接室が立派で驚きます。床全面を覆う少し毛足の長い絨毯、暖炉の形をした展示ケース(中にはお人形などが置いてあり)、その部分の壁面に貼られた緑色のタイル、やや高めの天井から床まで長々と下がる赤いジャガード織のカーテン、天井の中心部分は六角形に凹みがつけられていて、そこからシャンデリアがさがっています。こ、これは素敵だ! この応接室でひときわ私の目をひいたのは、壁にかかった大きな絵画(高さ120cm×幅180cmくらい)です。えがかれているのは、ステンレスかアルミの四角いバットに入った「焼き鳥」?と思いきや「みたらし団子(もちろん三連)」だそうです。凄い! 写真と見紛うばかりの超写実(「たれ」の感じが特に)! なんで団子!! いいなあ、私も壁いっぱいに描いてみたい! なにかありえない大きさのものを。
応接室の隣の和室は、仕切りが開け放たれており、応接室よりも床が一段上がっているので、ちょっとした観客席という感じです。テーブルが何台か置かれていて、ここでご飯をいただきます。梶谷さんは花見御膳、私はパキスタン料理をいただきました。当然、おいしい。夢中で食べるあまり、やはり美味しそうだった梶谷さんの花見御膳を一口頂戴と言い忘れました。お膳のセットや湯飲み茶碗、コーヒーのカップと皿やその他の器が、いちいち素敵でたまりません。新しいものにはなかなかないこの質感。いいなあ。食事のあとで、梶谷さんやそのほかのお友達と、折り紙に興じます。「鶴くらいなら折れるよね」と豪語していた私たちですが、それがなかなか出来上がらない……! あれ? 何故? あんなに折ったあの日の記憶はどこへ……? 相当難儀した末にようやく完成。うーむ、忘れてしまっているものだなあ。しみじみ。美人のSさんが折った「オリジナル折り鶴」のインパクトに脱帽。
この部屋の窓からは、お墓を挟んで向うに桜が見えます。今回のこの中寺ハウスの催しは『さくらにほへど』。昨日は雨だったので、濡れて静かにしている桜が散りかけていて、とても美しく見えました。ほんとに素敵なおうちだなあと感心しますが、普段はこの家は空き家になっているそうで、時々このような催しをして活用しているそうです。窓辺や壁面の棚には、色々な作家さんの作品(和布のバッグ、アクセサリー、リネンのニットやレース、兎などの動物をかたどった陶器などなど)が展示及び販売もされています。皆さん素晴らしい才能の持ち主ばかりです。と思っていたら、帰り際に梶谷さんが「ノトさんの夢の『
美術学校』みたいじゃなかった?」とおっしゃいます。まさに! 素晴らしい才能の持ち主が集ってました。梶谷さん、正夢にしてくれて、どうもありがとうございました。なんだか夢と同じで、私にも何かできるのではないかと言う(か、もっと頑張ろうと言う)気持ちがしてきましたよ。
そんな感じで、相当楽しかった『中寺ハウス』の催しは、本日16日まで開催です。大阪近辺の方ならまだ間に合います。