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もやもや日記

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『エトルリアの壺』

2006年04月02日 | 読書日記ーフランス
メリメ 鳴岩宗三訳(「世界の文学 フランス名作集」中央公論社 所収)


《あらすじ》
つまらない噂話に惑わされて、恋人の過去に疑惑を持ち失望し、果ては自らを破滅に追い込んでゆく男の物語。


《この一文》
”「三月のあいだ、あの女はおれを男のなかでいちばん幸せな男にしてくれた。この幸福は、おれの一生をそっくり犠牲にする値打ちがある」”



メリメは、岩波版の『エトルリヤの壺』(他五篇 杉捷夫訳)所収の「マテオ・ファルコネ」を読んで暗澹たる気持ちになってそれ以上読む気がしなくなったということを、うっかり忘れてまた読んでしまいました。なんてことだ……。また滅入りました。いえ、面白いんですけどね。
この物語の主人公の男は、周囲の人々にはまだ秘密にしている恋人の女に対する詰まらない噂話を真に受けて、しかも本人にはその事実を確認もせず(内容がまた非常に詰まらない。女が過去にある男と恋仲だったらしいというだけのこと)、ひとりで思い悩んだ末、自ら破滅に向かわせるような行動を取ってしまいます。その、男の気持ちの浮き沈みの激しさと、物語の展開のはやさはもの凄いです。

2作品読んでみて、この人の作品の凄さということは少しわかりましたが、とても憂鬱になるので一気にはいくつも読めないなということもわかりました。はー、つかれた。