気ままな歳時記

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『パラサイト・イヴ』

2010年09月13日 20時20分16秒 | 宮城県に馴染みの深い人々
 『パラサイト・イヴ』は,瀬名秀明さんのデビュー作となったホラー小説で,第2回日本ホラー小説大賞を受賞しており,瀬名さん自身,受賞当時1994年は,東北大学薬学部に在籍する研究者だった事でも話題になったようです。

 発表されてからかなり経つので,読むのがちょっと恥ずかしい感じですが,脳死判定で,本人の意思表示がなくても,家族の承諾が有れば移植が出来るという,今と違った16年前の状況を踏まえながら読みました。

 小説の舞台は仙台と明確に書かれてはいませんが,瀬名さんが大学から大学院生活を送っていた東北大学薬学部や医学部などを小説の中に取り入れていることは明白で,舞台設定が仙台なので,風景や情景がすぐ浮かぶのもこの小説を読み進める上で,読みやすい要因になりました。 

 太古の昔に存在した利己的遺伝子である「イヴ」が,生物に寄生(パラサイト)して何億年も生き延びてきて,生物遺伝子の主導権を得るため人体に対して反乱を起こし,ヒトとの生き残りをかけて争う小説です。

 この小説は,科学的なくだりを使い精密にかつ正確に書いているので,初めは科学用語に戸惑いながら読み進めるうちに,だんだんと時間も忘れ一気に読んでしまいました。

 私は,小説を読んでいる途中から,映像が浮かぶほどリアリティのある描写に釘付けになったのですが,小説発表後,『パラサイト・イヴ』は映画化,ラジオドラマ化,プレイステーション用のゲーム化され,色々な方面へ大きい影響を与えたのは当然な気がしました。

 『パラサイト・イヴ』文庫本

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