スーパーやドラッグストアでトイレットペーパー(トイレ紙)が売り切れたという大騒動は、
新型コロナウイルスの不安によるうわさがきっかけだったといわれている。
騒動の直後に供給力も在庫も十分と安心情報が流れ、うわさはデマだとされたのに、
それでも買いだめが続きました。 このようなこと・・過去にもありました。
そんな人々の心理状態は、あの有名な童話とそっくりだという。
京都市山科区に住む"Sさん"に「悪夢」がよみがえったのは、今年2月末ごろのこと。
空になったスーパーのトイレ紙の棚やお年寄りらの長い列がテレビに映っていた。
新型コロナウイルスの感染拡大で「マスクと同じ素材で作られるトイレットペーパー
も品不足になる」とのうわさがきっかけとされる。「この社会には学習効果があるん
やろか」・・と。
1973年に大阪・千里ニュータウンのスーパー「大丸ピーコック千里中央店」(当時)
で起きたトイレ紙騒動。 同店の家庭用品係長だったSさんが10月31日に出勤
すると、約300人の行列ができていたそうだ。 聞けば、皆さんトイレ紙が目当
てだという。 「店内を走り回られるとケガ人が出る」。 急きょ、1パック4個
入りのトイレ紙計300パックを店の奥から入口へ移したそうだ。
すでに周辺の店や問屋ではトイレ紙が品薄になり、Sさんの店は以前から計画して
いた特売日の初日だったそうだ。 特売品が売り切れた後に通常価格のトイレ紙を
出すと、「便乗値上げ」と一部で報じられ、首都圏に飛び火した騒動の「火元」と
汚名も着せられた。 Sさんは公正取引委員会に呼ばれ、特売の経緯などを詳しく
聞かれたそうだ。
第4次中東戦争による石油危機で世界経済が混乱した年。 「石油危機でトイレット
ペーパーがなくなる」とのデマが品薄に拍車をかけていたと、Sさん後で知ったと
いう。 水洗式トイレが完備されたニュータウンの各戸では溶けやすいトイレ紙を
使うしかなく、客の切迫感をさらに強めたようだ・・。
今年のトイレ紙騒動も業界や政府が十分な供給力と在庫を訴えたにもかかわらず、沈
静化しなかった。 Sさんは「今の方が怖い」という。 「インターネットの交流
サイト(SNS)で一気に拡散するでしょ。 口コミでジワジワ広がり、パニックの
報道で過熱した47年前とは違いますネ」
物は必要な時に買えばよく、買いだめをすると、本当に必要な人が困る。 そんな
常識がもろくも崩れる時がある。 自分も他人と同じ行動をとらなければ不利益を
こうむるのでは・・と。
SNSのツイッターで広まった東日本大震災のデマを調べたことがある大阪電気通信
大学の”小森先生(認知科学)”は、トイレ紙の買いだめをした人々を三つの波に分ける。
第1波がうわさを真実と信じた人々。 第2波がデマと分かりながら品切れを恐れ
た人々。 第3波が報道に接して品切れを恐れた人々。 いずれも、その前に
起きたマスク不足の実体験と連動しているという。 小森教授は第1波への対処法
について「公的機関やマスメディアの情報を参考にして自分が伝えたうわさを訂正
すれば、拡散を抑えられると思います」と提案しています。
ただ、第2波と第3波の方がはるかに大きかったようだ。「日本トレンドリサーチ」
が3月初め、全国の958人にインターネットでアンケートをした結果、通常より
も多く買いだめをした人のうち約9割が、トイレ紙が今後不足するという情報がデ
マで、買いだめが品薄状態を引き起こしていると認識していたと答えたそうです。
小森教授は、こうした動きの背景に「多元的無知」があると指摘。 自分は賛成して
いない集団内の行動を「他人は賛成している」と考え、多くの人も同様に思い込む
心理状態のことだと。 アンデルセン童話「裸の王様」にもたとえられるという。
「自分にふさわしくない仕事をしている人とバカな人には透明で見えない服」と偽る
詐欺師に、当初は見えないと感じた王様が恐ろしくなり、着た振りをして裸で堂々
と行進。 群衆も同様に服が見えるふりをしたが、一人の子どもが「王様は裸だよ」
と言ったことから全員が「裸だ!」と叫ぶ‥‥‥‥。
この子どもの一声のように、人々をトイレ紙騒動の心理状態から解き放つ手立てはな
いのだろうか。 小森教授は「集団は恐怖や不安の情報を共有し、防御機能を働か
せることで、生存率を高めてきました。 だから、怖いと思った時ほど他人に伝え
てしまうのが自然な心理なんです」という。
ただ、光明もなくはない・・?
「恐怖や不安に影響されやすい社会的存在だと自覚すれば、騒動の過熱を多少は
抑えられるかもしれません」
周りで発せられる発信根拠のわからない情報に対しては、うのみにすることなく
しっかりとその出どころ&内容をしっかり見極めることが大事のようです。
新型コロナウイルスの不安によるうわさがきっかけだったといわれている。
騒動の直後に供給力も在庫も十分と安心情報が流れ、うわさはデマだとされたのに、
それでも買いだめが続きました。 このようなこと・・過去にもありました。
そんな人々の心理状態は、あの有名な童話とそっくりだという。
京都市山科区に住む"Sさん"に「悪夢」がよみがえったのは、今年2月末ごろのこと。
空になったスーパーのトイレ紙の棚やお年寄りらの長い列がテレビに映っていた。
新型コロナウイルスの感染拡大で「マスクと同じ素材で作られるトイレットペーパー
も品不足になる」とのうわさがきっかけとされる。「この社会には学習効果があるん
やろか」・・と。
1973年に大阪・千里ニュータウンのスーパー「大丸ピーコック千里中央店」(当時)
で起きたトイレ紙騒動。 同店の家庭用品係長だったSさんが10月31日に出勤
すると、約300人の行列ができていたそうだ。 聞けば、皆さんトイレ紙が目当
てだという。 「店内を走り回られるとケガ人が出る」。 急きょ、1パック4個
入りのトイレ紙計300パックを店の奥から入口へ移したそうだ。
すでに周辺の店や問屋ではトイレ紙が品薄になり、Sさんの店は以前から計画して
いた特売日の初日だったそうだ。 特売品が売り切れた後に通常価格のトイレ紙を
出すと、「便乗値上げ」と一部で報じられ、首都圏に飛び火した騒動の「火元」と
汚名も着せられた。 Sさんは公正取引委員会に呼ばれ、特売の経緯などを詳しく
聞かれたそうだ。
第4次中東戦争による石油危機で世界経済が混乱した年。 「石油危機でトイレット
ペーパーがなくなる」とのデマが品薄に拍車をかけていたと、Sさん後で知ったと
いう。 水洗式トイレが完備されたニュータウンの各戸では溶けやすいトイレ紙を
使うしかなく、客の切迫感をさらに強めたようだ・・。
今年のトイレ紙騒動も業界や政府が十分な供給力と在庫を訴えたにもかかわらず、沈
静化しなかった。 Sさんは「今の方が怖い」という。 「インターネットの交流
サイト(SNS)で一気に拡散するでしょ。 口コミでジワジワ広がり、パニックの
報道で過熱した47年前とは違いますネ」
物は必要な時に買えばよく、買いだめをすると、本当に必要な人が困る。 そんな
常識がもろくも崩れる時がある。 自分も他人と同じ行動をとらなければ不利益を
こうむるのでは・・と。
SNSのツイッターで広まった東日本大震災のデマを調べたことがある大阪電気通信
大学の”小森先生(認知科学)”は、トイレ紙の買いだめをした人々を三つの波に分ける。
第1波がうわさを真実と信じた人々。 第2波がデマと分かりながら品切れを恐れ
た人々。 第3波が報道に接して品切れを恐れた人々。 いずれも、その前に
起きたマスク不足の実体験と連動しているという。 小森教授は第1波への対処法
について「公的機関やマスメディアの情報を参考にして自分が伝えたうわさを訂正
すれば、拡散を抑えられると思います」と提案しています。
ただ、第2波と第3波の方がはるかに大きかったようだ。「日本トレンドリサーチ」
が3月初め、全国の958人にインターネットでアンケートをした結果、通常より
も多く買いだめをした人のうち約9割が、トイレ紙が今後不足するという情報がデ
マで、買いだめが品薄状態を引き起こしていると認識していたと答えたそうです。
小森教授は、こうした動きの背景に「多元的無知」があると指摘。 自分は賛成して
いない集団内の行動を「他人は賛成している」と考え、多くの人も同様に思い込む
心理状態のことだと。 アンデルセン童話「裸の王様」にもたとえられるという。
「自分にふさわしくない仕事をしている人とバカな人には透明で見えない服」と偽る
詐欺師に、当初は見えないと感じた王様が恐ろしくなり、着た振りをして裸で堂々
と行進。 群衆も同様に服が見えるふりをしたが、一人の子どもが「王様は裸だよ」
と言ったことから全員が「裸だ!」と叫ぶ‥‥‥‥。
この子どもの一声のように、人々をトイレ紙騒動の心理状態から解き放つ手立てはな
いのだろうか。 小森教授は「集団は恐怖や不安の情報を共有し、防御機能を働か
せることで、生存率を高めてきました。 だから、怖いと思った時ほど他人に伝え
てしまうのが自然な心理なんです」という。
ただ、光明もなくはない・・?
「恐怖や不安に影響されやすい社会的存在だと自覚すれば、騒動の過熱を多少は
抑えられるかもしれません」
周りで発せられる発信根拠のわからない情報に対しては、うのみにすることなく
しっかりとその出どころ&内容をしっかり見極めることが大事のようです。