日本人の食物アレルギーの原因食物のトップを占める鶏卵。 ここ数年、多くの研究から卵アレルギーに
関する知見が更新されている。 どのようなことがわかってきたのか。 最新知見を確認してみよう。
子どもの頃、卵を食べて蕁麻疹(じんましん)や
腹痛に悩まされた人は珍しくないが、卵アレル
ギーは学童期までに寛解(症状が消失)する率が
高い。ただ、卵焼きやゆで卵は食べられても、
生卵やメレンゲのように非加熱の卵で症状が起
こったり、疲れていると卵を食べて蕁麻疹や腹
痛などが起こったりする人もいる。国立病院機
構相模原病院臨床研究センターの"佐藤医師"は
「病後や極度の疲労など、体の免疫バランスが
乱れると症状が出やすくなる」と話している。
卵が原因のアレルギーとしてここ数年増えてい
るのが、FPIES(食物たんぱく質誘発胃腸症)と
いう消化管アレルギーだ。卵黄が原因で激しい
嘔吐を繰り返す。
一般的な卵アレルギーのような蕁麻疹や湿疹などの症状はなく、ひどくなると血圧が低下しショック状態
に陥る。 「食べて1~2時間、遅いと4~5時間してから症状が出るため、卵が原因だと分かりにく
い」と佐藤医師。 しかも卵がアレルゲンとして陽性にならず、再び卵を食べて症状が出ないと診断が
つかない。
発症するのは離乳食を始めたばかりの乳児に多い。 発症したら一定期間、卵黄の完全除去しか手立ては
ないが、症状がないうちからむやみに恐れて卵を避ける必要はない。
子どもの卵アレルギーの発症リスクを下げようと授乳期に卵の接種を避ける女性がいるが、その必要なな
いと明らかになった。 東京慈恵会医科大学(東京・港)の"浦島教授"と国立病院機構相模原病院の研究チ
ームは「母親が産後5日間、加熱した卵を毎日1個食べても、子どもが1歳時点での卵アレルギーの有
病率に差はない」との研究結果を2023年に発表した。
浦島教授は19年に「出産後3日間、母乳のみの授乳にすると2歳時点での食物アレルギーの有病率が5
分の1に下がる」との研究報告もしている。 食物アレルギーには卵アレルギーにも含まれる。
この報告を踏まえ、欧州アレルギー及び臨床免疫学アカデミーは食物アレルギー発症予防のガイドライン
(20年版)に「授乳中の乳児に対する一般的な牛乳ベースの粉ミルクの使用を生後1週間は避けること」
と記載。 母乳の出が悪ければ、たんぱく質をアミノ酸に分解した特殊なミルクで代用可能だ。
かつて卵アレルギーは問診と症状で診断がつけられた。 その後、血液検査、皮膚にアレルゲンをつける
ブリックテストが行われるようになり、08年には食物アレルギーの確実な診断法である食物経口負荷
試験が外来でも保険適用となった。 今では多くの医療機関で正確な診断がつくようになった。(24年
2月時点で16歳未満に適用)。
卵アレルギーの治療は今も昔も卵の除去が基本だが、10数年ほど前までは学童期まで摂取しないよう指
導されていた。 今ではできるだけ早いうちに負荷試験をして、食べられるかどうか確認することが勧
められている。 「3歳までに5~6割、就学時までに約8割の子が食べられるようになる」(佐藤医師)。
臨床研究の段階ではあるが、卵を少しずつ摂取して体の免疫機構を変える経口免疫療法を行う医療機関も
増えている。 少しずつ食べることで卵への耐性がつくようになるという。 食事から卵を除去したま
まの人や、大人になってから卵アレルギーではないかと思っている人は自己判断で除去を続けるのはな
く、医療機関での検査が受けることが大切のようです。
関する知見が更新されている。 どのようなことがわかってきたのか。 最新知見を確認してみよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/9b/946abf3647ea22dc0fd395108f2fa8bd.jpg)
腹痛に悩まされた人は珍しくないが、卵アレル
ギーは学童期までに寛解(症状が消失)する率が
高い。ただ、卵焼きやゆで卵は食べられても、
生卵やメレンゲのように非加熱の卵で症状が起
こったり、疲れていると卵を食べて蕁麻疹や腹
痛などが起こったりする人もいる。国立病院機
構相模原病院臨床研究センターの"佐藤医師"は
「病後や極度の疲労など、体の免疫バランスが
乱れると症状が出やすくなる」と話している。
卵が原因のアレルギーとしてここ数年増えてい
るのが、FPIES(食物たんぱく質誘発胃腸症)と
いう消化管アレルギーだ。卵黄が原因で激しい
嘔吐を繰り返す。
一般的な卵アレルギーのような蕁麻疹や湿疹などの症状はなく、ひどくなると血圧が低下しショック状態
に陥る。 「食べて1~2時間、遅いと4~5時間してから症状が出るため、卵が原因だと分かりにく
い」と佐藤医師。 しかも卵がアレルゲンとして陽性にならず、再び卵を食べて症状が出ないと診断が
つかない。
発症するのは離乳食を始めたばかりの乳児に多い。 発症したら一定期間、卵黄の完全除去しか手立ては
ないが、症状がないうちからむやみに恐れて卵を避ける必要はない。
子どもの卵アレルギーの発症リスクを下げようと授乳期に卵の接種を避ける女性がいるが、その必要なな
いと明らかになった。 東京慈恵会医科大学(東京・港)の"浦島教授"と国立病院機構相模原病院の研究チ
ームは「母親が産後5日間、加熱した卵を毎日1個食べても、子どもが1歳時点での卵アレルギーの有
病率に差はない」との研究結果を2023年に発表した。
浦島教授は19年に「出産後3日間、母乳のみの授乳にすると2歳時点での食物アレルギーの有病率が5
分の1に下がる」との研究報告もしている。 食物アレルギーには卵アレルギーにも含まれる。
この報告を踏まえ、欧州アレルギー及び臨床免疫学アカデミーは食物アレルギー発症予防のガイドライン
(20年版)に「授乳中の乳児に対する一般的な牛乳ベースの粉ミルクの使用を生後1週間は避けること」
と記載。 母乳の出が悪ければ、たんぱく質をアミノ酸に分解した特殊なミルクで代用可能だ。
かつて卵アレルギーは問診と症状で診断がつけられた。 その後、血液検査、皮膚にアレルゲンをつける
ブリックテストが行われるようになり、08年には食物アレルギーの確実な診断法である食物経口負荷
試験が外来でも保険適用となった。 今では多くの医療機関で正確な診断がつくようになった。(24年
2月時点で16歳未満に適用)。
卵アレルギーの治療は今も昔も卵の除去が基本だが、10数年ほど前までは学童期まで摂取しないよう指
導されていた。 今ではできるだけ早いうちに負荷試験をして、食べられるかどうか確認することが勧
められている。 「3歳までに5~6割、就学時までに約8割の子が食べられるようになる」(佐藤医師)。
臨床研究の段階ではあるが、卵を少しずつ摂取して体の免疫機構を変える経口免疫療法を行う医療機関も
増えている。 少しずつ食べることで卵への耐性がつくようになるという。 食事から卵を除去したま
まの人や、大人になってから卵アレルギーではないかと思っている人は自己判断で除去を続けるのはな
く、医療機関での検査が受けることが大切のようです。