農業じゆう人

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石臼

2016年11月02日 12時25分40秒 | 私事
  朝晩の冷え込みがここにきて一気に厳しくなり、カブのおいしい季節がやってきました。
  アブラナ科の越年草。春の七草のスズナとしても知られていますが、甘みが増す冬が旬です。
  淡泊で上品な味はどんな食材にも合う。煮物に漬物、炒め物と楽しみ方も幅広い食材ですネ
  今年は9月の長雨の影響で入荷が少なく、前年より6割近く高いんだとか・・?
  我が家の菜園では同じく寒くなると実が付くハヤトウリなどと共に豊富に収穫できています。
        
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  先日、埼玉の西部の街へ出かけたとき‘そば’でも食べようか?と農産物直販所の隣りにある
  「町の地域活用支援センター」で出かけてみたら、そこで地元の小学生の一行に出会った。
  ワイワイガヤガヤしながら子どもたちがのぞき込んでいるのを見て、我々もビックリ・・!
  それは、そばの実を挽く「石臼」が置いてあり動かして見せてくれていたんです。
    
       別途の展示してあった石臼       分解した石臼の上下

  小学生の皆さんにとっては非常に目新しいものでしょうが、我々にとっては大変懐かしいもの。
  引率の先生は子どもたちに“昔の人は大変だったネ~”とコメント。ところがさらにこういった
  “やっぱり、昔の人はバカだったネ”と加えたのには思わずのけぞってしまいました・・。
  へえ~今の先生は、石臼の意味・役目なぞ知らないんだ・・何のためにやって見せているのかを

  確かに石臼で粉を挽くには時間も労力もかかるのは事実です。しかし、石臼でこうして小麦粉や
   そば粉を挽く工夫は人類が1万年の歴史をかけてたどりついた「凄ワザ」なんですがネ~・・
  そこには現代の科学技術でもまねができない域に達した数千年の知恵が詰まっているものです。
  そのことを説明するのは大変なことなんですが、私はその遠い昔に同志社大の“三輪教授”の
   著書「石臼の謎 産業考古学への道」(1975年)などで、石臼の歴史とその巧みなメカニズムを、
   粉体工学の研究成果からわかりやすく説明されていると聞いたことを思い出した。
   
  よく整備された石臼は、周辺部でピッタリ石が合わさり、中央部に「ふくみ」と呼ばれる隙間が
   あります。 (上の写真・右) ここに粒が取り込まれる仕組み
  上下の接触面には八分画などの主溝と、並行する数本の副溝が刻まれていますでしょ・・。
   臼を回すと、これらの溝がまるで鋏(はさみ)で粒を切るように交差しながら移動して、外周部へと
   粒を押し出す。すると、平らな石の合わせ目に刻まれた細かい凹凸が、粉の粒子をしっかりと
   とらえて細かくする仕組み。実はこの目がすり減りやすく、日常的に「目立て」が必要なんです

    石臼挽きの粉が美味いことは、手前味噌ですが‘そば通’には言うまでもありません。
    先の“三輪教授”はその「秘密」を次のように記されているそうです・・。
    石臼は、ゆっくり回転し、剪断(せんだん)力で殻をはがす。機械製粉のようにたたかないので、
     粉が焼けず組織が壊れない。また石に挟まれて香りが逃げず、大小の粒が混在することで
    風味と粘りが適度にブレンドされるといわれています。

    石臼の巧みさを分りやすく伝えるのは簡単ではないと、諸先輩もよくそう言っていました。
    私も子どものころから、理屈ではなく実体験で覚えるものといわれ、手伝わされました~
    今では、体験学習もあって、透明なアクリル板に上下の臼の目を色分けして描いて回して
    見せたり、断面図を示したり、1回転2秒ほどでゆっくりと回すことが大事だと説明したりと
     様々に工夫したものをフルに使って教えているんだそうです。

    何しろ、現代では特別な関係の人・場所など以外は殆んどみられなくなっているものなので
     指導する立場の皆さんは相当なご苦労があるようです。
     ある意味、私のような田舎モンの古い人間の方がより知っているのかも・・?
     [この地の別な地域で以前、下記の写真のような唐箕(とうみ)や箕(み)などもみかけました]
              
            今の人には分らないでしょうがこれも農機具の一つです