疑似餌釣り師の酒蔵だより

酒好きルアーフィッシャーが蔵出しするボヤキ

デンゼル・ワシントンが見事「フライト」

2013年03月04日 | 映画・DVD
アカデミー賞主演男優賞ノミネート作品だけど、同日公開のジャンゴが助演男優賞受賞したため、ジャンゴにだいぶ観客が流れたみたい。

冒頭、いきなり裸の女性が登場し、デンゼルは朝酒を煽ってからコカインを吸入し、乗務に向かう。
大丈夫なのかよ?そんな設定だったかと少しばかり不安になる。

見どころは三つあったと思う。
一つは予告でもおなじみ、旅客機の背面飛行。
なぜ背面飛行をしなきゃいけなかったか、そのときの機内の様子はどうなのか、乗客・乗務員はどれだけ助かったのか。

二つ目は大勢の乗客の命を奇跡的に救ったものの、血液からアルコールと薬物が検出される。英雄か犯罪者か、弁護士と事故調査委員会との駆け引き。

三つ目。
アルコール中毒のため、周囲の期待や好意、信頼を裏切り続けてきた事に気付く。「神よ」と小さくつぶやいて全てを告白し、嘘で塗り固められたヒーローになる事をやめ、過去の過ちを償って人生をやり直す事を決意する。
このときの演技はさすがだった。
デンゼルすごいよ。

ゼメキス監督の演出もいいね、事故調査委員会喚問のため、ホテル軟禁状態の中、やっぱり酒に手を出すんだろうなと思うんだけど、さて酒はどうやって手に入れるか。
このシーンは緊張した。
深夜、風で振動するドア、鍵の掛けミスされたドアの向こうに恐る恐る入る。
窓から飛行機を見ていると、突然静かにモーター音が鳴り、冷蔵庫の存在に気づく。
きっと観客の誰もが我慢しろ、手を出すんじゃないと心の中で言ったはず。
結局手を出すんだけど、ここの描写が良かった。

なかなかかなり出来の良い映画だったと思う。
「自分は誰なんだ」という台詞も印象的。