[医療費の対GDP比率]
後期高齢者医療制度が問題の議論の中で日本の医療費支出が他国に比して少ないという理由の中で良く医療費対GDP比率でOECD諸国の中で日本は21番目の低支出だと野党や批評家が政府を攻撃している。
確かに下表で見る通りだ。
OECD諸国の医療費対GDP比率 (2005年)と債務残高の対GDP比率
医療費 順位 債務残高(1995) 同(2000) 同(2007)
米国 15.3 (1) 70.7 55.2 61.8
フランス 11.1 (3) 62.6 65.2 74.6
ドイツ 10.7 (4) 55.7 60.4 69.9
カナダ 9.8 (9) 101.6 82.1 66.3
イタリア 8.9 (17) 121.6 121.0 121.0
英国 8.3 (18) 52.4 45.7 49.0
日本 8.0 (21) 87.7 137.1 177.6
然ししそのデータを持ちして議論する前に考えねばならぬ事がある。
[債務残高の影響]
それは国の会計予算に占める国債費の影響だ。
日本の一般会計予算は
平成19年度一般会計予算 82.9兆円
社会保障費 21.1兆円 (25.5%)
国債費 21 兆円 (25.3%)
地方交付税交付金等 14.9兆円 (18.0%)
公共事業 6.9兆円 (8.4%)
文教科学振興 5.2兆円 (6.4%)
防衛費 4.8兆円 (5.8%)
その他 8.8兆円 (10.6%)
で如何に全体予算の中の中で国債費の占める割合が大きいかが判る。
もし日本の債務残高の対GDPの比率をフランスと同じとしたら
これから先は経済の素人の暴論を承知の大まかな仮定で、もし日本の債務残高の対GDPの比率をフランスと同じとしたら、74.6/177.6=0.42だけ国債費が減ることになる。
そうすれば国債費は8.8兆円、全体予算は70.7兆円まで減り、社会保障費の全体予算に対する比率は29.8%に上昇する。
そしてそれがそのまま医療費対GDP比率に反映されるとすれば(これも暴論だが)日本の場合 8.00÷25.3×29.8=9.4 とカナダの下の12位になる。
勿論これは国債費の負担を減らした分だけ全体予算も減らし、社会保障費を据え置きの前提なので、余裕の出来た分だけ社会保障費を増やせば医療費対GDP比率の順位はもっと上がるはずだ。
詰まり政府は国債の償還と利払いの費用の強い圧力の中で苦しい予算編成を強いられているのだ。
だから野党はマスコミは医療費対GDP比率の中に日本の医療費支出をが少ないと攻撃しても悪いとは言えないが、その基本的に原因の膨大な債務残高の問題を何故採り上げないのだろうか。
突出した日本の債務残高
上記の表が明らかに示しているように、日本の債務残高の対GDP比率は177.6と突出し、イタリヤを除く各国の2~3倍に達している。
しかも他の国ではその比率のはほぼ均衡状態にあるのに日本の場合はほぼ一直線の上昇を示している。
つまりこの事実は政府や与党がこの問題に関しては如何に政策を誤っていたか、放置していたか、または如何に無能であったかを示している。
[日本の政治家やマスコミ、批評家へ]
日本の政治家やマスコミ、批評家の悪いところはれが当面の問題の基本原因であること誰でも知っている事を取り上げないことだ。
その為に問題の本質を見失って話を混迷にさせることだ。
そのような議論は最近流行のテレビの政治バラエティー番組なら話が面白可笑しくなって良いが問題に解決には全く繋がらない。
直ぐ既定事実化する大問題
社会保障の問題では少子高齢化の話は直ぐ出るが、それがもう既定事実かのように、その基本的な問題を如何に解決するかの話は出て来ない。
膨大なしかも増え続ける赤字もそれだけに付いては議論が出るが、それが他の問題に如何に影響を与えているかは、それが既定事実のようにして触れられない。
双方とも全く同じ考え方だ。
国民に夢や希望を持たそう
増え続ける赤字、増大し続ける医療費などの社会保障費や社会格差。
これで日本人に夢や希望を持てと言うのは無理な話だ。
今こそ国民のモラルや、やる気が必要なと時と思うが、事態はその反対の方向に動いてい。
国民の誰もが反対しない国会議員の定数の削減、特別会計の徹底審議、特殊法人のあり方の国会での徹底追求。
それと平行しての所得税増税の論議。
これには国民、改革の対象者など多くの人達が我慢しなければならないかもしれない。
それらの思い切った対策の結果、増大し続ける債務残高の下降の傾向が出始め、医療費の将来の目処が明らかになるなど将来に夢や希望が見える方が、夢や希望のない生活よりはるか幸福だと思うのだが。
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