[評価の上がった日本]
近頃の報道によると日本の評価が世界的に上がっているそうだ。
昨日の日本テレビ系列の「ウェークアップ! ぷらす」でも日本総合研究所の寺島実郎さんが最近中国、韓国、西欧を廻って、識者との話し合いの印象として、日本への尊敬と企業のもつ日本文化への憧れを感じたと言っていた。
この現象は勿論今回の米国発の金融危機で、殆どの国が大打撃を受けその通貨の価値が落ちている中、日本円だけが上がっていることによる現象であること。
そしてその理由は日本が過去にバブルの崩壊の言う厳しい過去の反省に基づき金融バブルに積極的に関与しなかったと言う、あまり自慢にならない理由だが、我々は一部マスコミの悲観論ばかりでなく、日本のことを前向きに考えても良いような気がする。
[米国型と日本型の経営]
今回の金融危機で特に目立った報道がある。
トヨタ自動車の2009年3月期連結決算の予想で、その営業利益が08年3月期実績の2兆2700億円の半分にも届かない1兆円を下回りそうなこと、然し次期の研究費を膨大な額(9000億?)を用意していること。
一方、GMを始めとするビッグスリーが既に低燃費車開発などの設備投資を促進する目的で250億ドルを低利で融資することを決めているが政府に、対して更なる支援要請をしているが、それに対して議会の抵抗が強い事。
その理由にはビッグスリーが環境に優しい車の開発を怠って事と、経営陣が桁外れの待遇を受けていることだそうだ。
日本の企業の特徴は小泉改革に付随して米国流の経営の考え方の浸透で少しは変わってきたようだが、依然として企業は株主、経営者、従業員のものと言う考えが残っているので、その利益は今回のトヨタの研究費にみられるように長期的の視点で配分される。
また米国流の成果主義の考え方の導入で、大分薄れたと思うが家族主義的考えもあり、その経営者と従業員の給与の差額はやや少しは大きくなった所もあるが、それは一部の会社に止まっているようだ。
米国の会社は言うまでもなく、投資先の企業の愛着も何もない、目の前の儲けしか考えない株主は(当然の話だが)短期的な利益を分捕ろうとし、経営者はその手腕に応じた給与を要求する。
私も日産のゴーンさんのように経営者の力が企業の経営を左右する程大きいと思っているが。
その結果が現在の米国のビッグスリーの現状だ。
その原因として、米国ビッグ・スリー支援と日本にも書いたが、環境問題に消極的だったブッシュさんのミスリードもある。
日本は小泉・竹中路線で米国型の市場経済中心、自由主義経済を推進してきた。
そしてそれに伴う米国型の企業経営理念、会社は株主のもの、金が全ての考えが導入され、日本企業が得意としてきた小集団活動に象徴されるチーム・ワークを否定するような成果主義が浸透してきた。
小集団活動は企業はみんなのものという考え方、家族主義的経営に基づく、企業への忠誠心がなくては出来ないことだ。
そして世界的金融危機になって日本的企業経営が改めて、世界から見直されていることには考えさせられることが多い。
私は「その場凌ぎから抜け出すために」シリーズで何度も米国型市場経済中心主義の見直しのためのシンクタンクの設置の必要性を書いてきたが、私は小泉・竹中路線を批判するつもりはない。 (*注記)
小泉さん流で言えば政府の政策に対して企業をどうするかは、企業経営者の自己責任だ。
[日本の企業経営と政府の責任]
日本流のやり方を評価されてきた今こそ、企業経営者は今までのやり方を見直すときに来ているのではないか。
先の寺島さんの発言を受けて、元財務相の塩川正十郎さんが、経済発展の要素は技術力、流通力、金融力だが、日本のこれがバランスが取れた唯一の国だから、これを武器にして伸びて行くべきだと言っていた。
本屋での立ち読みで見たのが、長谷川慶太郎さんが新幹線や原発などの日本の優れた技術力を活かすべきだと書いていた。
私は日本の金融力には首を捻るし、それらの総合力の足を引っ張っているのは日本の政治力だと思う。
昔は戦後日本の発展は政治家が何もしなかったからだと言われていたが、久しぶり小泉さんのリーダーシップで政治が経済に介入してきた。
これからは市場中心主義経済や自由主義経済の良い面を取り上げるのは勿論だが、日本流の経営手法の良い所もとりあげ、組み合わせて行けばなんとか活路が拓けるような気がする。
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*注記:下記参照
その場凌ぎの政治から抜け出すために
石油問題と米国との関係の見直し
日本経済と社会問題の見直し
日本型経営のベースにあるものは、やはり長年に亘って培われてきた日本人の気質であり、ものの考え方だと思います。
日本人の気質とは自然と共生し、和を尊び礼節を重んじ、嘘をつかず努力することを奨励する等々だと思います。
ノーベル賞受賞者が日本から続出しているのは、何十年も努力を重ねて研究し続けることを厭わなかったからだと思います。
かつての日本人のDNAをしっかりと継承している世代が世界的な快挙を成し遂げているのです。
しかしながら戦後はコミンテルンの指令により、日本の伝統的精神を失わすべく徹底的に教育内容を破壊させられました。
全く礼節を欠き自国の伝統をないがしろにする根無し草国民を量産するに至っています。
このように教育を荒廃したまま放っておくと日本が国際競争力を失っていくのは火を見るより明らかです。
今ここで、日本型経営の基礎となっているものは何かとしっかりと見つめ直す良い機会ではないかと思います。