「川柳くろがね」4月号より
題詠 「誤算」 鎌田 正夢 選
悲観した老いの路傍は面白い 有松 市子
謙遜を真に受けられて来ぬマイク 安川 聖
遊泳中長寿社会のどまん中 角 ひさ子
裏の裏よんで明日に蹴蹟く 時津みつこ
真っ当に生きて少しの悔いがある 野西うさぎ
老いの恋嬉しい誤算生まれそう 古川 次郎
あの人が敵に回ったのが誤算 古野つとむ
予備校に予約した後サクラサク 吉田ゆたか
大誤算想定外で済まされる 廣渡 憲峰
有望な人が来て円陣弛む 前田 伸江
直ぐ切れる男仲裁買って出る 和田 澄雄
力-ド買い予算を超えて残る悔い 木下美智子
花心つかめず泣いた旅プラン 岡田 洋
佳 句
いまさらがしっけを死へと誤変換 独活乃枯朴
忌慣なく言った意見が後を引く 桑原 康博
シナリオの余白にあった落とし穴 小田ノリ子
先に逝くはずの夫の正常値 中川あさ子
美しい誤算もあった遠眼鏡 中山 和
清廉と信じた人の二枚舌 松井 昌子
唯一の誤算は妻が魔女だった 慶永 雅彦
選者吟
晩節に歯車狂い雨雲
とんぼの眼鏡
批評、添削 廣永 雅彦
▼原句 ◎添削句
課題「 花 」
▼チュウリップ高く低く背くらべ
「チユウリップ」は「チューリップ」が正解です。中7の「高く低く」が勿体ない、春なので脚を詠んでみましょう。
◎脚線美競いあってるチューリップ
▼どの花も競って顔が美しい
娘盛りを詠まれたとの事ですね。「花も競って」に容姿が詠みとれるので、ここでは 「顔」を省いて詠んでみました。
◎競いあう花の姿に立ち止まる
▼芽は花へ花は果実へ明日をつぐ
中7までは良いと思いますが、下5の「明日をつぐ」が残念です。擬人化して面白く詠んでみましょう。
◎芽は花へ花は果実へ大人びる
▼大輪の花に育てた子が巣立ち
親孝行の子供さんを詠まれた句です。句が良く出来ていますが「巣立ち」の収まりがが悪いので「巣立つ」にしましょう。
◎大輪の花に育てた子が巣立つ
▼咲よりもつぼみのままでいて欲しい
親離れする娘さんの心境を詠まれたのかな。親の身勝手をもっと強調して見ましょう。 。「咲より」は「咲くより」、これは単純な書きミスですね。
◎咲けば未だつぼみのままが好いという
▼あの父が帰る迄咲いて花昌蒲
「あの父」は何か曰くのある父のような気がします。父はそのままに気持ちを強調して見ましょう。
◎父帰るまでに咲いてよ花昌蒲
▼花一輪卒業祝い胸に挿す
句はまとまっていますが、卒業式なので喜びの表現を、もっと大きくしましょう。
◎花一輪胸に卒業式に出る
▼緑内で視力ほぼゼロ花見酒
「緑内」では緑内障の造語、句は眼の説明だけになりましたね。眼は「弱視」とし、「花見酒」に重点を置いて詠みましょう。
◎弱視でも皆と楽しい花見酒
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