「川柳くろがね」2018年8月号より
前月号鑑賞 石神 紅雀 選・評
「洗濯物たたむと空のいい匂い」 今村テルヨ
おひさまの匂いはよく聞くが、空の匂いは初めてだ。どんな匂いだろう。青空の匂いって。
「並ぶのが嫌いで過疎の村に住む」 阿部 文彦
私も田舎が好き。歩かなくてもいいから。ドアからドアまで車ですいすい。切符や買いで並ぶ事もない。
「五分咲きの花からもらうこころざし」 黒川 孤遊
人間なら中学生かなぁ。未完成の中にある使命感だろうか。未来のある人問は強くてまぶしい。
「曖昧にしているそれはそれで良い」 山下 華子
何でもきちんとされる華子さん。裁縫も華道もきっちり。でも何となくこまかすところも大事なのだ。
「生き甲斐がベンの先からほとばしる」 古谷龍太郎
恰好いいなぁ。龍太郎さんならきっとそうだ。万年筆が似合う。さらさらと滑るペン先、インクの匂い。
「荷ほどけば妻のため息ばかり梅雨」 山崎 蘭草
愛妻家の蘭草さん。何の荷物を解いていますか? 何を見ても奥様を思い出すのは、きっと梅雨の廿い。
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